眼力、めぢから、と読む。視力、眼力、そしてガンリキだ。これも眼力と書く。ここに、めぢからとキーを打つと、目力と出る。DSに眼力トレーニングというゲームがあって、その監修者が書いた本だ。視力は3歳から6歳までの間に、その能力を完成させるそうだ。成人時の視力に6歳でなるのは驚きでもあるし、それ以後は、そうするとそれを維持するか、視力は変わらないか、悪くなるというようなことだから、いろいろ思い当たる。この著者はスポーツビジョンを研究する、そのトレーニングの実践指導をする医学博士だ。眼力を鍛えるという話で、とても面白い。動体視力を鍛えるということになるが、それだけではない。鍛えると10%、良くなるようだ。
眼力の鍛え方 (新潮新書) 2009年2月20日 石垣 尚男 . . . 本文を読む
この本は、短歌、俳句、または詩のアンソロジーなど、読み終わるというのでもないので、本を読みます、コーナーでもいいかなと思う。そう思いながら、著者名、小沢昭一を見て、もう、なくなられて、どれくらいだろう、と確かめた。わたしは、この人のファンでもあった。川柳の撰者をする、ユーモアを解する、達人だ。この本に集められた川柳は、平成15年から19年まで、雑誌に投稿のあったものだ。小説新潮の川柳欄から、編集をしている。ちょうど3月までの作品を5年間、じっくり、ながめるだけで、世相をうつして、まさに、うきよであるのがわかる。目に留まったのを紹介する。国民と皇室結ぶ前立腺 柏市 松田さん 線がもとの表記、ゴマ点を付して注意している。著者は、このガンで逝った。ご冥福を祈る。
川柳うきよ大学 (新潮新書)2008年5月20日 小沢 昭一 . . . 本文を読む
グルメ、食通、食道楽となれば、カテゴリーをそちらにしたいような本だ。読んでいて、とにかく楽しい。寿司が食べたくなるかと言えば、著者に悪いが、話に食傷となるような読後感だ。いまなら、津々浦々の食べ歩きを番組制作で見せるが、寿司を取り上げて、まさに読み歩きをしている。これほどの話はもったいないくらいに、まいうー、である。出版の時期と執筆依頼が朝日新書の創刊の時、2006年にあったとかで、それから取材をして2年をかけているわけだ。寿司の常識が落語のそれに近いような筆致がみられて少しばかり、食文化とするには、意気とか、粋とか、徹底ぶりがあってもよかったかもしれない。
すし屋の常識・非常識 (朝日新書) 2009年2月28日発行 重金 敦之 . . . 本文を読む
京都の懐に抱かれる本である。おのずと癒しの道は癒しの空間に続く。丁寧な道案内を受けて山道をわけいったような感覚になる。6章に分かれての訪ねる先は、狸谷山不動院、釘抜地蔵、千本えんま堂、赤山禅院、御蔭神社、六道の辻、伏見稲荷大社。地理を良く知る人なら、どれも山道というわけではない。幾処かを知るつもりでいたが、あらためて知るようなことが多く、稲荷大社の府では精緻を極める。著者がそれぞれ、心理学と宗教哲学を専門としていて、読み応えのあるやり取りとなっている。京都の緑陰深き謎に迫る好著である。
京都「癒しの道」案内 (朝日新書) 2008年11月30日発行 河合俊雄 鎌田東二 . . . 本文を読む
クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書) 2009年1月20日発行 西田宗千佳
次世代コンピューティングと解説する。その時から4年を経過している。スマフォとWin8、そしてMSのタブレットが出るいま、この間に、どれほど変わったろう。クラウドが騒がれたころに、その章を読んで、何も書いてない、タイトル負けだと思って、本を閉じてしまった記憶がある。改めて、サービス化、ボーダーレス化、オンライン化を読み進めて、この著書の説いたようになったか、ならなかったか、知ることになる。キャズム理論で言えば、まだ超えていない、ユビキタス・コンピューxテイングはまだ定着していない。 . . . 本文を読む
環境テロリストとは、言葉の読み取り用では、環境を破壊する人たちかと、思ってしまいそうだが、そうではない。動物愛護団体、反捕鯨団体のことかとなって、テロリストと言われるのだから、ますます、どちらのことかわからなくなる。環境を、破壊する側か、護る側か、それはいずれでもないテロリストだと、いうことで、それを知るにはこの本は最適だ。環境テロという語がすでにある、時にはエコテロといわれる語は、環境を理由に行われるサボタージュだと説明する。その活動が環境を守るという名目で破壊活動になるようである。ecoterrorismは、1987年代、アメリカ連邦捜査局、FBIのテロリスト分類では、エコテロリズムを行う者をエコテロリストと呼称したことに、端を発していると、説明がある。
恐怖の環境テロリスト (新潮新書) 2012年3月20日発行 佐々木正明 . . . 本文を読む
ビジネスに役立つ技とコピーにあるから、この本と出会ってそのままに経過した。就職に強い大学・学部を読んだ時期の、同じときに手にしていたようだ。この本の出版はさかのぼって、2012年3月だ。それからネット事情はどう変わったか、この本のネット力というのは、この1年自分にとってどうであったろう。ニュースを追いかける筆者のとらえ方はわかりよい。ネット情報の入り口でうろうろしていた自分がわかる。
朝日新聞記者のネット活用術 (朝日新書) 2012年3月30日 平 和博 . . . 本文を読む
新書の帯に、行ってはいけないアホ大学・バカ学部、の宣伝文句には感心できない、大学や学部が悪いわけではない。それほどデータが語るところを丹念に拾うが、5章に至って就職率のからくりを文科省ベースの厚労省発表すげ替えに至って、やはり出た、データ、何をかいわんや、信じていいのかは、操作を信じるだけのことか、操作可能に入る学生という分類はデータの取りようのことなので、すべての筆者の分析や記述が色あせてしまったようだ。大東亜帝国なり、産近甲龍たち、そして女子学生たちに読ませればよい。なお、東大秋入学の章は、消化不良。
偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)
海老原 嗣生 . . . 本文を読む
遣唐使を知ると、より具体的な古代日本の交通史が明らかになる。文献、文物、往来した人と品物、そのどれをとってみても日本の古代を形作った。それをこれほどまでに解説する書は、その文章力において、実証性においても、これまでにないといってよい。留学者に焦点を当てて読み取ったのは、わたしの興味と関心とによるが、よく知られた正倉院御物、経典の類において、人がものを請来したのであることには違いない。章を重ねて読み進んで、終章の警世のことばに耳を傾けるべきであろう。遣唐使は留学の歴史であると、位置づけたい。
遣唐使 (岩波新書)
東野 治之 . . . 本文を読む
ガンもそんなに怖くない、という、達観には至らないが、身につまされるように、高齢社会の現実を知った。ガンがどういうものかわかってきたという程度でいいのなら、とてもわかりよい。感激すらする筆致だ。練習というからには、まだまだ、トレーニングがあるのだろう。そこにふみこんで、死ととなりあうことを自覚する。
中川 恵一
がんの練習帳
新潮新書
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