JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

理論武装は止めましょう

2007年05月22日 | d-f

今日は昨日にも増して良い天気、気温も順調に上がって、いよいよ初夏、いや、夏でしょうか?一部ですでに水不足が心配されている地域もあるとか、なんとか過ごしやすい夏であってほしいものです。

今日は、久しぶりに行きつけの喫茶店でランチをいただきました。すると、若い常連さんTさんが話しかけてきました。
「バブさん、ホームページ見させていただきましたよ。最近、僕もジャズに目覚めてきて、とても参考になりました。」
こう言われれば悪い気はしません。
「ありがとう、最近、更新がおろそかだけどね。」
「それにしても、バブさんは詳しいですよねぇ、どんなふうにすればあんなに詳しくなれるんですか?」

私は、けしてジャズに詳しいとも思っていませんし、何を指して「詳しい詳しくない」を決めるのかよく理解していません。
しいて詳しいと思う方は、多くのそれを聴いている方だと思っています。

「オレなんかぜんぜん詳しいうちに入らないけど、T君、ジャズの歴史だの時代背景だの、ジャズマンの人となりやレーベルの特徴なんてのは、多く聴き込めばおのずと興味が出てくるもので、『まずは聴くべし』これだと思うよ。」
「なるほど」
「音楽聴くのに理論武装が先に立ったってもあんまり意味がないと思うもん。多く聴いて、ライナーノートなんか読んでると、そこそこの事は覚えられるし、それで興味でも出れば、ジャズ研究家でも目指せばいいジャン(笑)、まぁ、それは冗談としても、自然とオレくらいの薄っぺらい知識はすぐに身につくって。それよりも偏見無しにいろんなものを聴くことが一番だって。」

「じゃあ、バブさん、どんなの聴けばいいですかねぇ?」
きた!この質問が私は一番の苦手です。
「いゃあ、それはなんとも言えないなぁ、ただ、聴く機会が無くて、何でもいいから聴いてみたいって言うんだったら、かなり偏ってるけど、家に聴きに来てもいいよ。」
「行きます行きます。日曜日に行ってもいいですか?」
「いいけど・・・・土曜日のほうがいいかなぁ、オレ飯の支度しなくちゃいけないから」
「・・・・・・・・・・!? ともかく、じゃあ土曜日に電話します。」

「貸してあげるよ」と言わないところがミソですね。(笑)

でもね、そんな事言いながらも、少し聴き始めるといろんな本や、メディアを通して、少しでも知りたいと思うのも確かで、私も知らず知らずにいらぬ理論武装に走ったりしたものです。
もし、T君が我が家に遊びに来てくれて、読みたいという本があれば、そちらは喜んで貸してあげることにします。土曜日がちょっと楽しみです。

ところで、今月のNHK「私のこだわり人物伝 マイルス・デイビス」は、皆さんご覧になってます?
まぁ、そのお話は、全ての放送が終わってからにしましょうか。

さて、今日の一枚は、ビル・エバンスです。
このアルバム、エバンスのアルバムでは、えらいマイナーな一枚ですよね。ライナーノートには、エバンス二枚目のリーダーアルバムと記載がありますが、ホブ・ブルックマイヤーとの共演盤と言った方が間違いないように思います。

さぁ、理論武装的なお話ですよ(笑)
私は、このアルバムの録音日にとても興味があります。
1956年3月12日録音といえば、名盤「KIND OF BLUE」二度のセッションの間に録音されたということになります。

「KIND OF BLUE」の第一回目の録音は、1969年3月2日、先にスタジオに入ったエバンスは、ウイントン・ケリーがやって来たことに驚きます。(もちろん、ケリーもですが)
結局は、先に来たエバンスが待たされるかたちで「FREDDIE FREELOADER」がケリーのピアノで録音され、ケリーがスタジオを後にしてから、「SO WHAT」「BLUE IN GREEN」をエバンスのピアノで録音したのでありました。
エバンスは「FREDDIE FREELOADER」にもかなりの自信を持っていたといわれていますが、心中はどんなものだったのか?
そして、二回目の録音、4月22日を迎えるわけです。

一回目の録音を終えて10日後に録音された今日のアルバム、エバンスの心の中はどんな状態だったのでしょう?

そんなことを思いながら聴いてみるのも、一興ではないかなぁ、なんちゃってね。

アルバム的には、エバンスがピアノ共演に挑戦しているという面白味と、バルブ・トロンボーン奏者のブルックマイヤーが、ピアノのみで通しているというところでしょうか。二人のピアノ・タッチの違いがへんに面白くも感じられます。
曲も、誰もが知っているものばかりですので、気軽に楽しめる一枚だとは思いますよ。

IVORY HUNTERS / BILL EVANS
1956年3月12日録音
BILL EVANS, BOB BROOKMEYER(p) PERCY HEATH(b) CONNY KAY(ds)

1.HONEYSUCKLE ROSE
2.AS TIME GOES BY
3.THE WAY YOU LOOK TONIGHT
4.IT COULD HAPPEN TO YOU
5.THE MAN I LOVE
6.I GOT RHYTHM