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対北制裁解除に前のめりの韓国外相、発言を謝罪

2018-10-11 17:56:22 | 日記
2018/10/11 10:02

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版



対北制裁解除に前のめりの韓国外相、発言を謝罪


与党代表「対北朝鮮制裁を解除?」 外交部長官「検討中」


 韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官は10日、国会外交統一委員会の外交部国政監査で、韓国独自の対北朝鮮制裁「5・24措置」の解除に関連、「関係部処(省庁)と検討中だ」と述べた。

政府当局者が5・24措置解除の検討に言及したのは初めてだ。

2010年3月の北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件に対抗して取られた5・24措置は、南北交易や北朝鮮への新規投資などを禁止する内容で、韓国独自の対北朝鮮制裁の中核だ。


■康京和長官「5・24措置解除を検討」→「聞いた話だった、申し訳ない」


 与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が同日、「観光自体は(国連安保理の)制裁対象ではなのではないか」と質問すると、康京和長官は「観光(自体)はそうではないが、そのために資金が流入するのは明らかな制裁対象だ」と答えた。

さらに、李海チャン代表が「金剛山観光が(安保理)制裁対象だから行けないのではなく、5・24措置で政府が禁止しているから行けないのではないか」とあらためて質問すると、康京和長官は「そうだ」と言った。


 李海チャン代表がその後、「5・24措置を解除する用意があるのか」と尋ねると、康京和長官は「関係部処と検討中だと聞いている」と述べた。

この発言は、政府として5・24措置の解除を検討しているという意味だと解釈できる。

李海チャン代表が質問し、康京和長官が答える形式だったため、与党内の「制裁緩和」に対する共通認識が反映されているのではないかという声も上がっている。

野党からはすぐに批判が出た。野党・自由韓国党の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員は「少なくとも、『天安』の遺族にまず聞き、理解を求めるのが順序だ」と言った。

「主務部処の統一部の長官でもない、外交部長官の発言で、非常に不適切だ」という叱責に、康京和長官は「汎政府的に検討しているということではなかった。

申し訳ない」と述べた。

謝罪・発言撤回要求が続くと、康京和長官は「(外交部が関係部処と共に検討しているのではなく)ほかの関係部処が検討中だと聞いたという意味だったが、間違って発言したようだ」と言った。

金剛山観光中止が、2008年の北朝鮮兵士による韓国人女性観光客射殺事件に伴うものではなく、5・24措置に伴うものだとした点についても、「事実関係とは異なる発言したことについて謝罪申し上げる」と述べた。

 しかし、実際に政府内で5・24措置解除議論が行われた可能性は高いと見られている。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、新政治民主連合代表だった2015年9月、その必要性に言及していた。

野党関係者は「事前に共通認識を持って国政監査の場で李海チャン代表と康京和長官が決められた通りの問答を交わしているに見えた」と言った。

南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学行政大学院長は「康京和長官の発言は『失言』というよりも南北経済協力を加速させようという政権の本音に近い」と語った。


■北朝鮮制裁解除に焦り見せる政府


 この日の康京和長官の発言に対して、「北朝鮮はまだ具体的な非核化措置を取ってもいないのに、韓国が先に制裁解除を検討するのは先走りすぎだ」との指摘が出ている。

北朝鮮が具体的な非核化後続措置を履行していない状況で、韓国政府が先に立って制裁を緩めるのは、国際協調に亀裂を入れる行為だという意味だ。

北朝鮮は「天安」爆破・沈没について認めたり謝罪したりしておらず、国連と米国の対北朝鮮制裁は解除されていない。


5・24措置が解除されたらすぐに南北交易が再開され、新規投資が許可されるわけではない。

国連安保理が北朝鮮の核・ミサイル資金に転用される恐れがある「バルク・キャッシュ」(大量の現金)の提供を禁止しているからだ。

しかし、象徴的措置として5・24措置が解除された場合、各種の経済協力・金剛山観光・開城工業団地再開も容易になるとの見方がある。

文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は昨年、「バルク・キャッシュ禁止条項は核・ミサイル兵器に転用されるという証拠がなければならない」とした上で、「国連制裁に違反しない方法を見つけられる」と言った。


 対北朝鮮制裁解除を前提とした政府の動きは加速している。

統一部は同日、先月の南北共同連絡事務所開所に合わせて、開城工団の浄水・排水施設を2年ぶりに再稼働

させたことを発表した。

また、同じく連絡事務所開所時、一部の資材・部品などの禁止品目を北朝鮮に持って行き、「制裁違反」騒動を引き起こした。

8月にはソウルから新義州まで列車を試運転して北朝鮮側の鉄道を共同点検するという計画が国連で不許可となり実現に至らなかった。


 康京和長官はまた、「(南北協力)の速度調整に関しては(米国側の)意見がある」として、韓米間に見解の違いがあることを示唆した。

米国務省は「南北関係進展は非核化の進展と共に進めるべきだ」という考えを持っている。

康京和長官は豊渓里の核実験場査察に韓国の専門家が参加することについて、「韓半島(朝鮮半島)平和交渉本部の傘下に、北朝鮮の核の検証チームを新たに作っている」と述べた。


【5・24措置】2010年3月26日に発生した北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件に対抗して韓国政府が打ち出した独自の対北朝鮮制裁措置。南北交易中止、対北朝鮮新規投資禁止、北朝鮮船舶の韓国海域運航不許可、対北朝鮮支援事業の原則保留などが盛り込まれている。



朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

南北鉄道事業と軍事合意、米国が韓国に強く抗議

2018-10-11 13:36:31 | 日記
記事入力 : 2018/10/11 10:04

南北鉄道事業と軍事合意、米国が韓国に強く抗議

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

米国のポンぺオ国務長官は先月17日に韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官と電話会談を行い、韓国政府が米国との調整なしに南北関係で先走っていることに強い不満を表明していたことが10日までに分かった。

ワシントンの事情に詳しい韓国の外交筋は10日「ポンペオ長官は南北首脳会談で合意した内容について事前に連絡を受けた際、米国に重大な影響を及ぼす問題で調整が行われなかったことに怒りをあらわにした」とした上で「康長官との電話会談でポンペオ長官は激しい口調で露骨に不満を伝えた」と明らかにした。


 この外交筋によると、ポンペオ長官が特に問題視したのは、平壌宣言の中にある「南北の鉄道連結事業の年内着工」と「板門店宣言の実現に向けた軍事分野での合意」の二つだったという。

上記の外交筋は「いずれも米国による対北朝鮮制裁戦略と韓米軍事体制に大きな影響を及ぼしかねない内容だが、韓米間で事前の調整は全く行われなかったようだ」

「この重大な問題で勝手に北朝鮮と合意しておきながら、米国に伝えたのは発表の直前だった。この点をポンペオ長官は問題視した」と説明した。


 ポンペオ長官との電話会談が行われた際、康長官はこれらの合意について詳しい内容を把握していなかったことも分かった。

そのためポンペオ長官はしばらく時間が過ぎた17日になって再び康長官に電話をかけた。

直後に米国務省は電話会談が2回行われた事実を直ちに公表したが、韓国外交部は当初1回目の会談しか公表せず、米側が公表してから2回目についても公表した。


 韓国外交部は

「ポンペオ長官が怒りをあらわにしたとの報道は事実ではない。韓国政府は南北軍事会談など、軍事分野での合意の際には全てのプロセスにおいて米国と緊密に調整してきた」と反論した。

しかしその後に行われた国政監査で「ポンペオ長官は電話会談で南北軍事合意に強い不満を表明したのか」との質問に康長官は「そうだ」と述べ、一部をすでに認めている。

ただし「ポンペオ長官は抗議の際に暴言を吐いたのか」との質問には「それは違う」と否定した。

しかし日本経済新聞も「ポンペオ長官は怒りをあらわにした」と報じている。

同紙の記事によると、ポンペオ長官は先月の南北軍事合意の内容を見て康長官に電話をかけ「一体何を考えているのか」と問い詰めたという。

日本経済新聞は「米軍としては到底受け入れられない内容ばかりだが、韓国側から詳しい説明も意見交換も行われなかった」と伝えた。

合意の中には非武装地帯(DMZ)における飛行禁止区域の拡大や共同警備区域(JSA)の非武装地帯化など、国連軍司令部や米軍との協議が必要な項目もあった。

中でも米国はDMZ飛行禁止区域の拡大を特に問題視したという。

在韓米軍はこの地域でドローンを活用して朝鮮人民軍の動向を監視しているからだ。

しかし飛行禁止区域が拡大すれば、ドローンに目隠しをされるのと同じようなものだという。


 日本経済新聞によると、南北合意には「韓米合同軍事演習を大きく制限する」との項目もあることから、米議会では「韓国はすでに在韓米軍は不要と考えているのでは」といった声も上がっているようだ。


 日本経済新聞はさらに「北朝鮮の核武装という最悪のシナリオに直面するかどうかという大きな山が近づいている」としながらも「韓国が南北関係を一気に前面に出したことで、北朝鮮に対する制裁の包囲網はもはや風前のともしびだ」などとも指摘した。


 米国との対立が深まる中国とロシアは北朝鮮を擁護している。

これに韓国まで米国や日本とたもとを分かてば、「米国・日本」対「韓国・北朝鮮・中国・ロシア」という構図が形成されるとの懸念も日本経済新聞は指摘した。


 「韓米関係に問題なし」とする韓国外交部の説明は、米国内の雰囲気とも矛盾する。

在韓米軍司令官に指名されたロバート・エイブラムス氏は南北首脳会談のわずか数日後、米議会上院軍事委員会で行われた聴聞会で「DMZ内の全ての活動は国連軍司令部の所管だ」と明言した。

これは南北軍事合意に対する不満を表明したものと受け止められている。

エイブラムス氏は「彼ら(韓国と北朝鮮)が対話を続けるのは当然あり得る」としながらも「全ては国連軍司令部によって仲介、審査、査察、履行されなければならない」とも証言した。

別のある外交筋は「韓国政府と米国政府の間で事前の調整が行われていれば、このような反応は出なかったはずだ」と指摘した。




朝鮮日報/朝鮮日報日本語版