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今日も韓国メディアに「通貨スワップ」、いいかげんしつこい

2018-10-04 17:18:58 | 日記
今日も韓国メディアに「通貨スワップ」、いいかげんしつこい

配信日時:2018/10/04 12:15 (最終更新:2018/10/04 13:36) | カテゴリー : 日韓スワップ, 金融

新宿会計士の政治経済評論


いいかげん、しつこい。

そう思ってしまうような記事が、本日、韓国メディアに掲載されています。

米国が利上げに踏み切るなかで、

外貨が韓国国内から流出してしまうという懸念が高まっていることは事実ですが、

そうした状況を日本が助けてやる必要があるのかといわれると、国民感情としても実際の経済合理性としても、

「百害あって一利なし」と言わざるを得ないのが正直なところなのです。
しつこい!日韓通貨スワップ

「いいかげん、しつこいなぁ。」

そう思ってしまう記事が、本日も韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載されているようです。

「韓国、利上げを最大限遅らせて韓米・韓日通貨スワップ締結するべき」(2018年10月04日10時00分付 中央日報日本語版より)

私の記憶だと、韓国では最近、日韓通貨スワップに関する議論がワラワラと出て来ているように思えます。

とくに、今年4月末から5月にかけて、韓国の企画財政部長(※財務大臣に相当)や中央銀行の総裁などが、

「日韓通貨スワップ協定が必要だ」などと相次いで発言したこともあり、韓国メディアにはずいぶんと日韓スワップの話題が出て来ました。

しかし、日本政府側はこうした動きを黙殺。

現在に至るまで、日韓通貨スワップ協定は再開されていないわけですが、こうした状況について、本日の中央日報の記事では


「米国の利上げで新興国からの資本流出に対する危機感が高まっている中で、韓米・韓日通貨スワップで問題を解決するべきだという声が上がっている」(※下線部は引用者による加工)

と述べています。

もちろん、「問題を解決すべきだという声」が上がっているのは、日本国内ではありません。韓国国内です。

中央日報はある韓国の大学教授がラジオ番組で、「米国はもう1度、利上げに踏み切ることが予想され、これに伴い米韓金利差が拡大すれば、韓国から資本が流出する可能性が相当高くなるものと分析される」

と指摘しつつ、


「我々が1997年と2008年に経験した2回の通貨危機は、どれほど恐ろしいものか知っている。

だが、韓国が利上げに踏み切れば実物経済が打撃を受けるが、家計債務が多いため、この打撃も大きくなることが予想される」


と危機感を示したのだそうです(※ただし、引用に当たっては原文の日本語をかなり修正していますで、正確な発言者と発言内容が知りたければ、中央日報の原文をご参照ください)。

そのうえで、この大学教授は、


「韓国の利上げは資本流出動向を綿密にモニタリングしつつ、最大限遅らせなければならない。

2008年の通貨危機は韓米通貨スワップ協定で解決した。

いま若干の信頼問題があって揺れている側面もあるが、はやく信頼を回復して、韓米通貨スワップや韓日通貨スワップでこの問題を切り抜ける方法もある」(※下線部は引用者による加工)

という処方箋を示したのだとか。

あれだけ日本や米国の顔に泥を塗っておきながら、米韓通貨スワップや日韓通貨スワップが必要だなどと臆面もなくホイホイ出てくるあたり、なかなか理解に苦しむ精神性です。基礎知識の確認

金融政策と雇用の不思議な関係

ここで、少しだけ補足しておきたいと思います。


現代はどの国も管理通貨制度を採用しており、金地金などの裏付資産がなくても中央銀行が好きなだけ通貨を発行することができます。


ただし、無節操に通貨を乱発したら、トルコなどのようにインフレに襲われる可能性もありますし、北朝鮮やジンバブエ、ベネズエラのように経済が崩壊してしまうこともあります。

このため、まともな中央銀行であれば、おカネを刷り過ぎないように注意しています。

ここでポイントになる指標は、「インフレ率」です。

日本、米国、欧州などの先進国は「2%程度のインフレ目標」を掲げており、

このインフレ率水準を維持しつつ、インフレ率が上昇し過ぎれば金利を上げたり、

通貨の供給量を絞ったりしますし(金融引き締め)、逆にデフレ状態になったときには利下げ、量的緩和(金融緩和)に踏み切ります。

では、どうしてインフレ率が重要なのでしょうか?

その理由の1つは、インフレ率が高まれば失業率が下がるという「負の相関関係」があるからです。

インフレ率が上昇し過ぎれば資産バブルなどの副作用も生じるのですが、2%程度の適切なインフレ率であれば、雇用が最適化されるといわれています。

日本経済の場合は、まだデフレから脱却し切れていませんが、それでも雇用環境はとても良くて、有効求人倍率はどの都道府県でも1倍を大きく上回っている状況にあります。

これは、2013年から続く日本銀行による異次元金融緩和(QQE)の影響によるものが大きいと考えて良いでしょう。

利上げも利下げもできない韓国の苦境

では、韓国も苦境だ、苦境だというのであれば、利下げをし、紙幣を刷りまくって景気をどんどん良くすればよいのではないか、という発想も成り立ちます。

しかし、金融政策は一国経済の極めて基本的なものであり、さまざまな方面に影響が生じます。

まず、経済学のセオリーに従えば、景気を良くするためには利下げをすれば良いはずなのですが、それは同時に、韓国国内の金利水準がグローバルな金利水準と比べて低くなる、ということです。

しかし、韓国の場合、金融緩和は一筋縄ではいきません。

なぜなら、私が以前から何度も指摘しているとおり、

韓国は外需依存度が極めて高く、しかも外国から外貨建てでかなりの借金をしているようだからです

(外貨準備統計の正確性については『外貨準備統計巡る韓国のウソと通貨スワップ、そして通貨制裁』でも取り上げていますので、ご参照ください)。


一方、韓国国内の金利水準が変わらなかったとしても、米FRBが利上げに踏み切れば、その分、内外金利差は大きくなります。

当然、韓国から短期資金などのマネーが逃げていく可能性も高くなりますし、その程度が大きすぎれば、再び通貨危機が発生しても不思議ではありません。

このような事態を避けるためには、韓国は利上げに踏み切る必要があります。

しかし、利上げをすれば、韓国の国民経済が危機に直面します。

というのも、実は、韓国の場合は家計債務水準がGDPに対して100%近くにまで高まっているからです。

韓国、家計負債増加速度が中国・香港に続き世界3位(2018年10月03日16時10分付 中央日報日本語版より)

こうした状況で利上げに踏み切ってしまえば、破綻する家計も続出しますし、韓国経済全体がかなりの危機に瀕することになります。

日本の支援を必要とする韓国

韓国「日本の支援は必要だ」

ところで、少し視点を変えて、日韓通貨スワップ協定に限らず、日韓関係について冷静に考えてみましょう。

古今東西、どんな国であっても、「国民が安心して豊かに暮らせるようになること」を目的としています。

韓国の場合は38度線を挟んで危険な独裁国家・北朝鮮が虎視眈々と南侵を狙っていますし、

これといった資源もなく、土地も貧しい韓国が豊かに暮らしていくためには、外国との交易が必要です。

ということは、韓国が仲良くしなければならない国は、世界最強の軍事力を持つ米国と、世界最強の技術力を持つ日本です。

これに対し、韓国が仲良くしてはならない国は、共産党一党独裁国家である中国と、金正恩の独裁が続く北朝鮮です。

もし韓国が、中国や北朝鮮としっかり距離を置きつつ、日米と価値同盟を結ぼうとするならば、日米両国としても気持ちよく韓国と連携しようとするでしょうし、韓国が通貨危機にならないように、さまざまな形での支援を与えるに違いありません。

通貨危機も雇用不安も自業自得では?

ただ、現在韓国が危機的状況に置かれていることは事実ですが、私は別に韓国に同情するつもりはありません。

そもそも通貨危機が発生する理由は、韓国銀行が外貨準備高を安全資産で運用していなかったからであり、これについては明らかに韓国銀行の自業自得だからです。

また、韓国で雇用不安が高まっている理由は、

文在寅(ぶん・ざいいん)政権が最低賃金制度の改革などで失敗しつつあるからであり

(『雇用政策の失敗は経済の自殺:民間経済潰す韓国の最低賃金』参照)、これも韓国・文在寅政権の自業自得です。

文在寅氏が外交・軍事だけでなく、経済運営を巡っても完全に素人丸出しなのは仕方がありませんが、そんな人物を韓国国民は大統領に選んだのですから、仕方がありません。

もちろん、外交とはしょせん、利害関係で動くものですから、韓国経済を助けることが日本のメリットになるのであれば、日本は韓国を助けるべきです。

とくに、日本には140兆円もの外貨準備もありますし、日本の通貨・円自体、世界最強の通貨でもあります。日本が韓国を助けられる部分はいくらでもあります。

しかし、それと同時に、「慰安婦問題」や「旭日旗騒動」などで日本を侮辱し続ける国に対し、日本国民の貴重な税金を使って通貨スワップで支援の手を差し伸べることが、日本の国民感情に照らして理解が得られるとも思えません。

また、日本が通貨スワップ協定を締結することで韓国を助けたとしたら、韓国は日本の支援というバックストップを得て、堂々と為替介入を再開するかもしれませんし、そうなったら結果的に日本は日本国民の税金負担で日本の産業競争力を妨害することになってしまいます。

日韓通貨スワップ協定など、日本にとっては、まさに百害あって一利なし、なのです。

いずれにせよ、当ウェブサイトとしては、韓国で変な議論が出てきた場合には、できるだけ冷静かつ客観的に、その議論の誤りを指摘し続けたいと思います。

韓国の一人暮らし世帯、純資産は複数人世帯の3分の1

2018-10-04 16:56:49 | 日記
記事入力 : 2018/10/01 21:01

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

韓国の一人暮らし世帯、純資産は複数人世帯の3分の1

KB金融経営研究所が9月30日発表した報告書によると、一人暮らしの世帯で総資産から負債を差し引いた純資産が2-5人の世帯に比べ3分の1にとどまっていることが分かった。

支出の半分は食料品、家賃、管理費などに充てられ、残額の大半は元本が保証される預貯金に回される。

一方、一人暮らしで最も良い点は「自由」、最も心配な点は「孤独さ」だった。

 今回の調査は、同研究所が今年5月、首都圏と広域市に住む25-59歳の一人暮らしの住民2100人を対象に実施した。


■純資産は複数人世帯の3分の1

 一人暮らしの世帯の純資産は1億2362億ウォン(約1270万円)で、2-5人世帯の純資産(3億2000万-3億8400万ウォン)の約3分の1だった。

また、一人暮らしの人の場合、担保融資で購入した資産の値上がりを狙う不動産財テクを行う人が少ないためとみられる。

一人暮らしの居住形態は、高額の保証金を預ける代わりに家賃なしで居住する「伝貰(チョンセ)」という形態が34.2%、月額家賃を支払う賃貸が33.6%、持ち家が28.2%などだった。

世帯全体で見た持ち家比率は60.7%だ。


 一人暮らし世帯の約半分はローンで資金を借り入れている。

全世帯でみた場合と比べ、融資残高の伸びは低いが、無担保ローンの割合が高かった。

KB金融経営研究所は「一人暮らしの世帯は複数が住む世帯と比べ、持ち家比率が低く、担保融資を活用する割合が相対的に低い」と指摘した。

借家住まいをする人が多いため、支出全体に占める家賃や管理費の割合も高かった。

一人暮らしの場合、支出の33%を食費、21.0%を家賃や管理費に充てることが分かった。

全世帯でみた支出に占める住居費の割合(11.1%)に比べ高い水準だ。


■財テクは元本保証好む傾向

 一人暮らし世帯の財テクは元本保証が多かった。

回答者の半数以上は「月平均で50万-150万ウォンを投資または貯蓄する」と答えた。

「月200万ウォン以上を投資または貯蓄する」と答えた人も6.9%に達した。

利用する金融商品は、預貯金のように元本割れがほとんどない安全資産が77.3%を占めた。


 投資型資産の中では、年金保険、貯蓄保険など保険の割合が8.8%で最も高かった。

一人暮らし世帯の約半分は1カ月に保険料を20万ウォン以上支払っていることが分かった。

株式、先物・オプションへの投資割合は7.7%、ファンドや信託投資などへの投資割合は4.8%にとどまった。

リタイヤ準備の手段も預貯金が中心だった。

一人暮らしの人に老後の資金をどうやって準備しているか(複数回答可)を尋ねたところ、56.8%が預貯金と答え、以下、公的年金(35.6%)、個人年金(31.7%)、保険および投資商品(29.6%)、退職金・退職年金(26.5%)、不動産投資(13.0%)などだった。

準備ができていないとの回答も17.8%あった。必要な老後資金は平均で2億8224万ウォンであることも分かった。


■独身生活、女性が高い満足

 回答者の7割は「一人暮らしの生活に満足している」と答えた。

シングル生活への満足度は男性よりも女性で高かった。

一人暮らしに満足しているとの回答は、20代女性で82.7%、30-50代で70%台だった。

これに対し、男性は20台で71.2%、30-40代で60%に低下した後、50代では51.4%に落ち込んだ。

一人暮らしのメリットについては、「自由な生活と意思決定」(39.5%)、「一人だけの余暇活用」(33.2%)、「家族扶養義務がないこと」(7.3%)などだった。最大の懸念は「孤独さ」(44.3%)だった。


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

中国、「深まるジレンマ」対米貿易戦争でじり貧「黄昏の世界覇権論」

2018-10-04 16:29:28 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2018-10-04 05:00:00

中国、「深まるジレンマ」対米貿易戦争でじり貧「黄昏の世界覇権論」

失速する製造業の焦燥

人民元世界シェア1.8%

今にして思えば、習近平氏は大法螺を吹いたものである。

中国は、2050年をメドに世界覇権を握ると豪語した。

これが、米国の猛烈な怒りを買い、2500億ドルの関税率上乗せというペナルティを科された。

まさに、「青菜に塩」である。こんな状況になるなら、いま少し隠忍自重すべきであった。

だが、「大言壮語」は中国の伝統的な外交手段である。

戦わずして相手を屈服させる道具であるからだ。

近隣の小国には通じる手法でも、相手が米国では通用するはずがない。逆襲を受けて遁走する始末である。



現在、米中貿易戦争が長期化すると予測されている。製造業PMI(購買担当者景況感指数)は急速に悪化して、中国経済の先行き不透明感が広がっている。

そこで、中国当局は、経済情勢について悲観的に報道する国内経済・金融メディアに対し取り締まりを強化している。

これが、「遁走」の実態である。いくら悲観的なニュースを禁じても、景気が回復するわけでない。中国当局は、相当な切迫感を持っている証拠だ。



失速する製造業の焦燥

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月1日付)は、「中国製造業が一段と失速、貿易紛争の影響じわり」と題する記事を掲載した。

(1)

「エスカレートする米中貿易紛争が、中国経済に一段と重い足かせとなり始めた。

海外からの需要低下と国内消費の低迷が相まって、中国製造業の大幅な生産縮小を引き起こしている。

最新データによると、自動車・機械などを製造する民間企業は9月、拡大基調の生産にブレーキがかかった。

輸出の新規受注が2016年2月以来の低水準に落ち込んだのが響いた。

一方、国有の大手製造企業の生産量も引き続き鈍化した。

中国の7~9月期(第3四半期)の主要経済指標の中で最初に発表されたこのデータは、米中貿易戦争が世界第2の経済大国の成長を押し下げ始めたことを示すものとなった」



ここで指摘されている事実は、9月の中国国家統計局発表の製造業PMIに基づいている。次に、9月製造業PMIの中味を紹介したい。



①生産は前月比0.3ポイント低い53.0。実質的に2年ぶり低水準。

②輸出新規受注は同1.3ポイント低い48.0と大幅悪化。

③輸出新規受注の落ち込みは、生産を下押しする要因になる。

④従業員指標は同1.1ポイント低い48.3。輸出低迷で民間企業の倒産が相次ぎ失業者を増やしている。



(2)

「これまで中国の景気減速は主に、国内の債務圧縮を進める中で、企業・個人双方の投資や消費が抑制されたことが原因となっていた。

だが7月以降は、米中両国の貿易摩擦が単なる言葉による脅しから、相手国の製品に対する数千億ドル規模の関税発動へと発展し、その影響が懸念されていた。

「製造セクター全体の拡大基調は9月に弱まった」と財新智庫莫尼塔(CEBMグループ)の北京在勤エコノミスト、鐘正生氏は指摘。

「中国経済の後退圧力は相当大きい」。

エコノミストや政府顧問らは、こうした圧力を受け、中国政府が金融緩和や公的支出の拡大といったより成長志向の政策を打ち出すだろうとみている。

そうなれば、すでに高い債務水準の拡大を阻止する政府の取り組みが一段と後退する公算が大きいという」


従来の景気減速は、デレバレッジ(債務削減)による需要不足であった。

7月以降は、対米貿易戦争による輸出減が大きな影響を与えている。

これは、直接・間接を問わずに全産業に影響を及ぼす。

すでに、解雇が増えており個人消費を抑圧する。

政府はこれを放置できないから、デレバレッジを棚上げして、新たな債務依存のインフラ投資を増加させている。

中国経済にとっては、デレバレッジという治療半ばで再び債務へ依存する。

こういう最悪局面に追いやられているのだ。中国にとっては、二重の負担である。



(3)

「国務院発展研究センターの隆国強副主任は30日、米中貿易摩擦が中国の輸出や経済成長全体に影響を与えるのは間違いないと述べた。

「企業は生産を削減したり、従業員数を減らしたりするほか、一部は閉鎖に追い込まれるだろう」とメディアとの会見で語り、貿易戦争が経済に与える影響に応じて、金融政策を調整することになると続けた。

景気刺激策の必要性に関するこうした見方は、米国の攻撃から身を守る一方で、景気の息切れを防がなくてはならない中国政府の綱渡り的状況を際立たせている。

ドナルド・トランプ米大統領は、強い米国経済のおかげで中国との争いで優勢に立てると繰り返し豪語してきた」



中国は、対米貿易依存度が最も高い。

この事実から見ても、貿易戦争になれば不利な局面に立たされて当然である。

これは、最初から分かっていたことだ。

それにも関わらず、「徹底抗戦」という見当違いの発言をしてしまった。

この裏には、習近平氏が国粋主義者を側近に登用した影響が大きく響いている。

この張本人である側近は一時、姿を消していたが決して消えない罪を残してしまった。中国経済浮沈という瀬戸際で、判断を誤らせたからである。



中国政府当局者は、「企業は生産を削減したり、従業員数を減らしたりするほか、一部は閉鎖に追い込まれるだろう」と覚悟を決めている。

習氏は、「自力更生」と毛沢東張りの発言をして、自らの判断ミスを糊塗している。「世界覇権」を狙えるような状況では全くなくなったのだ。



人民元世界シェア1.8%

IMF(国際通貨基金)は、毎四半期ごとに世界中の外貨準備総額に占める通貨別のシェアを発表している。

これは、単純なデータである。ただ、主要通貨が世界各国の外貨準備高にどのように組み込まれているかを示している。つまり、通貨別の「使い勝手の良さ」を示している。



人民元は、「一帯一路」で大活躍しているはずだが、世界の外貨準備総額のシェアはいたって低い。習近平氏が世界覇権を握ると豪語しているが、各国はそのような受け取り方をしていない。時期尚早という判断なのだ。



IMFが発表した今年の4~6月期の外貨準備総額におけるシェアと実質GDPシェア(2016年)を併記した。



    GDPシェア   外貨準備総額シェア

米国  21.8%     62.2%

EU           20.0%

中国  12.3%      1.8%

日本   7.8%      5.0%

カナダ  2.4%      1.9%

豪州   2.0%      1.7%



このデータを見て分ることは、中国のGDPシェアに比べて人民元シェアが極端に低いことである。


これは、人民元の資本規制が続いていること。

管理型変動相場制という世界の大勢から外れていることなども要因に考えられる。

「一帯一路」では、人民元を強制的に使うように仕向けているが、上の表から見ると「ローカル・カレンシー」であることは覆いがたい事実だ。


中国の実質GDPシェアは12.3%である。

一方の人民元シェアは1.8%でしかない。

GDPシェアに比べての落差が極めて大きいことに気付くはずだ。

これは、前記のような要因があるとしても、中国という存在が米国に比べて圧倒的に見劣りしている証拠である。


中国は、この事実を無視して「シャープパワー」とやらを用いて、強引に政治的な支配力を拡大させようとしている。

だが、実際の経済面における中国の位置は、2%未満の国であることだ。

米国ドルに比べたら、人民元は「その他大勢」でしかない。

人民元が、この状態からさらにシェアを高めるには、自ら経済の「閉鎖性」を解かねばならない。

その場合、中国経済は否応なく変質することになる。

国際ルールに則った経済活動を迫られるであろう。

それは、中国共産党の「檻」を自ら打ち壊すことを意味する。

中国共産党は、閉鎖的ゆえに存続可能である。

それが、開放型になったとたんにコントロールが効かずに自壊するリスクを生じるであろう。

中国が世界覇権を狙うことには、これだけの矛楯が存在する。



『ブルームバーグ』(9月26日付)は、「中国、2030年までに米国抜き世界一の経済大国に-HSBC予測」と題する記事を掲載した。


(1)

「中国は2030年までに米国を抜き世界一の経済大国になりそうだと英銀HSBCホールディングスが指摘した。

同行が25日公表した75カ国対象の新たな分析結果によれば、中国は今後10年も世界経済の成長に最も大きく寄与する見通し。

30年時点で中国の国内総生産(GDP)は26兆ドル(約2940兆円)と、現在の14兆1000億ドルから大きく増加する一方、米GDPは25兆2000億ドル(現在20兆4000億ドル)と中国を下回る見込みだ」


要約すると、2030年に次のようになるという。ここで使われているデータは名目GDPであることに気をつけて貰いたい。

中国:14兆1000億ドル→26兆ドル      1.84倍

米国:20兆4000億ドル→25兆2000億ドル 1.24倍



一瞥しての感じでは、現在の米中の経済成長率をそのまま引き延ばしただけの数字である。

この程度の予想によって、「中国が2030年にGDP世界一」というには余りにも根拠薄弱である。

すでに指摘したように、米中貿易戦争が始ったばかりで、今後の成長率鈍化は必至である。

同時に、緊急避難的に積み上がる債務の増加が、中国経済に一層の重圧を加えている。この面の分析が全く行なわれていないようだ。

米中の合計特殊出生率を比較すれば明瞭だが、中国は1.05(2015年)にまで落ちている。

中国政府は、対外的には1.6と発表しているが偽りである。

1.05は、中国統計出版社の発行する『中国統計年鑑2016』から算出された数字である(『日経ビジネス』2016年11月11日号)。

HSBCは、中国政府の出している1.6を使って、中国の潜在成長率を弾いたのだろう。

また、生産年齢人口は世界標準の15~64歳で計算しただろうが、中国は健康上の理由で、15~59歳である。これも間違えているのでは、と懸念する。

この二つを取り違えただけでも潜在成長率は異なるのだ。


米国は、移民の国である。

トランプ大統領は移民規制の方向だが、いつまでもトランプ大統領時代が続く訳でなく任期がある。

とりわけ、中国との対抗意識を強めれば、移民の緩和による労働力確保策に転じるであろう。

米国には、移民というバッファーを持っている。

これが、中国には真似もできない大きな強味なのだ。

米国の自由と民主主義は、普遍的な価値ゆえに、世界に受入れられる魅力を持っている。



(2018年10月4日付)


米鉄鋼制裁韓国免除・輸出3割減が鋼管業界に大打撃 

2018-10-04 15:20:41 | 日記
米鉄鋼制裁韓国免除・輸出3割減が鋼管業界に大打撃 操業半減・悲鳴

政治経済・時事・倒産情報のJCNET(ジェイシーネット)

[ 2018年9月19日 ]

韓国で大きな外交的成果として当初歓迎された米国による鉄鋼輸入関税免除は、今ではその代わりに導入された輸入数量を制限するクオータ制がネックとなり、一部の鉄鋼メーカーの生産能力が半減するまでに追い込まれている。

事情に詳しい複数の人物によると、生産ラインは休眠状態だという。

その一方で、日本の鉄鋼メーカーは、25%の米関税に直面しているにもかかわらず、鋼管の対米輸出を拡大している。

日本勢は、石油高で増産傾向にある米国の石油業者などに、高性能な掘削鋼管などを提供しているが、地元企業による代替は難しいと言われる。

韓国企業の製品ではそうはいかない。


韓国は3月、米鉄鋼関税の適用対象から除外された最初の国となった。


自国の鉄鋼メーカーにとって3番目に大きな輸出市場であるFTA締結国である米国に、無関税で継続的なアクセスが可能なはずだった。

ネクスチールやヒュースチール、世亜製鋼といった特殊鋼管メーカーにとって追い風となるはずが、逆風に変わった。


前年から3分の1近く減った今年の輸入割当枠は、5月までにすでにほぼ使い切ってしまった。

その結果、ネクスチールとヒュースチールは、来年分の出荷を開始できる10月と11月までそれぞれ工場稼働率の引き下げを余儀なくされているという。

世亜製鋼など一部メーカーは、割当枠を逃れるため、米国にある小規模な生産拠点への投資を増やすことを検討している。

米商務省によると、日本製の鋼管製品の輸入量が今年1~7月に、前年比50%近く増加した一方、韓国製品のそれは▲18%減少している。

以上、



ネクスチールの場合は、米商務省が、同社の油田用鋼管に75.8%の高率の関税を課した反ダンピング関税年次再審最終判定結果を下した。

米商務省は「ネクスチールが、重要な情報を提供せず調査を相当に遅延させた」と主張し懲罰的課税を課すことができる「不利な入手可能な事実(AFA)」規定を適用した。

同社は米国際貿易裁判所(CIT)に提訴しているもののこうした問題も抱えている(今年4月の韓国経済新聞のニュース)。


韓国最大の鉄鋼会社ポスコ(新日鐵の技術パクリ企業)、電炉のベトナム、高炉のインドネシア工場を持ち、そうした国から米国へ輸出していることだろう。


何でも日本を真似、コストパフォーマンスで市場を制圧してきた韓国勢、鉄鋼でもまったく同じだが、

今年4月2日の米韓FTA再交渉合意での制裁免除の代わりに導入された3割減(過去3ヶ年の輸出量平均値に対するもの)が、

油井などに使用する鋼管に限っては、大打撃を受けている。


原油価格高騰で設備投資旺盛の米国の原油生産地帯。制裁当初から無謀と言われたとおり、油井用鋼管は米国では造れず、日本側が外すように提案したが、米国からは無視され、途中の見直しでも見直されず、25%の関税が追加課税されたまま、米企業は高い価格で購入する羽目に陥っている。(トランプ同様、商務省のお役人たちも数字ばかりが念頭にあり、経済合理性を考慮しないおろかな対応)

日本の技術は韓国などにすべて盗まれてきている。研究開発投資金が不要な分だけでもコスパが計られ、高い競争力を持つことになる。


性善説のおろかな日本企業も少しずつ技術セキュリティに本腰を入れている。

そうした韓国を模倣し、また欧米先進国の最先代技術企業を買収することにより、最先端技術を国有化してきた中国、

欧米が安全保障上買収を断るようになり「中国製造2025」の国家政策の下、

韓国や台湾・日本から3~5倍の報酬を条件に人材ハンティングに乗り出し、すでに数百人が中国企業に渡っているという。


台湾では米ファンドリーメーカーから受託した台湾EMSメーカーが中国勢にその技術で合弁会社を中国で作り、米社から中国で訴えられたが、逆提訴され、中華人民共和国の裁判所から中国での販売停止の仮処分を受ける羽目に陥っている。


小泉時代の聖域なき削減で開発研究予算を大幅に削減した愚かなサラリーマン社長の大企業たち、あぶれた研究開発部隊や会社を見切った開発者たちは挙ってサムスン電子、LG、SKなどの誘いに乗り高額報酬で転職していった。

当然、技術情報を提供し、商品価値がなくなったそうした開発人材は、お払い箱になり2~3年でほとんどが帰国している。

そうして技術蓄積した現在のサムスン電子、LG、SKが存在する。

同じ現象が中国で現在生じている。

その脅威は「半導体・ディスプレイ」という大量生産のサムスン電子・SK・LGに現実となって現れてくることになる。

韓国がまだ中国に対して優位性を保持している唯一の分野でもある。