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ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「医学のひよこ」

2021年07月09日 | 書籍関連

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ひょんな事から東城医学部に通う事になった、生物オタク中学3年生・曾根崎薫(そねざき かおる)。仲間達と洞穴を探検していると、見た事も無い巨大な“卵”を発見する。大事に育て様とする薫達の前に立ちはだかったのは、動物実験目論む研究者と日本政府だった。薫達は、大人達の謀略から大切な物を守り切れるのか?
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海堂尊氏の小説医学のひよこ」は、曾根崎薫、三田村優一(みたむら ゆういち)進藤美智子(しんどう みちこ)、そして平沼雄介(ひらぬま ゆうすけ)という桜宮中学校の同級生4人が登場する作品。彼等が最初に登場したのは「医学のたまご」で、上梓されたのは2008年と、もう13年も前の事になる。「医学のたまご」では、中学生なのに“飛び級”で東城医学部医学生となった薫が、大きなトラブルに巻き込まれる様子が描かれていた。

中学2年生だった薫達も、今回読了した「医学のひよこ」では中学3年生に。洞穴内で偶然発見した“不思議な卵”から“謎の生物”が生まれ、「いのち」と名付けた“彼”を必死で守ろうとする薫達と、動物実験を目論む大人達との姿を描いている。

「現役中学生が、現役の医学生でも在る。」という事に加え、謎の生物が登場する等、実に荒唐無稽な設定。けれども、医学面の話はリアルと、妙なバランスで成り立っている作品

海堂氏の「田口・白鳥シリーズ」等に登場する人物達が「医学のひよこ」にも登場するが、佐々木アツシの存在が個人的には一番ぐっと来る。アツシが初めて登場した作品は、15年前に上梓された「ナイチンゲールの沈黙」で、5歳の網膜芽細胞腫の患者だった。網膜芽細胞腫の手術によって片目を失うのだが、“当時”の彼は“蛙宇宙人のアニメ”の大ファンで、「~で在ります。」という軍人口調が特徴だった。そんな彼が「医学のたまご」では「飛び級で東城大医学部付属大学病院に入学し、網膜芽細胞腫を研究している現役高校生。」として登場した時は、「5歳だった彼が、こんなに成長したのか・・・。」と感慨深い物が在り、今回の「医学のひよこ」では更に成長した姿を見せている

「医学のひよこ」は、非常に中途半端な終わり方をしている。先月上梓された「医学のつばさ」は続編で、其方で全てが完結する様だが、「医学のひよこ」だけだと、どうしてももやもや感が残る。

総合評価は、星3つとする。


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