文法はいずこ

文法の話をしていて難しいとか得意ではないとか、良い印象で語られることが少ないので、文法教育の影響するところかと思ったりもして、ある程度文法観を持ちうる、この文法観なるものもいかにもわからなさげで文法の見方といえば済むのであるが、そういう年齢に達している人々に文法とはどう考えたらいいかを説明して、文法はどこにあるか、どこにもない、あるとすればそれはあなた方ひとりひとりの頭のうちか、あなたが使う言葉の中にあるのだというの導入にすることがある。文法よ、いずこにというわけであるが、これはすぐにも気づくが自分の言葉を使っていて、おかしいと思ったり間違ったかなと思ったりしたときに、そこには自らの文法規範が働いているのであるから少しぐらい規則に破格であっても通じればいいというようなことで規範意識には違いないが、いつも文法についての言葉のチェックが行われていてそこに文法はあるのである。

これをいうところの文典の各文法を取り上げるとその文法書の数だけまた学説があるようなことになる。文法が学者や研究者たちによって分析されて文法が著わされるとそれはその文典いある文法ということで言語の現象をそれぞれの立場をもって文法が作られている。その名前を冠して、山田文法、橋本文法、時枝文法となる。さらに近代になって文法の端を開いた大槻文法に時代的に影響するところから独自の文法を編み出したとされる松下文法と、3大文法に加えて5大文法とでもいうべき扱いがある。そこに文法が説明されてあるのである。

そうなるといくつもの文法の説があり日本語を使う人たちもそれぞれに使う人たちの数だけ自分の文法規範を持つようなことであるから文法がいずこにあっていずこでもないのはそのいずれでもあっていずれでもないというようなことになってくる。規範という言葉を使ってきてそれを共通するか共有するように同じものになればそれは一つの文法だということなので学校文法また教育用の文法がそこに当てはまる。

身につけてきた言葉に文法があってその規則性を持つことを教えられるのは、8歳から9歳ごろのことで10歳ともなればそれは理屈として理解できるころなのであるがそれから数年をかけて文法に対する規範がわかってくるようなことでその時に文法の規則をただ覚えこむだけにしてしまったことがいろいろと弊害を起こしているようであり、それが外国語の習得にも応用されているような、風潮であった。