ダニーデン ー バルクルーサ
オタゴ地方 ー サウスランド
ダニーデンの街は、険しい。
もともと、ダニーデンとは、ゲール語からきている。
ここは、スコットランド人が拓いた町だ。
素人解釈だけど、
Dun=砦
Edin=現在のエディンバラ
つまり、スコットランドのエディンバラ城を指すとみていいかと思う。
いや単に、南のエディンバラという意味かもしれない。
いやもう、名前の通りで、街が城砦なのだ。
すり鉢のような地形になっていて、
町の中心部が底になっていて、僅かに平坦。
あとは移動するには、坂、坂、坂。
町中に、スキー場の中級斜面みたいな急坂が四方に立ち塞がり、人々は何食わぬ顔をして坂を行ったり来たりしている。
中世の山城か、ダニーデン。
要塞のなかにいるみたいだ。
三方を険峻な山で囲まれ、東側は海が開く。
その立地、
まるで要害の地、鎌倉ではないか。
入るときもその「険峻な」山を北から越えてきたが、
出るときもまた「険峻な」山を南へと越えて行かなければならない。
ルートはふたつある。
街の中心の「オクタゴン」から西上して標高350mの山を越えて隣町モスギルに抜ける山越えルート、
もうひとつは、
国道1号をひたすら追っていくルート。
距離か短くて早いのは前者の山越えルート。
坂が少ないのは後者の国道1号線沿いとなる。
以前、山越えルートを進んだことがあるけど、フル装備の自転車では結構きつい。ただし確かに早かった。
ダニーデンの国道1号は自動車専用道路なので、
迂回路を進むことになる。
迂回路は概ね「メイン サウスロード」という「旧道」からなり、分かりやすい。
また、ちゃんと案内看板がある。
国道1号と、自転車用案内看板。
自転車に優しい。
南に向かう人用、分かりやすい。
北へ、ダニーデンに向かう人用はこちら
この通りに進めばいいので非常に助かるのだ。
まあ、しかしながら。
山越えルートは標高350mの山を越えると書いたが、
こちらの道も標高120mを2回、数十mを1回、登ったり下ったりするから、実はあまり変わらなかったりする。
しかも、街中を突っ切るので信号待ちや車も多いから時間がかかる。
18キロ進むのに1時間半掛かってしまった。
隣町モスギルから先は一転して平野のように穏やかになる。45km先のミルトンまでずっと快適なサイクリングだ。
まるで釧路湿原。
北海道好きにはたまらない。
美しい風景が続く。
だからと言って、観光地じゃない。
途中の湖。
トイレ休憩に立ち寄ったのだが、このあと中国人団体客に巻き込まれてしまった。
このあたりの水辺では、
黒い白鳥を見かける。
黒い白鳥。かつて英語圏では「あり得ないこと」を意味したそうだ。(ロンリープラネットから引用)
黒い白鳥はオーストラリアのパースにもいた。初期の開拓者はきっと面食らっただろう。
いつの間にか、南緯46度を越えていた。
「吠える40度」に突入だ。
強風注意の看板が立つ。
こんな木があったりする。
やばいぞ!
でも、きょうは穏やか。
しかし、本日最後の10kmは、坂、坂、坂道だ。
「なにか用かね?」
もたもた走っていると、牛が寄ってくるのだ。
バルクルーサの町が見えてきた。
ここからは、最南端地方「サウスランド」に入る。
サウスランド地方は天気が安定せず、曇りや雨、強風が吹く日が多い。
「吠える40度」の真っ只中にいるのだから、仕方ない。
あとは運しかない。
風まかせで行こう。