ふくの映画ブログ

映画の紹介です

「カイロの紫のバラ」

2024年05月12日 | 1990年以前のアメリカなどの映画(西部劇以外)
1986年公開の映画の紹介です

監督は、ウディ・アレン。
夢と現実が織りなす、ロマンティック・ファンタジー・コメディ映画です。
主演・出演は、ミア・ファロー、ジェフ・ダニエルズ、ダニー・アイエロ、
ダイアン・ウィースト、ジョン・ウッド。


(あらすじ)
ニュージャージー州の田舎町。
働かない夫・モンクのせいで、シシリアは日々ウェイトレスで働きづくめの毎日です。
しかもモンクは酒とゲームに明け暮れ、シシリアは愛のない生活を送っていました。
シシリアの唯一の楽しみは映画の『カイロの紫のバラ』を観て、スクリーン越しにトム・バクスターに会う事です。
しかし仕事で失敗しクビになったシシリアは、途方に暮れて映画館に通いづめてしまいます。
鑑賞が5回目になった時、シシリアはバクスターが自分を見ていることに気付きます。
それどころかバクスターはスクリーンから身を乗り出して、シシリアに話しかけてきたのです。
そしてバクスターはシシリアを公園に連れ出し、
ずっと自分を見ているシシリアが気になっていたと話したのです。
当然バクスターに憧れているシシリアは、もう有頂天です。
その頃映画館では、主人公がいなくなり警察やマスコミも駆けつけるほどの大混乱に陥っていました。
間もなくハリウッドから、ある人物が駆け付けてくるのです・・・

*****************************************
この映画は英国アカデミー賞で「作品賞」、
セザール賞で「最優秀外国映画賞」を受賞しています。
アカデミー賞では「脚本賞」のノミネートがあります。

トム・バクスター / ギル・シェパード役は、ジェフ・ダニエルズ。
当初マイケル・キートンが10日ほど撮影した後、降板して交代しているんですね。
アレン監督が役柄に合わないと判断し、上手く断ったんだとか。




皆さま、お立ち寄りと応援ありがとうございます
日本映画の「今夜、ロマンス劇場で」が、どうも似て見えて、
未だに未見です

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (dekochin)
2024-05-12 22:19:26
懐かしい映画です!
今も鮮明に記憶に残っています♪
今夜、ロマンス劇場‥はこの映画の
リメイクかと思ってました
スクリーンから見つめられたらと
当時はドキドキいたしました(^∇^)
返信する
おはようございます (dekochinさんへ)
2024-05-13 06:26:26
ご訪問とコメント、ありがとうございます 
日本の俳優さんが記憶に残る映画で紹介していて観ましたので、
割と最近見たばかりなんです
当時観たら、きっとスクリーン見つめ度が違ったかと思います
私もリメイクかと思ってましたので、やっぱり「今夜ロマンス~」も観なくちゃですね
返信する
Unknown (ばっちもんがら)
2024-05-13 22:38:38
出不精でめったに映画館には行かないんですが、こういう映画を見るとやっぱり映画は映画館じゃないとね、なんて思っちゃいます。
返信する
おはようございます (ばっちもんがらさんへ)
2024-05-14 06:32:10
確かに!!
この映画のロマンスは劇場からですからね
私も最近は年に数本だけになりましたが
劇場鑑賞の思い出はたくさんあります 
返信する
「カイロの紫のバラ」について (オーウェン)
2024-06-17 14:56:50
この映画は、人間の孤独な心を優しく、温かいまなざしで見つめる人間凝視の秀作だと思います。

この映画「カイロの紫のバラ」は、ウッディー・アレン監督自身が自作の中で好きな6本の内の1本として挙げていて、1985年度のゴールデングローブ賞の最優秀脚本賞、ニューヨーク映画批評家協会の最優秀脚本賞、カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞、英国アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀オリジナル脚本賞、フランスのセザール賞の最優秀外国映画賞を受賞している秀作ですね。

映画の舞台は、1930年台の経済不況下のアメリカ・ニュージャージー。
失業中の夫に代わって、ウエートレスをして働くセシリア(ミア・ファロー)にとって唯一の心の支えとなり、淋しい心を癒してくれるのは映画館へ行って、今上映されている「カイロの紫のバラ」という映画を何回も繰り返し観る事でした。

フレッド・アステアの歌う永遠の名曲"ヘヴン"が流れるなか、セシリアが劇場の前でうっとりとした顔でポスターを見つめるという印象的なシーンから映画は始まります。
名画はその冒頭のシーンとラストシーンがいつも素晴らしく、映画ファンの心を虜にし、映画という虚構の世界でひと時の夢を与えてくれます。

1930年台といえば、ハリウッドがまさに"夢の工場"とも言われたミュージカル映画の黄金時代でしたが、当時のアメリカの人々は、大恐慌時代を経て、未だに苦しい生活を強いられており、そういう厳しい現実の生活から逃避出来る唯一の場所は、娯楽としての映画でした。

スティーヴン・スピルバーク監督が、「映画を観るという行為は現実の生活から離れ、ひと時の夢に酔う究極の逃避である」と語った事がありますが、この映画を観るという行為は、いつの時代になっても、究極の逃避であり、特に我々映画ファンと言うのは、元々淋しがり屋で孤独ですので、常に映画という虚構の世界に我が身を置いて、ヒーロー、ヒロインと同じ気持ちになって厳しい現実の自分から逃避しているのかもしれません。

セシリアは、今日も現実から逃れるようにして、「カイロの紫のバラ」という映画を観ていましたが、これが5回目である事に気付いた映画のヒーロー、トム・バクスター(ジェフ・ダニエルズ)は、劇の途中でスクリーンの中から飛び出して来て、映画の進行は止まり大騒ぎになりますが、そんな事はお構いなしに、映画のヒーロー、トムは何とセシリアに恋をしてしまうという奇想天外なお伽噺の世界が描かれていきます。

困惑した映画会社は、トムを演じるスターのギル・シェパード(ジェフ・ダニエルズ・二役)を動員してトムを映画の中へ連れ戻そうとしますが、そのギルもセシリアを愛してしまい、彼女と駆け落ちしようと言いだします。
全てを捨てて約束の場所で待つセシリア。
だがヒーローはその場所へやって来ません。

ヒーローが心変わりしたのか、それとも単なる口先だけの約束だったのか、それとも周囲の陰謀で来る事が出来なかったのか--------。

再びいつもの孤独な生活へと戻っていくセシリア----、紫色の夢が破れ、現実の厳しい生活が待っています。
こんなセシリアに対してウッディー・アレン監督は、素敵なラストシーンを用意しています。

哀れなセシリアをほんのひと時、映画の夢の世界に酔わせ微笑みを与えます。
まさしくウッディー・アレン流の優しいダンディズムが遺憾なく発揮されていますね。

傷心のセシリアが観ている映画は、ミュージカル映画の最高傑作と言われる「トップ・ハット」で、彼女は哀しみに沈みながら、映画の中で繰り広げられるフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの華麗な歌とダンスに魅せられて、再び幸福で豊かな気持ちになっていきます。

まさしくこの映画は、主人公のセシリアが映画の魔法の力で、再び生きる希望、勇気を見い出していく、"彼女の人生の再生のドラマ"であると思います。

そしてセシリアを演じるミア・ファローの思わず抱きしめたくなるような、儚い乙女心は実に切なく、人間の孤独感を見事に表現していたと思います。

また、彼女の孤独な心を優しく温かいまなざしで見つめるウッディー・アレン監督の人間凝視の奥深い演出は素晴らしく、彼の最高傑作だと思います。

我々映画ファンは、"映画という虚構の世界に憧れ、夢を馳せながら、映画によって自分自身と現実を認識し、映画という魔法の力で明日への生きる活力、希望、勇気を見い出していける"のだと思います。

映画を深い感動と静かな余韻の中で観終えて思う事は、ウッディー・アレン監督がこの映画で描いた、"悲観と楽観の間をたゆたう絶妙なバランス"は、我々映画ファンに"虚構の世界を楽しく遊ぶ、人生の豊かさを感じさせてくれ、そして、その豊かさの中にこそ本当の人生というものがある"のだという事を教えてくれているように思います。
返信する
おはようございます (オーウェンさんへ)
2024-06-19 06:15:38
ご訪問とコメント、ありがとうございます 
実はこの映画は公開時から随分後に観ていまして、
今回2度目の鑑賞でした
多分当時観ていたら、もっと思い入れが違ったかと思います
返信する

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