大島でペンションを営む松生春二(阿部寛)。
最愛の妻である艶が病に侵され、昏睡状態に陥っていた。
艶の自由奔放な不貞に悩まされ続けてきた春二は、死ぬ間際となった妻に対して包丁を振り上げるが、やはり振り下ろすことはできない。
艶を失うことに耐えられない彼がとった行動は、かつて艶と関係を持った男達に彼女の危篤を伝えることだった。
艶にとって“いわく付き”の従兄弟である作家の石田行彦(羽場裕一)、艶の愛人だったかもしれない男、艶の最初の夫(岸谷五朗)。
“艶と関係のあった男”のうち、愛人だったかもしれない男は自殺していたが、その他の男たちは同じ大島に住む艶がストーカーをしていた男である優(永山絢斗)も含めて誰も見舞いに来ない。
しかし連絡を受けたそれぞれの男の妻や恋人たちは、いきなり現れた艶という女性の存在にとまどい、動きだす。
行彦の妻・環希(小泉今日子)、艶の愛人だったかもしれない男の妻・橋川サキ子(風吹ジュン)、そして艶の最初の夫の愛人・橋本湊(野波麻帆)は動揺する。
艶がストーカーをしていた男の恋人・百々子(真木よう子)は、一途に艶を愛し続けて後を追う春二の姿に、艶を羨ましく思いながら、自分の相手に対する愛情が揺らぎだす。
艶のために父親に捨てられた娘・山田麻千子(忽那汐里)と、春二の前妻であり麻千子の母親である山田早千子(大竹しのぶ)は、春二が住む大島へとやってくる。
春二の行動に反応して動き出すのは、艶と関係を持った男達ではなく、その男達の関係者である女性たち。
それぞれが、自身の抱く愛について見つめ直していく。
奔放に生きた艶は、自分に関係した男とその周囲の人間を、嵐のように振り回していく。
中でも、最も振り回されたのは春二だったが、彼だけが最後まで彼女から離れることはなかった。
ストーカーとなって男の後を追う艶を見守りながら追いかける姿に、真っ直ぐに艶に向けられた一途な思いの激しさが伝わってくる。
大きく波打った褶曲の崖の前を、鬼気迫る表情で自転車で疾走する春二の姿が印象的。
あの地層を風景にした時点で、本作の八割は完成したのではなかろうか。
艶という奔放な愛の中で生きた女性が、昏睡状態に陥ってなお、愛の渦に周囲の人間を巻き込んでいく。
しかし、本当に愛に振り回されるのは男ばかりで、女性の愛はどっしりと大地に根を張った大木のように強い。
大学生の娘も、そんな強い愛情に目覚めていく。
「愛」というものに対して強さを発揮する女性と対等にわたりあえる男はそうそういない。
唯一人春二のみが強靭な愛を持つ存在であり、ギラギラ光る眼がその強さを湛えている。
激しい愛情が様々に交錯する、愛の嵐を描いた大人のラブ・ストーリー。
「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」
2012年/日本 監督:行定勲
出演:阿部寛、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶ、羽場裕一、荻野目慶子、岸谷五朗、渡辺いっけい、永山絢斗、奥田瑛二、田畑智子
最愛の妻である艶が病に侵され、昏睡状態に陥っていた。
艶の自由奔放な不貞に悩まされ続けてきた春二は、死ぬ間際となった妻に対して包丁を振り上げるが、やはり振り下ろすことはできない。
艶を失うことに耐えられない彼がとった行動は、かつて艶と関係を持った男達に彼女の危篤を伝えることだった。
艶にとって“いわく付き”の従兄弟である作家の石田行彦(羽場裕一)、艶の愛人だったかもしれない男、艶の最初の夫(岸谷五朗)。
“艶と関係のあった男”のうち、愛人だったかもしれない男は自殺していたが、その他の男たちは同じ大島に住む艶がストーカーをしていた男である優(永山絢斗)も含めて誰も見舞いに来ない。
しかし連絡を受けたそれぞれの男の妻や恋人たちは、いきなり現れた艶という女性の存在にとまどい、動きだす。
行彦の妻・環希(小泉今日子)、艶の愛人だったかもしれない男の妻・橋川サキ子(風吹ジュン)、そして艶の最初の夫の愛人・橋本湊(野波麻帆)は動揺する。
艶がストーカーをしていた男の恋人・百々子(真木よう子)は、一途に艶を愛し続けて後を追う春二の姿に、艶を羨ましく思いながら、自分の相手に対する愛情が揺らぎだす。
艶のために父親に捨てられた娘・山田麻千子(忽那汐里)と、春二の前妻であり麻千子の母親である山田早千子(大竹しのぶ)は、春二が住む大島へとやってくる。
春二の行動に反応して動き出すのは、艶と関係を持った男達ではなく、その男達の関係者である女性たち。
それぞれが、自身の抱く愛について見つめ直していく。
奔放に生きた艶は、自分に関係した男とその周囲の人間を、嵐のように振り回していく。
中でも、最も振り回されたのは春二だったが、彼だけが最後まで彼女から離れることはなかった。
ストーカーとなって男の後を追う艶を見守りながら追いかける姿に、真っ直ぐに艶に向けられた一途な思いの激しさが伝わってくる。
大きく波打った褶曲の崖の前を、鬼気迫る表情で自転車で疾走する春二の姿が印象的。
あの地層を風景にした時点で、本作の八割は完成したのではなかろうか。
艶という奔放な愛の中で生きた女性が、昏睡状態に陥ってなお、愛の渦に周囲の人間を巻き込んでいく。
しかし、本当に愛に振り回されるのは男ばかりで、女性の愛はどっしりと大地に根を張った大木のように強い。
大学生の娘も、そんな強い愛情に目覚めていく。
「愛」というものに対して強さを発揮する女性と対等にわたりあえる男はそうそういない。
唯一人春二のみが強靭な愛を持つ存在であり、ギラギラ光る眼がその強さを湛えている。
激しい愛情が様々に交錯する、愛の嵐を描いた大人のラブ・ストーリー。
「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」
2012年/日本 監督:行定勲
出演:阿部寛、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶ、羽場裕一、荻野目慶子、岸谷五朗、渡辺いっけい、永山絢斗、奥田瑛二、田畑智子