接置詞、adposition は、名詞句と結びつき、文中の他の要素との関係を表す句を作る品詞である。日本語の助詞を当てる。前置詞、後置詞と、言語による機能を対照する。
接置詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/10 06:31 UTC 版)
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名詞句の前に置く接置詞を前置詞(ぜんちし)、後に置く接置詞を後置詞(こうちし)と呼ぶ。前置詞は、SVO型言語やVSO型言語など、動詞が目的語に先行する言語にしばしば見られる。ヨーロッパの諸言語やアラビア語などセム系言語が前置詞を持つ言語としてよく知られる。後置詞は、SOV型など、目的語が動詞に先行する言語にしばしば見られる。日本語の後置詞は格助詞、中国語の前置詞は介詞と呼ばれる。
短い語が多く、日本語では 1~2 拍、ヨーロッパの諸言語では 1~3 音節、中国語では 1 音節(すなわち 1 字)が普通である。一般に弱く発音される。
ヨーロッパの印欧語族の場合、その起源は名詞の格の用法を補助するための副詞だったものが多く、したがってそれらは特定の格とともに用いられていた。後に格変化の統合・消失にともない格の機能を代行するようになる。
ドイツ語のように格変化が残存している言語では、現在でも前置詞と格の間に結びつきがある。一般にはこれを「前置詞の格支配」と呼んで、前置詞が格を決定するかのように考えられているが、本来はそうではなく、あくまで格が主体である。
日本語の後置詞にあたる格助詞を示す。この場合、「~は」、「~も」、「~すら」など格関係を表示しないいわゆる係り助詞はこれに含まれない。
~が (主格)
~から (始点)
~で (場所)
~と (一緒に)
~に (与格)
~の (属格)
~へ (方向)
~まで (終点)
~より (始点、比較)
~を (対格)
現代英語の主な前置詞を挙げる。byやforのように非常にたくさんの意味を持つものもあるが、括弧内の日本語訳は、それらの中の一例ないしは数例である。基礎動詞とともに句動詞を形成する。
about (およそ、~について)
aboard (~に乗って)
above (~より上方に)
across (~を横切って)
after (~の後に)
against (~に対して)
along (~にそって)
alongside (~と並んで)
among (~の間に)
around (~のまわりに)
as (~として)
at ("特定の一点を指し"~で)
before (~の前に)
behind (~の後ろに)
below (~の下方に)
beneath (~の下に)
beside (~のそばに)
besides (~の他にも)
between (~の間に)
beyond (~を超えて)
but (~を除いて)
by (~によって)
concerning (~に関して)
despite (~にも関わらず)
down (~の下へ)
during (~の間に)
except, excepting (~を除いて)
for (~のために、~に(とって))
from (~から)
in (~の中に)
inside (~の中に、内側に)
into (~の中に)
less (~ぶん少ない、~を引いた)
like (~のように)
minus (~を減らした)
near (~の近くに)
of (~の)
off (~から離れて)
on (~に接して)
onto (~の上に)
opposite (~の向こう側に)
out (~の外へ)
outside (~の外〔側〕に)
over (~の真上に)
past (~を通り過ぎて)
plus (~を加えて)
round (~のまわりに)
save (~を除いて)
since (~からずっと)
than (~よりも)
through (~を通って)
throughout (~の間〔ずっと〕)
till (~まで)
to (~に、~まで)
toward (~の方へ)
under (~の真下に)
underneath (~の下に)
until (~まで)
up (~の上に)
upon (~に接して)
via (~を通って)
with (~と一緒に)
within (~のうちに)
without (~なしで、~せずに)
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
後置詞
こうちし
postposition
付属語であり,前に位置する自立語と単語結合をなし,格関係や,その他の種々の意味を表わす機能をになう品詞。日本語の助詞がその例。前の自立語に接合する格語尾との間に本質的な差があるかどうかは問題で,ハンガリー語では,両者の区別は母音調和が及んでいるか否かにすぎない状態にある。英語のいわゆる前置詞にも後置詞的用法もみられる。 all the night throughなど。このことは,英語の前置詞が日本語の格助詞よりも,単語としての自立性が強いことを示している。
世界大百科事典内の前置詞の言及
【品詞】より
…
【諸言語と品詞】
ある言語のすべての単語の品詞分類が完成すると,そのおのおのの品詞に名称を与えることになるが,その名称は,言語学的にいえばどんなものであってもよいし,番号であってもよいのであるが,通常は,その品詞に属する単語(の大多数)が表すものの性格や,それらの機能を反映した名称を与えることが多い。前者の例としては,名詞や動詞があり,後者の例としては前置詞などがある。
…たとえば,日本語の〈ユックリ〉〈ヤサシク〉〈今朝〉〈ココデ〉は,最初のものだけが副詞に属し,次のものから順に,形容詞の(一つの)派生的範疇,名詞,名詞+(格)助詞という性格のものである。
[前置詞,後置詞(助詞)]
文の述語によって表される運動・動作などに対する事物の関係などを表す単語があって,それらが一つの範疇を形成している場合,通常それらはその事物を表す名詞(句)に近接して現れるから,そうした名詞(句)の前に立つか後に立つかに従って,〈前置詞〉とか〈後置詞〉と呼ばれることが多い。日本語の文法では,後置詞にあたるものを〈助詞〉と呼んできたが,名詞(句)につづくもの(格助詞等)を,動詞などに続く接続助詞と呼ばれるものや,述語の末尾などに立ついわゆる終助詞と,助詞という一つの品詞にまとめて考えるのは,それらが共通に何かの後に立ち,かつ,屈折(活用)を有しないといっても,それは違った品詞に属することを積極的に示さないという意味しかなく,根拠十分とはいえない。