2016年のグランプリ・ファイナルで、羽生選手は、史上初の4連覇を達成しました!
そしてその後に披露して下さったエキシビション、Il volo の歌う「星降る夜~(白鳥より)」(Notte Stellata ~The swan)の演技は、また大変に素晴らしいものでした。
まずは、フランス語解説を、英語に字幕翻訳して下さった動画を。
次にこちらは、この曲を羽生選手にリクエストして下さったタラソワコーチのロシア語解説に、
日本語訳をつけて下さった動画です。
最後にこれが、解説なしの動画です。 静かに、演技によりじっくりと浸れるところが良いですね。
この回は、スケート・カナダの時とも、NHK杯の時とも、ちょっとずつ違っていましたけど、とても素晴らしかったと思います!
まず、前半は非の打ちどころのない素晴らしさ。
特に、冒頭のツイズルの連続回数とその速度の凄さ、見た目の美しさったらないですね。
続く演技も情緒感あふれて、本当に素敵です。
動画3分ごろ、ハイドロの少しあとぐらいまでは文句なしの出来ですが、その後ちょっと疲労がたまっていたかのような様子も一瞬見られたのですが、
3回転アクセルの着氷を、即興で何やら魅惑の振り付けにアレンジしてからは、またもや情感たっぷりに、そのままラストまで、
何も言うことないわ!というくらい、素晴らしい出来です。
ハイドロが、同じハイドロでも、「SEIMEI」の時のような、カッコイイ、キリッとした戦闘イメージとは明らかに全く違っていて、この白鳥では、とても柔らかくて優しさに満ちた感じに表現されており、そこがまた素敵ですし、衣装の袖口についた羽が目立って美しく見える瞬間でもあります。
今回、日本の放送では、羽生選手本人のコメントや、曲をリクエストしたタラソワさんのコメントが流されました。
「会場全体を包み込むような感じで」 やりたいと、羽生選手本人はコメントされていました。
また、日本のテレビの解説者たちによれば、羽生選手は、「何よりも感謝の気持ちを伝えたい」と演技前に話していた、とのことでした。
さらに、「成長した姿を見せたい」 「成長していく自分の姿」 「もっと上を向いて滑っていく、前を向いていく、そんな姿を見せたい」 という思いをもこめて、この演技に臨まれたそうです。
確かに、成長した白鳥だな…と私は強く感じました。
すごく立派になったというか、本当に素敵になったというか。
荒川さんもコメントされていましたけど、繊細さも美しさも強さも、全てを持っている… でも精神的な強さが一番光っている、そういう羽生選手の長所のよく出た、本当に素晴らしい演技だったと思います。
さっきから、素晴らしいばかり書いていますけど、本当にそれしか言えないよ、っていう感じです。(笑)
何も言いたくないというか… あえて何も言葉にしないほうが良いような、そんな素晴らしさがあります。(←また書いてるし。)
この回は、スケート・カナダの時と、NHK杯の時との、それぞれの中間をとったような感じの印象を受けました。
私は、見ている時にふと、「みにくいアヒルの子」のお話を…
つらくて悲しいこともとても多かったけど、必死に乗り越えていくうちに、気が付いたら成長して、立派な美しい白鳥になっていたという、アンデルセンの、あの有名なお話を思い出してしまいました。
私から見ると、羽生選手は最初からずっと、「ビカビカに光る眩しい白鳥の王様の子」みたいな感じでしたので、「みにくいアヒルの子」と言ってしまうと、例えとしては、あまり適切ではない気もするのですけれども…。(笑)
でも、色々なもの、数多くの困難をも乗り越えてきたからこそできる、そんな演技だと感じられましたし、
そうでなくては出来ないだろうと思えるような、表現に深みのある、本当に素晴らしい演技だと思いました。
この「星降る夜」の白鳥演技、私は個人的には、最後のほうにやるトリプル・アクセルの着氷直後が、毎回、ちょっとずつ違っていて、そこがまたとても好きですね。
本当に本来の予定通りに成功したのは、たぶんNHK杯の時だけで、着氷直後にすぐにツイズルをやってくれる、あれがきっと本来の振り付けなのだろうとは思うのです。 あの通りに成功すればもちろん最高とは思うのです。
だけど、スケート・カナダの時も、今回のグランプリ・ファイナルの時も、着氷をやや失敗気味になったがゆえに、そこからうまく即興でアレンジした、美しい謎めいたフォローの仕方が、羽生選手独自の味を出していて、何とも言えず、またとても良かったのです!!
失敗には決して終わらせない羽生選手の意欲的な即興性が、このプログラムを毎回、さらに個性的にしているように思います。
ああいう部分がまた逆に、この曲に合った白鳥らしい独特の味を出しているというか…
何ともいえない、ため息が出る感じというか… 惚れ込む感じというか… つまり、表現しがたいのですが、
とても不思議な魅力を出しています。
ラストの、手の表現が今回は今までと明確に変わっていたのですが、個人的には、この回が今までで一番、希望が感じられた素敵な終わり方だったように思いました。
アップにされたときに映っていた羽生選手の表情も、今までで一番明るく幸せそうに見えましたので、見ていてこちらまで嬉しかったですね。
…4連覇に至るまで、本当に色々なことがありましたものね…
…というわけで、スケートカナダ・NHK杯・グランプリファイナルの時の、どれが一番好きかと問われても、
今のところ私は、
「どれもいいから、選べません。」としか答えられませんね。(笑)
そして、こちらが、フィナーレで見せてくれた、音楽なしの、レッツ・ゴー・クレイジーの演技が入った映像です。
音楽ナシでも、超ノリノリです。(笑) 羽生選手の頭の中できっと曲が流れているのでしょう。
動画の、5分55秒から、フィナーレでの羽生選手の演技を、つけ加えて下さっています。
すごいスピードで動いていましたね。
こちらは、公式練習の時の白鳥の演技です。 現地動画主様より (拝借致します!UP感謝します!)
この時は衣装が練習着ですから、本番の白鳥衣装とはかなり違っているのですが、それでもやはり演技はとても素晴らしいく、本当にため息モノですね。 これはこれで、本当にとても良いです。
この練習の回では、毎回ちょっとずつ違っている、「1回転アクセル」が、今までで一番ふんわりと跳んでいてなおかつ着氷後が流れるように深く上体が沈み込む流線形美を描いていて素晴らしく、またこの動画主様のこの撮影角度が特に良かった影響もあるのか、一番魅惑の白鳥っぽく見えた気がしましたし、優雅さと流れ方がものすごく素敵でした。
(この時の1回転アクセルの跳び方は、前半はオープンアクセルに近く、しかしジャンプの後半、途中から片腕だけを先に完全に横に開ききって、そのまま着氷時に、もう片手を大きく優雅に流れるように動かして独特にアレンジされている形になっています。
NHK杯の時のジャンプ(1回転アクセル)は、織田さんがディレイド・アクセルだと説明していましたけど、確かにジャンプ前半部分はディレイド(=delayed)でしたし、NHK杯の時が一番それに近かったようには思うのですが、昔の日本の解説で説明されていた正しいディレイド・アクセルの定義を思い出すと、そう呼んで良いのかちょっと微妙に私には思え、
このGPFでのジャンプは、明らかにディレイド・アクセルの定義には当てはまっていないと思うので、
毎回ちょっとずつ違う、この羽生選手の「1回転アクセル」の独自・優雅アレンジについては、ディレイド・アクセルやオープン・アクセルの定義を、昔の日本での解説、英語の解説書での定義などから、こちらの独立の別ページでまた詳しく取り上げておきましたので、参考までにどうぞ。)
このGPFの公式練習の回では、ラスト部分が、3回の本番のどの演技ともまた少しずつ違っていたように見えたのですが、これがまた、とても丁寧で優しい雰囲気で、なかなか良かったんですよね…!(笑)
この白鳥演技は、かなり繊細で秀逸な表現が多い分、同じものをどの角度から見るかで、細かい部分の見え方に差が出来て、総合印象がかなり変わってくる可能性があります。 それもまた面白いところなのですが。
そしてこちらが、以前もご紹介しましたが、羽生選手からお礼のお手紙をもらったという、タラソワコーチの喜びのコメントを訳して下さってある動画です。
(動画右下の、一番左の四角いマークをクリックすると、日本語訳が登場します。)
「この曲は、彼にとても合っていると感じたの。」と、タラソワコーチは仰っていますけど、
ええもう、「とても」なんてレベルじゃなく、合っています。(笑)
でも、このイル・ヴォーロの歌は、3人が交互に歌っているのに、見事に調和しているところが、また凄く良いのですよね…!!
(追記: イル・ヴォーロが、NHKの番組で、日本のファンへのメッセージを贈ったのですが、羽生選手とプルシェンコ選手にも言及しておられたので、その部分を抜き出した映像がこちらです。)
…というわけで、
白鳥の演技のみ(アンコールなし)を、スケート・カナダ、NHK杯、グランプリ・ファイナルの時と、それぞれ3つを連続でここに並べてみたいと思います。
全て、解説なし動画にしておきます。
スケート・カナダEX白鳥
NHK杯EX白鳥
グランプリ・ファイナル2016EX白鳥
最後に、グランプリ・ファイナルのショート後と、フリー後の、プレスカンファランス(記者会見)の動画をそれぞれ載せておきます。
GPF2016 ショート終了後の上位3人の、会見インタビュー
GPF2016 フリー終了後の、表彰台に上った3人の、会見インタビュー
4回転アクセルに、意欲を示している羽生選手。
これはもう、羽生選手が昔から言っている夢だから、今さら、特に何も驚くことではありません。(笑)
この言葉を受けて、ネイサン・チェン選手は、5度の4回転に挑むことにますます意欲的になったのではないかと思うのですが…
だから、ネイサン選手に 火をつけて燃やしているのは、他ならぬ羽生選手ですし、ネイサン選手ご本人もこの時点でそう証言しているのですから、それは間違ないでしょう!(笑)
15歳でシニアに上がって以来、様々なトップ選手たちを、それまでになく本気にさせて火をつけてきたのは、他ならぬ羽生選手です。
色々騒がれていますけど、ネイサン選手の才能はアメリカでは以前から有名でしたから、羽生選手は当然よく知っていたと思うし、
昨シーズン、アメリカのジュニアとシニアの両方の世界選手権の代表に選ばれていたくらいですし、(結局、ケガで両方とも欠場となってしまったのですが)、
フィギュアスケート界の中で見れば、自分と似たようなタイプだから、羽生選手はとっくに予想していただろうし、
私が思うに、羽生選手はネイサン選手とは相性が良さそうというか、むしろきっとお互いに好きなタイプなのではないかとさえ思います。
高校2年の時に出した、「蒼い炎」の最初の本で既に、羽生選手はこんなことを言っています。
「もちろん勝負はそんなに簡単に行くものではないです。一度優勝できたとしても、次の年にはきっと、まわりの選手皆が上手くなるはずだから。 それは僕が全日本ジュニアで優勝した次の年に感じました。
上に立つ選手がいれば、追いかける選手たちは、『絶対に超えてやる!』と思う。 そう思われて、そこで僕が停滞でもしようものなら、次の年には100%超えられてしまいます。
世界選手権で優勝、となれば、次の年はかなり気が緩んでしまうとは思う。でも、「優勝をしたのなら、その次は優勝した自分を超えなきゃいけない。そんな戦いを続けることが、僕の理想です。
2018年のオリンピックまでは、そんな戦いをしたい。 勝ったら終わり、じゃない、勝ったらその次がある。
そんな考えを持つのは、やっぱりずっと勝ち続けるからこそ かっこよくて憧れる男、プルシェンコを見てきたからかな。」
羽生選手は、今までもこの通りにやろうとしてきたし、今もそれを実行しているだけですね。(笑)
これだけの好敵手が次々と与えられているのは、そもそも羽生選手が、そういうことを望んだから。
そういう闘いが相応しいと、神様がご判断下さっているからだと私は思うし、それだけ羽生選手が期待できるからでしょうね。(笑)
切磋琢磨できる良き相手として、身体に気を付けて、無理しすぎずに、楽しく頑張ってほしいと思います!