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キャパ・イン・ラブ・アンド・ウォー [DVD] |
クリエーター情報なし | |
レントラックジャパン |
誰でも一度は聞いた事がある名前、ロバート・キャパ
中学の頃だか?姉の本棚の中にキャパの『ちょっとピンぼけ』があって、
読んではないけど、キャパって言う名前が珍しくて、あと、『崩れ落ちる兵士』の写真がやたらと映画のワンシーンみたいで、ちっとも現実味を感じなかったことが、キャパの第一印象だった。
表紙のセルフポートレイトもなんだか伊達男って感じで・・。
で、昨日、ヒストリーチャンネルでこのドキュメンタリーをやっててね、
確かにギャンブルと女性が好きで、ひとなつっこくていい男なんだけど、
左翼運動を疑われて故国ハンガリーを追われ、ナチスの台頭によりドイツ、パリと逃れて
自身のテーマ『ファシズムとの戦い』をもとに精力的に紛争地取材にのめりこんでいく。
実際の戦場の悲惨さと報道とのギャップに苦悩したり、一時は映画界に身の置き所を求めてみたり・・・その笑顔の裏には、あきらめや悲哀があったのだと思うと、今更ながら、その人となりに惹かれるものがあるのです。
伝えなければいけないという責任感と、自分の居場所が戦場しかないと思ってしまったのか?
戦場カメラマンは引退って思いながらも、オファーがあるからって、行っちゃって、地雷踏んじゃって・・・
もっと他の生き方もあったろうに・・・
20代前半の写真を始めたばかりの作品は、同じものを撮っているのに、アンリ・カルティエ・ブレッソン、デヴィッド・シーモアのそれよりも、より活力のある作品に見える。
別に戦争でなくても、充分に偉大なフォトグラファーなのに・・・。
なんだか同じ時代を生きたわけではないけど、ある種の喪失感を感じてしまって、ちょっと寂しくなっちゃったわ。
そしてなにより驚いたのは、あの『プライベート・ライアン』でも壮絶な冒頭のオマハビーチのシーンは実はキャパの写真を出来るだけ忠実に映像化したものだったってこと・・・
壮絶な・・と言う以上はなんとも形容しがたいシーンなんだけど、そこでのカメラマンはやっぱキャパ一人だったんだって。
兵士でさえ恐れる場所に第一陣でカメラマンとして突っ込んで行く・・・もう、凄すぎる!
そして、その命がけのフィルムを、あろうことか、受け取ったスタッフが興奮のあまり、暗室作業中に誤って大部分のネガを駄目にしてしまったんだって・・・・
逆に、残った全ての写真を『ライフ』は掲載したとか・・・世に出るべくして、出た作品なんだと納得しよう・・・。
没後60年近くたって、今更ながら、『伝説のフォトグラファー』の偉大さを知った作品でした。