今日、2月17日は、我が愛するピアニスト、セロニアス・モンクの命日であります。
このブログでも、モンクのアルバムをずいぶんと紹介してきました。
モンクに対する評価というか、好みは、私のまわりを見渡すかぎり特に極端であるようなきがします。かくゆう私は「とことん好き」という部類でしょうか。
ソロで奏でる、風変わりでありながら、何とも柔らかい音、
個性をとやかく言われがちなモンクですが、サイドメンに対する細部までの気遣い、
かくも優しさに満ちたジャズメンはいないと、私は思っています。
ニューポート・ジャズ・フェス、ストリービルなどで知られる、ジョージ・ウィーンは、1971年に、自己のグループの維持が難しくなりつつあったジャズの大御所、ディジー・ガレスピー、ソニー・スティット、カイ・ウィンディング、セロニアス・モンク、アル・マッキボン、アート・ブレーキーを集め、「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」というグループに仕立あげ、ヨーロッパや日本へツアーに出掛けました。(日本には、ソニー・スティットが入国できず、松本英彦が代役を務めました)
このグループが、ロンドンへやってきたときです。ブラック・ライオンのプロデューサーだったアラン・ベイツが
「モンクさん、モンクさん、ガレスピーのとっさぁんはほっといて、あなたのリーダー作をレコーディングしてみませんか?」みたいな話を持ちかけました。
こうしてレコーディングされたのが、今日の一枚であります。
1972年の「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」2度目のツアーのあと、鬱病と診断されたモンクの精神の病がますます悪化、人前にはほとんど姿を現さなくなります。
1973年以降、生涯最大の理解者ニカ夫人が所有していた、ウィーホーケンの館の最上階で愛妻ネリーと共に日々を過ごしたモンク。
以降、レコーディングはもちろんしていませんし、ステージも75年7月のフィルハーモニック・ホールへの出演、76年7月のカーネギー・ホールへの出演、だけてはないかと思います。
ほとんど、家に閉じこもるようになり、友人達が電話で何を言っても、こたえは「No」というだけだったそうです。
そして、1982年2月17日、脳出血で64年の生涯に幕を閉じました。
ブログ仲間の swing a-go-goさんは、葬儀が行われた教会に、実際に行かれたそうであります。
さて、前記のように、今日の一枚は、第1回「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」ツアーの最中、ロンドンでレコーディングされたものです。
スタジオに早々とやってきたモンク、ピアノの前に座ると、1人で黙々と弾き始めました。
「CHORDIALLY」から始まったソロ演奏は3時間近く続き、そこへウォッカを手にしたブレーキーと水を持ったマッキボンがやってきます。
その後、3時間はモンクを前面に押し出した、トリオでのレコーディングが行われました。これが、モンクの最後のレコーディングです。
私が所有するのは、CD3枚組のボックスですが、Vol.1からVol.3までの一枚単位のもの、それにCD2枚組のものも出ていますので、参考までに。
THE LONDON COLLECTION / THELONIOUS MONK
1971年11月15日録音 *ソロ **トリオ
THELONIOUS MONK(p) AL McKIBBON(b) ART BLAKEY(ds)
DISC1
*1 TRINKLE TRINKLE (Take 3)
*2 CREPUSCULE WITH NELIE (Take 2)
*3 DAM THAT DREAM
*4 LITTLE ROUTIE TOOTIE
*5 MEET ME TONIGHT IN DREAMLAND
*6 NICE WORK IF YOU CAN GET IT
*7 MY MELANCHOLY BABY
*8 JACKIEING
*9 LOVERMAN
*10 BLUE SPHERE
DISC 2
**1 EVIDENCE(Take 2)
**2 MISTERIOSO
**3 CREPUSCULE WITH NELLIE(Take 4)
**4 I MEAN YOU
**5 CRISS CROSS
**6 RUDY MY DEAR
**7 NUTTY (Take 2)
**8 HACKENSACK (Take 2)
DISC 3
*1 TRINKLE TRINKLE (Take 2)
*2 THE MAN I LOVE
*3 SOMETHING IN BLUE
*4 INTROSPECTION (Take 1)
*5 TRINKLE TRINKLE (Take 1)
**6 CREPUSCULE WITH NELLIE (Take 3)
**7 NUTTY (Take 1)
**8 INTROSPECTION (Take 3)
**9 HACKENSACK (Take 1)
**10 EVIDENCE (Take 1)
*11 CHORDIALLY
おまけ、
じつに個人的なことですが、私が同棲を始めたのが、ちょうどモンクの亡くなった頃でありました。別にモンクの死に挑発されての行動ではありませんでしたが、半年後に両親に発覚、その年の暮れに結婚しております。
それはともかく、今晩はモンクを偲んで、飲みに行ってまいります。(?)