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日本語論71  日本語助辞waの用法

2018-08-05 | 現代日本語百科2025

日本語助辞waの用法

 すでに述べてきたように、日本語助辞waについて、形態、統語の文法をあわせもって文法論とし、現代日本語を記述する。語と形態はその文法の用語として用いる。形態の表れが語となると、形態と形態による結合をも語とするので、国語の文法が扱う語とは文法単位が異なるところがある。しかし、仮名表記にも語形式とする。日本語の文は、文章という単位とともに分析する。文を連続する文としての文章に見る必要がある。

 資料は新聞記事からエッセイを用いた。日本経済新聞文化面に掲載された2014年11月のもの、29日分21)である。読み物として定評のある記事で、エッセイの内容には幅広く話題をとっている。日曜版では文筆家、エッセイストなど、また土曜日は編集局の記者の解説がある。資料の概要は総字数52,101字、1編が1461字から2,287字までの29編で平均して1796字の文章である。総文数は1,405文を数え、37.08字/文である。

日本語助辞waの分析

 助辞を例示すると、次のようである。助辞waを仮名書きの「は」で表記し、ゴシック体にする。資料は、1749字 13段 34文  51.44字/文  2.61文/段、waの個数は27である

かつては  研究は  丸山真男は  農本主義者は  菅谷務氏は  主張していたのでは  菅谷氏は  発想は  思想は  橘は  橘は  動きは  考え方は  岩崎正弥教授(地域学)は  「農本思想の現代的意義に関する研究」は  「日本村治派同盟」は  今は  さらしては  宇根豊氏は  国家では  物差しでは  農本主義は  忘れては  綱澤満昭学長は  多くは  救うことは  農本主義は  議論では   <農本主義が放つ現代性   戦前、経済偏重に警鐘 「ファシズムの典  型」見直し  20141101>

 この文章の例文にみられる助辞waを一覧にしたもである。それぞれの語が表わすものを分類してそれぞれをまとめると次のようである。たとえば、「かつてwa」には、「曽て」「嘗て」について、以前、昔を表す意味内容を持つ。昔は、以前は、と言い換えることができる。「今wa」となる時間をあらわしている。ついで同様に見て、助辞waの付く語を出現順にまとめていくと、次のようになる。以下は、重出例を省略する。

研究wa 発想wa 思想wa 考え方wa 農本主義wa 議論でwa 国家でwa 物差しでwa /丸山真男wa 農本主義者wa 菅谷務氏wa 橘wa 岩崎正弥教授(地域学)wa 宇根豊氏wa 綱澤満昭学長wa /主張していたのでwa 救うことwa /さらしてwa 忘れてwa 動きwa /「農本思想の現代的意義に関する研究」wa 「日本村治派同盟」wa

以上を整理すると、時間を表す語、ものごとを表す語、人を表す語、こと指す語、動きを表す語、そして引句の語になっている。さらに助辞に結合して-de-wa、-te-wa となっている。

次の資料は、2141字数 20段 55文 38.92字/文 2.75字/文、waの個数は27である。

国立競技場周辺wa この一角でwa 風景wa 私wa 64年wa それwa 家wa 70年にwa 世界wa  新宿にwa 感化されたかwa 当時wa Sさんだけwa Sさんwa じつwa 不安wa 空想とwa というのwa 彼wa T君wa 言うにwa 初期型wa 人wa 私たちwa ことwa カメラwa 辺りwa 高度経済成長時代wa 私たちwa 新幹線wa  自分たちには 「トロッコ」とは 編成は
<1964年生まれの風景  丸田祥三  20141102>

重出例を挙げると、「私wa」7例、「私たちwa」3例、「T君wa」4例、「Sさんwa」4例、「世界wa」2例、「不安wa」2例、「それwa」2例、「じつwa」2例である。

そして上記の助辞waの付く語を見ると、「64年」「70年」「当時」「高度経済成長時代」というように時代、年、時を表す語となる。また、「国立競技場周辺」「家」「世界」「風景」「新宿」「辺り」などの空間を表す語となる。さらに助辞に結合して-ni-wa、-ka-wa、-to-wa、-dake-wa がある。ほか、結合の助辞は前掲の資料と同様である。

次の資料は、1684字 13段 42文 44.38字/文 3.23文/段、waの個数は35個である。

 山川wa 詠んだのwa 彼wa 渡ってからwa 俳句wa 私wa きっかけwa 私wa 彼女にwa 98年にwa 目的wa 一つwa 「伯母が来て茶の間に母が居る様な錯覚愉(たの)しき母の命日」でwa ばあちゃんwa ポ語wa 日系文学者wa 俳句wa ストレリチアwa 俳人たちwa 99年にwa 「ダイヤの如露散りばむるプルメリア薫りに息づく今朝の吾が庭」wa 南国ならでwa 「海外日系文芸祭」でwa この催しwa ユニークなのwa 大楯エツヨさんwa 第10回wa 短歌wa 俳句wa 増えたのwa 日系人wa 応募者wa 文芸祭wa 関してwa 私自身wa   (この資料重は、出のままに挙げている)
<短歌・俳句 日系人の絆 望郷の念、自然礼賛…有名無名の歌人・俳人に思いはせ  小塩卓哉  20141103>

歌が引用符号で2句、見える。「伯母が来て茶の間に母が居る様な錯覚愉(たの)しき母の命日」、「ダイヤの如露散りばむるプルメリア薫りに息づく今朝の吾が庭」、ほかにも「ふるさとの信濃の国の山川は心にしみて永久に思はむ」、「『四十年過ぎてもポ語を話さないばあちゃんは』とて孫がなげきぬ」、などを文章に引用している。助辞waの働きによる主題主語を、文章の展開にたどることができる典型例である。助辞に結合して-kara-wa、-no-wa、-to-wa、-dake-wa があり、ほかは前掲の資料と同様である。

このようにしてみると、助辞waが用いられて、文章を構成する文の働きがどのようであるかをとらえるようになる。総文数1405について、助辞waの個数は924個である。上掲の資料ではそれぞれ、34文に27、55文に52、42文に35の出現で、0.79文、0.94,0.78文に一つの割合である。総文数に対しても0.65/文であった。助辞waの出現は文の算出により、助辞結合を含めて文おける機能によってさらに分析を必要とする。

筆者は職能をとらえて助辞waには引詞の用法があるとしてきたが、さらに文法機能の分析には主題主語としての機能をとらえようとする。おそらく取り立ての機能とされる文法は文章構造での取り立ての議論が必要となると考える。

その取立ての機能が現れる、わかりよい資料を次に引用する。出現率は0.33/文である。資料は、1581字 12段 49文 32.26字/文 4文/段、waの個数は16個にしかすぎない。

果てwa 目標wa バカバカしさwa あるわけでwa 私wa 思い出深いのwa 展覧会wa 難点wa 場合でwa 元wa 「村民」wa 最近でwa 「孫の手講座」でwa とwa 子供wa 子供wa    <地域の遊び場 老若集え 嘱託経験生かし「私設公民館」運営して14年  平木美千代   20141104>

いわば、文章は全体に直叙体であるが、次のような取り立てる用法がきわだっている。

目標は「楽しみ合うこと」。
バカバカしいが、バカバカしさは大事だ。
職員時代にはそんな思いから、行事ごとのほかに手作りの公民館便りを月2回発行し、地区の面白そうな人を紹介した。
思い出深いのは24歳の若さで亡くなった兵庫の写真家、若本俊雄さんの、白鳥を撮った作品展。
地元の小学校で開いた展覧会は、2日間で地区人口の半数に迫る3000人の来場者を集める大成功だった。
公設の難点は手続きが煩雑であるなど制約が多いことだ。
元は畑の敷地を利用し、約3千平方メートルの範囲を「田吾作村」と名づけている。
「村民」は400人ほど。
 とはいえ、最近の子供は冷めていると感じることも多い

日本語助辞wa、提示の用法ということにつき

 資料にはそれぞれ文体によって助辞waの現れ方が見られる。次には提示の用法とするものについて見ておく。これは松下大三郎にその用語があり、述べたように題目態を提示態としている。ときに話題、主題、題目となる助辞waの文法機能としてみるなら、この用法は単位文においてよりも文章の中でこそ捉えられるべきものである。向後に文法文章論を唱えようとするが、いまその1例を資料に見る。

次の資料は、1720字数 14段 50文  34.4字/文  3.57文/段、waの個数は27個である。
 マチュピチュ遺跡wa 1983年にwa 私自身wa 祖父wa 祖父wa 祖父wa なったのwa 祖父wa 決心したのwa 話でwa 祖父wa 足取りwa 鉄道沿線にwa 祖父wa 柱wa 祖父wa なるのwa 祖父wa 48~50年にwa 祖父wa 故郷にwa 復活するのwa 麓にwa 村wa ことwa 父wa 祖父wa  
<祖父はマチュピチュ村 村長 福島出身の移民1世、遺跡の麓でリーダーシップ  野内セサル良郎>


問題点の解決には、助辞「は」としての職能を明らかにすることである。とくに取り立てと係り結びの現象は、筆者が述べる引詞、引句の観点を用いるとわかりよい。







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