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探偵を休業し、ミステリー専門店でバイト中の葉村晶(はむら あきら)は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優・芦原吹雪(あしはら ふぶき)に、20年前に家出した娘・志緒利(しおり)捜しを依頼される。当時、娘を調査した探偵・岩郷克仁(いわごう かつひと)は失踪していた。
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「2015週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の10位、そして「このミステリーがすごい!2016年版【国内編】」の4位に選ばれた小説「さよならの手口」(著者:若竹七海さん)。若竹さんは作家生活25周年を迎えたヴェテランだが、彼女の作品を読むのは今回が初めて。
今回読了した「さよならの手口」は、「仕事は出来るが、運の悪い女探偵・葉村晶。」を主人公とした葉村晶シリーズの第4弾との事。第1弾の刊行が1996年という事だから、もう20年も前。自分が望まないのに、悪い出来事の方が晶に近付いて来る。其れも、何度も何度もだ。“運の悪い女探偵”というのは、其の通り。
登場人物達の関係性やストーリー展開等、不快さを感じる点が少なくは無いが、晶の“軽い言動”が全体の重さを減じさせている。其れは救いで在るのだけれど、肝心なプロットが読めてしまい、高評価の割には「まあまあかな。」という思いが否めない。御都合主義に感じてしまう点も、幾つか在ったし。
此れは読み手の“趣味”になってしまうのだろうが、文章の“装飾”がゴテゴテしている様にも感じられ、そういった部分も、読み進めるのに辛さが在った。
総合評価は、星3つとする。