「リトル・ミス・サンシャイン」

アリゾナに住む小太りの眼鏡少女フーヴァー・オリーヴのもとに、カリフォルニアで行われる「リトル・ミス・サンシャイン」のコンテスト本選に、繰り上げ参加が決定したという連絡がはいった。
独自の成功論「９ステップ理論」を唱える不成功者の父親。
空軍のパイロットになるために願をかけて無言を貫く家族嫌いで引きこもりの兄。
過激な発言を連発するヘロイン中毒でエロジジイの祖父。
恋人（男性）を奪われた失意から自殺未遂を引き起こして妹であるオリーヴの母親に引き取られてきた伯父。
そしてバラバラで問題だらけの家族を懸命につなぎとめている母親。
オリーヴのコンテスト出場を目指して、家族全員でオンボロレンタカーのミニバスに乗り込み、陸路カリフォルニアの会場ホテルを目指してひた走る。

この物語の主な登場人物には、いわゆる「勝ち組」はいない。
だいたい、コンテストの地方予選で２位でありながら繰り上げ当選したオリーヴは、ぽってりとお腹が出た典型的な幼児体型で、全国大会で勝てる見通しは全くない。
しかも、本選で披露した“得意技”で見せる祖父仕込みのダンスは、とんでもないシロモノ。
大混乱を来したコンテスト会場。
しかし、彼女のダンスに立ち上がって喝采を送る観客が出た。
そして会場の音響担当者も、彼女の健闘に拍手を送った、が…

何も解決されないし、誰も幸せにならない。
ただ一つ、家族の絆は結び直された。
それでエエのんと違う？
全ての人が「アメリカン・ドリーム」を掴むわけは無いのだから。

随所に笑いが散りばめられた、無名の役者達が繰り広げる、ごく平凡な“はず”の家族が繰り広げるロードムービーの佳作。


「リトル・ミス・サンシャイン」
2006年／アメリカ　　監督：ジョナサン・デイトン＆ヴァレリー・ファリス
出演：グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル