色々と物議をかもしている問題作?(らしい)を観てきました。単に上野樹里ちゃんが友情出演で出ているというだけで行ったんですけど。出番少ないのはわかってたんですが、バーのママって珍しい役どころなんで、どんなんか観たくて・・・
映画カテゴリの記事書くたびに、これから観に行く映画でタイトル書いてあったせいか、まだ観に行かないうちから検索ワードの上位5位以内に入ってまして、世間の関心は高いんだなあと。(まあ、トップの「20世紀少年 トモダチの正体」には適いませんけどね~。すいませんねえ、トモダチの正体書いてなくて・・・)
小学生の妊娠・出産というちょっとびっくりな題材が物議をかもしているわけですが・・・
以前、「14歳の母」を放映していた頃、同じ職場のローティーンのお嬢さんがいるお母さんが、あんな番組とんでもないと怒っていたのを思い出します。ああいうのに憧れられても困る、と言ってましたね。
私はあのドラマは観てなかったので何とも言えないのですが、こういう題材には、逆に性教育的な意義もあるんじゃないかな、とも思うんですけどね。
最近の少女マンガって、「好きになったらHするのが当然」みたいな風潮になっていて、こういうのをローティーンとか小学生の子も読んでるんだよな・・・と思うと、ちょっと考えちゃうんですよね。
やることやったら子供できちゃうんだよ、子供できたら大変なんだよ、ということを教えるには、逆にこういう話にも意義があるかな、なんて思わなくもないんですが。
まあ、実際に年頃のお子さんがいたら、そんなことは言ってられないのかもしれませんが・・・
そして、単に10代の妊娠をセンセーショナルに描いて視聴率を上げたいとか、そういう目的で作ってるとしたら、やっぱり感心はできないですけど。「14歳の母」がどうだったのかは、見てないので何とも言えませんが。
で、この映画を観たわけですが。
結論から言うと、かなり真面目に作っているなあ、と思いました。センセーショナルな描き方をして話題を呼ぼうとか、そういう作品ではないですね。
ただ、原作が書かれたいきさつは、聞くところによると(というか以前TBされていた記事によると)雑誌の編集部から「小学生が妊娠する話を書いて欲しい」と言われて書いた話らしく、そのきっかけはどうかなあ、という感じではありますが。
でも、きっかけはどうあれ、その題材をどう描くか考えて、かなり真面目に作った話なのかな、とは思いました。
リアリティに欠けるところは結構あるんですけど。子供たちだけの出産シーンはちょっとあり得ないなあ・・・産婦人科の息子だからってあんなことできるか? ってちょっとご都合主義かなあ。
あの赤ちゃん人形もちょっと・・・(汗)
生まれた後も授乳とか全然してないし。
あと、あんなにお腹大きくなってるのに大人が誰も気がつかないのもなあ。妊娠してると思わなくても、どこか悪いんじゃないかって気がつきそうなものですが・・・
妊娠するきっかけもちょっとリアリティはなさすぎだなあ。
とまあ、無理なところは多々あったんですが、全体的にはよくできていたんじゃないかなあと思いました。
一番よく描けていたなあ、と思うのは、子供の視点ですね。「うざい」「みんな死ねだし」なんて口にする、何かをもてあまして気だるい日々を生きている子供たちの世界が。
そんな子供たちを理解できない大人たちの描き方も上手かったと思います。
優等生のいい子の学級委員の美香にすら、「大人に知られてはいけない」と思わせるような。実際、春菜の出産が知られた後の大人たちの悲しいまでに惨い反応を見ると、大人の世界から自分たちの子供の世界を守ろうとした彼らの判断は正しかったのかな、とすら思えました。(ま、この話の中では、ですけど・・・)
性教育の授業は「エロい」出産は「グロい」なんて言っていた子供たちが、春菜の妊娠をきっかけに、命が生まれるということを真剣に考えるようになるのは、なかなか感動的な変化でした。
それも、大人には知らせずに自分たちで守ろうと決めたからこそで・・・リアリティはないかもしれないけれど、大人が介在しないことで、子供たちが子供の世界の中で、自分たち自身で命について考えることになった、というのは、それなりに説得力があったと思いました。
結局、八木先生が性教育の授業で教えたかったことを、子供たち自身で学んだ、ということになったわけで・・・ラスト近く、子供たちに出産の様子を授業で話させて心を動かされていた八木先生の姿もよかったですね。
春菜の姉の友達の朋子の、高校生の妊娠と中絶、というエピソードも効いていたと思います。
朋子の場合と対比した時に、春菜が子供だからこその純粋さ、というものが浮き彫りになったと思います。
未成年とはいえ、高校生ともなると、子供ができたら大変、中絶するしかない、という、世間を気にするというか、ある意味大人と同じような判断をすることになるのでしょう。
春菜は子供だから、それも年齢相応・・・というよりむしろ少し幼いくらいで、「小学生が子供を生むなんて大変」という世間体よりも、「お腹の中にいるのは命なんだ」ということを純粋に感じることができたのではないかと思います。
東京に引っ越すヒロユキを、自分たちは子供を生むことができなかった朋子と彼氏が見送る場面も印象的でした。
でもまあ、やはりリアリティには欠けるし、一応はハッピーエンドになっていたけれど、やっぱり何か間違ってるよ、とは思いましたが・・・
小学生は、子供を生めても、やはり「親」にはなれないですよね。精神的にも、経済的にも。そんな状態で子供を生むことは、やっぱり違うよなあと。
まあ、リアリティがないことで、かえって現実にはあり得ない話なんだよ、という前提のもとで、性教育的に子供に見せるのにはいい作品なのではないかと思ったんですけど・・・どうでしょう?
あ、上野樹里ちゃんのスナックのママですが、出番はわずかながら、なかなか珍しい演技が観られてよかったです。
随分若いママだなーという感じではありますが・・・気だるい、どこか変わった雰囲気はなかなか独特で、さすがだなあ、と思いました。
しかし、この映画ではほとんど誰も東北弁喋ってなかったのに、樹里ちゃんだけ思いっきりなまってた・・・スウィング・ガールズ仕込みの東北弁? でもそれだと山形弁のはずだけど・・・(この映画の舞台は秋田)
そういえば、あのスナックのシーンよくわからなかったんだけど・・・スニーカーが12万円って、朋子が中絶しちゃったんだよ、という意味なのか? あのあと春菜は号泣していたけれど・・・
というわけで今年見た映画の順位。
1.
イースタン・プロミス / 2.
ミラクル7号 / 3.
宮廷画家ゴヤは見た / 4.
マイ・ブルーベリー・ナイツ / 5.
グーグーだって猫である / 6.
西の魔女が死んだ / 7.
ナルニア国物語第二章 カスピアン王子の角笛 / 8.
スウィーニー・トッド / 9.
転々 / 10.
TOKYO! / 11.コドモのコドモ / 12.
コレラの時代の愛 / 13.
エリザベス ゴールデン・エイジ / 14.
あぁ、結婚生活 / 15.
ライラの冒険 黄金の羅針盤 / 16.
奈緒子 / 17.
L Change the World / 18.
クリストファー・リーとフランク・ザッパのこわがることをおぼえようと旅に出た男 / 19.
ティム・バートンのアラジンと魔法のランプ / 20.
スターウォーズ クローンウォーズ / 21.
デトロイト・メタル・シティ / 22.
20世紀少年 / 23.
マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 / 24.
カンフーくん / 25.
フランシス・フォード・コッポラのリップ・ヴァン・ウィンクル / 26.
ポストマン / 27.
ミック・ジャガーのナイチンゲール
11位か16位かで悩んだんですが・・・そのうち順位変えるかも。
あと、これから観に行く映画のリスト。
公開中 「崖の上のポニョ」「パコと魔法の絵本」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス ディズニーデジタル3D」「僕らのミライへ逆回転」「落下の王国」
10月18日公開 「夢のまにまに」
10月25日公開 「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」「ブーリン家の姉妹」
11月1日公開 「レッドクリフ」
12月公開 「アラトリステ」
またちょっと増えちゃった・・・なんで今年はこんなに見たい映画多いのかなあ。