ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

JR富良野線、このまま廃止?

2018年07月05日 | 美瑛・富良野
刺激的な見出しですみません。

ご存知のように、富良野線はJR北海道の廃止対象路線です。
そう遠くない何年後かに廃止される可能性が高い鉄路です。

早ければ5年10年以内、持って15年?
過去の全国のJR路線廃止の傾向から、富良野線もきっと例外ではないでしょう。

まさか。

観光客たくさん乗っているし、ありえないよ。

いやいや旭川から美瑛までは大丈夫なんだわ!

そんな根拠の薄い、かつ楽観的な意見も多く聞かれますが、全国的に見て、いったん廃止方針になった路線が一転存続になることは、大規模な宅地開発などで周辺人口が増加に転じた稀有な例を除いては、あり得ないというのが重い現実です。

20年後の人口が5000人を下回ることが確実視されている美瑛町に、奇跡を期待するのは酷な気がします。辛うじて期待できる観光客も2020年以降は一気に減少に転じることが明白ですし、実際に廃止になっても観光客は都市間バスを利用しますから影響は限定的でしょう。実際にニュージーランドは網の目のような鉄道網が一斉に廃止になったあとそうなりました。

全国的に見ても、富良野線沿線の何倍も人口が多い地域路線もいったんリストに上がったなら容赦なく廃止されていきますし、特急列車が走っているのに廃止になった路線さえ複数あります。
JR北海道が何かと比較したがるJR四国でさえも沿線人口は比較にならないほど多く、それでも廃止される区間があります。帯広、富良野に相当する市を沿線にもつ路線でさえ廃止されて第3セクターになっています。本州の鉄路廃止の嵐は、北海道とは比較できないほど容赦のないものです。

様々な事情への考慮を願い白紙撤回を求めたいところですが、それでも富良野線が廃止リストから外される可能性は極めて低そうです。

JR北海道の経営を鑑み、将来的にJR東日本との統合を目指すのであれば顕著な赤字路線の整理は止むを得ないのかもしれません。そうしないとJR東日本の株主が統合を承諾するはずはありません。現実は極めて厳しいのです。
それに、全国平均に照らし合わせば、むしろ今までよく頑張ってくださったJR北海道さん!ありがとう!と言うべきかとさえ思います。

富良野線廃止かも!の衝撃的ニュースが駆け巡って以来、美瑛町では不動産の売り物件が急に増えたような気がします。特に駅近物件はJR富良野線が廃止されてしまってからは無価値になってしまうという恐れから、今のうちに高く売れるなら売ってしまおうというベクトルが働いたことに疑いを挟み込む余地はありません。むしろ自然なことだと思います。無事売却に成功した人を責めるべきではありません。

いや、何故いきなりこんなことを書いたのかと言うと、

JR北海道、富良野線。
3日間、不通
なのです。

雨が降り続き、
今日で3日目。

大雨のため運行見合わせ。

列車、きません!
線路、薄っすら錆びてます!

美馬牛に20年住んでいますが、3日間も不通だなんて、こんなことは初めてです。
以前は、どんな猛烈な吹雪の夜でも力強く雪煙を巻き上げながら疾走していた富良野線。

こんなことができる鉄道は
日本中でJR北海道だけ!

JR北海道、スゲー!

悪天候をモノともしない力強さ、マジですごいと思うのです。
数センチの積雪でパニックになっちゃう軟弱な(失礼)都会の鉄道とは比べ物にならないですよ。ハァハァ…(力みすぎました)

何かと批判されてばかりのJR北海道ですが、ほんとは凄いぞJR北海道!

しかし、
廃止対象路線であることが発表されてから、富良野線は急に「運行見合わせ」が増えました。
もちろん、安全最優先ということなのですが、それにしても…増えたな。というのが偽らざる実感です。

ここで思いあたるのは、

おととし夏の終わりの台風。
南富良野町や新得町が大きな被害を受け、その区間のJRも被害を受けて不通になりました。今も「運休」のままです。
その区間は富良野線と同じリストに載った対象路線でした。その後、修復されずに廃止されることが、ほぼ決定されます。

こうして、
富良野−新得間は、前触れもなく「その日」が来てしまったのです。

日高線も似たような経緯です。
学園都市線、留萌線とJR北海道は赤字路線廃止を急ピッチで加速させています。

だから、富良野線にもいつか、前触れなくいきなり「その日」が来るのかもしれません。

大雨により、
富良野線、不通3日目。

ふと、そんなことを思ってしまったのでした。

月日が流れて私たちも年老い、車の運転が困難になったとき、暮らしはどうなってしまうのかな…。
鉄道の大切さをあらためて感じた3日間でした。

静まり返った美馬牛駅

降り続いた雨も、ようやくあがり、空は明るさを取り戻しつつあります。

明日、列車は来るかな?

美馬牛駅には7月には珍しく、涼しい北風が吹いています。

明日はからりと晴れるといいますから、久しぶりに気持ちのいい一日になりそうな気がします。

きっと一番列車は来ますよ。