コーヒーは幻覚を引き起こす?(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース
カフェインの摂り過ぎが人体に精神的な影響を及ぼす話は、以前から耳にしたことはあった。
中南米の古代文明においては、巫女や神官にあたる人たちがカカオからカフェインを大量摂取し、いわゆる“神懸り”の状態になって神事を執り行ったとかいう話も聞いた覚えがある。
好きで飲むだけでなく、眠気覚ましや予防にコーヒーを飲んだりするが、カフェインが人体に影響を及ぼすことは紛れもない事実だろうが、嗜好品としてなくてはならないものだ。
そんなコーヒーについて、昨年ショッキングな映画を観た。
コーヒー豆を世界中に輸出するエチオピアだが、この国のコーヒー農家は未曾有の困窮に瀕していた。
彼らは、子供に教育の機会を与えられないばかりか、餓死させてしまうほどに貧しい。
そんな苦境に喘ぐ農民たちの生活を少しでも向上させようと、精力的に活動するオロミア州コーヒー農協連合会代表のタデッセ・メスケラ。
孤軍奮闘する彼を追ううちに、コーヒーが生産者から消費者にたどりつくまでの長い道のりが見えてくる。
親から受け継いだコーヒー畑を、丹精込めて手入れするエチオピアの人々。
しかし彼らは、消費国でコーヒー1杯がいくらするのかを知らない。
世界的な相場がわからない彼らは、収穫期にやって来る買い取り業者に、法外に安い値で豆を渡してしまう。
さらに国際コーヒー協会の破綻により、01~03年の価格は過去30年間で最低のレベルにまで暴落。
コーヒーが主産業のエチオピアは飢餓状態に陥る。
やせ細り、幽鬼の如く生気を失ったコーヒー農家の子供たち。
一方、消費国でコーヒーにまつわる仕事をしている人々の笑顔。
両者の間をカメラが何度も行き来し、“天国”と“地獄”を浮き彫りにする。
スクリーンに映し出されるのは、これもひとつの、グローバル化という名のオブラードに包まれたアングロ・サクソンお得意の搾取世界ではないだろうか。
「Winner Takes All」をベースとした、自分たちの欲望のためなら他はどうなろうと知ったことではない。
この大バカ理念には、人間として最も基本的な発想が欠けている。
金八先生ではないが、人は一人では生きていけない。
今は我が世の春であったとしても、搾取して疲弊させた世界は、回りまわって自分たちに影響を及ぼすことに思いが至らないのは、人間として下の下だ。
そんな連中に荷担し、追随する日本のエセ・セレブと政治屋が仕切ってきた日本は今…
スターバックスが偽善に見えてくる、良質のドキュメンタリー。
「
おいしいコーヒーの真実」
2006年/イギリス・アメリカ 監督・プロデューサー:マーク・フランシス、ニック・フランシス
出演:タデッセ・メスケラ