立教大学で行われた、公開講演会「トールキンとゲルマン神話」に行ってきました。
ツイートで流れて来て気になったものの、常に睡眠不足気味なので座学は寝てしまうかも…という心配もあって、お誘いいただかなかったら行かなかったと思います。ありがとうございます。
この公開講座は、ボン大学、ソウル大学、立教大学の交流で、院生向けの講義のためにジーメク教授が来日したのにあたり、一般にも公開して講演会を開いてくださったということだそうです。(もっとちゃんとメモ取ってればよかった…うろ覚えなので違っていたらすみません)
ドイツ語での講義に通訳が入るもので、スクリーンの資料もすべてドイツ語でほとんどわかなかったのが残念でしたが、内容はとても面白かったです。全然眠くならなかった(笑)
講演の内容をまとめるなどと大それたことはしませんが(汗)興味深かった内容について、覚書ついでに書いておきたいと思います。
冒頭の話でさらっと言っていましたが、エルフは中世以降に生まれたものなので、今回のゲルマン神話の中には出てこないと。言われてみれば確かに神話の中にエルフが出て来るの見たことないですね。エルフは神話の中の存在というよりは、民間伝承のようなものですよね。
そのエルフを自らの創作の中でトールキンが重要視したのはなぜなのか、なんて気になってしまいました。時間があれば質問してみたかったですね。
ちなみにこの説明のためだけにわざわざ映画の画像を使っていてちょっと笑いました。
エッダの中のドワーフたちの名前が出てくるあたりを朗々と詠唱されていたのが迫力があってさすが、でした。
また、質疑でも質問が多く出たのが、オーディンの性質がガンダルフ、サルマン、サウロンにそれぞれ現れているという話でした。
特に注目を集めたのが、サルマンの中にある要素、異国(アマン)からやってきた、という設定でした。オーディンがアジアから来た、という説があるのだそうです。
これについて質問が後で出ましたが、中世ヨーロッパではアジア(と言ってもせいぜいトゥルヤ=トルコ)から移ってきた、という概念はごく普通にあったそうです。なるほど、民族大移動の記憶がこんなところに現れているのですね。
サウロンについては、オーディンにルシフェル(ルシファー)の要素が入っているとのことでした。ルシフェルもまた中世以降に現れた存在ですが。
(どちらかというとサウロンよりモルゴスがモロにルシファーですけど…)
そして、最後にトロールの話が結構長かったのですが、これも面白かったです。
もともとトロールは「人間より小さい」ものだったのだとか。トールキンは巨人として描いていますよね。このトロール=巨人という概念、トールキン特有なのか、他にもそういう発想はあったのか、ちょっと気になりました。(これも時間があったら質問したかった)
20世紀半ば以降、欧州ではトロールが「不細工で滑稽な存在」に変化して行ったそうです。子ども向けの物語に出てくることが多かったためではないか、とのこと。とにかくトールキンの描いたトロルとはかなり違うものになっていますね。ファンタジーの世界ではトールキンの「大きくて危険なトロル」が基本になっているのが面白いところです。(危険な、という部分については、もともと中世では人間を食べる野蛮な存在だったところを引き継いでいるのかなと思いましたが)
質疑で面白かったもの。トールキンはイギリスの神話を作りたかったと言っているけれど、イギリスというよりは欧州の神話を使って書いているのでは?という質問に、「私もそれは疑っている。95%はスカンジナビアの神話だと思う」と答えていたのは笑えました(^^;)
あとは、オーディンの要素がガンダルフ、サルマン、サウロンにあるというお話だけれど、ラダガストは?という質問には「考えたことなかったけどラダガストにもオーディンの要素はあると思います」と。ラダガストにはあんまり興味ないんですねジーメク先生…(^^;)
(通訳の先生がラダガスト知らなくて、伝言ゲームみたいになっていたのが面白かったです(笑)
というわけで、短い時間でしたが、とても面白い講演でした。
ツイートで流れて来て気になったものの、常に睡眠不足気味なので座学は寝てしまうかも…という心配もあって、お誘いいただかなかったら行かなかったと思います。ありがとうございます。
この公開講座は、ボン大学、ソウル大学、立教大学の交流で、院生向けの講義のためにジーメク教授が来日したのにあたり、一般にも公開して講演会を開いてくださったということだそうです。(もっとちゃんとメモ取ってればよかった…うろ覚えなので違っていたらすみません)
ドイツ語での講義に通訳が入るもので、スクリーンの資料もすべてドイツ語でほとんどわかなかったのが残念でしたが、内容はとても面白かったです。全然眠くならなかった(笑)
講演の内容をまとめるなどと大それたことはしませんが(汗)興味深かった内容について、覚書ついでに書いておきたいと思います。
冒頭の話でさらっと言っていましたが、エルフは中世以降に生まれたものなので、今回のゲルマン神話の中には出てこないと。言われてみれば確かに神話の中にエルフが出て来るの見たことないですね。エルフは神話の中の存在というよりは、民間伝承のようなものですよね。
そのエルフを自らの創作の中でトールキンが重要視したのはなぜなのか、なんて気になってしまいました。時間があれば質問してみたかったですね。
ちなみにこの説明のためだけにわざわざ映画の画像を使っていてちょっと笑いました。
エッダの中のドワーフたちの名前が出てくるあたりを朗々と詠唱されていたのが迫力があってさすが、でした。
また、質疑でも質問が多く出たのが、オーディンの性質がガンダルフ、サルマン、サウロンにそれぞれ現れているという話でした。
特に注目を集めたのが、サルマンの中にある要素、異国(アマン)からやってきた、という設定でした。オーディンがアジアから来た、という説があるのだそうです。
これについて質問が後で出ましたが、中世ヨーロッパではアジア(と言ってもせいぜいトゥルヤ=トルコ)から移ってきた、という概念はごく普通にあったそうです。なるほど、民族大移動の記憶がこんなところに現れているのですね。
サウロンについては、オーディンにルシフェル(ルシファー)の要素が入っているとのことでした。ルシフェルもまた中世以降に現れた存在ですが。
(どちらかというとサウロンよりモルゴスがモロにルシファーですけど…)
そして、最後にトロールの話が結構長かったのですが、これも面白かったです。
もともとトロールは「人間より小さい」ものだったのだとか。トールキンは巨人として描いていますよね。このトロール=巨人という概念、トールキン特有なのか、他にもそういう発想はあったのか、ちょっと気になりました。(これも時間があったら質問したかった)
20世紀半ば以降、欧州ではトロールが「不細工で滑稽な存在」に変化して行ったそうです。子ども向けの物語に出てくることが多かったためではないか、とのこと。とにかくトールキンの描いたトロルとはかなり違うものになっていますね。ファンタジーの世界ではトールキンの「大きくて危険なトロル」が基本になっているのが面白いところです。(危険な、という部分については、もともと中世では人間を食べる野蛮な存在だったところを引き継いでいるのかなと思いましたが)
質疑で面白かったもの。トールキンはイギリスの神話を作りたかったと言っているけれど、イギリスというよりは欧州の神話を使って書いているのでは?という質問に、「私もそれは疑っている。95%はスカンジナビアの神話だと思う」と答えていたのは笑えました(^^;)
あとは、オーディンの要素がガンダルフ、サルマン、サウロンにあるというお話だけれど、ラダガストは?という質問には「考えたことなかったけどラダガストにもオーディンの要素はあると思います」と。ラダガストにはあんまり興味ないんですねジーメク先生…(^^;)
(通訳の先生がラダガスト知らなくて、伝言ゲームみたいになっていたのが面白かったです(笑)
というわけで、短い時間でしたが、とても面白い講演でした。