経年劣化の為か鈍く光ったステンレスの物干し竿に少し水滴が
ついているのをガラス越しに見て、今日は町内会の清掃の日、
天候はどうかな?・・・と庭へ出て曇り空を見上げた。
今にも降りそうな空の下、我が家の狭い庭の沈丁花がかなり開いて
周りにあの「得も言われぬ香り」が漂っている。
一つ一つは小さな花だが肩を寄せ合うように丸みを帯びた花たちは
全体でも濃い色の葉っぱと一緒になり、こんもりとした形に成長している。
その木は近くのホームセンターの園芸コーナーから我が家へ来てもう
既に17年になる。
あんなに細く小さな木がこんなに太く大きくなるとは・・・
と言っても成長の早い他の木々に比べるとやはり低木らしく、こじんまりと
しているのがまた可愛い。
9時集合なので8時50分に家を出て自治会館へ向かう・・・
マンションのエントランスを出て5、6歩歩くとまたもやいい香りが・・・
角を曲がったところの民家の庭の手入れされた白梅が今年も空に
向かって凛とした姿と共に春を告げる香りを漂わせているのだ。
ジャンバーの襟元を少し広げ、香りを中に閉じ込めようとしながら歩く。
自治会館へ着くと運営委員長から『本日は中止』との発表。
内心『しめたっ・・』と思った途端、3月1日に延期とのこと。
まあ、自分も役員(組長)だからしょうがないな・・・と思いながら帰りは
少し遠回りして別の民家の大きな梅を見ながら帰ることに・・・。
そして大木の梅の香を胸いっぱいに吸い込んで日本人であることに
喜びと感謝を・・・。
今、そしてこれからも静かに咲く梅も、やがておおらかに咲き誇る桜も
日本人としての品位や礼儀、節度、人徳、気高さを表わす日本人の
象徴でもあるような気がする。
そして『梅は・・ほころぶ、こぼれる・・・』『桜は・・咲く、散る』というような
日本人の感性を大切に永遠に伝えていきたいと思う。
現政権はそれら日本人としての大切な矜持などは少しの欠片も
持ち合わせていないが、私たちは少しでも高い意識を持ち続けて
いきたいものである。
家に帰りしばらくするとやはり雨がぽつりぽつり・・・そしてまもなく傘が
必要なほどの雨になった。
雨は嫌いだがたまには静かに考える機会とするのもいいかな?と
思いながらパソコンに向かった。