1985年・ボストン郊外。
いじめられっこにも相手にされない独りぼっちの少年ジョンは、クリスマスに両親からプレゼントしてもらったテディベアに「テッド」と名前を付けて、何でも話せる“友達”として大切にしていた。
テッドの胸を押すと、
「I love you!」
としゃべるものの、会話ができるわけではなく、寂しいジョンは星に願いをかける。
「テッドが本当にしゃべってくれたらいいのに…」
翌朝ジョンが目覚めると、奇跡が起こった。
テッドがジョンに向かって話しかけてきたのだ!
「ボクをハグして♪」
大喜びのジョンはテッドをハグしておおはしゃぎ♪
喜び勇んで両親に紹介するとビックリ仰天して大騒ぎ!
ジョンはテッドの尋ねた。
「本当の友達になってくれるの?」
「ずっと君のベストフレンドだよ、ジョン。」
こうして本当の友情が生まれたジョンとテッドは、片時も離れずに仲良く一緒に暮らすこととなった。
奇跡から27年。
35歳になったジョン(マーク・ウォールバーグ)は、レンタカー・ショップの店員として働きながら、相変わらずテッド(声:セス・マクファーレン監督)と仲良く暮らしている。
子供のころから一緒に熱中してきた「フラッシュ・ゴードン」のDVDを観て大はしゃぎする瞬間は、いつまでも飽きない至福の時。
そんな冴えない中年オヤジとなっているジョンだが、仕事のできるナイスバディで美人のカノジョがいた。
4年越しの交際となる恋人のロリー(ミラ・クニス)は適齢期。
しびれを切らしたようにジョンに結婚を迫った。
大喜びのジョンは即座にOKだが、ロリーから結婚に向けて条件を出される。
「テッドに出て行ってもらって。」
酒は飲むわ、マリファナを吸うわ、コールガールを家に呼ぶわ、勤務中でもジョンを遊びに誘うわと、いつまでも子供の頃そのままのノリでやりたい放題のテッドと一緒にいる限り、ジョンはダメになるとロリーは考えているのだ(当たり前だ!)。
板ばさみになったジョンも、こんな素晴らしい彼女がいることの奇跡は認識しており、悩んだ末にテッドと話し合い、二人は別々に暮らすことにする。
テッドはスーパーの店員に就職して独立した。
カノジョまで作ってヨロシクやってるのだが、相変わらずジョンを誘うことは止まらない。
ジョンも、ついつい誘いに乗っては仕事をサボってテッドのもとへ駆けつける始末。
そしてある日、ロリーとデートの最中にも関わらず、テッドから“モウレツに魅力的なパーティー”の誘いを受けると、誘惑を抑えきれずに駆けつけてしまう。
時を忘れて乱痴気パーティーに興じた挙句、とうとうデートをすっぽかしてしまったジョンに、ロリーの堪忍袋の緒はついに断裂!
ショックのあまりにジョンは、テッドとも大乱闘の大喧嘩を繰り広げて関係断絶!
3人の行く末やいかに………!?
命が宿ったテディベアと、彼を親友として育ってきた大人になりきれない中年男が繰り広げる、ファンタジック・コメディ。
しゃべるテディベアとして一世を風靡したテッドは、やがて人々に飽きられて“表舞台”から姿を消すというシチュエーションは、子役として大当たりしたものの、その後は家庭崩壊に巻き込まれ、ドラッグに溺れてしまった元俳優のよう(誰とは言わないが)。
それでもテッドのことを覚えている人々からはサインを頼まれたり、握手を求められたりと声をかけられる様が、妙に生々しくて愉快♪
下ネタ連発で下品な会話で盛り上がるテッドとジョンの姿は、男なら誰でも、共感はともかく「そういうことはあるものだ」と理解できるだろう。
昔からの親友と一緒にいると、昔と変わらず実にくっだらない馬鹿話に興じてしまうというのは、洋の東西を問わず。
万国共通のことであるのだと再認識した。
得てして外国製のコメディは、本国ではバカ受けして劇場が爆笑の渦に包まれ、大評判を引っ提げて日本に上陸しても、さほど日本人にはウケなかったりするが、「テッド」には当てはまらない。
そもそも、モコモコで見た目のかわいいテディベアのぬいぐるみが、マリファナをキメながら下ネタ連発のエロオヤジ化している様を見るだけで笑えてしまう♪
そしてテッドとジョンの二人を追うストーリーは、普遍的な男の馬鹿さ加減を笑いにしているので、我々の心の中にもすんなり入ってきて素直に爆笑できるのである。
また、どうしようもなくだらしない二人を見守る才色兼備のロリーは、物語のスパイスとして絶妙の存在感を示す。
ジョンが大人になりきれずにいるのは、確かにテッドとの悪ふざけを続けているからではあるが、それはテッドとジョンを引き離すだけで解決する問題ではない。
ジョン自身が社会の現実と向き合い、自分自身と真正面から向き合って、己を理解して受け止めない限り脱皮できないのである。
一心同体だったテッドと無理やり距離を置こうとして、かえってアイデンティティを見失いそうになるだけだ。
ロリーが、そんな二人の関係性を理解できたことで新たな未来が開けていくクライマックスがgood!
カノジョが、カレシの中にいる「子供」を許せるようになり、カレシ自身も自分の中にいる「子供」を認識して制御できるようになったとき、そのカップルは盤石の絆に結ばれるのである(はず)。
テッドがしゃべり出したことと、ロリーという完ぺきな彼女ができたこと。
ジョンは二つの奇跡を獲得してきたが、そこに人生のパートナーとなるロリーが3つめの奇跡を生み出すラストシーンは味わい深い。
大笑いさせてホロリと泣かせて、最後にはシヤワセなキモチになって心が温まる“米国製松竹新喜劇”。
美女相手にハードに腰を振り、マリファナにむせてエロネタをしゃべりまくるテディベアは確かに「R15指定」やむなしだが、キチンと理解すれば大人への階段をキチンと登るためのヒントになる、青少年にもお勧めのファンタジー・コメディの快作!
「テッド」
2012年/アメリカ 監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン
いじめられっこにも相手にされない独りぼっちの少年ジョンは、クリスマスに両親からプレゼントしてもらったテディベアに「テッド」と名前を付けて、何でも話せる“友達”として大切にしていた。
テッドの胸を押すと、
「I love you!」
としゃべるものの、会話ができるわけではなく、寂しいジョンは星に願いをかける。
「テッドが本当にしゃべってくれたらいいのに…」
翌朝ジョンが目覚めると、奇跡が起こった。
テッドがジョンに向かって話しかけてきたのだ!
「ボクをハグして♪」
大喜びのジョンはテッドをハグしておおはしゃぎ♪
喜び勇んで両親に紹介するとビックリ仰天して大騒ぎ!
ジョンはテッドの尋ねた。
「本当の友達になってくれるの?」
「ずっと君のベストフレンドだよ、ジョン。」
こうして本当の友情が生まれたジョンとテッドは、片時も離れずに仲良く一緒に暮らすこととなった。
奇跡から27年。
35歳になったジョン(マーク・ウォールバーグ)は、レンタカー・ショップの店員として働きながら、相変わらずテッド(声:セス・マクファーレン監督)と仲良く暮らしている。
子供のころから一緒に熱中してきた「フラッシュ・ゴードン」のDVDを観て大はしゃぎする瞬間は、いつまでも飽きない至福の時。
そんな冴えない中年オヤジとなっているジョンだが、仕事のできるナイスバディで美人のカノジョがいた。
4年越しの交際となる恋人のロリー(ミラ・クニス)は適齢期。
しびれを切らしたようにジョンに結婚を迫った。
大喜びのジョンは即座にOKだが、ロリーから結婚に向けて条件を出される。
「テッドに出て行ってもらって。」
酒は飲むわ、マリファナを吸うわ、コールガールを家に呼ぶわ、勤務中でもジョンを遊びに誘うわと、いつまでも子供の頃そのままのノリでやりたい放題のテッドと一緒にいる限り、ジョンはダメになるとロリーは考えているのだ(当たり前だ!)。
板ばさみになったジョンも、こんな素晴らしい彼女がいることの奇跡は認識しており、悩んだ末にテッドと話し合い、二人は別々に暮らすことにする。
テッドはスーパーの店員に就職して独立した。
カノジョまで作ってヨロシクやってるのだが、相変わらずジョンを誘うことは止まらない。
ジョンも、ついつい誘いに乗っては仕事をサボってテッドのもとへ駆けつける始末。
そしてある日、ロリーとデートの最中にも関わらず、テッドから“モウレツに魅力的なパーティー”の誘いを受けると、誘惑を抑えきれずに駆けつけてしまう。
時を忘れて乱痴気パーティーに興じた挙句、とうとうデートをすっぽかしてしまったジョンに、ロリーの堪忍袋の緒はついに断裂!
ショックのあまりにジョンは、テッドとも大乱闘の大喧嘩を繰り広げて関係断絶!
3人の行く末やいかに………!?
命が宿ったテディベアと、彼を親友として育ってきた大人になりきれない中年男が繰り広げる、ファンタジック・コメディ。
しゃべるテディベアとして一世を風靡したテッドは、やがて人々に飽きられて“表舞台”から姿を消すというシチュエーションは、子役として大当たりしたものの、その後は家庭崩壊に巻き込まれ、ドラッグに溺れてしまった元俳優のよう(誰とは言わないが)。
それでもテッドのことを覚えている人々からはサインを頼まれたり、握手を求められたりと声をかけられる様が、妙に生々しくて愉快♪
下ネタ連発で下品な会話で盛り上がるテッドとジョンの姿は、男なら誰でも、共感はともかく「そういうことはあるものだ」と理解できるだろう。
昔からの親友と一緒にいると、昔と変わらず実にくっだらない馬鹿話に興じてしまうというのは、洋の東西を問わず。
万国共通のことであるのだと再認識した。
得てして外国製のコメディは、本国ではバカ受けして劇場が爆笑の渦に包まれ、大評判を引っ提げて日本に上陸しても、さほど日本人にはウケなかったりするが、「テッド」には当てはまらない。
そもそも、モコモコで見た目のかわいいテディベアのぬいぐるみが、マリファナをキメながら下ネタ連発のエロオヤジ化している様を見るだけで笑えてしまう♪
そしてテッドとジョンの二人を追うストーリーは、普遍的な男の馬鹿さ加減を笑いにしているので、我々の心の中にもすんなり入ってきて素直に爆笑できるのである。
また、どうしようもなくだらしない二人を見守る才色兼備のロリーは、物語のスパイスとして絶妙の存在感を示す。
ジョンが大人になりきれずにいるのは、確かにテッドとの悪ふざけを続けているからではあるが、それはテッドとジョンを引き離すだけで解決する問題ではない。
ジョン自身が社会の現実と向き合い、自分自身と真正面から向き合って、己を理解して受け止めない限り脱皮できないのである。
一心同体だったテッドと無理やり距離を置こうとして、かえってアイデンティティを見失いそうになるだけだ。
ロリーが、そんな二人の関係性を理解できたことで新たな未来が開けていくクライマックスがgood!
カノジョが、カレシの中にいる「子供」を許せるようになり、カレシ自身も自分の中にいる「子供」を認識して制御できるようになったとき、そのカップルは盤石の絆に結ばれるのである(はず)。
テッドがしゃべり出したことと、ロリーという完ぺきな彼女ができたこと。
ジョンは二つの奇跡を獲得してきたが、そこに人生のパートナーとなるロリーが3つめの奇跡を生み出すラストシーンは味わい深い。
大笑いさせてホロリと泣かせて、最後にはシヤワセなキモチになって心が温まる“米国製松竹新喜劇”。
美女相手にハードに腰を振り、マリファナにむせてエロネタをしゃべりまくるテディベアは確かに「R15指定」やむなしだが、キチンと理解すれば大人への階段をキチンと登るためのヒントになる、青少年にもお勧めのファンタジー・コメディの快作!
「テッド」
2012年/アメリカ 監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン