易地則皆然 ちをかうればすなわちみなしかり
デジタル大辞泉の解説
地(ち)を易(か)うれば皆然(しか)り
《「孟子」離婁下から》人は皆、地位や境遇が異なるので、その意見や行為も異なるが、立場を変えれば、することも一致する。
大辞林 第三版の解説
ちをかうればみなしかり【地を易うれば皆然り】
〔孟子 離婁下〕
人の言動に違いがあるのは立場に違いがあるからで,立場を変えれば同じになる。
http://sorai.s502.xrea.com/website/mencius/mencius08-30.html
離婁章句下
三十
>
禹・稷當平世、三過其門而不入、孔子贊之、顏子當亂世、居於陋巷、一箪食、一瓢飮、人不堪其憂、顏子不改其樂、孔子贊之、孟子曰、禹・稷・顏囘同道、禹思天下有溺者、由己溺之、稷思天下有飢者、由己飢之也、是以如是其急也、禹・稷・顏子、易地則皆然、今有同室之人鬪者、救之雖被髮纓冠而救之、可也、郷鄰有鬪者、被髮纓冠而往救之、則惑也、雖閉戸可也。
夏王朝の創始者、禹(う)。周王室の祖先、稷(しょく)。この両名は、おおらかな泰平の世に生きた人物であった。なのに、忙しさのあまり自分の家の門の前を三回通り過ぎても入る暇とてなかった。孔子は、彼らを賢人と称えた。孔子の高弟、顔回。彼は、変動極まりない乱世に生きた人物であった。なのに、街の裏路地に住んで、飯籠とヒョウタン一つずつだけしか食器がない貧しさで、常人ならばとても耐えられない貧窮の中にあってその楽しみをいっこう損ねなかった。孔子は、彼もまた賢人と称えた。
孟子は言う。
「禹と稷と顏回は、その道は同じなのだ。禹は天下に誰か溺れている者がいれば、まるで自分が溺れているかのように思い込んだ。稷は天下に誰か飢えている者がいれば、まるで自分が飢えているかのように思い込んだ。だから、あんなにもあくせく走り回ったのだ。禹と稷と顏回は、もし彼らがその立場を変えれば、きっとそれぞれ同じことをしたはずだ。たとえば今、同じ家に住んでいる同居人で争いが始まったとしよう。その場合、これを仲裁するのに髪も冠も整えずにとにかく必死になる。これはよいことだ。一方、同じ地域に住んでいる住人同士で争いが始まったとしよう。その場合、これを仲裁するのに髪も冠も整えずにとにかく必死になる。これは筋違いだ。たとえ自分の家の戸を閉ざして喧嘩から避難したとしても、別段かまわないのだ。(このように、自分の立場に応じた範囲内にいる他人に、必死になるべきなのだ)」
デジタル大辞泉の解説
地(ち)を易(か)うれば皆然(しか)り
《「孟子」離婁下から》人は皆、地位や境遇が異なるので、その意見や行為も異なるが、立場を変えれば、することも一致する。
大辞林 第三版の解説
ちをかうればみなしかり【地を易うれば皆然り】
〔孟子 離婁下〕
人の言動に違いがあるのは立場に違いがあるからで,立場を変えれば同じになる。
http://sorai.s502.xrea.com/website/mencius/mencius08-30.html
離婁章句下
三十
>
禹・稷當平世、三過其門而不入、孔子贊之、顏子當亂世、居於陋巷、一箪食、一瓢飮、人不堪其憂、顏子不改其樂、孔子贊之、孟子曰、禹・稷・顏囘同道、禹思天下有溺者、由己溺之、稷思天下有飢者、由己飢之也、是以如是其急也、禹・稷・顏子、易地則皆然、今有同室之人鬪者、救之雖被髮纓冠而救之、可也、郷鄰有鬪者、被髮纓冠而往救之、則惑也、雖閉戸可也。
夏王朝の創始者、禹(う)。周王室の祖先、稷(しょく)。この両名は、おおらかな泰平の世に生きた人物であった。なのに、忙しさのあまり自分の家の門の前を三回通り過ぎても入る暇とてなかった。孔子は、彼らを賢人と称えた。孔子の高弟、顔回。彼は、変動極まりない乱世に生きた人物であった。なのに、街の裏路地に住んで、飯籠とヒョウタン一つずつだけしか食器がない貧しさで、常人ならばとても耐えられない貧窮の中にあってその楽しみをいっこう損ねなかった。孔子は、彼もまた賢人と称えた。
孟子は言う。
「禹と稷と顏回は、その道は同じなのだ。禹は天下に誰か溺れている者がいれば、まるで自分が溺れているかのように思い込んだ。稷は天下に誰か飢えている者がいれば、まるで自分が飢えているかのように思い込んだ。だから、あんなにもあくせく走り回ったのだ。禹と稷と顏回は、もし彼らがその立場を変えれば、きっとそれぞれ同じことをしたはずだ。たとえば今、同じ家に住んでいる同居人で争いが始まったとしよう。その場合、これを仲裁するのに髪も冠も整えずにとにかく必死になる。これはよいことだ。一方、同じ地域に住んでいる住人同士で争いが始まったとしよう。その場合、これを仲裁するのに髪も冠も整えずにとにかく必死になる。これは筋違いだ。たとえ自分の家の戸を閉ざして喧嘩から避難したとしても、別段かまわないのだ。(このように、自分の立場に応じた範囲内にいる他人に、必死になるべきなのだ)」