ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ひとつの祖国」

2024年08月10日 | 書籍関連

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第二次大戦後に分断され、再び1つの統一された日本。だが、東西の格差は埋まらず、東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍し・・・。

意図せずテロ組織と関わる事になった一条昇(いちじょう のぼる)と、其の幼馴染み自衛隊特務連隊に所属する辺見公佑(へんみ こうすけ)の2人。
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貫井徳郎氏の小説ひとつの祖国」は、パラレル・ワールド”を描いた作品。「第二次世界大戦に負け、アメリカによって約6年8ヶ月もの間占領されていた日本。」というのが“現実”だが、「ひとつの祖国」では「第二次世界大戦に負けた事で東西に分断(“国境”は、新潟糸魚川静岡富士川を結ぶ線。)され、東日本は「日本人民共和国」としてソ連による“共産主義国家”に、そして西日本は「大日本国」としてアメリカによる“民主主義国家”となったが、50年経った頃、ソ連が撤退し、アメリカによって統一された日本。」というのが舞台となっている。

統一されたとはいえ、「旧東日本は旧東ドイツの様に経済的に貧しく、又、殆どの“国民”は社会の底辺で這いずり回り、一方の旧西日本は旧西ドイツの様に経済的に発展し、旧東日本の“国民”を蔑んでいる。」という“違い”は全く解消されていない。そんなアメリカに支配され続けたの“統一国”の首都は(旧西日本の首都だった)大阪

父親は共に自衛隊員という共通点を持ち乍ら、“親の出身地”が東日本の一条昇は社会の底辺に在り、又、西日本の辺見公佑は自衛隊特務連隊所属と“エリート階級”に在る。とは言え、幼い頃より自衛隊宿舎隣人同士として生活していた一条と辺見は、気心の知れた友人として成長。そんな2人を“分断”する事件が発生して・・・というストーリー。

どんな大義名分掲げ様が、テロ行為等、他者に被害を与えるテロリストを認める訳には行かない。其の一方で、「テロリストを“殲滅”するならば、何をしても構わない。仮に全く無関係な人間を巻き込んだとしても。」という警察や自衛隊のスタンスも、自分は同様に認める事が出来ない。そんな複雑な思いが鬩ぎ合う作品だ。

で、内容的に言えば、全く駄目様々な“設定”が兎に角中途半端”だし、何よりも“全く収拾の付かない形で終わった結末”が駄目。「あんなに色々“引っ張って”おいて、こんな訳の判らない結末なの?」とガッカリしてしまった。良い作品を多く著している貫井徳郎氏だけに、失望感は余りに大きい。

総合評価は、星2つとする。


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