ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

動くな、死ね、甦れ!byカネフスキー

2010年07月10日 | Weblog
下高井戸シネマで公開しているヴィータリー・カネフスキー監督作品『動くな、死ね、甦れ!(1989、ソビエト、105分)』をようやく初見。

学生時代に見ようかどうしようか、心引かれたにもかかわらず見なかった理由は、主人公の男の子の顔が嫌いだったからだ、ということをふと思い出した。母親の愛に餓えた悪ガキワレルカが繰り広げるかなり悪辣ないたずらが、犯罪へとエスカレートしていき、悲劇的に幕を閉じる一部始終が、淡々と描かれている。倫理や善悪という問題を超えた、後先を無視した刹那的な子供の無垢な行動は生き生きとしていて眩しく感じる。配給所やダンスパーティーで人々が揉みあうシーンの躍動感も印象に残る。好きかどうかと聞かれると答えに迷う映画だが、機関車の転覆シーンはまるで永遠に続くようで夢見心地な気分になった。ワレルカの難所を救う少女ガリーヤが魅力的。

告白

2010年07月09日 | Weblog
といっても、中島哲也監督作品『告白』の話です。

松たか子演じる女教師の告白にはじまり、関係者の告白で連なっていく構成も面白く、スリリングだ。時々挿入される、手すりから滴る雨の滴や高校生の影などのイメージカットが不穏な空気をより収斂する。ファンタジックなシーンや、コミカルなシーンもはっちゃけていて、CG効果も捨てたもんじゃないと改めて思う。スクリーンの緊迫感は途絶えることなく、手に汗握る、じゃないけど釘付け状態だった。

それにしても・・・、R15ね、なるほど血に溢れた惨劇シーンはリアルでちょっとグロッキーに。

松たか子の咆哮もすごい。
命の問題云々は別として、見どころたくさん、オススメ度の高い映画だ。


『分福cha-maga』第2号発行

2010年07月03日 | Weblog
第2号は狭山特集です。
狭山茶の主産地である入間市にお邪魔して、こだわったお茶づくりを展開する生産者の方々にお話をお伺いしました。
第2特集では、お茶の香りはどのようにして生まれるのか、植物にとっての香りの意味を繙きながら、わかりやすく解説しています。
是非お立ち寄りください。
『分福cha-maga』




アウトレイジ

2010年07月01日 | Weblog
北野武監督作品『アウトレイジ』を見る。

骨太の極道映画だ。
配役もすばらしい。
たけし監督は編集も手掛けているが、さすが、無駄なカットがない。
妙なタメもないので、展開が速い!
シンプルな主題で、豊かな表現、スクリーンが活き活きとしている。
前評判も高かったが、個人的にもかなり高得点。

ただ、結構生々しい・・・。
痛すぎて気持ち悪くなるシーン目白押し。
血や残虐シーンに弱い人は要注意。

ふと、ロベール・ブレッソンの『ラルジャン』のラストシーンが頭をよぎった。
青年が、世話になった見知らぬ家族を斧で皆殺しにするのだが、残虐行為が全く違った表現方法で描かれている。
ブレッソンには独特の『詩情』がある。
言葉も、映像も、極限まで削ぎ落とされているのに、映画は繊細で豊かで鮮やかだ。
不在であること、語りつくさないことでイメージが掻き立てられる。

ブレッソンまで思い起こさせる、『アウトレイジ』に脱帽!