~今月の特選句~
秋深し蟋蟀とヰオロンのハーモニー・・・洋爾
俳句・川柳などの短詩型文芸の同好会「花衣会」では、毎月各自3句の作品を
会報に投句し発行しています。
その発行数は、今月で93号になりました。
また、昨年から勉強会として、句会を2ヶ月毎に開催しています。
今回は、その内容を報告します。
第15回 「花衣会」句会開催!!
と き 令和1年 12月20日(金) 午後2時から
ところ 広島市基町 NTT基町ビル7階 会議室
出句数 各自3句
リーダー 立川 良臣
講 師 岡部 泰行
出句3句の中から、1句ずつ選句した作品を掲載します。
冬至空訛って暮れて海鵜群れ・・・岡部 泰行
落ち葉掃くほうきの先の石畳・・沖本 惠子
鰯雲ゆるり残月包み込み・・・勝島 千波
枯葉舞うはしゃぐ園児のえびす顔・・・立川 良臣
薄日さす干し大根の影うすれ・・・土居 旭
窓閉じてストーブの明かりで読む手紙・・・中山 洋爾
牧場閉ず牛舎の中は狭苦し・・・浜本 文雄
秋の夜の尽きぬ話のクラス会・・・林 世紀雄
今回も力作ありがとうございました。
勉強会での研鑽の成果が、少しずつ現れているのではないでしょうか。
次回は、2月20日 午後2時からです。
投句は、3句を2月10日頃迄に土居までお願いします。
次回もよろしくお願い致します。
~じゆうな広場~
「戦争と俳句界」
岡部 泰行
「北方領土を戦争で取り返す是非」について言及したM国会議員が、マスコミを騒がせ
ている話題に触れ、改めて昭和俳壇史の中の戦争に関わるものを再考してみよう。
「昭和」という時代は、金融恐慌・山東出兵・普選・治安維持法と・・・・、経済的な
危機、侵略、無産階級の懐柔と弾圧から始まった。
プロレタリア俳句・人間探求俳句・社会性俳句等を含めたいわゆる新興俳句運動は、
「戦火想望俳句」が作成された1938年(昭和13年・・・小生の誕生年)、この前後2、
3年で消滅。その後弾圧の中で、主要作家の逮捕などで壊滅してしまう。
「大砲が大きな口あけて俺に向いてゐる」(初刷)、昭和12年の栗林一石路の逮捕を
始めとして、俳人の一斉検挙事件。20年代後半の「社会性俳句」が素材に偏重したこと
の反省に立って、より内部現実を重視するという方法論でもあった。
参考までに、昭和13年から小生の好きな句を提出してみたい。
昭和13年 〇馬ゆかず雪はおもてをたたくなり 長谷川素逝
昭和14年 〇ねむり蚕にひとつゆらめくかうべあり 皆吉爽雨
昭和15年 〇月に念へ戦争に破れし眼鏡の数 渡辺保夫
昭和16年 〇大戦起るこの日のために獄をたまわる 橋本夢道
昭和17年 〇倦怠や戦場に鳴く無慮の蠅 鈴木六林男
昭和18年 〇友はみな征けりとおもふ懐手 高柳重信
昭和19年 〇月蒼く脚が地雷を踏みにゆく 神生彩史
昭和20年 〇うちてしやまむうちてしやまむ心凍つ 久保田万太郎
・・・・そしてヒロシマ原爆投下、終戦(敗戦?)
更に昭和21年には、細谷源二の「地の涯に倖せありと来しが雪」と、中村草田男の
「呟くヒポクリット・ベートーヴェンのひびく朝」から戦後が始まってゆくのです。
ああ戦争はイヤダ、いやだ! 嫌だあ!!
*このコーナーは、花衣会会員の自由な想い、意見、感想などを
綴ったコラムです。
遠慮なく投稿願います。 お待ちしております。(土居記)
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