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「戦後最悪の日韓関係」2020年はさらに波乱に満ちている理由とは

2020-01-01 15:05:35 | 日記

「戦後最悪の日韓関係」2020年はさらに波乱に満ちている理由とは

文春オンライン / 2020年1月1日 6時0分                

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2019年1月10日、毎年恒例の年頭記者会見に臨んだ文在寅大統領 ©︎getty                    

「戦後最悪の日韓関係」

この言葉が昨年、2019年ほど頻繁に使われたことはなかっただろう。この年には実際、さまざまな出来事が存在した。

はじまりは2019年1月10日、毎年恒例の韓国大統領の年頭記者会見だった。

この記者会見にて、元徴用工問題への今後の対応について尋ねられた文在寅は、「裁判所が決定したものだからどうしようもない」として、具体的な対応を取る意思がないことを明らかにした。「意図的な問題放置」に日本政府の苛立ちは高まった

 このような韓国政府の対応は、同じ月には大統領官邸の関係者が、元徴用工問題に関わる韓国大法院(日本の最高裁に相当)の判決が出された直後の2018年秋には真剣に検討されていた「財団案」――判決により定められた日本企業の慰謝料支払いを日韓両国が何らかの財団を作って肩代わりする案――を「検討に値しない」として切り捨てる形となって表れた。

韓国政府はその後、日本政府が「日韓請求権協定」に定められた手続きに則って行った外交的協議にも応じることはなく、この問題を放置したまま留め置いた。

このような韓国政府の「意図的な問題放置」に日本政府、世論の苛立ちは高まった。

結果、日本の首相官邸は各省庁に韓国政府に圧力をかけ得る措置を打診した挙句、経済産業省がかねてから抱えてきた、一部半導体関連物品の輸出規制措置(いわゆる「ホワイト国除外」)をその手段として利用することになる。

経済産業省はこの措置は元徴用工問題とは無関係である、という公式的立場を取ったものの、その建前とは別途に、菅官房長官をはじめとした日本政府関係者がわざわざ、そして繰り返し明らかにしたように、その背後に「元徴用工問題をめぐる信頼感の毀損」があることは誰の目にも明らかだった。

必然的に国際社会をも巻き込むように

重要なのは、この結果、日韓両国の対立が従来の歴史認識問題を中心とするものから、経済的分野にまで拡大した点だった。

そしてその対立は8月22日、韓国政府が日韓両国間のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を通告することで安全保障分野にまで拡大することになった。

結局、GSOMIAそのものは、アメリカ政府からの強い圧力を受けたこともあり、協定失効直前の11月22日、韓国政府が「破棄通告の効力を停止」を発表して当面の間は破棄を免れたものの、依然としてこの問題をめぐっても両国間の対立は継続されることとなっている。

さて、このような2019年の日韓関係を顧みた際に重要なのは、両国の対立が歴史認識問題から経済問題や安全保障をめぐる問題にまで拡大した結果、必然的に国際社会をも巻き込むようになった点である。

例えば、日本が行った輸出管理措置の発表に対して、韓国政府がWTO(世界貿易機関)への提訴を行ったように、貿易については一定の国際的なルールがあり、よくも悪くもこの措置の是非は、最終的には国際的なルールに沿ってしか判断され得ない。

安全保障をめぐる問題は、日韓両国共通の同盟国であるアメリカのみならず、再び強硬姿勢を見せつつある北朝鮮や、アメリカとの対立を深める中国の動向にも影響を与えている。

アメリカ政府からの圧力が働いたのではいか

そしてだからこそ、2020年の日韓関係もまた、両国間の関係のみならず、国際社会をもにらみながら展開されることになる。問題はそれが果たして、この問題を良い方向へと導くか否かである。

例えば、毎日新聞元ソウル支局長の澤田克己氏は『エコノミスト・オンライン』誌上にて、韓国政府が「GSOMIA破棄通告の効力を停止」した背景には、韓国政府のみならず、日本政府に対してもアメリカ政府からの圧力が働いたことがあったのではないか、という見方を示している。

即ち、すでに8月の段階でアメリカ政府は、日韓両国にGSOMIAに手を付けない代わりに、日本が「規制強化の対象となった半導体素材3品目のうち1品目の輸出許可を出し」「韓国の輸出管理体制に関する日韓協議を始める」ことを求める提案を内々に行っており、両国は結局、このアメリカが提示した線で妥協を余儀なくされたのではないか、というのである。

この観測がどの程度の的を射ているかはともかく、そもそも、「元徴用工問題での満足できる提案なしには首脳会談には応じない」と主張し、自らがホスト役として迎えたG20においてすら文在寅との会談を拒否してきた日本政府からすれば、仮に日中韓首脳会談に付随するものだとしても、日韓首脳会談に応じたことは従来の立場からの「譲歩」に見える。

日韓両国がこの国際環境を上手く利用すれば……

どの程度の圧力があったかは別にせよ、背後に、北朝鮮や中国との対立が深まる状況下で、自らの二つの同盟国がいつまでも続ける争いへのいら立ちがアメリカ側にあることは明らかであり、日韓両国はその顔色をうかがうことなくして、互いへの強硬なカードを切り続けることが難しくなっている。

そしてそのことは日韓両国の対立が既にそれ自身「独立変数」として存在するのではなく、アメリカや他国との国際関係の「従属変数」になりつつあることを意味している。

だが同時にそのことは日韓両国がこの国際環境を上手く利用すれば、深刻化する対立を緩和して、この問題を自らの望む方向での解決に導き得る可能性があることを意味している。だが問題は、果たして両国にそれが可能な国内環境がどの程度あるかである。

この点において、多くの足枷を抱えているのは、日本政府よりも韓国政府の方だろう。

何故なら、日本の安倍政権にとって2020年は、自らが進んで衆議院解散のカードを切りさえしなければ、大きな国政選挙が予定されていない年に当たっており、世論から比較的自由に自らの望む政策を行える状況にある。

加えて安倍政権にとっては、念願の東京五輪を無事終えるまでは、国際問題において大きなギャンブルを行うことは避けるべき状況も存在する。

与党自民党内において大きな対抗勢力を有さない状況で、早期の政権交代は考えにくく、そのような安倍政権にとって日韓関係で殊更に大きなリスクを負う必要があるとは思えない。

4月の国会議員選挙で敗れれば、政権は一挙にレイムダック化する

しかしながら、文在寅政権の置かれている立場は違う。2020年の韓国の政治スケジュールにおいて最も重要なのは4月に行われる国会議員選挙であり、この選挙で勝利するか否かによって、政権のその後の命運は大きく左右されることになる。

仮に文在寅が、自ら与党「共に民主党」内のヘゲモニーを握ったままで候補者選考を行い、更にこの選挙に勝利すれば、国会は自らに近い勢力で占められることになる。

現在の韓国与党は、国会過半数に満たない勢力しか有していないから、そうすれば選挙により今よりも遥かに強力な政権基盤が形作られる。

他方、この選挙で与党が敗れ、野党「自由韓国党」に過半数を奪われる事態になれば、政権は国会での足場を失い、一挙にレイムダック化する。

また、選挙戦に至るまでの過程で文在寅が党の統制を失い、自らに敵対する勢力が与党の候補者選びで影響力を振るう状況になれば、仮に与党が選挙にて勝利した場合でも、大統領による与党の統制は不可能になる。

李明博政権や朴槿恵政権において見られたように、韓国の大統領のレイムダック化に至る過程で最も大きな影響を持つのは、与野党の勢力バランス以上に、大統領と与党の関係である。

何故なら、与党の主導権が自らに反する勢力に握られてしまえば、大統領は国会内での支持者をほぼ完全に失い、法案も予算案も自らの思うままに通せない状況になるからである。

現状においては文在寅政権の支持率は48.3%(リアルメーター調べ)と極めて高く、与党「共に民主党」の支持率も野党「自由韓国党」を10%近く上回っている。

しかし、国会議員選挙までまで3カ月以上の期間が存在し、この選挙まで高支持率を維持できるかが、日韓関係にも大きな影響を与えることになる。

韓国世論の8割以上がトランプ政権の要求を「認めるべきではない」

だからこそ、この選挙に至るまでの過程で、文在寅はアメリカをはじめとする国際社会の反応以上に、国内世論の動向に敏感にならざるを得ない。

そして文在寅政権の2020年の外交を考える上で最も大きな懸念材料は、この国内世論が――日本のみならず――アメリカへの反発をも強めている点である。

背景にあるのは、トランプ政権が従来の5倍という巨額の在韓米軍負担経費を求めていることである。

韓国の有力テレビ局MBCがコリアリサーチに依頼して行った2019年11月の世論調査によれば、在韓米軍負担経費引き上げの要求を「認めるべきではない」と答えた人は83.2%。対して米韓同盟の重要性に鑑みてこれを認めるべきだと答えた人はわずか11.4%にしか過ぎない。

この背景にあるのは、在韓米軍に対する韓国人の考え方の変化である。同じ調査では、実に55.2%が「在韓米軍が削減しても構わない」と答えており、「北朝鮮の脅威に備える為に削減は防がなければならない」と答えた人は40.1%しか存在していない。

GSOMIA破棄問題の際には、アメリカの圧力に押されてこれを事実上撤回した文在寅政権が、果たして今後も同様の圧力の下、日本との融和へと進むのか。

それとも、強硬な世論に押されて、日本のみならず、その背後に控えるアメリカとの関係をも打ち壊していくのだろうか。そして、アメリカの圧力からも解き放たれた時、文在寅政権の外交政策は世論に押されて更に迷走を深めることになるだろう。

在韓米軍負担経費をめぐる交渉の期限は迫っており、韓国政府は早々にも大きな決断を迎えることになる。2020年の日韓関係はこの米韓関係の「従属変数」として、更に波乱に満ちたものになりそうだ。

(木村 幹)


「日韓関係が大きく好転することはない」2020年の混迷する世界を地政学で読み解く!

2020-01-01 14:55:02 | 日記

「日韓関係が大きく好転することはない」2020年の混迷する世界を地政学で読み解く!

文春オンライン / 2020年1月1日 6時0分                

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                        中西輝政・京都大学名誉教授 ©文藝春秋                    

「2019年に始まった『韓国の暴走』と日韓関係の混迷は、日本が韓国に見限られてきたことに起因している。ですから、残念ながら2020年も日韓関係が大きく好転することはない」

元徴用工の補償問題、韓国国内での不買運動、さらには日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄問題など、2019年は韓国から日本に対する強硬策が次々に繰り出された1年だった。

では、2020年の日韓関係はどうなるのか――。冒頭のように予測するのは、国際政治が専門の中西輝政・京都大学名誉教授だ。

2020年は1月11日に行われる台湾総統選に始まり、1月末にもイギリスのEU離脱が現実のものとなる見込みだ。

4月には文在寅政権の今後を占う韓国の総選挙、さらに夏の東京オリンピックが終わると、11月に米大統領選挙を迎える。

 2020年という国際政治の節目の年に何が待ち受けているのか。その展望について、「週刊文春デジタル」では中西氏にインタビューした。

対韓国外交が「令和」日本の道筋を決める

「戦後最悪の状況」とされる日韓関係をめぐるニュースは年末まで続いた。

12月24日、1年3カ月ぶりに行われた日韓首脳会談では、安倍首相と文在寅大統領との間で、徴用工問題についての駆け引きが続いた。

文大統領は韓国政府が判決には関与できないという従来の立場を強調するにとどまり、解決の糸口は相変わらず見つからない状況だ。

 12月27日には、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について、韓国の憲法裁判所が「日韓合意に履行義務はない」との見解を示した。

日本政府が求める合意履行の義務を骨抜きにしたともいえる内容だった。

 ただ、中西氏は、日韓の政界だけでなく、経済界、さらには国民をも巻き込んで過熱する日韓対立について、「これまでよりも慎重かつ冷静に考察することが必要不可欠」とした上で、次のように警鐘を鳴らしている。

「『韓国の暴走』が、令和という時代の行方を大きく方向づける“事件”になりかねない気がしてなりません。

近代日本の進路を方向づけたのは、明治初頭の日本が、朝鮮半島の内紛に巻き込まれ、日清・日露の戦争を余儀なくされ、その流れが、結局、昭和の敗戦につながりました。

このことを教訓にしつつ、今後の日韓関係の調整に努めねばなりません」

中西氏が「韓国の暴走」を引き起こした原因として挙げるのが、「国際政治におけるパワーバランスの大きな変化」。

特に、日韓関係から透けて見えてきた「アメリカの弱体化」について、次のように指摘する。

「2019年11月下旬の日韓GSOMIA延長をめぐる米韓の交渉は、近年のアメリカ外交でも類を見ないくらいの強引さでした。

アメリカは、世界中が見ている前で、力尽くで何とか韓国をねじ伏せ延長させた。

しかし、これはアメリカ自身が追い詰められた末の、『窮余の一策』としてのゴリ押しだったと言ってよいでしょう。

実は、8月のGSOMIA破棄決定の寸前まで、アメリカの政府中枢では意思決定が空転していたのは間違いありません。

あのままでは、韓国にも中国からの影響が一段と強まる一方だったのに、アメリカはリーダーシップを取れなかった。

アメリカの覇権の弱体化をまざまざと白日の下に晒す出来事でした。朝鮮半島をめぐる米、中の綱引きは今後も一層、強まるでしょう」

“裸の王様”の中国は「10年もたない」

韓国と並んで、2020年の日本に大きな影響を与えそうなのが中国。

中西氏が注目するのは、習近平というリーダーのリスク。

指導者としての資質に欠ける習近平の元で、ここまで経済成長で包み隠されてきた中国の抱える矛盾が噴出するのではないかと言うのだ。

「これまで急激な成長を続けてきた中国ですが、私は、2020年代は『大きな曲がり角』を迎えると考えています。

2019年の中国の外交をみていると、『この体制では中国はもう10年ももたない』と考えざるを得ないからです。

習近平を中心とする指導部はすでに“裸の王様”で、国家意思の漂流が始まっている」

習近平政権は、香港の大規模デモへの対応でも失敗し、アメリカとの貿易交渉でも“失点続き”だった。

「これらの経緯を見ると、今の習近平政権が目の前で起きていることの意味がうまく理解できず、つねに状況判断が後手になって事態を必要以上に悪化させていることがわかります。(略)

習近平は、毛沢東はおろか鄧小平とさえ比すべき業績も何もない、いわば『ぽっと出』の背伸びした指導者です。

その彼が『汚職撲滅』を旗印に独裁的な権力を振るって次々と政敵を捕まえ、強権的な共産主義に戻るような政治指導をしても、結局のところ無理があり、このままでは長続きしないでしょう。

いつ反対勢力が、頭をもたげてきてもおかしくない状況です」

そして、2020年代の中国の存在を、中西氏は次のように結論付けた。

「こう考えていくと、『超大国・アメリカ』を凌駕する存在として、中国が2020年代に世界の覇者として君臨するとは考えにくい」

中西氏は、そのほかにも、インタビューの中で、

トランプ弾劾とアメリカ大統領選の行方、中国が抱える経済リスク、韓国総選挙と北のミサイル、ブレグジットの今後、ドイツでの極右台頭など、

2020年の世界を左右する状況を分析。さらには、安倍総理が果たすべき「世界史的使命」についても提言している。

中西氏のインタビュー全文「《1万字でわかる2020年の地政学》『韓国・文在寅の暴走』は米中のパワーバランス崩壊が生んだ“大事件”だった!」は、「 週刊文春デジタル 」で公開している。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)


とうとう検察・警察の上に君臨する捜査機関登場

2020-01-01 13:54:54 | 日記

とうとう検察・警察の上に君臨する捜査機関登場

 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 韓国の与党共に民主党と与党支持勢力は30日、国会本会議で「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」の設置法案を可決した。

検察、警察などの捜査機関の上に君臨し、「屋上屋を架す」組織が誕生した格好だ。

野党自由韓国党は「独裁打倒」を叫んで抗議した。

しかし、民主党は正義党、民主平和党などと組み、来年度予算案、公職選挙法改正案に続き、公捜処設置法案まで相次いで強行採決した。

 

 韓国の与党共闘である「4プラス1協議体」(共に民主党、正しい未来党主流派、正義党、民主平和党、代案新党)は同日午後、本会議で韓国党が議場から退場した中、与党勢力が合意した公捜処設置法案を出席議員177人のうち賛成160、反対14、棄権3で可決した。

4プラス1協議体の内部では正しい未来党の朴柱宣(パク・チュソン)議員だけが唯一反対票を投じ、検事出身の民主党の琴泰燮(クム・テソプ)議員、未来党の金東チョル(キム・ドンチョル)議員、李相敦(イ・サンドン)議員が棄権した。

 

 同日可決された公捜処設置法案は、「幹部公務員の不正事件は他の捜査機関と重複した場合、公捜処に捜査優先権を与える」ことを柱としている。

検察などは幹部公務員の犯罪を認知した場合、直ちに公捜処に通告しなければならず、公捜処長が事件の移管を要請した場合には従わなければならない。

公捜処の捜査対象は大統領、国務総理(首相)、国会議員など次官級以上の政務職公務員、広域団体長(上級地方自治体の首長)、判事、検事、警務官以上の警察官などだ。

検察、検事、判事については、公捜処が直接起訴する。

公捜処長は推薦委員会の委員7人のうち6人の賛成で2人を推薦し、大統領が1人を任命する仕組みだ。

政界からは大統領が人事権を握った公捜処が民主社会のための弁護士会(民弁)出身者中心の与党寄りの捜査機関になり、検察や警察を統制する絶対的な権力を行使するのではないかとする懸念が高まっている。

 

 青瓦台のコ・ミンジョン報道官は「歴史的な瞬間」だとし、「国民が検察の恣意(しい)的で威圧的な権限行使に対するけん制とバランスが必要だと判断したものだ」とコメントした。

これに対し、韓国党は公捜処法案の処理に反発し、議員総辞職を決議した。

沈在哲(シム・ジェチョル)院内代表は「公捜処は政権の不正隠ぺいを図る機関であり、親文在寅(ムン・ジェイン)勢力の犯罪をかばう機関になる」と批判した。

        

     

韓国、「OECD最低圏」去年の名目成長率予想、なんと1.4%「日本を下回る」あ

2020-01-01 13:41:00 | 日記

勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2020-01-01 05:00:00

韓国、「OECD最低圏」去年の名目成長率予想、なんと1.4%「日本を下回る」あ

テーマ:ブログ

昨年7月以降の「反日不買運動」で、韓国は日本に大きな打撃を与えたと喜んでいた。

日本製ビールを初めとして、徹底的に「メード・イン・ジャパン」を排撃したと胸を張っていた。

「韓国は独立を守れなかったが、反日不買はできる」と敵討ち精神であったのだ。

当欄では、反日不買が必ず、消費者心理を不安にさせるので、個人消費に影を落とすはずだ、と指摘してきた。どうやら、そういう結果になったようである。

 

OECD(経済協力開発機構)による昨年の最新名目GDP成長率予測は、前年比1.4%にとどまった。

韓国統計庁発表の昨年の消費者物価指数は、0.4%の伸びに過ぎなかった。

単純に言えば、昨年の実質GDPは僅か1%成長に止まることになろう。

これは、衝撃的な話である。

文政権の大幅最低賃金引き上げと輸出不振、それに「反日不買」に伴う不安心理が消費を直撃した。

「人を呪わば穴二つ」で、韓国自身がその穴に飛び込んで大損をしたのである。

 

『朝鮮日報』(12月31日付)は、「過去57年で初めて日本に負けた成長率、OECDでビリになった韓国経済」と題する社説を掲載した。

 

(1)「韓国は物価上昇を反映する名目経済成長率が今年は1.4%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国で34位にとどまる見通しだという。

2017年の16位から18ランクも後退し、過去57年で初めて日本(1.6%)にも抜かれた」。

 

昨年の名目成長率予想が、OECD予測では1.4%増である。

日本の1.6%増(同)を下回ったと悔しがっている。

何でも、日本を上回らなければ気の済まない韓国だ。切歯扼腕(せっしやくわん)しているに違いない

 

(2)「これまで韓国経済は悪材料に直面してもすぐに反発する復元力を誇ってきた。

オイルショック当時の1980年に1.7%に落ち込んだ成長率は翌年7.2%を記録。

通貨危機当時の98年にはマイナス5.5%まで低下したが、翌年には11.5%の成長を達成した。世界的な金融危機の際にも0.8%から6.8%へと急反発した」

 

過去は、GDP成長率が急落しても、反発力が強くすぐに回復した。

これは、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率が上昇局面(人口ボーナス期)であったからだ。

2015年以降は、生産年齢人口比率が下降局面(人口オーナス期)入りしている。この結果、景気反発力は低下している。

こうした人口動態変化を計算に入れなければならない。

 

韓国の総人口に占める生産年齢人口比率

2010年 73.21%

  11年 73.28%

  12年 73.35%

  13年 73.40%

  14年 73.41%  ピーク

  15年 73.36%

  16年 73.16%

  17年 72.92%

  18年 72.61%

(資料:世界銀行)

 

韓国経済が15年以降、人口オーナス期入りしている現実を認識すれば、文政権による経済政策の失敗は大きな傷跡を残すはずだ。

韓国経済は、「初老期」に入っている。

 

(3)「現政権が発足して以降は通貨危機のような突発的事態がないにもかかわらず、経済の不振が続いている。

政府は米中貿易戦争のせいにするが、他国は同じ影響を受けながらもよく持ちこたえている。

米国だけでなく、欧州、日本の株式市場は好調で、デモに直面している香港の株価も年初来12%上昇した。

これに対し、韓国の総合株価指数(KOSPI)の上昇率は3.6%にとどまり、86カ国中で58位だ」

 

韓国株価の不振は、企業業績が低調であることを反映している。

新年は全業種の格付けが引下げられる方向だ。このような状況で、株価が本格的に上がるのは難しいであろう。

 

(4)「一連の反企業・反市場政策は企業の意欲をそぎ、経済の活力を失わせている。

政府は企業ではなく、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と同じ船に乗った。

世界で最も厳しい環境・安全規制が加わり、企業の代表理事(代表取締役)になった瞬間に2200項目もの刑事処罰法規の対象になる。

国民年金までもが経営に干渉すると宣言し、怖いものがない強硬労組は企業の理事会(取締役会)の掌握を試みている。

「韓国経済が社会主義化している」という言葉が現実化し、多くの企業が生産拠点を海外に移転したり、移転する準備を進めたりしている。

韓国に投資しようとしていたグローバル企業は他国に投資先を変えている。

「団体トップは新年のあいさつで「企業が政治に足を引っ張られた」「再起するのか、沈むのかの岐路に立っている」などと訴えた。それでも何の反応もないことだろう」

 

文政権は、企業経営に大きな制約条件をかけている。

「企業性悪説」であり、企業に自由度を与えると労働者や消費者を食いものにするという、「古典的な企業観」である。

これが、労組の経営介入を許すという本末転倒の事態を招いている。労使は、節度ある態度で臨むべきだ。労組の経営権挑戦は、百害あって一利なしである。

 


【朝鮮日報】 過去57年で初めて日本に負けた成長率、OECDでビリになった韓国経済

2020-01-01 13:12:01 | 日記

【朝鮮日報】 過去57年で初めて日本に負けた成長率、OECDでビリになった韓国経済

 
 
 
 

 米ニューヨーク株式市場では先週、株価が再び過去最高値を更新した。

アップル、アマゾンなど新技術を持つ企業がイノベーションの力で成長エネルギーを創出し、それをトランプ政権が減税と親企業政策で後押ししたおかげだ。

一方、韓国は物価上昇を反映する名目経済成長率が今年は1.4%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国で34位にとどまる見通しだという。

2017年の16位から18ランクも交代し、過去57年で初めて日本(1.6%)にも抜かれた。  

これまで韓国経済は悪材料に直面してもすぐに反発する復元力を誇ってきた。

オイルショック当時の1980年に1.7%に落ち込んだ成長率は翌年7.2%を記録。

通貨危機当時の98年にはマイナス5.5%まで低下したが、翌年には11.5%の成長を達成した。

世界的な金融危機の際にも0.8%から6.8%へと急反発した。

しかし、現政権が発足して以降は通貨危機のような突発的事態がないにもかかわらず、経済の不振が続いている。

政府は米中貿易戦争のせいにするが、他国は同じ影響を受けながらもよく持ちこたえている。

米国だけでなく、欧州、日本の株式市場は好調で、デモに直面している香港の株価も年初来12%上昇した。

これに対し、韓国の総合株価指数(KOSPI)の上昇率は3.6%にとどまり、86カ国中で58位だ。

 一連の反企業・反市場政策は企業の意欲をそぎ、経済の活力を失わせている。

政府は企業ではなく、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と同じ船に乗った。

世界で最も厳しい環境・安全規制が加わり、企業の代表理事(代表取締役)になった瞬間に2200項目もの刑事処罰法規の対象になる。

国民年金までもが経営に干渉すると宣言し、怖いものがない強硬労組は企業の理事会(取締役会)の掌握を試みている。

「韓国経済が社会主義化している」という言葉が現実化し、多くの企業が生産拠点を海外に移転したり、移転する準備を進めたりしている。

韓国に投資しようとしていたグローバル企業は他国に投資先を変えている。

経済団体トップは新年のあいさつで「企業が政治に足を引っ張られた」「再起するのか、沈むのかの岐路に立っている」などと訴えた。それでも何の反応もないことだろう。