![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/aa/f27cb2277a426cecceeb1387151f89be.jpg)
![](http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=astableofthef-22&l=ur2&o=9)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/98/40df56f76a7a1c6ec0a8050b1d91cbb0.jpg)
![](http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=astableofthef-22&l=ur2&o=9)
えー、また映画関連読書です。と言っても「プライドと偏見」を見たわけではありません。この間シアトルに行った時の機内でJane Austin Book Club(邦題は「ジェーン・オースティンの読書会」になったようですね)を観たのがきっかけです。
映画の中で、ジェーン・オースティンの6作品を6人が一つずつ担当して毎月読書会をやるのですが、その読書会で、6人がそれぞれ、自分の今の状況を作中の登場人物に託して主張しているのが面白いなあ、と思ったのでした。
まあ、ラストのまとめ方とかは「ふーん」という感じでしたけど・・・
その読書会のメンバーの中にジェーン・オースティンを全く読んだことのなかったSF好きの青年が入っていて、思いを寄せる年上の女性(マリア・ぺロ)に自分の好きなSFを読んで欲しい(=自分を理解して欲しい)と、ル=グィンを勧めるのですが、彼女は「SFは現実の世界の話じゃないから読まない」と全く読もうとしない、という場面があります。(ル=グィンというチョイスがまた上手いなーと思いましたね)
それに対して、青年は「僕だってジェーン・オースティンは単なる恋愛小説(違う言い方だったと思うけど忘れてました・・・)だと思ってたけど読んでみた」と反論し、「でも読んでみたら違ったでしょう?」と言われて肯定するんですね。
それを観ていて、実はジェーン・オースティン全く読んだことなかった私、確かにその青年と同じような先入観があったので、「実は読んでみたら面白いのかも?」と、読んでみる気になったのでした。
で、とりあえず一番有名な「高慢と偏見」を読んでみることにしました。BBCの「イギリス人に最も読まれた小説」で「指輪物語」に次ぐ2位、というのも気になっていたので。これを読めば、あとは「黄金の羅針盤」シリーズを読めばベスト5制覇だし(笑)
時代もなかなか古い話だし、果たしてどうなんだろう・・・と読み始めてみましたが、なるほどベスト2なだけありますね~。すごく読みやすかったです。
しかも、なんだか少女マンガみたいなところもあり・・・(笑)それも、続きが気になってついついよみふけってしまうタイプの(笑)ハッピーエンドになるのは目に見えてるんですがつい読んでしまう・・・なるほど、ベスト2だけあるなあ、と思いました(笑)
あらすじだけ聞いたら、どこが面白いんだか、と思う内容なんですが・・・書き方が上手いんでしょうね、やはり。
そして、先が気になる展開もまあ読ませるんですが、それだけでなく、人物描写が上手いというか、よく人間観察してるなー、というところが独特の面白さだなあ、と思いました。
愚かな人たちを容赦なく愚かに描写するあたり、ハリポタも思い起こさせましたが、この作品を読んでいて、ああ、こういうのってイギリス人らしいユーモアなんだなあ、と思い当たりました。イギリス人てこういうの好きなんですかね。「指輪」でもサックビル=バギンズ一家を徹底的に馬鹿にして書いているところがありますし。(でも最後にはロベリアがカッコイイところ見せますけどね)
オースティンが描く「愚かな人たち」は、「いるいる、こんな人」という鋭い人物観察に基いて、活き活きと描かれていると思いました。ビングリーの妹たちの、結構意地悪なんだけど、相手に優しくしようと思ったら、ほんとうに優しい気持ちにもなってきて・・・というあたり、今でもいるよなあ、こういう女性、と面白かったです。このあたり女性ならではの観察ですよね。
中でもキャサリン夫人のキャラクターが圧巻というか。なんだか次第にかわいくすら思えて来てしまって、終盤に再登場した時にはちょっと嬉しくなってしまいました(笑)
映画ではジュディ・デンチがやってたそうで・・・なんか観たくなりました(笑)
あと、主人公の友達のシャーロットが、恋愛結婚には期待していないで、これはチャンス、と収入が安定している変人のコリンズ氏とさっさと結婚してしまう、という件もなんか面白かったです。シャーロット大人だなあと・・・。シャーロットの結婚に怒りまくっているエリザベスの小娘感というか未熟さが浮き彫りになった感じで、それも面白かったです。
主人公のエリザベスは、これは完全に作者の分身なんだろうなあ、と思いましたが、主人公でありながら、周囲の人物たちの観察にも怠りなく、時に第三者のような観察眼を見せているのが、面白いなあと思いました。ポンポン痛烈な言葉を繰り出す頭の回転の速さも面白いし。
中盤、ダーシーへの気持ちが揺らぎ始めるあたりからは、ちょっと大人しくなってしまってつまらなかったのですが、めでたしめでたしになってからはまた毒舌が復活していたのでちょっと嬉しかったです(笑)
ダーシーも、大人しくなっちゃったらつまらなかったですね。最初の方の、エリザベスと言い合いしてるころの方が面白かった。
話の筋は、伏線を上手く張ってあってはあるのですが、エリザベスとダーシー偶然に再会しすぎだろ・・・とか色々あるのですが、キャサリン夫人が思惑とは逆に二人の仲立ちをしてしまうところなど、まあ上手くできてるなあとは思いました。
でもやっぱり話の筋だけ聞いたら、特に読みたいとは思わないでしょう。やっぱり書き方が上手いんだなあ。
全体としては、話の世界が非常に狭く、スケールも小さいのは否めませんが・・・
今から200年前の話だからとは言え、やはり男と女は根本的に世界観が違うのか・・・と思わされてしまいますね。トールキンの「アルダリオンとエレンディス」の話を思い出すというか・・・
まあ、スケールが大きければ良いというものでもないし、小さい世界でも活き活きと描けていれば文学的価値はあると思いますが。でもやっぱり私もトーマス・マンとかの方が好きかな・・・(汗)
それでも、今よりもはるかに女性の自由が少なかった時代に(「ミス・ポター」の時代よりも更に6~70年前の話ですよね)、自由が少ないながら、限られた世界の中なりに、意外に女性たちが楽しく生きていたのだな、という様子が活き活きと描かれているのが、やはり女性にしか描けないものだよなあ、と思いました。貴重な文学作品でもあるなあと思います。
訳者あとがきを読んでいて、因襲的な道徳観とか、情熱がないことなどが欠点として挙げられているらしいですが、まあたしかに道徳観なんかは真面目すぎて興ざめなところもありましたけど、「情熱がない」というのはむしろ読みやすかったんですけどね。「情熱的」だったらちょっとひいてたと思う・・・
エリザベスがダーシーに告白する?場面なんかも、地の文でさらっと書かれていたのが、なかなかいいんじゃないの、と思いましたし。エリザベスが心惑わされながらも、周囲を観察したり分析したりする心を忘れていないのも、情熱が足りないとすれば物足りないのかもしれませんが、私は逆に読みやすかったし、面白かったのですが。
・・・でも、「ジェーン・オースティンの読書会」の読書会のメンバーたちのように、オースティン大好き、とまで思う気持ちまでにはなれませんでしたけど・・・(汗)
というわけで結構面白かったので、他の作品も読んでみようかな。
「ジェーン・オースティンの読書会」、もう一度見たいと思うほどの映画ではありませんが、映画の中に出てくる作品を読んでから観たら、「ああ、あのことを言ってたのか」なんてわかって面白いかもなあ。
「プライドと偏見」もちょっと見てみたなくなりました。キーラ・ナイトレイのエリザベスはぴったり、という感じ。ジュディ・デンチのキャサリン夫人も見たいし(笑)
ジェーン役のロザムンド・パイクって、DOOMでカール・アーバンの全く似てない双子の妹やってた人では・・・カール・アーバンと全く似てなかったって印象しか残ってないけど(汗)
コリン・ファースがダーシーでテレビドラマもあったようですね。アンナ・チャンスラーの名前がキャストにあったけど、もしかしてジェーン役・・・?