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徴用工「残酷物語」は韓国ではなく日本が生んだイメージだった

2018-10-30 17:31:07 | 日記
徴用工「残酷物語」は韓国ではなく日本が生んだイメージだった

西岡力(麗澤大学客員教授、「救う会」全国協議会会長)

 文在寅韓国大統領が8月17日の記者会見で、日本統治時代に徴用されて働いた徴用工問題で、個人の賠償請求を認めた韓国裁判所の立場を支持する考えを示した。

文氏は「(徴用工問題を解決した政府間の)両国合意は個人の権利を侵害できない。政府はその立場から歴史認識問題に臨んでいる」と語った。


 その後、安倍首相との電話会談で国家対国家の請求権処理は終わっているという立場を表明したというが、文在寅大統領発言は1965年に作られた日韓国交正常化の枠組みを根底から覆しかねない危険性を含んでいる。


 わが国政府は、徴用による労働動員は当時、日本国民だった朝鮮人に合法的に課されたものであって、不法なものではなかったと繰り返し主張している。

しかし、それだけでは国際広報として全く不十分だ。

 韓国では映画『軍艦島』や新たに立てられた徴用工像などを使い、あたかも徴用工がナチスドイツのユダヤ人収容所のようなところで奴隷労働を強いられたかのような宣伝を活発に展開している。

このままほっておくと、徴用工問題は第二の慰安婦問題となって虚偽宣伝でわが国の名誉がひどく傷つけられることになりかねない。

官民が協力して当時の実態を事実に即して広報して、韓国側の虚偽宣伝に反論しなければならない。

 国家総動員法にもとづき朝鮮半島から内地(樺太など含む)への労働動員が始まったのは1939年である。

同年9月~41年までは、指定された地域で業者が希望者を集めた「募集」形式、42年12月~44年8月まではその募集が朝鮮総督府の「斡旋(あっせん)」により行われ、44年9月に国民徴用令が適用された。

なお、45年3月末には関釜連絡船がほとんど途絶えたので、6カ月あまりの適用に終わった。

 1960年代以降、日本国内の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や日本人左派学者がこれら全体を「強制連行」と呼び始め、彼らの立場からの調査が続けられてきた。韓国でもまず学界がその影響を受け、次第にマスコミが強制連行を報じるようになった。

 政府も盧武鉉政権時代の2004年に日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会を設立した。

ここで言われている「強制動員被害」とは、「満州事変から太平洋戦争に至る時期に日帝によって強制動員された軍人・軍属・労務者・慰安婦等の生活を強要された者がかぶった生命・身体・財産等の被害をいう」(日帝強占下強制動員被害真相糾明等に関する特別法)。

同委員会は2010年に対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者等支援委員会となり、20万を超える被害申請について調査を実施した。

 まず、日本において問題提起がなされ、それが韓国の当事者を刺激し、運動が始まり、韓国マスコミが大きく取り上げ、韓国政府が動き始めるという慰安婦問題とほぼ同じパターンで事態が悪化している。日本の反日運動家と左派学者らは2005年、「強制動員真相究明ネットワーク」(共同代表飛田雄一、上杉聡、内海愛子)を結成して、韓国政府の調査を助けている。

 共同代表の一人である内海愛子は、2000年の「女性国際戦犯法廷」で、東京裁判を「天皇の免責、植民地の欠落、性暴力の不処罰」を理由に批判した、代表的反日学者だ。

彼らは、日本の朝鮮統治が国際法上、非合法であったという立場を日本政府に認めさせ、国家補償を実施することを目的とした大規模な反日運動を続けている。彼らはこう主張している。

「強制連行がなかった」とする主張の根元には、植民地支配は正当なものであるという認識があります。

日本による植民地支配は正当な支配であり、動員は合法的なものであるという考え方です。

しかし、韓国では「韓国併合」を不法・不当ととらえており、日本に強制的に占領された時期としています。

 まず、植民地として支配したことを反省することが大切でしょう。(略)強制的な動員は人道に反する不法行為でした。

 強制連行は虚構や捏造(ねつぞう)ではありません。強制連行がなかったという宣伝じたいがプロパガンダであり、虚構や捏造です。

 歴史学研究では、戦時に植民地・占領地から民衆の強制的動員がなされたことは歴史的事実として認知されています。

歴史教科書にもそのような認識が反映され、植民地・占領地からの強制的な動員がなされたことが記されています。朝鮮人の強制連行はそのひとつなのです。

 そして、2012年5月に韓国の大法院(最高裁判所)が「個人請求権は消えていない」と判定し、

三菱重工業や新日本製鉄(現新日鉄住金)など日本企業は、徴用者に対する賠償責任があるとして原告敗訴判決の原審を破棄し、

原告勝訴の趣旨で事件をそれぞれ釜山高裁とソウル高裁に差し戻すという、日韓基本条約秩序を根底から覆す判決を下したが、

同ネットワークはその判決を強く支持して次のように主張する。

 そこ(大法院判決・引用者補)では日本占領を不法な強制占領とし、そのような不法な支配下での動員法は大韓民国の憲法に相反するものとしています。

そして、強制動員を不法なものとして、原告の個人の請求権は日韓請求権協定では消滅していないとしました。

(略)つまり、強制動員は不法であり、個人の損害賠償請求権がある、会社には支払う義務がある、という判決を出したわけです。(略)韓国政府はもとより、日本企業もこの判決への対応が問われているのです。この判決に従っての問題解決が求められているわけです〉(同ネットワーク「朝鮮人強制連行Q&A」)

 1965年の日韓基本条約体制を根元から覆そうとしている彼らこそ、本当の嫌韓・反韓派だ。したがって、国際広報の観点からすると、39~45年にかけての朝鮮人労働者の戦時動員全体像を正しく認識する必要がある。

もっと言うと、日本の統治時代に朝鮮でどのような社会変化が起きたのかについても、事実を正しく研究し、日本の国益と日韓基本条約体制を守る立場から、しっかりした国際広報が必要なのだ。

 韓国政府が対日歴史戦を公式に宣言したのが2005年、今から12年前だった。

盧武鉉政府が同年3月「新韓日ドクトリン」を発表し、

「最近の日本の一隅で起きている独島(竹島)や歴史についての一連の動きを、過去の植民地侵略を正当化しようとする意識が内在した重い問題と見て、断固として対処する」

「我々の大義と正当性を国際社会に堂々と示すためあらゆる努力を払い、その過程で日本の態度変化を促す」と歴史認識と領土問題で日本を糾弾する外交を行うことを宣言した。

 さらに大統領談話で「侵略と支配の歴史を正当化し、再び覇権主義を貫こうとする(日本)の意図をこれ以上放置できない」「外交戦争も辞さない」「この戦いは一日二日で終わる戦いではありません。

持久戦です。

どんな 困難であっても甘受するという悲壮な覚悟で臨み、しかし、体力消耗は最大限減らす知恵と余裕をもって、粘り強くやり抜かねばなりません」などと述べて、多額の国費を投じて東北アジア歴史財団を作る一方、全世界で日本非難の外交戦争を展開し、それが現在まで続いている。

 日本は同年に戦後60年小泉談話を出して「侵略と植民地支配」に謝罪したが、日本の国益の立場から戦前の歴史的事実を研究し国際広報する体制を作るという問題意識を持たなかった。

その上、日本国内では上記したように反日運動家らが韓国政府の反日歴史外交に全面的に協力する研究と広報体制を作り上げていた。


平成17年8月、衆院を解散し、記者会見する小泉純一郎首相(当時)

 私は同じ2005年、強い危機意識をもって『日韓「歴史問題」の真実 「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』(PHP研究所)という本を書いた。しかし、ほとんど世の関心を集めることはなく同書は絶版となっている。


 ここでその結論部分を紹介して、事実に基づく国際広報の一助としたい。


 同書で私は、朝鮮人の戦時動員について大略こう書いた。


 1939年の国家総動員法にもとづき「朝鮮人内地移送計画」が作られた。それに基づき、約63万人の朝鮮人労働者が朝鮮から日本内地(樺太と南洋を含む)に移送された。


 ただし、そのうち契約が終了して帰還したり、契約途中で他の職場に移った者が多く、終戦時に動員現場にいたのは32万人だった。


 それに加えて終戦時に軍人・軍属として約11万人が内地にいた。これらが朝鮮人の戦時動員だ。

 動員が始まる前年1938年にすでに80万人の朝鮮人が内地にいた。動員が終わった45年には200万人が内地にいた。

つまり、国家総動員法が施行された39~45年の間に内地の朝鮮人は120万人増加した。しかし、そのうち同法に基づく戦時動員労働者は32万人、軍人・軍属を加えても43万人だけだった。

 つまり動員された者は動員期間増加分の3分の1にしか過ぎなかった。その約2倍、80万人近くは戦時動員期間中も続いた出稼ぎ移住だった。


 終戦時内地にいた朝鮮人200万人のうち80%、160万人は自分の意志により内地で暮らす者らだった。

 ちなみに、併合前の1909年末の内地の朝鮮人人口は790人程度だったから、日本統治時代35年間の結果、戦時動員された40万人の4倍にあたる160万人が自分の意志により内地で暮らしていた。

朝鮮から内地へ巨大な人の流れがあった。この大部分は出稼ぎ移住だった。


 当時の内地に多数の出稼ぎ移住を受け入れる労働力需要があったことだ。1935年末で5万人以上の人口を持つ都市は内地に87あったが、朝鮮にはわずか6しかなかった。

その上、戦時動員期間には日本人男性が徴兵で払底していたことから、内地の肉体労働の賃金が高騰していた。

内地の都市、工場、鉱山には働き口があり、旅費だけを準備すれば食べていけた。内地と朝鮮を頻繁に往復することができ、昭和に入ると毎年10万人を超える朝鮮人が往復した。まず、単身で渡航し、生活の基盤を築いて家族を呼び寄せる者も多かった。


 日本語が未熟で低学歴の朝鮮農民が多数日本に渡航したことにより、日本社会と摩擦を起こした。

また、不景気になると日本人労働者の職を奪ったり、低賃金を固定化するという弊害もあった。

そのため、朝鮮から内地への渡航は総督府によって厳しく制限されていた。渡航証明書なしでは内地にわたれなかった。不正渡航者も多数いた。

 総督府の統計によると、1933~37年の5年間、108万7500人から渡航出願が出され(再出願含む)、その60%にあたる65万人が不許可とされた。許可率は半分以下の40%だった。


 不正渡航者も多かった。内地では不正渡航者を取り締まり、朝鮮に送還する措置を取っていた。

これこそが強制連行だ。1930~42年まで13年間に内地で発見され朝鮮に送還された不正渡航者は合計3万3000人にのぼる。

特に注目したいのは、戦時動員の始まった39~42年までの4年間で送還者が1万9000人、全体の57%だったことだ。むしろ動員期間に入り不正渡航者の送還が急増した。驚くべきことに、戦時動員開始後、動員対象者になりすまして「不正渡航」する者がかなりいた。


 戦時動員は大きく二つの時期に分けられる。

 1938年に国家総動員法が公布され、内地では39年から国民徴用令による動員が始まったが、朝鮮では徴用令は発動されず、39年9月~42年1月までは「募集」形式で動員が行われた。

 戦争遂行に必要な石炭、鉱山などの事業主が厚生労働省の認可と朝鮮総督府の許可を得て、総督府の指定する地域で労働者を募集した。

募集された労働者は、雇用主またはその代理者に引率されて集団的に渡航就労した。

それによって、労働者は個別に渡航証明を取ることや、出発港で個別に渡航証明の検査を受けることがなくなり、個別渡航の困難さが大幅に解消した。一種の集団就職だった。


 この募集の期間である1939~41年までに内地の朝鮮人人口は67万人増加した。

そのうち、自然増(出生数マイナス死亡数)は8万人だから、朝鮮からの移住による増加分(移住数マイナス帰国数)は59万人だ。そのうち、募集による移住数は15万人(厚生省統計)だから、残り44万人が動員計画の外で個別に内地に渡航したことになる。

つまり、39~41年の前期には、動員計画はほぼ失敗した。巨大な朝鮮から内地への出稼ぎの流れを戦争遂行のために統制するという動員計画の目的は達成できず、無秩序な内地への渡航が常態化した。

動員数の3倍の労働者が職を求めて個別に内地に渡航したからだ。

そのうちには正規の渡航証明を持たない不正渡航者も多数含まれていた。

 動員の後期にあたる1942年から終戦までは、動員計画の外での個別渡航はほぼ姿を消した。

前期の失敗をふまえて、戦時動員以外の職場に巨大な労働力が流れ込む状況を変えようと42年2月から、総督府の行政機関が前面に出る「官斡旋」方式の動員が開始されたからだ。


 炭鉱や鉱山に加えて土建業、軍需工場などの事業主が総督府に必要な人員を申請し、総督府が道(日本の都道府県に相当)に、道はその下の行政単位である郡、面に割り当てを決めて動員を行った。

一部ではかなり乱暴なやり方もあったようだが、その乱暴さとは、基本的には渡航したくない者を無理に連れてくるというケースよりは、個別渡航などで自分の行きたい職場を目指そうとしていた出稼ぎ労働者を、本人が行きたくなかった炭鉱などに送り込んだというケースが多かったのではないかと推測される。

その結果、1942~45年の終戦までを見ると、動員達成率は80%まで上がった。

また、同時期の内地朝鮮人人口の増加は53万7000人だったが、戦時動員数(厚生省統計)はその98%におよぶ52万人だった。

この間の自然増の統計は不明だが、これまでの実績からすると年間3万人以上にはなっていたはずで、その分、戦時動員以外の渡航者が戦火を避けて朝鮮に帰ったのだと考えられる。


 この期間は動員における統制がかなり厳しく機能していたように見える。しかし、実は計画通りには進んでいなかった。官斡旋で就労した者の多くが契約期間中に逃走していたからだ。1945年3月基準で動員労働者のうち逃亡者が37%、22万人にものぼっている。


 この事実をもって、左派反日学者らは、労働現場が余りにも過酷だったからだと説明してきた。

しかし、当時の史料を読み込むと、逃亡した労働者は朝鮮には帰らず、朝鮮人の親方の下で工事現場等の日雇い労働者になっていた。

それを「自由労働者」と呼んでいた。また、2年間の契約が終了した労働者の多くも、帰国せずかつ動員現場での再契約を拒否して「自由労働者」となっていた。


官斡旋では逃亡を防ぐため、集められた労働者を50人から200人の隊に編制し、隊長その他の幹部を労働者の中から選び、団体で内地に渡航した。

隊編制は炭鉱などに就労してからも維持され、各種の訓練も行われた。


 しかし、実情は、動員先の炭鉱で働く意志のない者、すなわち渡航の手段として官斡旋を利用して、内地に着いたら隙を見て逃亡しようと考えている者が60%もいたという調査結果さえ残っている(『炭鉱における半島人の労務者』労働科学研究所1943年)。

 1944年9月、戦局が悪化し空襲の危険がある内地への渡航希望者が減る中、朝鮮では軍属に限り1941年から適用されていた徴用令が全面的に発令された。

また、すでに内地に渡航し動員現場にいた労働者らにもその場で徴用令がかけられ、逃亡を防ごうとした。

しかし、先述の通り、終戦の際、動員現場にいた者は動員数の約半分以下の32万人(厚生省統計)だった。法的強制力を持つ徴用令もそれほど効果を上げられなかった。


設置されたばかりの徴用工像=2017年8月、韓国・仁川市

 つまり、官斡旋と徴用によるかなり強い強制力のある動員が実施されたこの時期でさえ、渡航後4割が逃亡したため、巨大な出稼ぎ労働者の流れを炭鉱などに送り込もうとした動員計画はうまく進まなかった。

 国家総動員法に基づき立てられた「朝鮮人内地移送計画」は、放っておいても巨大な人の流れが朝鮮から内地に向かうという状況の中、戦争遂行に必要な産業に朝鮮の労働力を効率よく移送しようとする政策だった。

しかし、その前期1939~41年までの募集の時期は、動員計画外で動員者の約3倍の個別渡航者が出現して計画は失敗し、後期42~45年までの官斡旋と徴用の時期は、個別渡航者はほとんどなくなったが、約4割が動員現場から逃亡して自由労働者になって、動員計画の外の職場で働いていたので、やはり計画は順調には進まなかった。全体として戦時動員は失敗だった。


 一方、平和な農村からいやがる青年を無理やり連れて行って、奴隷のように酷使したという「強制連行」のイメージは1970年代以降、まず日本で作られ、それが韓国にも広がったもので、以上のような実態とは大きくかけ離れていた。

日韓関係が終焉も? 「徴用工」判決で政府が対抗策 国際司法裁判所に提訴、大使の帰国を準備・検討

2018-10-30 16:37:07 | 日記

日韓関係が終焉も? 「徴用工」判決で政府が対抗策 国際司法裁判所に提訴、大使の帰国を準備・検討

2018.10.30 


ただただ日韓関係をこじらせるだけの徴用工問題 ただただ日韓関係をこじらせるだけの徴用工問題

 韓国最高裁は30日午後、元徴用工の韓国人4人が、日本による朝鮮半島統治時代に「強制徴用された」として新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟で、判決言い渡し法廷を開催。日本政府は、韓国の「異常判決」に備え、国際司法裁判所(ICJ)への提訴や、在韓国大使の帰国など、対抗策を準備・検討している。

 「(韓国による)請求権の話は終わった話だ」

 河野太郎外相は29日、産経新聞のインタビューで、こう言い切った。新日鉄住金敗訴の可能性についても、「そんなことが起きるとは毛頭思っていない」と話した。

 河野氏の言う通り、「個人請求権」は1965年の日韓請求権・経済協力協定で、完全に解決している。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が2005年に発表した政府見解でも、協定で日本が提供した無償3億ドルに、個人の被害補償問題の解決金も含まれていることを認めている。

 ところが、今回の訴訟について、最高裁自身が「請求権は消滅していない」と差し戻しを命じており、日本企業に賠償を命じる可能性が高い。

 その場合、日本政府はICJへの提訴を視野に入れているが、判決は韓国が勝手に「戦犯企業」と主張する約270社もの日本企業にも波及しかねない。

 釜山の日本総領事館前に16年末、慰安婦像が設置された際、日本政府は長嶺安政駐韓大使を一時帰国させた。今回も同様の措置を検討しているとされる。日韓ハイレベル経済協議や、日韓通貨スワップの協議の延期・中止もあり得そうだ。

 韓国最高裁が正気を取り戻し、「賠償義務は韓国政府にある」という判決を出せばいいが、判決が危惧される通りなら、日韓関係は破綻する。

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国の非常識さを世界に示すためにも、日本は『目に見える形』で意思を示すべきだ。大使の帰国も中途半端ではダメで、韓国が下手な要求を引っ込めるまで続けた方がいい。『戦犯企業』とされた日本企業からは、韓国から撤退する動きが出るだろう。韓国経済は自滅しかない」と語っている。


別記事


「徴用工」韓国がまた“異常”判決か 国際協定が通用せず、世界各国も疑問視「反日突出…韓国は法治国家なのか?」

2018.10.30 


韓国・釜山の日本総領事館前では、市民団体が徴用工像を設置しようとして騒ぎを起こしたことも(共同) 韓国・釜山の日本総領事館前では、市民団体が徴用工像を設置しようとして騒ぎを起こしたことも(共同)


 韓国でまた、「異常判決」が出る恐れが高まっている。韓国最高裁が30日、日本による朝鮮半島統治下で、「徴用工」として労働を強いられたという韓国人4人が、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審の判決を言い渡すのだ。徴用工問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みだが、「反日」の韓国だけに、日本企業が敗訴するとの見方も強い。国家間の約束も守れない隣国に対し、判決前と判決後に、決然とした「政府の対抗策」を求める声も多い。

 「韓国では、約270の日本企業が一方的に『戦犯企業』とされている。新日鉄住金が負けたら、270社すべてが訴訟の対象になりかねない。訴訟額は約2兆円に上ると予想され、韓国内の資産が差し押さえられる恐れがある。韓国側の弁護士は『米国内にある日本企業の資産も差し押さえる法的手続きを進める』と予告しており、韓国内で収まる話ではなくなる可能性がある」

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は、徴用工訴訟で日本企業が敗訴した場合の影響について、こう危惧した。

 問題の裁判は、1、2審では原告敗訴の至極当然の判決が出たが、最高裁は2012年5月、「個人請求権は消滅していない」と2審判決を破棄して差し戻した。ソウル高裁は13年7月の差し戻し審で、新日鉄住金に計4億ウォン(約4000万円)の賠償を命じる異常な判決を出し、新日鉄住金は「請求権は消滅した」とする日本政府の見解に基づいて上告している。
















韓国 原告勝訴で前代未聞の判断 「解決済み」請求権問題蒸し返す 

2018-10-30 15:57:53 | 日記

原告勝訴で前代未聞の判断 「解決済み」請求権問題蒸し返す 

産経ニュース / 2018年10月30日 15時5分

【ソウル=名村隆寛】

韓国人の元徴用工が新日鉄住金を相手取った訴訟で、韓国最高裁は原告勝訴とし、1965年の日韓請求権協定で「解決済み」である請求権問題を蒸し返した。

同協定に基づけば、個人が訴えを起こそうが、請求権は法的には救済されないもので、前代未聞の判断だ。

労働動員者(徴用工)への補償問題は、日韓国交正常化交渉での主要議題だった。

日本側は根拠のある請求権を持つ個人への直接支払いを提案。

しかし、韓国側が個人を含むすべての請求権に関わる資金を韓国政府に一括し支払うことを要求。

日本側がこれを受け入れ、請求権協定に従い最終的に、無償の3億ドルは韓国政府に支払われた。

韓国政府も当時、「我々が日本国に要求する請求権に国際法を適用してみれば、領土の分離分割に伴う財政上及び民事上の請求権解決の問題なのだ」(1965年の韓日会談白書)と明言している。

民事上の請求は請求権協定で解決したことを韓国側も認めたわけで、韓国は日本政府による個人への補償を拒み、韓国政府が義務を負うことを選んだ。

それから40年の2005年。盧武鉉(ノムヒョン)大統領(当時)は日韓国交正常化に至る外交文書を公開し、当時の確約を再確認しつつも、日本の「謝罪と賠償」の必要性を訴えた。

12年5月、上告審で最高裁は戦時の徴用だけでなく「植民地支配(日本の統治)」の不法性にまで解釈を拡大し「損害賠償請求権が請求権協定で解決されたとみるのは難しい」とし、高裁に差し戻した。

ただ、韓国政府は「日本は何も償っていない」という協定を無視した世論にも関わらず、国家間の合意上、「請求権問題は解決済み」との立場は守ってきた。

だが、ここに来て国際条約(請求権協定)をほごにする司法判断が出た。

最高裁判決を前に韓国では、朴槿恵(パククネ)前政権の意向をくみ、元徴用工訴訟の判決を先延ばししたとして、最高裁所属機関の幹部が逮捕され、今回の原告勝訴の可能性がさらに高まった。

慰安婦問題同様、韓国で徴用工問題は国民感情や日本への不満を基に叫ばれている。「日本との歴史問題をめぐる国民感情を重視した判決」と韓国国内の事情を問題視されても仕方がない。

韓国最高裁の判決は、国民情緒を理由に国際常識をひっくり返し、法の枠組みを壊そうとする国際常識への挑戦でもある。

越えてはならない一線越えた韓国司法、日韓関係への影響必至

2018-10-30 15:42:44 | 日記
新宿会計士

越えてはならない一線越えた韓国司法、日韓関係への影響必至

配信日時:2018/10/30 15:20 (最終更新:2018/10/30 15:20) | カテゴリー : 時事, 韓国崩壊


先ほど「速報」としてお伝えしましたが、本日韓国で日本企業に対し、元徴用工らに「強制徴用の損害賠償」を命じる判決が確定しました。

韓国政府の対応次第では、日韓関係が「ハードランディング」する可能性も否定できないほか、日本企業にとっても今後は「韓国でビジネスをすること」自体が大きなリスクとなりそうです。


1 判決自体は最悪の結果に1.1 越えてはならない一線を越えた!

1.2 「適切な対応」とは?

1.3 今後のシナリオとは?

2 日本は国家単位で対処せよ!2.1 観光ビザ厳格化、円資金口座の凍結を

2.2 日本企業はリーガル・リスクを意識せよ


判決自体は最悪の結果に

越えてはならない一線を越えた!

戦時中に日本により強制徴用されたとされる韓国人とその遺族らが、新日本製鐵(現・新日鉄住金)を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、韓国の大法院(最高裁に相当)は本日、日本企業敗訴の判決を言い渡しました。

これについては韓国『聯合ニュース』の日本語版が速報しています。

徴用工訴訟で原告の勝訴確定 最高裁が差し戻し控訴審支持=韓国(2018/10/30 14:18付 聯合ニュース日本語版より)

聯合ニュースによれば、判決では新日鉄住金に対し原告1人当たり1億ウォン(約1000万円)ずつ、計4億ウォンの支払いを命じたそうです。

『いよいよ本日2時に徴用工判決:日韓関係は破綻するのか?』のなかで示したなかの、一番困った「原告勝訴」シナリオが実現してしまった格好だといえます。

あるいは、日韓請求権協定を韓国の司法自身が否定したということでもありますので、韓国の司法当局が、「越えてはならない一線」を越えてしまった、という言い方をしても良いと思います。

「適切な対応」とは?

ただし、現時点で日韓関係の「ハードランディング」が確定したわけではありません。

昨日、河野太郎外相が産経新聞の取材に対して述べたとおり、判決内容にかかわらず、韓国政府自身が日韓請求権協定に基づいて「適切に対応する」ならば、日韓関係の決定的な破綻は避けられます。

ただ、韓国政府が今回の判決に対し、適切に対処できるかといわれれば、それはおそらく不可能でしょう。

たとえば、2015年12月の「日韓慰安婦合意」では、ソウルの日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題をめぐり、韓国政府には「適切に解決されるよう努力する」義務が課せられています。

しかし、慰安婦像はいまだに日本大使館前に鎮座しています。

そればかりではありません。

2016年12月には、新たな慰安婦像が、こんどは釜山にある日本総領事館前に設置されたではないですか(※実際、その1週間後の2017年1月に、日本政府は大使や釜山総領事の一時帰国措置などの対抗措置を打ち出しています)。

もし、今回の訴訟で韓国政府に「適切な対応」が取れるのであれば、慰安婦像の問題もすでに解決されているはずです。

逆に言えば、現実に慰安婦像の問題が解決されていない以上、韓国政府に「適切な対応」が取れるはずなどないと私には思えてしまうのです。

今後のシナリオとは?

そして、韓国政府が今回の判決に対し、適切な対応を取らなければ、日韓関係は「ハードランディング」が避けられません。

まず、次の中央日報の記事によれば、今回の「徴用工事件」以外にも、係争中の強制徴用関連の訴訟は15件だそうです。

文大統領が弁護した「軍艦島」訴訟も残った…まだある強制徴用訴訟(1)(2018年10月30日14時16分付 中央日報日本語版より)

今回、大法院判決が出されたことにより、これらの15件の訴訟でも、日本企業にとっては厳しい判決が相次ぐと見るべきでしょう。

話はそれだけに留まりません。

『デイリー新潮』に昨日、日本企業に請求される「慰謝料」が「2兆円を超える」との試算が示されています。

韓国最高裁で「元徴用工」勝訴濃厚 日本企業に“慰謝料2兆円”請求の最悪シナリオ(2018年10月29日付 デイリー新潮より)

その根拠は、韓国政府が勝手に発表した日本の「戦犯企業」約300社から強制徴用の被害を受けたと自称する者が22万人いて、単純計算で1人1億ウォン(約1000万円)が支払われれば、日本企業が2.2兆円を支払う義務を負う、という計算です。

韓国は本日の大法院判決により、法治国家としての「越えてはならない一線」を越えてしまったのです。

そして、この計算を「杜撰だ」と笑うべきではありません。

2.2兆円は極端だとしても、今後、「越えてはならない一線」を越えてしまった韓国では、国際法を無視した判決が相次ぎ、日本企業に巨額の損失が発生するリスクが発生したことは間違いないからです。


日本は国家単位で対処せよ!

観光ビザ厳格化、円資金口座の凍結を

当然、日本政府としても「対抗措置」を取る必要があります。

事前の報道だと、大使の一時帰国措置や「通貨スワップ再開交渉の無期限延期」、あるいは国際司法裁判所(ICJ)への提訴などが取りざたされているようですが、私はこれらの措置では生ぬるいと考えています。

とくに、「通貨スワップ協定の再開交渉の中止」という措置については、2017年1月6日の時点ですでに打ち出してしまっています。

また、次の中央日報の記事によれば、韓国はICJの強制管轄権関連の選択議定書に加入していないため、韓国側の同意がない限り審理は始まりません。

韓国大法院の強制徴用判決控え…日本「企業の賠償確定ならICJ提訴」(2018年10月08日07時33分付 中央日報日本語版より)

ということは、韓国に対し本気で制裁を加えたいのならば、大使の一時帰国措置やICJ提訴だけではなく、国際法に反しない限りにおいて、本当に実効性のある措置を取る必要が出て来ます。

その1つは、やはり観光ビザの見直しだと思います。

現在、韓国国民に対しては、観光目的で日本に入国する際には、滞在期間が90日までであれば、ビザ免除措置が導入されています。

この「観光ビザ免除措置」を厳格化し、たとえば、

•滞在可能期間を90日ではなく15日にまで短縮する。

•ビザなし訪日回数の上限を年間5回までに制限する。

といった措置を導入することは、1つの選択肢ではないかと思います。

これに加えて物流、通関、製品輸出、資本取引などの分野において韓国に対して規制を掛けることも検討すべきですし、もし日本企業の韓国内の資産が押収されるようなことがあれば、日本は韓国銀行や韓国の民間銀行などの円資金口座を凍結することも検討すべきです。

日本企業はリーガル・リスクを意識せよ

また、韓国とビジネスを行う企業も、今後はリーガル・リスクを強く意識する必要があります。

今回の訴訟でも明らかになったとおり、韓国は国際的な約束事を守らない国です。

そんな国とビジネスを行うことが、企業にとってはどれほどのリスクであるか、よく理解すべきでしょう。

この点、冒頭で紹介した聯合ニュースの記事では、


「日本企業の韓国でのビジネスにも悪影響を与えかねず、韓国政府の対応次第では対韓投資などが冷え込む可能性がある。」

とありますが、今回の判決のインパクトは、「対韓投資が冷え込む」という、生ぬるいものではありません。

日本企業にとっては、そもそも韓国をサプライ・チェーンに組み込んでおくこと自体が大きなリスクになってしまったのです。

いずれにせよ、本日の判決は、日韓両国政府間だけでなく、民間企業に対しても大きな影響を与えたことは間違いありません。

まともな企業経営者であれば、韓国国内の生産拠点についてはさっさと手じまいすべきですし、韓国でビジネスを行っていて資産没収の被害に遭っても、それこそ「自己責任」でしょう。

今回の判決には、それくらいのインパクトがあるのではないかと思うのです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、今後の焦点は、日本政府がこれからどういう対抗措置を打ち出すかにあります。

今後の菅義偉官房長官の記者会見あたりには、注目していく必要がありそうです。

「解決済み」のはずがなぜ? 韓国・徴用工問題から考える“史実”と“対応”

2018-10-30 15:14:34 | 日記

三浦 瑠麗 の ”リベラリズムとリアリズム”

「解決済み」のはずがなぜ? 韓国・徴用工問題から考える“史実”と“対応”


三浦瑠麗

カテゴリ:ワールド 2018年9月3日 月曜 午後6:30


•国家間による一括処理以外に「戦争を終わらせる」方法はない

•日本政府が韓国に支払った5億ドルは、主に経済復興に使われた

•徴用工問題で、対応を迫られる日本の民間企業がとるべき対応は?


歴史問題としての難しさ


2017年8月 ソウル・龍山駅前に設置された徴用工像

歴史問題は、日本がアジア各国との関係を強化する上で喉に引っかかったトゲであり続けている。

その中で、今後注目を浴びそうなのが徴用工問題だ。

戦前から戦中にかけて、日本は労働力不足を補うために朝鮮半島をはじめとするアジア各国から労働力を移入した。

これらの労働者に対してなんらかの補償が行われるべきか否かとするのが歴史問題としての徴用工問題である。

アジアにおける歴史問題が難しいのは、それが過去の問題であるのと同じ程度に、現代の問題でありイデオロギーの問題だからだ。

歴史研究の蓄積を参照する限り、徴用工の問題にも一定の「幅」があったと判断せざるを得ないというのが、私の認識である。

労働者の徴用には、通常の出稼ぎ労働者の斡旋のような場合もあれば、強制そのものである場合もあった。

また、労働条件や給金の在り方についても、当時の各国の水準に照らして恵まれていた場合もあれば、非常に劣悪であった場合もあったということだ。

鉱山などの危険な労働環境の中で亡くなられた方も多くあったことは事実である。

であるからして、すべてを一色で塗りつぶすことはできないにせよ、史実として、強制的な労働者の徴用があり、劣悪な労働環境の中で耐え難い被害にあった方が多くいたというのは間違いないことと認識すべき、というのがスタート地点となる。


「戦争を終わらせる」ということ

戦争は、人間が生み出してきた最大の不幸である。

それ故に、人間は戦争をいかに終わらせるかということについても歴史を積み上げてきた。17世紀に近代的な国際法の概念が生まれてから400年近くが経過する中で、確立されてきた原則が国家主導による一括した請求権の処理という方法である。

戦争に伴う被害を平時の損害と同じ方法で処理するとすれば、いつまでも戦争を終わらせることができなくなってしまう。

というのも、平時の民間のものさしを当てはめては、不都合なことがいろいろと起きてしまうからだ。

例えば、日韓の関係では被害を受けた韓国人も多くいるのは当然だが、被害にあった日本の民間人も多くいる。

合法的に韓国内で財産を築いた日本人の多くが、敗戦に伴って帰国を余儀なくされ、財産権に大きな侵害を受けたことも事実。

平時の民間の理屈に基づけば当然補償を受けるべき被害が存在するにしても、それを言いだしたらキリがない。国家間による一括処理以外に戦争を終わらせる方法は乏しい。

この点、ドイツがイスラエルとの間で(ナチスによるホロコースト被害者の個人的犠牲のもとに)一括処理を行ったことは、当時のイスラエル政府の生存と発展のために許容されるべき考え方ということになるだろう。

イスラエルの人びとはイギリス占領下で独立を試みつつ貧しい生活を行っていたが、そこへナチスドイツによる迫害で着の身着のままの大量の難民が流入する。

建国間もないイスラエルが国民全体を養って、外敵と戦い生存していくためには、武器やインフラが死活的に必要だった。

しかし、ナチスドイツにおいて強制労働から利益を得た企業を相手取った裁判は、当然続くことになる。

日本とアジア各国との戦後処理も基本的には、この考え方で処理が行われた。

中国との間では1972年の日中共同宣言において、韓国との間では1965年の日韓基本条約において。

韓国との請求権の問題は、「最終的かつ不可逆的」に解決したと確認されている。

この点については、外交的には解釈の余地はないだろう。安倍政権の下で合意された慰安婦問題に関する日韓合意についても、この大原則を確認しつつ、人道的な観点から取り組んでいるという建付けになっている。


韓国国内の構図


ところが、日韓の間ではこのような国際法上の大原則にも関わらず、請求権や補償の問題がいつまでも燻りつづけている。

もちろん、韓国の外交当局や行政は、日韓基本条約の原則を理解し、今のところは尊重している。

ところが、韓国国内の政治的には、ことはそれほど単純ではない。

1965年の時点で日本政府は、請求権の問題を処理するために韓国に対し5億ドルの補償をしている。

この金額の使途を決定したのは韓国政府だ。

韓国政府には、それを徴用工や慰安婦の方など、戦争の被害にあわれた方に分配する選択肢も当然あった。

しかし、当時の朴正煕政権の最優先課題は経済復興であり、そこに資金が注がれた。

結果的に、韓国はベトナム戦争での米軍への協力の対価と相まって「漢江の奇跡」とも言われる経済発展を実現した。

そこでは、インフラ整備その他の点で日本政府からの補償が貢献した。

したがって、被害者個人への分配を優先しなかったのは韓国政府の国益を踏まえた判断だったわけだ。

先般、大統領職を追われた朴槿恵氏は朴正煕の娘であり、韓国の保守派にとってはこの事実が「脛に傷」となっている。

今日の韓国において、個人の請求権問題が再燃するのは、韓国国内にこのような政治的構図があるからだ。

そして、現在の韓国では司法も請求権の問題に積極的に関与している。

国際法の大原則をひっくり返してまで個人の請求権は消滅していないとするのは、人権意識の高まりという側面もあるのだが、韓国の司法の政治化しがちな現実を反映している。民間企業としての考え方


今後の日本政府や日本企業は、徴用工問題にどのように対処すべきだろうか。

まず、国のレベルでは、「戦争を終わらせる」ための原則から逸脱すべきではないだろう。

目の前に具体的な被害にあわれた方がいるときに、請求権の問題は解決済みという立場をとることは、いささか杓子定規に感じられるかもしれない。

けれども、それこそが人類が積み上げてきた知恵なのだ。

最近でも、ギリシャやポーランドがドイツに対して新たに補償を求めるような発言を行っている。

ありていに言って、EU内でドイツが突出した経済力や政治力を持ちつつあることへの嫌がらせなのだが、いつまでも戦争を終わらせないことは全く建設的ではない。

国家の一番の役割は、民間が自由に交流できるような平時をつくりだすことだからだ。

その上で、民間企業としての対応としてはリスクに見合った自己判断とならざるを得ないと思う。

事実の問題として、日本政府がどれだけ原則論を主張したとしても、例えば韓国国内で徴用工への請求権問題が「解決」することはないだろう。

仮に、政府間で合意が成立したとしても、民間企業が裁判の過程で被る費用や被害が補償されるわけでもない。

企業からすれば、その市場でビジネスをする際のリスクやコストと、市場のポテンシャルを天秤にかけた経営判断にならざるを得ないのだ。

その意味で、参考になるのが三菱マテリアルによる中国の徴用工の遺族達との和解ではないだろうか。

民間企業である三菱マテリアルは、非常にポテンシャルの大きい中国市場でビジネスを継続する上で、自らの経営判断として、被害者遺族と和解することを選択した。

日本企業にとって、アジア市場は主戦場だ。

日本企業は、日本という国が有する高品質、安心、信頼などのブランドを享受しながら競争している。

そして、日本ブランドには残念ながら負の側面があることもまた現実。日本政府は、北東アジアにおいて各国との友好関係を築ききれていない。

結果として、国家間の関係がうまくいかないことのコストは、残念ながら民間企業にのしかかってくることになる。

とすれば、企業に残された方針はただ一つ。民間の個々のプレイヤーは、国家レベルの原理原則論とは別のしたたかな経営判断に応じて、この問題を処理していくべきだ。


(執筆:国際政治学者 三浦瑠麗)