この本ははじめに図書館で見て胸が高鳴った。そしてすぐに買い込んだ。普通の風景なのにどこか違うものを感じて、それが何なのかわからなくて、でも何度も何度も見た。著者の中平卓馬さんのことは全く知らなかったが、「一写真家の精神の記録」という言葉に納得した。
昔、升田幸三先生の育ったあたりを訪ね歩いたことがある。何かの取材の同行だったので、出身の中学校にも連れて行ってもらった。卒業名簿に名前があったときは、タイムトンネルでさかのぼったようで感動した。
著者の吉井さんは関西本部に何度も観戦記で来られていたので、余計に懐かしい本である。今は技術本が多くなったが、やはり「読み物としての将棋本」も見たいなあと思う。