京阪神の大手私鉄JR西日本が7~9月、地下やトンネルでも携帯電話が通じる区間を相次いで発表した。未整備区間は、あとどれぐらい残っているのか――。

 携帯が通じるようになれば、電車内でメールの送受信やインターネットのサイトの閲覧ができるようになる。ただし、鉄道会社は「車内での通話はご遠慮下さい。混雑時は、優先座席付近で電源をお切り下さい」などと呼びかけている。

 近畿日本鉄道は、9月30日から奈良線全線で通じるようになった。同社は「今後も利用エリアを順次拡大する」とPRしており、けいはんな線は、2017年秋から全線で利用可能になる予定。ただし、大阪線、鳥羽線、志摩線、吉野線の一部は、整備のめどがたっていない。

 ログイン前の続き阪神電鉄は8月28日までに、梅田―野田間の整備を完了。未整備区間は、岩屋―元町間のみとなったが、この区間も、来年秋ごろには整備を終える見通し。

 阪急電鉄は、大半が地上を走行しており、未整備なのは、京都線で地下を通る河原町―西院間だけだ。

 南海電鉄は、すべて地上を走るため、担当者は「あえて整備した所はない」と話す。長いトンネルはあるが、「電波が入るかどうかは把握していない」。ただし、「特に利用者からの苦情はない」という。

 JR西は7月31日から、東西線の京橋―尼崎間と、大和路線のJR難波―今宮間の2区間で携帯が通じるようになった。17年度末までに、琵琶湖線の京都―大津間と、宝塚線の生瀬―道場間も整備する予定。京阪神の支社を束ねる近畿統括本部によると、湖西線、山陰線、大和路線阪和線の一部も未整備だ。

 大阪市営地下鉄(14年3月~)、京都市営地下鉄(15年3月~)、京阪電鉄(15年4月~)は、すでに全線で携帯が通じる。神戸市営地下鉄は、駅構内や地上では通じるが、未整備区間が8割近くを占めており、15年度中の工事完了をめざすという。

 携帯が通じない区間については「使えるようにしてほしいとの要望が継続的にある」(JR西の担当者)。鉄道各社の要望を踏まえ、整備区間や順番を決めているのは、携帯各社などで構成される公益社団法人「移動通信基盤整備協会」(東京)で、費用は携帯電話会社が負担しているという。ある私鉄は「関西は京都、大阪、神戸の順番で整備している」とこぼすが、同協会は「利用者数や工事の調整のしやすさで判断している。特定の鉄道会社を優先することはない」と否定している。