※今回は1200字に収めることは出来なかったので、『思ったことそのまま』カテゴリーにて執筆させていただきます。
5月30日放送の『アメトーーク!』は異色の企画だった。出川哲朗や品川祐を始めとする8人のお笑い芸人を迎えて良く観るバラエティー番組の面白かった回について熱く語るというもの。しかもテレビ朝日のみならず他局の番組まで含めて語っていた。
コーナーは2本立てで、前半が「良く観る番組発表(複数回答)と、その中から一番組を取り上げ面白かった回について語る」、後半が「俺の永久保存版」である。
前半は8人の芸人のセンスが表れていた。個人的に「良いところを突いた」と思った人と、「一つしか語れないのにそこかよ」と突っ込みたくなる人に分かれていたので、まずは8人がどの番組をフィーチャーしたのかまとめてみる。
<1:出川哲朗『水曜日のダウンタウン』>
出川は「おぼんこぼん解散ドッキリ」と「クロちゃんドッキリ」を高く評価。クロちゃんの流れで品川が「モンスターハウス」も取り上げていた。
個人的にはこのパートが一番良かった。『水曜日』は現存するバラエティーの中でも数少ない“非予定調和”が面白さのカラクリになっている番組であり、あの出川が的確に解説できたのも番組に対する愛というか、本当に面白いと思っているからこそだろう。
<2:品川祐『ゴッドタン』>
実は『ゴッドタン』を語る前に「深夜に移動してからお笑いではなく魂を研磨する番組になった」と『ロンドンハーツ』を高く評価していた。おそらく4月16日に放送された「狩野英孝とフルポン村上の仲裁企画」のことを言っているのだと思うが、確かにこの回は当方も、2人がリアルにぶつかり合う様子を見て「このライブ感は久々に観た」と思った。“ライブ感”という表現で伝わっているのか不安だが、昨今のバラエティー番組でそれを感じることはほぼ無くなったし、“ライブ感”も“非予定調和”と同様に番組を面白くする要素だと思っている。
しかし、品川がフィーチャーしたのはロンハーではなく『ゴッドタン』の「西野をもう一度嫌いになろう」だった。お互いの尻の匂いを嗅ぎ合うという、要は下ネタだったのだ。あれだけオープニングで評論家気取りをしておいて下ネタに逃げてしまったのは誠に遺憾である。
<3:銀シャリ橋本『探偵!ナイトスクープ』>
「オナラでシャボン玉を出す」と「北海道を旅するオジサン」を取り上げた。後者は良かったが、前者はまたしても下ネタ。少なくとも当方は下ネタで笑いを獲ることは卑怯というか最終手段だと思っている。
<4:ロッチ中岡『全力!脱力タイムズ』>
まさに“非予定調和”の真骨頂とも言える番組。なんやかんや4年以上も続いているのは昨今のフジテレビ23時枠では奇跡に近い。中岡は、ピース綾部に通訳の人を付けた回と、ロンブー淳がにゃんこスターのネタをやらされている途中に元カノのmisonoが乱入するシーンを高く評価していた。この選び方はセンスがあると思う。
また、中岡から「この番組に出演する芸人は本当に事前情報無しで収録に臨んでいる」という証言を得られただけでも大きな収穫である。ヤラセ無しのライブ感を味わえる数少ない番組。
<5:ハナコ菊田『アメトーーク!』>
この選択は禁断技だが、おそらく番組自身について熱く語った回(いわゆる「アメトーーク!大好き芸人」という形での放送)は無かったので、逆に新鮮に感じた。しかし、肝心のハナコのお気に入りは「相方大好き芸人」の「タカトシのロケ」という、少し的を外している感があった。むしろ出川の選んだ「(仮)バラシ芸人」のほうがセンスがあった。
<6:パンサー向井『くりぃむナンチャラ』>
伝説の『くりぃむナントカ』の血を受け継いだ番組。「ラジオのノリに近い」という意外な評価をするも、向井が笑ったというシーンは「鈴木亮平選手権でのパンティ仮面相撲でポロリ」という、またしても下ネタだった。そこは残念。もっと他にあったはず。
<7:ずん飯尾『東野・岡村の旅猿』>
うーん……申し訳ないが、あえてノーコメント。
<8:アンガールズ田中『相席食堂』>
大ブレイク中の千鳥の番組。長州力の回を神回とし、そのロケ映像の一部も流れたが、当方には良さがイマイチ伝わらなかった。
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そして後半はいよいよ「俺の永久保存版」である。出川は『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』のいずれも最終回、品川は『笑っていいとも!グランドフィナーレ』、飯尾は『内村プロデュース』の出川をモニタリングした回と『リンカーン』の説教先生(有吉編)、橋本も『めちゃイケ』だが初期(1997年)の「オファーシリーズ」における岡村がSMAPライブに乱入した回、中岡は『にけつッ!!』の中岡vsアンガ田中をそれぞれ取り上げた。
ほとんど有名な伝説回で、特に『みなおか』『めちゃイケ』『いいとも』の最終回については多くの識者が既に語り尽くしているほどの伝説だが、3番組ともここ5年以内のフジテレビの番組であるというのは驚きである。近年は落ち目と言われているフジだが、長寿番組の最終回では必ず伝説を残す傾向にあるので、いずれ訪れるであろう『ネプリーグ』『VS嵐』『アンビリバボー』の最終回に期待したい。特に『VS嵐』は2020年までの終焉が現実のものとなっているので、今から最終回の内容を考えて欲しいくらいである。
というわけで『アメトーーク!』の企画としては久々に面白かった。個人的には『マツコ有吉かりそめ天国』や『陸海空 こんなところでヤバいバル』『超人女子戦士ガリベンガーV』『松之丞カレンの反省だ!』など、他にもフィーチャーして欲しい番組はいくつかあったものの、あまりディープすぎる番組を取り上げるのも冒険になってしまうので、23時枠の地上波で語るのであれば、このくらいがベストなのかもしれない。
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