・・・気が付けば丸い世界だった
誰から望まれたわけでもなく
自ら望んだわけでもなく
また 生まれたかどうかもあやしかった
最初からあったかもしれないし
今をもってしてもなかったかもしれない
そこにはあれかこれかと決断する必要性も発想もなかった
二元的なものは何もなかった
誰も自分を見ていなかった
何故なら誰もいなかった
他者という鏡を見ることもなく
自身を知る術もなかった
わかることがわからないことを超えるほど
全てがわかりきっていた
そしてそれは誰にも知られる事無く在り続けていた
闇と光が同じ場所で同時に存在し
肯定と否定が複雑に絡み合ってパラドックスの美しさを奏でていた
全ては一つだった
自分の世界ではなく 世界が自分だった
意志の力は無かったが 意識はあった
近づくと物が大きくなり 遠ざかると物が小さくなる不思議な世界だった
意識を一点に集中すれば 点が己となり
ぼんやりすれば 全てが消えた
知覚できる限りにおいて存在は明白であり
知己がそこいらじゅうを彷徨っていた
気が付けば私は私自身を僕と呼ぶようになっていた
いつから僕と呼び始めたのかはわからない
どこにも区切りは無かったが
名前を付けられたものには
目に見えない境界線が出来始めた
奇妙な枠が開いたり閉じたりし始め
何かを包んだり逃げたりした
僕はその奇妙な枠を最初はぼんやり眺めていたが
いつしか追いかけるようになった
名前を付けられた枠がシステムとなって動きだし
動き出した虫は世界を蝕んでいった
その日から世界は次第に次第に四角く四角くなっていった
(続く限りにおいて続く)
誰から望まれたわけでもなく
自ら望んだわけでもなく
また 生まれたかどうかもあやしかった
最初からあったかもしれないし
今をもってしてもなかったかもしれない
そこにはあれかこれかと決断する必要性も発想もなかった
二元的なものは何もなかった
誰も自分を見ていなかった
何故なら誰もいなかった
他者という鏡を見ることもなく
自身を知る術もなかった
わかることがわからないことを超えるほど
全てがわかりきっていた
そしてそれは誰にも知られる事無く在り続けていた
闇と光が同じ場所で同時に存在し
肯定と否定が複雑に絡み合ってパラドックスの美しさを奏でていた
全ては一つだった
自分の世界ではなく 世界が自分だった
意志の力は無かったが 意識はあった
近づくと物が大きくなり 遠ざかると物が小さくなる不思議な世界だった
意識を一点に集中すれば 点が己となり
ぼんやりすれば 全てが消えた
知覚できる限りにおいて存在は明白であり
知己がそこいらじゅうを彷徨っていた
気が付けば私は私自身を僕と呼ぶようになっていた
いつから僕と呼び始めたのかはわからない
どこにも区切りは無かったが
名前を付けられたものには
目に見えない境界線が出来始めた
奇妙な枠が開いたり閉じたりし始め
何かを包んだり逃げたりした
僕はその奇妙な枠を最初はぼんやり眺めていたが
いつしか追いかけるようになった
名前を付けられた枠がシステムとなって動きだし
動き出した虫は世界を蝕んでいった
その日から世界は次第に次第に四角く四角くなっていった
(続く限りにおいて続く)