ソチ五輪個人戦、浅田真央選手の見事な「史上初8トリプル」達成の演技。
これぞ浅田真央というべき、浅田選手の底力と真の実力を見た素晴らしい演技でした。
私は、最初のトリプルアクセル成功の時から、涙が溢れて止まらなくなってしまいました。バンクーバー五輪からのことなどが色々と思い出されて・・・ ラストの渾身のステップ・・・ 演技終了後の彼女の涙を見たときには、もう、言葉に出来ない感動で・・・
まさに、メダルや得点なんかがどうでも良くなってしまうような・・・ 胸を打ち、記憶にずっと残る、そんな最高の演技だったと思います!!
あの難易度、迫力、重厚さ。浅田選手だからこそ出来たプログラム。
旧採点制度時代からフィギュアスケートを見てきた私としては、ソチ五輪・個人戦での、この浅田選手のフリー演技と、羽生選手のショート演技については、一人の観客の個人的な思いとして、勝手に6.0満点評価(最高評価)を差し上げたいです!(何の権威もありませんが。(笑))
女子史上初のトリプルアクセル3回成功という、今回とはまた違った形で歴史に残る記録を打ち立てた「最高に素晴らしい演技」をしたにも関わらず、浅田選手にとっては悪夢の結果に終わったバンクーバー五輪から、4年。
今度こそ、浅田選手には「悔し涙」ではなくて、心の底からの「嬉し涙」を流して欲しかったので、結果的にはそれが実現して良かったです。
浅田選手には、どのような形であれ、本当に本当に幸せになってほしいです。今後の進退も、どうか彼女の納得するままに…
浅田真央選手のフリー演技の時、現場のファンの方々の今までにないほどの大声援が、本当に嬉しくて、どこの誰とも知らない現地応援者の皆様に大いに感謝する思いでしたが、その大声援の観客の中に、やはり、羽生選手や高橋選手もいました。↓
http://www.youtube.com/watch?v=cOww24NKR_g
翌日以降に、日本で放送された番組で、羽生選手が浅田選手の応援で絶叫している様子(音声なし)と、高橋大輔選手が感極まって涙を流して応援している映像が色々な形で何度も流れました。
他の番組では、羽生選手が、浅田選手の演技終了後、立ち上がって拍手し、上を向いて涙を必死で堪えている様子も映りました。
さらに別の番組(荒川静香さんと浅田真央選手の対談)では、深く共感して涙する高橋選手と共に、口元をきゅっと結び、(泣きそうになるのを)ひたすら堪えているかのような辛そうな羽生選手の姿が映されました。
(荒川静香さんが、「この時、必死で耐えたって(羽生選手が)言っていました…」と浅田選手に教えています。 ) ↓
http://www.youtube.com/watch?v=zsmn_Zqk4IQ (4分頃から高橋選手と羽生選手が少し出てきます。)
私は、羽生選手の金メダルに続いて、浅田選手にも出来れば金メダルをとってほしいと切に願っていました。
本来、彼女は金メダルに十分値する選手です。しかし、長年フィギュアを見ていれば解りますが、たとえ実力があっても、そう簡単にはいかないのがこの世界。
昔から採点競技特有の、政治やら諸事情やらが背後に絡むこともあるので、正直、選手本人の努力だけではどうにもならない時もあり・・・
それでも、それらも含めた信じがたい数々の試練を乗り越えて、言い訳一つせず、気丈にひたすら頑張ってきた浅田選手の姿に、女性アスリートとしては最高の強さを見る思いで、今日まできました。
彼女は勝ち負けや得点等の、所詮は相対的でしかない評価の世界ーーーそういうものを超えた、絶対的基準「自分にできる最高の演技」をひたすら追求し続けて、他人に何を言われても、その挑戦を決して止めませんでした。
ただ単に完成度だけを求めるなら、少し難易度を下げて美しくまとめれば良いわけですが、その妥協は彼女から見れば所詮、「誰かに勝つ」ために行うべきことでしかなく、誰かに勝ったか負けたかだけが最後に問われて終わってしまう世界。
それはまた、所詮は人間が操作できてしまう世界、審判の気持ちやさじ加減一つで簡単に変わるようなものだったからこそ、彼女はそれに支配されてしまうのを拒否したのだろうと推測します。
「自分の目指す基準の演技」「自分の納得のいくベスト演技」でのノーミス・パーフェクトを求め、それが自分には出来る可能性を信じて、並々ならぬ努力を続けてきた浅田選手。
こういう点は、羽生選手も共通していますし、本当に賞賛に値すると思いますし、お二人の、一番好きなところです。
また、そういう選手たちの真摯な姿、素晴らしい演技が見られるからこそ、色々思いながらも、私は今でもフィギュアスケートを見ているのだと思います。
羽生選手も、今シーズンは国内・国外含め、歴代最高得点の更新を何度かしましたが、ある程度は喜びつつも、一方で彼は賢いので非常に冷静に、「得点は得点」「得点そのものと、自分の演技の出来については、きちんと分けて考えたい」というような発言を、意図的に、何度か繰り返してきました。
私は、羽生選手が、こういう賢さ・冷静さ・判断力・意志の強さを兼ね備えている人だからこそ、その演技の「抜きん出た凄さ」だけでなく、総合的に見て、「彼こそ、本当にフィギュアスケートの王者となるのにふさわしい」と思ってきましたし、絶対になれるだろうと思ってきました。
オリンピック後に、多くの人の目にも明らかになったように、羽生選手は最初から、「金メダルが最終目標」な人ではなかったです。
まだ、金メダルを手にしていないうちから、「金メダルの遥か先」「金メダルのもたらす意味」「その影響力をどのように使うか」までもを考えてきたほど明確な将来像を持っていたことは、彼の過去の様々な発言から明らかでした。
練習拠点だったスケートリンクを、過去に2度も失うという悲しい思いをしているので、金メダルをとったら、その発言力と影響力、将来もたらされるであろう資金力を使って、何よりもまず、真っ先に貢献したかったであろうことを、羽生選手は即座に実行したように見えました。
スケートを続けるのはお金がかかります。また、そもそもリンクそのものが存在しなければ、挑戦することさえできなくなります。
自分が多くの人に支えてもらえなければ、今こうしてスケートを続けていること自体が不可能だったと、誰よりも良くわかっているからこそ、いつも感謝を忘れないように意識している――その一貫した、真摯な姿勢は今までも文句なしに素敵でした。
参考: リンクを一度失った後、再開して喜んで滑っている、まだ少年時代の羽生選手(12歳)の動画です ↓
遠くのリンクまで通わなければならなかった期間、減ってしまう練習時間や運賃を気にしていたことがその言葉からわかります。
また、大震災で、被災した悲しみや絶望、死の淵に立たされたような恐怖を味わい、その人並みはずれた、優れた感受性ゆえ、普通の人より多く、恐怖や痛みをも感じ取ってしまったかのような羽生選手。(著書「蒼い炎」でのご自身の回想・その他過去のインタビューを参照)
誰かに手を差し伸べてもらえた時の、「救われる」ような有難い思いや、励まされた人たちが見せる笑顔の尊さを、自分自身で沢山体験してきたであろう羽生選手。
参考:(震災後、初めて呼ばれた神戸のアイスショーで、感動してウルウルしている当時の羽生選手の挨拶が見られる動画です。
この番組はなかなか良かったです。8分15秒頃~12分頃までが、震災直後の説明と映像。 ↓ )
だからこそ、「報奨金の被災地への寄付表明」も、「スケートリンクの環境の整備の訴え」も、直ちに行いましたし、行えたのでしょう。
そもそも、まだ世界選手権で銅メダリストになる前の、17歳の時から、自分の本の印税を被災地のスケートリンクに寄付してきた人です。 (著書・「蒼い炎」 の印税は寄付されます )
私は、すごく羽生選手らしい行動だと思いました。
予想通りでしたけれども、これらを19歳で、「実際に」「直ちに」実行するというのは、やはり本当に凄いことです。
ここまで頑張ってきたのだから、少しは自分のため、楽しいことに使ってもいいのではないかとも思いますが・・・
羽生選手にとって一番自分のためになる楽しいことって、今はきっと、スケートで自分の納得できる最高の演技をして、なおかつ圧勝することだったり、新技開発して成功させたり、まだ誰も出来ていない超難易度の技を世界で最初にやって魅せることとか、スケートで魅了し、実績を出して大勢を喜ばすことなんじゃないか…?と思いました。(笑)
意欲満々ですし、本当に心からスケートが好きだという思いや喜びが、羽生選手の演技からは伝わってきます。
日本のスケートの練習環境が整備されるのは、やはり羽生選手の強い願いの一つなのでしょう。
金メダル確定後、やりたいことを聞かれて、「今すぐサルコー(4回転サルコー)の練習がしたい」と答えた羽生選手は、決して転倒しない驚異の4回転ジャンパーであり、絶対王者であり最高のパフォーマーだったプルシェンコさんに憧れ続けてここまできたような人ですから。
羽生選手の行動は、練習環境が重要な、「未来の羽生選手を目指す子供達」には、一番のプレゼントとなったことは間違いありません。少しでも希望を与えられること・・・ それこそが、きっと羽生選手がやりたかったことなのでしょうね。
ところで、ソチの松岡修造さんの番組では、浅田選手の2個目のジャンプ(三回転+三回転)について、羽生選手が解説してくれました。
「コンビネーション(ジャンプ)で、このループの3回転(トリプルループ)を後ろにつけるというのは、すごく難しくて、普通はできない」「何事もなかったかのように、流れがすごくキレイ」、「尊敬してみていました!」等と語ってくれています。 ↓ (一番上の動画と同じです)
http://www.youtube.com/watch?v=cOww24NKR_g (動画後半部分で語っています)
羽生選手、今後もどんどん解説してほしいですね。羽生選手の解説はわかりやすいです!もともと分析力が高いですし。
羽生選手はパッと見は穏やかで冷静だけど、中身は相当な熱血漢ですから、こうして他選手をも全力で応援してくれるのがまた嬉しいですね。
羽生選手が浅田選手を応援していたのと、同じかそれ以上の熱意でもって、今後も羽生選手を応援していきたいと思います・・・!!
全力投球でなおかつ個性的なその演技に、いつも感動をもらい、励まされてきたファンとしては、
その顔も演技も性格もスタイルもやっていることも、五輪金メダリストになる前から、特別に変わっていないはずの羽生選手が、
今後世間やマスコミでどう扱われていこうとも、あるいは、ある日突然、扱いがどう変化しようとも、
スランプに陥ろうが絶好調になろうが、ジャッジの評価がその都度どうなろうが、
変わらず、揺るがず、羽生選手を応援していきたいな…と思わされた、オリンピックからの1ヶ月間でした。
今後日本で、スケートと関係ない分野でマスコミに追い回されすぎて、必要以上に疲れてしまわないことを、切に願っています。