絶対敬語と相対敬語
絶対敬語について説明を求めると朝鮮語の例が引き合いに出される。用法の理解にその説明は上下長幼の序は絶対であるということだろう。絶対に意味用法の一つに帰するところ、それは敬語を使う場面が日本語は相対的であるというふうになる。そう言うことなのであろうかと思うが、現代敬語に相対的な関係をみとめ、日本語の古代語には絶対の関係を説明するかと言うと、かならずしもそうではないようである。つまり、絶対敬語の用法は日本語では自尊敬語にあると言う。その用法を自敬表現としてとらえるとどうなるか。絶対敬語を朝鮮語の表現法とする場合と、日本語の相対敬語についての絶対敬語ととする、その絶対の意味内容が、その敬語が使われていたとする古代の敬語の用法において異なりを見せることになる。それはなぜか。
絶対敬語と相対離語 日韓敬語法の比較
https://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/globe/03/13.pdf
絶対敬語と相対離語. 日韓敬語法の比較. 一般に, 日本語は相対敬囲を有 し, 韓国研は絶対散略を有ずるといわれる. このよ うな説明. は' 一般論と しては正しかろか しかし' 日常の昔葉の中には織論では片付け られない用法,. いわば 「棚からの逸脱ュ カ富支 ...
自敬表現と絶対敬語 - 学習院
glim-re.glim.gakushuin.ac.jp/bitstream/.../joshidaigaku_12_115_132.pdf
福島直恭 著 - 2010
この自敬表現に関する先行研究の中には、 この言語事象が、 絶対敬語という、 現代とは. 異なる敬語使用原理の典型的な現れであると .... では 「相手」) の存在に影響されない』 という点が、 絶対敬語と相対敬語を分かつ基準. であると考えていることがわかる。
絶対敬語と相対敬語
www.tjf.or.jp/hidamari/6_omoshiro/manabikata66.htm
2003年7月号
絶対敬語と相対敬語
日本語の敬語の使い方は、朝鮮語に劣らずなかなか複雑です。朝鮮語話者にとって、ある意味で分かりにくく、難しいことかもしれません。日本語の敬語は「上下関係」だけでなく、「親疎関係」も問題になるからです。つまり、相手が目上か目下かということだけでなく、親しいか親しくないかということも敬語の使い分けの基準になるのです。例えば、目上で最も親しみのある存在である父親との会話を考えてみましょう。朝鮮語では、「お父様、おはようございます」となりますが、日本語では「お父さん、おはよう」というように、特に敬語を用いないほうが自然で一般的です。では、自分よりも明らかに年下あるいは目下で、親しくない人に対してはどうでしょうか。この場合、朝鮮語ではあまり敬語を用いません。それに対して、日本語では、この場合は敬語を用います。例えば、朝鮮語では、「あなたは、○○教授様の孫ですね。」というように、目上である「教授様」には敬語を使いますが、年下の「孫」に敬語を使うことはありません。一方、日本語では、「あなたは、○○教授のお孫さんですね/お孫さんでいらっしゃいますね」というように、年下であっても、親しくない「孫」に対して敬語を使います。
さらに、朝鮮語話者にとってもっと難しいのが、話し手の立場による尊敬語と謙譲語の使い分けです。例えば、朝鮮語では自分より目上の人に対しては、どんな場合でも必ず敬語を使います。その人と直接、会話する場合はもちろんのこと、外部の人との会話でその目上の人を話題にする場合も、その目上の人に対して敬語的表現を使います。それに対して、日本語では、家族を誰かに紹介する時や、話題が家族に関する内容になった時、その家族がたとえ「おじいさん」「おばあさん」「お父さん」「お母さん」「お兄さん」「お姉さん」など、自分より年上であっても、謙譲語を使います。例えば、医者である「おじいさん」のことを話題にする場合、朝鮮語では「私のおじいさまは、お医者様でいらっしゃいます」という表現になりますが、日本語では「私の祖父は医者です」という表現になります。日本語の敬語が「相対敬語」といわれる所以です。朝鮮語の敬語に相対的な特徴がないわけではないのですが、「絶対敬語」としての特徴が強く、上述したように目上であれば敬語を使って対応するのが原則です。
また、朝鮮語では「先生」のことを「先生様(남/任/nim」というような表現をしますが、日本語では「先生」だけで十分です。頭で分かっていても、慣れるまで抵抗があるかもしれませんが、日本語を話す時には敬語のスイッチも切り替えましょう。
泉文明
龍谷大学国際文化学部助教授
デジタル大辞泉の解説
そうたい‐けいご 〔サウタイ‐〕 【相対敬語】
話し手と聞き手、話題となる人物との関係で敬意の高低が定まる敬語の使い方。現代日本語の敬語は、相対敬語。通常「部長がおっしゃっています」と尊敬語を用いるが、来客などに対しては「部長が申しております」と謙譲語を用いて表現するなど。→絶対敬語
デジタル大辞泉の解説
ぜったい‐けいご 【絶対敬語】
ある人物に、人称や場面にかかわらず常に一定の表現を用いる敬語の使い方。上代における神や天皇などの自尊敬語はその典型。現代では、公的な場では「父が~と申しております」のように言うが、昭和の初めのころまで「父が~と仰せになっております」と尊敬語を使って表現することがあった。→相対敬語
大辞林 第三版の解説
ぜったいけいご【絶対敬語】
ある人に対しては,その人を含めてどの人からも,どの場面でも,常に一定の敬語をもって表現されるもの。神・天皇が自身に関して敬語を用いる奈良時代にこの傾向がみられる。