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勘違いしない 割愛

2016-02-27 | 勘違いしやすい日本語
漢字の読みにある。
割る を、さく と読む。

さく は、ものごとをわけることである。
愛はそのままである。

愛を愛情とすれば、それを断ち切る。
その思いがわかれば、この語を用いるようになるが、日常、社会生活においてはその場面がない。

経験するのは、出家といったことであるから、その現実にはない。

ただ、その宗教用語ですれば、愛には物欲を諭す愛があり、それは執着心ともなって恩愛断ち切りがたいものとする、その愛であるから、ものに対する思いを断ち切ることもあるわけである。

近代になってその用法が見えるようになるには、惜しんで分かつ、という意味用法になる状況が必要であった。
文例には、文献資料の範囲にある、寺田寅彦の文章に見える例が多い。






字通より

割愛 かつあい  愛情をたちきる。忍んで思いきる。



日本国語大辞典より

かつ‐あい 【割愛】
解説・用例

〔名〕

(1)愛着の気持を断ち切ること。思い切ること。

*正法眼蔵〔1231〜53〕行持・上「断臂たとひ容易なりとも、この割愛は大難なるべし」

*梵舜本沙石集〔1283〕九・二「割愛出家の沙門、なんぞ世財をあらそはん」

*水流雲在楼集〔1854〕上・雪朝柬摩嶋松南「一樹梅花傍敗籬、為君割愛我何辞」

*多情多恨〔1896〕〈尾崎紅葉〉後・七「如何にしても割愛して此油絵を取払ふには忍びかねた」

*渋江抽斎〔1916〕〈森鴎外〉八「漁村の文は頗る長い。後に保さんに聞けば、これでも碑が余り大きくなるのを恐れて、割愛(カツアイ)して刪除したものださうである」

*薛能‐三学山開照寺詩「何因将慧剣、割愛事空王」

(2)惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること。また、惜しいと思いながら、相手に贈ること。

*吾輩は猫である〔1905〜06〕〈夏目漱石〉六「実は此伊勢源に就ても頗る奇譚があるんだが、それは割愛して今日は人売丈(だけ)にして置かう」

*邪宗門〔1909〕〈北原白秋〉例言「少年時の長篇五六及その後の新旧作七十篇の余は遺憾なく割愛した」

*杜甫‐寄劉峡州伯華使君詩「展懐詩頌魯、割愛酒如」

(3)養蚕で、交尾している雌雄の蛾を離すことをいう。




http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%89%B2

割愛[かつあい]とは、メディア・編集用語の一種である。

以下割愛します。

…という訳にもいかないので
動画や音声などでは「尺が足りない時に、特に意味のないやり取りなどのシーンをカットすること」、文章であれば「どうでもいいような内容をバッサリ端折ることなど」である。後者であれば「以下略」的な使用をされる場面はあまり無く、思い切って省略して次(次の場面や翌日以降の記述)につなげる場合が多いようだ。

本来の意味は「惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。」である。



http://dictionary.goo.ne.jp/jn/42481/meaning/m0u/

かつ‐あい【割愛】

[名](スル)
1 惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。「紙数の都合で―した作品も多い」
2 公務員が、他の自治体や民間企業などへ籍を移すこと。また、大学の職員が、他大学へ籍を移すこと。手続きの形式上、移籍先が「人材を割愛してほしい」と申請することから。「―願い」「―申請書」
3 愛着の気持ちを断ち切ること。恩愛や煩悩 (ぼんのう) を捨て去ること。
「―出家の沙門、何ぞ世財をあらそはん」〈沙石集・九〉
[補説]1について、文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「惜しいと思うものを手放す」で使う人が17.6パーセント、本来の意味ではない「不必要なものを切り捨てる」で使う人が65.1パーセントという逆転した結果が出ている。

かつ‐あい【割愛】 例文一覧 17件

・・・田園的嫉妬の表白としてさもあらんとは思わるれども、この間に割愛せざるべからざる数行と言うことです。 前に書いた「な」の字さんの知っているのはちょうどこの頃の半之丞でしょう。当時まだ小学校の生徒だった「な」の字さんは半之丞と一しょに釣に行・・・<芥川竜之介「温泉だより」 青空文庫>

・・・私はこの点に関して特に小学校教師養成機関に就て論じたい事もあるが、今は割愛したい。 露西亜の現状に於て、外の事はともかく子供の教育上に於ては私は涙ぐましい気がす
る。大人はどんな苦しみをしても、その子供には不足を感ぜしめないようにし、国家・・・<小川未明「人間性の深奥に立って」 青空文庫>
・・・と熊本君は、もったいぶり、「しかし、女の子のいるところは、割愛しましょう。きょうは、鼻が、こんなに赤いのですから。人間の第一印象は、重大ですよ。僕をはじめて見た女の子なら、僕が生まれた時からこんなに鼻が赤くて、しかもこの後も永久に赤いのだと・・・<太宰治「乞食学生」 青空文庫>

・・・もっとも私は、あの短篇小説に於いて、兄妹五人と、それから優しく賢明な御母堂に就いてだけ書いたばかりで、祖父ならびに祖母の事は、作品構成の都合上、無礼千万にも割愛してしまっているのである。これは、たしかに不当なる処置であった。入江の家を語るの・・・<太宰治「ろまん燈籠」 青空文庫>

・・・実在の三次元の空間の一次元を割愛してただ二次元の断面に限定する代わりに、第四次元たる時間を一次元空間に投射することによって時間の経過をわれわれの任意に支配するという考えは両者に共通のものと考えられる。器械的技巧の点においてはほとんど問題にな・・・<寺田寅彦「映画時代」 青空文庫>

・・・その中で比較的成効しているのは、サヴィニャク伯爵が恋敵のモーリスの化けの皮を引きはぐつもりで鹿狩りを割愛し、半日がかりで貴族系譜の数十巻をしらみつぶしに調べ上げ、やっと目的を達したと思うと、ド・ヴァレーズのでたらめを鵜のみにする公爵のあほう・・・<寺田寅彦「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」 青空文庫>

・・・それから壺の口縁の所のやや細かい形のモデリングが始まるのであったが、そうそういつまでも見ている暇がなかったから、そこまでで残念ながら割愛して帰って来たのであった。帰りの電車に揺られながらも、この一団のきたない粘土の死塊が陶工の手にかかるとま・・・<寺田寅彦「空想日録」 青空文庫>

・・・ しかしそのような過剰の許されない境遇としては、樹木のほうは割愛しても、芝生だけは作らないではいられなかった。そうして木立ちの代わりに安価な八つ手や丁子のようなものを垣根のすそに植え、それを遠い地平線を限る常緑樹林の代用として冬枯れの荒・・・<寺田寅彦「芝刈り」 青空文庫>

・・・しかし、たまには三原山記事を割愛したそのかわりに思い切って古事記か源氏物語か西鶴の一節でも掲載したほうがかえって清新の趣を添えることになるかもしれない。毎日繰り返される三原山型の記事にはとうの昔にかびがはえているが、たまに眼をさらす古典には・・・<寺田寅彦「ジャーナリズム雑感」 青空文庫>

・・・また押し合いへし合うことのきらいな人間は遠慮なく昇降機を割愛して階段を昇降すればよい。それで問題はないのである。 ただ問題になるのはこの昇降機というもののメンタルテストの前に人間が二色に区別されることである。 何事でも人の寄る所へは・・・<寺田寅彦「蒸発皿」 青空文庫>

・・・子供の時にきらいであった塩辛が年取ってから好きになったといって、別に子供の時代の自分に義理を立てて塩辛を割愛するにも及ばないであろう。 なんべん読んでもおもしろく、読めば読むほどおもしろみの深入りする書物もある。それは作ったもの、こしら・・・<寺田寅彦「読書の今昔」 青空文庫>

・・・このような差別の起こった一つの原因は、俳句の詩形が極度に短くなったために、もし直接な主観を盛ろうとすると、そのために象徴的な景物の入れ場がなくなってしまうので、そのほうを割愛して象徴的なものに席を譲るようになり、従って作者の人間は象徴の中に・・・<寺田寅彦「俳句の精神」 青空文庫>

・・・遊覧船は寒そうだから割愛することにした。 ホテルの食堂へはいって見ると、すぐ向うの席に有名な某音楽家の家族連れがいる。音楽家はボーイを読んで勘定を命じながら内かくしから紙入れを捜ってその中から紙幣のたばを引出した。十円札が二、三十枚もあ・・・<寺田寅彦「箱根熱海バス紀行」 青空文庫>

・・・まで見て割愛して帰って来た。連句はとうとうお休みである。 アメリカレビューやウィンナ舞踊を見た眼で見た少女歌劇は実に綺麗で可愛らしいものではあったが、如何にもか弱く、かぼそく、桜の花と云うよりはむしろガラス製の人形でも見るような気のする・・・<寺田寅彦「マーカス・ショーとレビュー式教育」 青空文庫>

・・・その重苦しい何かしら凶事を予感させるような単調な音も、夕凪の夜の詩には割愛し難い象徴的景物である。 東京という土地には正常の意味での夕凪というものが存在しない。その代りに現れる夏の夕べの涼風は実に帝都随一の名物であると思われるのに、それ・・・<寺田寅彦「夕凪と夕風」 青空文庫>

・・・ どうぞあなたの貴重な時間の十五分間をわたくしに御割愛なさって下さいまし。ちょうど夫は取引用で旅行いたしまして、五六日たたなくては帰りません。明晩までに、差出人なしに「承知」と云う電信をお発し下さいましたら、わたくしはすぐにパリイへ立つ・・・<著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外「田舎」 青空文庫>

・・・という章を割愛されたというのは、残念千万なことだったと思う。物理のことが語られていたのなら、あるいは数学の発達の歴史の物語も、同じように割愛された頁の中に入っていたのではなかっただろうか。数学の方は、ホグベンの「百万人の数学」上下が出版され・・・<宮本百合子「科学の常識のため」 青空文庫>

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