相次ぐ家族間の遺体切断殺人 兄が妹を、妻が夫を(朝日新聞) - goo ニュース
歯科医一家における兄による妹のバラバラ殺人に、妻による夫のバラバラ殺人。
立て続けにバラバラ殺人事件の容疑者として、親族が逮捕された。
以下、記事を引用する。
親子や夫婦、兄弟・姉妹間といった1~2親等間の殺人事件や傷害事件をみると、ここ10年間で増加傾向にあるという。
夫婦(内縁関係を含む)間の殺人は4割増の218件、傷害は4倍余の1342件。
兄弟・姉妹間の殺人も50件で3割増、傷害は3.3倍の256件に上っている。
美術評論家の布施英利氏は、「家族なのに」ではなく、「家族だから」と考える。
身近な人の死を人間はすぐに受容できない。
従って死を受け入れるための儀式として葬式を開く。
「今回はその儀式が異常な形で現れたのではないか」というのが氏の意見である。
二つの事件がともに経済的に恵まれた家族内で起きた点に注目するのは、京都女子大・井上真理子教授(犯罪社会学)。
「社会全般では離婚率が高まっているが、豊かな家庭では家族のまとまりを維持しようという傾向が今も強い。その分、家を出たり、別れたりしないまま様々な問題を内側に抱え込んでしまう」
二つの事件は、それが遺体切断という極端な行為に表れてしまった例とみている。
斎藤学・家族機能研究所代表(精神医学)は、なぜ遺体切断にまで至ったかは量りかねるという。
「現代は忙しすぎて生きた人間との交流が二の次になっている。自らの衝動を統制する能力や、相手に共感する能力が欠落してきているのかもしれない」
とする。
前述の、親族間での犯罪増加の一因は、家族間のトラブルでも被害を警察に届け出るように社会意識が変化した結果だと警察庁はみている。
ただ、傷害の増え方が急なうえ、殺人のように以前から家庭内では隠せなかった事件も増えている。
「単に意識の変容だけでは説明がつかない。家族間の人間関係の悪化がうかがえる」(同庁幹部)
なんだろう。
「人を殺す」という行為が、いとも軽く扱われるようになっている背景とは?
特に、親族に向けられる強烈な殺意は何に根付いたものなんだろう??
識者がいろいろ解釈を述べ、警察庁が見解を示しているが、どれも回答のようではあるが正解とも思えないし、どれも正解かもしれない。
それぞれの事件が内包していた問題は異なるのであり、統計学的にはある程度の傾向が出るかもしれないが、「これが正解」などということはないだろう。
前述の斎藤氏の見解に近いが、相手に対する共感というものが、世間一般的にどんどん希薄になってきていやしないか?
「人を殺す」という行為自体に相手との共感は無いが、そんな行為に至るまでもない日常生活の中で、相手がどう感じるか、どう思うか、という視点が欠落している人が増えているのではないだろうか。
特に、「こんなことをしたら相手は悲しむだろう」とか、「こんなことをしたら相手は苦しむだろう」といった、自分の行為が相手に迷惑を及ぼすのではないかという懸念の発想ができない人が増えているように感じるのは、気のせいだろうか?
そしてそれが肉親の場合、より憎しみが深くなるのかもしれない。
親やのに、兄貴やのに、妹やのに、なんで自分のことを分かってくれないのか!?
近親憎悪という言葉があるが、日々憎悪が積もり、最後に尋常ではない爆発の仕方をするということだろうか。
相手が肉親である場合に限らず、自分に対して相手が気遣っていないのに、自分が相手に対して気遣いなんかできるかよ!という言い分があるだろう。
しかし、この“言い分の連鎖”には際限は無く、どこまで行っても改善はない。
なら、自分の発想を変えてみるべきだ。
自分は、相手に対して気遣いができる人間になりたい、と考えれば、先の“言い分の連鎖”に歯止めがかかる。
連鎖に歯止めがかかれば、必ずや事態は好転し始めるはずだ。
グレて荒れて、学校ではどうしようもないと見放された中学生に対して「魔法の呪文」を授けた人がいた。
その呪文とは、「ありがとう」という言葉。
だまされたつもりで、とにかく日常のあらゆるシーンで使ってみたその中学生が、呪文を授けた人に笑顔で言った。
「ほんまに、魔法の呪文やったわ!」
初めて呪文を使ったとき、まず相手の表情が変わった。
次に生まれて初めて誉められた。
そして、他人が自分の話を聞いてくれるようになり、コミュニケーションが変わってきた。
すると、グレていた自分の行動にも変化が現れ、その変化がまた周りの好意を集めることになった。
好意が注がれれば、それに応えようとまた行動が変わっていく…
相手に変わることを求め続けるのではなく、自分が変わることで事態を好転させることができるという発想は、現世を住みやすくする対策の一つになるはずだ。
こんなご時世、まずは肉親に対して実践することから始めていけば、世の中が楽しくなってくるのではないだろうか。