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独裁へ突き進む文在寅 青瓦台の不正を捜査中の検事を“大虐殺”

2020-01-27 16:55:17 | 日記
青瓦台の不正捜査する検事を一斉に閑職 独裁化する文在寅政権

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月21日 12時30分


ざっくり言うと

文在寅政権が独裁に向けて暴走していると鈴置高史氏が解説する
8日に青瓦台の不正を捜査する検事を、一斉に閑職に追い込んだという
この件を韓国保守系紙は「大虐殺」などと呼び、報じているそう

独裁へ突き進む文在寅 青瓦台の不正を捜査中の検事を“大虐殺”



2020年1月21日 12時30分
デイリー新潮

秋美愛法務部長官(Transitional Justice Working Group/Wikimedia Commons)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が独裁にひた走る。青瓦台(大統領府)の不正を捜査する検事を一斉に閑職に追い込んだのだ。検事や裁判官を含む高官監視組織の新設に続く暴走だ。韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。

青瓦台を捜査する検事を飛ばしてどこが悪い

鈴置:1月8日、韓国の法務部は最高検察庁の幹部、32人を地方などに左遷しました。文在寅大統領の側近の不正を捜査していた検事は全員、職を解かれました。保守系紙は「大虐殺」と呼んでいます。

 12月30日の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)――日本では「高官不正捜査庁」などと訳されますが――の設置法の強行採決に続く動きです(「文在寅政権が韓国の三権分立を崩壊させた日 『高官不正捜査庁』はゲシュタポか」参照)。

秋美愛法務部長官(Transitional Justice Working Group/Wikimedia Commons)

「高位公職者」には検事や裁判官を含みます。文在寅政権はまず昨年末に「政権が気にいらない捜査をしたり判決を下せば、牢屋にぶちこむぞ」と脅す体制を整えた。そして今年に入るとすぐに、気にいらない検事の粛清に乗り出したのです。

 1月14日の新年の会見で、この人事に関し聞かれた大統領は「検察の人事権は法務部長官と大統領にある」「検察が特定の事件だけを選んで熱心に捜査すれば、国民の信頼を失う」と答えました。青瓦台を捜査する検事を飛ばしてどこが悪いのか、と開き直ったのです。

指揮権発動よりも陰湿

――指揮権発動ですね。

鈴置:それよりもたちが悪い。人事権を用いることで、事実上の指揮権発動を偽装するという、陰湿でせこい手を使ったのです。

文在寅政権の三権分立破壊

 確かに、検事の人事権は大統領にあります。しかし、検察庁法の34条は「人事案に関しては法務部長官が検事総長の意見を聞いた後に大統領に上げる」よう定められています。

 保守派は同条項を掲げ、「秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の意見を聞かずに発令したから、今回の人事は無効」と主張しています。

 一方、政権側は「秋美愛長官が尹錫悦総長を呼び出して人事案を提示しようとしたのに、面会を拒否された」と説明。尹錫悦氏を懲戒する姿勢を見せています。

 翌1月9日に秋美愛長官が、部下に対し「懲戒するための法令を探せ」と指示しました。国会本会議場でスマホに「指揮監督権限の適切な行使のための懲戒関連法令を見つけておいて下さい」と書きこんでいる姿が、毎日経済新聞のカメラに収められたのです。

「<単独>秋美愛『懲戒関連法令を探せ』と指示…尹錫悦を狙ってか」(1月10日、韓国語版)でその写真を見ることができます。

 政権とすれば、検察の先頭に立って文在寅政権の不正を暴く尹錫悦検事総長を辞めさせたい。しかし検事総長の任期は2年間と決まっています。尹錫悦氏は2019年7月に就任したばかりで、今すぐには首にできない。

 そこで秋美愛長官の呼び出したのに応じなかったことを「抗命」とみなし、処分に動いている――あるいはそう見せて牽制したのです。

検事を皆殺し、今は独裁時代か

――泥仕合になってきましたね。保守派は引き下がれないでしょう。

鈴置:もちろん、保守派は死に物狂いで抵抗しています。検察を左派が握れば、文在寅政権の不正を暴けなくなるだけではありません。自分たちが監獄に放り込まれるからです。

 この政権がスタートして10カ月後の2018年3月の段階で、前の保守政権時代に長官・次官級のポストを歴任した11人が収監されました。大統領の2人は除いてです。

 朝鮮日報の「懲役合計100年 『積弊士禍』の陰の理由」(2018年3月22日、韓国語版)が報じた数字です。

 保守の最大手紙、朝鮮日報は社説で「独裁時代に戻った」と非難しました。「『青瓦台の捜査は任せた』と言っておいて、検事を皆降格、今は独裁時代か」(1月9日、韓国語版)の前文の最後が以下です。

・大統領の不法疑惑と大統領側近の不正を捜査するや否や、人事権を振りまわして報復を加え、強制的に捜査から手を引かせたのだ。独裁国家でしか起きないようなことが「民主化運動」政権で繰り広げられている。

権力の私物化、李朝時代に戻った

 朝鮮日報はこの後も連日、ある日は1日に2本もの社説で権力の私物化を攻撃しました。韓国語版を要約しつつ訳します。

・文在寅政権の不正を捜査していた尹錫悦検事総長の参謀たちの「大虐殺」が行われる一方、政権に近い検事が大挙、要職を占めることになった。ソウル地検の検事正には文大統領と共に働いたことのある、大学の後輩が任命された(「検察の捜査陣を飛ばしても『青瓦台の不正』が消え去るわけではない」=1月10日)

・権力を狙った捜査を妨げる司法妨害は、米国の大統領弾劾のもっとも重要な要件である。ニクソン(Richard Nixon)大統領はウォーターゲート事件を捜査していた特別検事を解任したことで弾劾の危機に瀕し、辞任に追い込まれた。尹錫悦捜査陣を虐殺した「1月8日事件」の本質も変わるところがない(「夢の中でも起きないことをやってのけた政権、正気に返れ」=1月10日)

・政権側が「抗命」を理由に尹錫悦総長に職を辞すよう圧迫している。王命に逆らった罪を犯したとして、李氏朝鮮時代の義禁府(捜査機関)に連れて行かれるのと同じだ。検察が国民の信頼を失ったのは、権力に屈従してきたからだ。だから検察改革は権力からの独立が出発点となった。ところが政権側は検察が権力に屈従せず「抗命」したと言うのである。泥棒が自分を捕まえようとする検察の捜査陣を空中分解させておいて「検察の抗命」に話をすり替えようとしているのだ(「『王命に逆らうのか』、李氏朝鮮時代に戻った民主化政権の憤怒」=1月11日)

 同じ保守系紙ながら、朝鮮日報と比べれば穏健な東亜日報や、一時は文在寅政権に近寄り「中立系紙」と見なされるようになった中央日報も、今回の検察人事に関しては社説で厳しく批判しました。

 東亜日報の社説の見出しは「現権力を捜査中の検事総長の手足をすべて奪う、検察人事の暴挙」(1月9日、韓国語版)でした。「暴挙」と言い切ったのです。

 中央日報の社説の見出しも負けず劣らず激しいものでした。「暴圧的な検事の人事、正義が虐殺された」(1月9日、韓国語版)です。

「三権分立の崩壊」を書かないハンギョレ

――左派系紙は?

鈴置:ハンギョレも社説「検察の『破格の人事』、『公正な捜査』が保障されねばならぬ」(1月8日、韓国語版)で「この人事が捜査に影響を与えてはいけない」と主張しました。

 者国(チョ・グッ)前法務部長官の疑惑には国民の怒りが爆発しました(「者国法務長官が突然の辞任 それでも残るクーデター、戒厳令の可能性」参照)。

 それにもかかわらず、ハンギョレは疑惑をほとんど報じなかったので、国民から「文在寅の御用新聞」と馬鹿にされました。怒ったハンギョレの若手記者が、編集幹部の解任を要求するなど反乱を起しています。

 だからこの社説でも、青瓦台の犯罪の隠ぺいを助けると見なされる主張は避けたのでしょう。でも、骨抜きにされた検察に「しっかりやれ」と要求すること自体がおかしい。

 将来、「検察の捜査が不十分だ」と国民が怒りを爆発させた時に「我々は公正な捜査を求めていた」と言い訳するための「アリバイ社説」でしょう。

 ハンギョレはそれどころか「尹錫悦総長に近い検事が要職を独占していることに検察内部からも批判があった」「選挙で選ばれていない権力には民主的統制が必要だ」と書き、今回の人事には正当性があったと説明しました。文在寅大統領の説明そのままです。

 民主化の旗手を自認するハンギョレが、三権分立が危機に瀕し民主化が後退している現実を一切、指摘しなかったのです。

 そもそも、ハンギョレの記者たちにはそんな認識がないのかもしれません。韓国人は党争――仲間内の争いに陥ると、周りが見えなくなってしまう。そうやって自ら国を滅ぼしてきたのです。

1日に3つの検察平定作戦

――それにしても保守系紙からはこれだけの批判。政権の暴走に少しは歯止めがかかりましたか?

鈴置:真逆でした。政権は暴走を加速しました。1月10日、秋美愛長官は検察が職制にない組織を新設するのを規制しました。捜査チームをバラバラにされた尹錫悦総長が、新たな組織を作って政権の不正の捜査を続けるのを防いだのです。

 1月13日、政権側は1日にして3つの検察平定作戦を実行しました。まず、青瓦台は者国前法務部長官への検察の捜査は人権侵害に当たるとして、国家人権委員会に調査を依頼しました。

 法務部は検察の職制改編を発表。権力の犯罪を暴く、日本の地検特捜部に当たる部署を大幅に減らしました。「廃止・縮小された部署のほとんどが現政権の実力者を捜査中」と東亜日報の社説「検察は職制改編と人事で圧迫されても、国民だけ見て前に進め」(1月15日、韓国語版)は指摘しています。

「とどめ」は1月13日に刺された

 さらに国会は、捜査指揮権を廃止して検察を弱体化する一方、警察の権限を強化する法案を通しました。与党の「共に民主党」は過半数を持ちませんが、選挙法改定で抱き込んだ小政党も賛成に回ったのです。

 保守の牙城だった検察から力を奪ったうえ「警察を左派の手先に使うのが目的」と韓国の法曹関係者は口をそろえます。リベラル派の弁護士も含めてです。

 検事や裁判官を含む政府高官を捜査する公捜処(高官不正捜査庁)の設置は昨年末に押し通しました。ただ公捜処は組織が小さく、実働部隊が手薄。そこで、保守派に睨みを効かせるのに足りない部分は警察力で補う作戦と考える韓国人が多い。

 また法案を通す過程で、国会議員は公捜処の捜査対象から外すことになりましたが、力を強めた警察を手足に使えば、立法府も牽制できることになります。

 中央日報の「青瓦台・政府・与党総動員、韓国検察の手足が縛られた」(1月14日、日本語版)は「1月13日を境に検察は変わった。手足が縛られたのだ」と書きました。検察は――韓国の三権分立は1月13日にとどめを刺されたのです。

保守大合同で活路を図るが……

――今後、文在寅政権はやりたい放題ですね。

鈴置:公捜処が動きだすのは7月。保守は4月15日の国会議員選挙で過半数をとって、公捜処設置法を廃止に追い込むつもりです。

 ただ、朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免騒動の際、弾劾に賛成するか否かで保守党は2つに割れました。韓国は基本的に小選挙区制ですから、分裂したままなら勝てる可能性は低い。

 300議席中、47議席を比例投票で選びますが、昨年12月27日の選挙法改編で小政党に優先的に配分する仕組みになった。最大の保守政党、自由韓国党は比例では1議席も取れないとの予測もあります。そこで保守側は中道保守政党も含めた大合同を模索し始めました。

――保守が4月の総選挙で負けたら?

鈴置:左派政権のやりたい放題になります。司法府を我がものとし、立法府も脅せるようになるのですから。

左も右も民主主義を壊す

――次の大統領選挙で保守が勝てば、韓国に三権分立が戻るのでしょうか。

鈴置:そう訊くと首を横に振る韓国人がほとんどです。まず、保守派は「そもそも、このまま行けば我々は大統領選挙で勝てない。左派政権が警察を使って選挙に介入して来るからだ」と説明します。

 確かに、今回の検察人事で捜査を妨害された蔚山市長事件。青瓦台が警察を使って対立候補を陥れ、文在寅大統領の支持者を当選させた、との疑いが持たれています。

 一地方都市の首長選挙でも介入したのですから、大統領選挙ともなれば、警察あげての大規模な妨害工作が起きて不思議ではありません。

 一方、普通の人は「保守が次の政権を取っても、もう、元には戻らない」と言います。司法も立法もコントロールできる――。政権にとってこれ以上に都合のいい話はない。保守の側だっていったん政権を取れば、こんな便利な武器は握って放さない、というわけです。

――結局、誰が政権に就こうが韓国の民主主義は壊れていく……。

鈴置:そういうことです。もう一度言います。韓国人は党争――仲間内の争いに陥ると、周りが見えなくなってしまう。そうやって自ら国を滅ぼしてきたのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年1月21日 掲載

韓国のデモは年間9万件!なぜこれほど多いのか―中国メディア

2020-01-27 16:43:19 | 日記
韓国のデモは年間9万件!なぜこれほど多いのか―中国メディア

Record China

配信日時:2020年1月23日(木) 7時50分


中国メディアの環球網は22日、「韓国の政治体制に危機警報が鳴った」と題する記事を掲載。デモが多発する韓国の国内事情を伝えた。

中国メディアの環球網は22日、「韓国の政治体制に危機警報が鳴った」と題する記事を掲載。デモが多発する韓国の国内事情を伝えた。

記事はまず、韓国警察庁の統計で2019年に韓国人が行ったデモが9万件以上に達することが確実になったことを紹介。「これは間違いなく驚くべき数字だ」とした上で、「韓国人のデモはなぜこれほど多いのか。韓国社会にはどんな問題があるのか」と疑問を提起した。

同メディアの韓国駐在記者は「韓国では確かに、毎日のようにさまざまなデモを目にしたり聞いたりする」とし、「経済や社会の不公平さが加速しているほか、韓国社会の異なる価値観の対立がますます顕著になっている。デモの件数が過去最多を更新したことは、韓国の政治体制に対する警報だ」とした。

具体的なデモ件数を見ると、2019年1~11月で8万7426件に達しており、12月も含めると9万件を超えることは確実と見られている。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾があった16年は4万5755件だった。文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生した2017年は前年比でやや減少したが、2018年は6万8262件に跳ね上がり、19年はそこからさらに2万件以上増えている。

記事は、デモ件数の増加について「現在の韓国社会のさまざまな不満や対立が、対話や正常なルートで解決できないことを間接的に証明している。だからこそ、集会やデモによって解決しようという社会心理が急速に拡大しているのだ」と指摘した。

その上で、昨年6月末に米国のドナルド・トランプ大統領が訪韓した際は、「ソウルの光化門広場は終日大混乱だった」と説明。保守派と進歩派の民間団体がトランプ氏の訪韓を歓迎、反対する集会が2日間で30件に達したことを挙げ、「光化門広場はすでに二つに分断されている」と表現した。

韓国警察庁の統計によると、19年1~10月のデモで秩序維持に警官隊が投入されたのは1万1385件だった。これは、前年比で45.3%も増加しているそうだ。

韓国でセウォル号事件や慰安婦問題などのデモを取材してきたという環球網の駐在記者は、特に印象に残っているものに朴前大統領に反対するろうそく集会を挙げた。
「クリスマスや年越しの時期と重なり、お祭り騒ぎのようだった」「韓国人は風刺的な要素も好きで、デモに連れてきた子犬の首輪に『私が大統領になろうか』と書かれた風船をくくり付けていた」などと説明し、「いずれにしても政治的な色合いが強く、1本の道の両側に保守派と進歩派が分かれ、中央には警官が立つという形だ」と振り返った。

記事は、韓国問題の専門家の話として、「韓国社会は政治理念の衝突と対立が深刻。こうした対立は政界だけでなく市民社会にまで存在する。2つの勢力によるデモは往々にして『口はあるが耳はない』状態だ。自分の要求だけに関心があり、相手陣営の考え方は無視する」と指摘。「韓国社会は“自由民主”で、社会の価値観の多元化を促進し、多くのマイノリティーが権利を主張しているが、彼らがとる方法は基本的にみんなデモになる」とした。

そして、「根本的には、デモの多くは経済と社会の不平等から起こる」とし、「1997年のアジア通貨危機以降、韓国では貧富の差が拡大し続け、ここ数年では階層の固定化が著しい。
各種の社会的な対立がうず巻き、民衆の不満は日増しに高まっている」と解説。「朴前大統領の弾劾がろうそく集会の後押しを受けて成功したことによって、もともとデモの伝統があった韓国人がデモは効果があると認識した」とし、「集会の自由が“デモ万能主義”へと変化している」と論じた。(翻訳・編集/北田)

【正論】日米「反ファシズム同盟」の時代

2020-01-27 16:31:55 | 日記
2020年 01月 20日


【正論】日米「反ファシズム同盟」の時代

福井県立大学教授・島田洋一

2020.1.20

 国際政治は、先進自由主義陣営と「先進ファシズム」陣営が覇を争う時代に入った。文明と「ハイテク野蛮」の対決と言ってもよい。日米同盟もその観点から整理し直す必要がある。


 ≪中国、イランをめぐって≫

 ファシズムは、「国家主義的な独裁を永遠の統治原理としつつ、資本主義のエネルギーを抑圧体制活性化のために用いる」イデオロギーと定義できる。軍事、国民監視、情報統制などあらゆる面でハイテク化を進める中国共産党政権(以下中共)はまさに「先進ファシズム」の典型である。

 中国も経済発展すれば徐々に自由民主化する、だから支援すべきという発想は過去半世紀の最大の誤りだった。一党独裁のファシズム国家を経済発展させれば先進ファシズム国家となるだけである。

「中国の体制に憧れる者はいない」という発想も危うい。例えばイランの神権ファシズム政権は、自由民主主義を斥けつつ経済大国となった中共に、憧憬の目を向けてきた。全体主義者にとっては、中共は成功モデルなのである。

 そのイランが揺れている。制裁で経済が悪化する中、圧政の要と言うべき暴力装置、革命防衛隊が二重の打撃を受けたためだ。

 対外破壊活動部門のソレイマニ司令官の米軍による殺害は、イラン絡みのテロで米国人に死者が出た場合、イラン本体に強烈な打撃を加えるという公約をトランプ政権が実行したものである。破壊活動に対する抑止力は格段に高まったといえる。

 続いてイラン政府はウクライナ機墜落は事故との虚偽説明を一転させ、革命防衛隊によるミサイルの誤射だったと認めた。イラン各地で抗議デモが発生、政権打倒のスローガンも叫ばれた。

 「日本とイランの伝統的な友好関係」が政治家の決まり文句だが、「友好」を向けるべき相手は現政権ではない。現政権は長年、北朝鮮にミサイル開発資金を提供してきた存在でもある。

 昨年9月、サウジアラビアの石油プラントがミサイル攻撃を受けたが、米政府のみならず英独仏政府もイランの犯行との見解を示している。再度攻撃があり、サウジが反撃すれば中東本格戦争となる。それを防ぐには、イランに対する監視網と反撃体制(抑止力)を大幅に強化せねばならない。


 ≪日本だけが責任免れるか≫

 トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)がその中核を担うべきとの主張を強めている。すなわち欧州諸国(およびカナダ)の軍事貢献拡大を求めたものである。

 先進7カ国(G7)中、NATO加盟国でない唯一の国が日本である。同時に中東石油への依存度が最も高いのも日本である。その日本だけが、新たな責任分担を免れるのか。あり得ないだろう。

 安倍晋三政権は海上自衛隊の護衛艦と哨戒機の中東派遣を決めた。「調査研究」という不十分な形であれ、時宜を得た措置だった。ただ今後は、米欧各国が中東への軍事関与を深める分、日本には「守備範囲」たる東アジアでの軍事的役割を高めてほしいという形で圧力が高まるかもしれない。

 イスラム世界を刺激しないため表に出ない仕切りになっているが、中東ではイスラエルも重要プレーヤーである。ソレイマニ除去作戦でも、バグダッド空港で傘下の武装勢力幹部らが出迎え2台の車に分乗して連絡路を通行中に、上空で待機していた米軍無人攻撃機が遠隔操作でミサイルを発射、車内の全員を殺害した。一般道の手前地点のため、巻き添え被害は生じなかった。完璧なタイミングの背後に、ヒューミント(人的情報収集)でのイスラエル情報部の貢献があったという。

 秘密戦分野を中心に寄与するイスラエル的な行き方もあるが、日本にはモサドに比肩するような対外情報機関がない。


 ≪重層的な同盟関係を築け≫

 日本の政治家は、日米安保は「米国が攻撃されても日本は助ける必要が全くない」(トランプ氏)ものの、米軍への基地貸与で「全体として義務のバランスは取れている」という言い方を好む。だが例えば英国は(1)インド洋の英領ディエゴガルシア島を基地として米軍に貸与し、(2)NATOの枠組みで相互防衛に参加し、(3)秘密情報部(MI6)が米中央情報局(CIA)と緊密に協同するなど重層的な同盟関係を築いている。

 基地を貸しているからバランスが取れているという議論は、日米同盟は重層性を欠くという告白に等しい。それでも安倍政権は、集団的自衛権の一部行使に踏み込んだ平和安全法制を成立させた(2015年)。対して立憲民主党を中心とする野党は、海上自衛隊の中東派遣に反対すると共に、平和安全法制の廃止も唱えている。

 もし枝野幸男政権ができ、公約実行に乗り出したら韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄どころではない強烈な反発が米側からくるだろう。結局は文在寅政権同様、撤回に追い込まれるはずである。公約違反に期待するしかないような政権を誕生させる余裕は日本にはない。(しまだ よういち)

米有力紙が掲載した「原発のすゝめ」 島田洋一(福井県立大学教授)

2020-01-27 13:14:01 | 日記
2019.09.12 (木)

米有力紙が掲載した「原発のすゝめ」 島田洋一(福井県立大学教授)


米紙ワシントン・ポスト9月4日付に、原発に関する興味深い論説が載った。

筆者は常連コラムニストのヘンリー・オルセン氏。

タイトルは単刀直入に「原子力を無視する候補者は信用するな」(Don’t trust candidates who ignore nuclear power)である。

日本にも参考になる、というより、日本にこそ一層当てはまる論点が多々ある。コラムの骨子を紹介しておこう。

●大統領選候補も関心は再エネ
 
オルセン氏はまず、米民主党の大統領候補者が押し並べて、社会の脱炭素化、すなわち温室効果ガスの排出ゼロに向け、きわめて前のめりの対応を公約している点に注意を喚起する。

エリザベス・ウォレン上院議員は、気候変動を「存亡に関わる課題」と呼び、

バーニー・サンダース上院議員は「地球を健康的で居住可能なままにしようと思うなら、我々のエネルギー・システムを化石燃料依存から脱却させるために残された時間は11年を切っている(パリ協定が削減目標年としている2030年までにとの意味=筆者注)」と力説する。
 
ところが2030年はおろか、予見しうる将来、いわゆる再生可能エネルギーが大量安定供給を保証するベース電源たり得ないことは明白である。

「太陽、風力は決して発電のバックボーンにはならない。継続的に運転できないからだ」(オルセン氏)。

 
発電状況にムラのあるそれら電源に対応した大型・高効率・低コストの蓄電池が実用化され、家庭やビルが配電網に頼らず自立できるようになれば別だが、そうした時代はまだ視野に入ってこない。

となれば、温室効果ガス削減という課題に「最も安く迅速に対応でき」「すでに実用化された」
原子力を使うのが常識的回答(少なくともその一つ)になるはずである。

ところが目下、民主党大統領候補として最有力の4人の内、ウォレン上院議員、カマラ・ハリス上院議員の2人は原子力発電の利用に全く言及していない。

サンダース上院議員は逆方向に一段と踏み込み、「原発の新増設は一切認めない。既存原発の運転免許も更新を停止する」を公約に掲げる。
 
現在、世論調査で支持率トップのジョー・バイデン前副大統領だけが
「すべての低炭素およびゼロ炭素テクノロジーを見据えねばならない」とし、

「原発建設のコスト低下に向けた新テクノロジーの研究、既存原発の安全性、放射 性廃棄物処理に関する研究が必要」と曖昧ながら原子力に言及するものの、
やはり「原発の新設を促すような発言は何もしていない」とオルセン氏は指摘する。

 ●日本の原発ゼロの矛盾と偽善
 
以上を踏まえたオルセン氏の結論は明快である。

「迅速に炭素排出を減らせる、実用化された方法を排除する姿勢は、有権者にとって警告のサインでなければならない。

もし候補者が明らかな現実を認めないなら、彼らは気候変動との闘いに真剣ではな い、あるいは真の動機は他にあると見なければならない」。
 
トランプ大統領を筆頭に共和党の政治家の多くは、人間活動を主因とする地球温暖化という説に懐疑的である。

エネルギーの効率利用は進めるべきだが、無理に化石燃料を排除する必要はなく、ベース電源は予見しうる将来、火力発電で維持すればよいとの立場である。

良かれ悪しかれ、民主党のような矛盾や偽善が生じる余地はない。
 
翻って日本では、自民党から共産党に至るまで、人間活動を主因とする地球温暖化という説をほぼ無批判に受け入れている。
 
原発の再稼働を順次進めたとしても、同時並行的に新増設も行わねば、廃炉が進む中、エネルギー・ミックス中に原子力が占める割合は着実に減っていく。

原発の建設技術も失われていく。
 
石油・天然ガスが自給できるアメリカでは、民主党的な「脱炭素」公約が実現できなくとも、「遺憾ながら当面火力発電に頼ります」で社会に実害は生じない。
 
しかし日本は状況が異なる。

原発ゼロの状態で石油・天然ガスの輸入が止まれば、日本経済、国民生活は崩壊せざるを得ない。矛盾と偽善という問題は日本においてこそ深刻である。

不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

2020-01-27 12:57:28 | 日記
不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

1/24(金) 7:01配信

現代ビジネス

不景気な韓国が、日本より成長率が高いのはなぜ…? その「謎」を解く

潜在成長率も圧倒的に日本が低い

具体的に両国の潜在成長率をみてみよう。日本の潜在成長率は内閣府によれば2016~2018年の平均で0.9%、韓国は韓国銀行によれば2016~2020年の平均で2.7%と予測されており、日本より1.8%ポイント高い水準である。

ただし、それぞれの国の潜在成長率を実際の経済成長率と比較すると、日本は潜在成長率と等しく、韓国は潜在成長率より0.7%ポイント低い。

つまり韓国は日本より実際の経済成長率が潜在成長率より下方に乖離しており、失業増などの問題が発生していることがわかる。

ではなぜ韓国の潜在成長率が日本より高いのであろうか。

韓国といえば三星(サムスン)やLGといったグローバル企業の躍進ぶりが日本でも知られており、半導体メモリーやスマートフォンなどIT製品を中心に日本企業を凌駕している。

このような韓国企業の勢いが日韓の潜在成長率に差をつけていると考えている人も多いのではないだろうか。

しかし、韓国の潜在成長率が日本より高い主な理由は、高齢化が進んでいないといった人口学的なものである

繰り返しになるが潜在成長率は、

(1)労働投入量の伸び率、

(2)資本投入量の伸び率、

(3)生産性の伸び率で決まる。

そして、
(1)による部分を労働投入の寄与、
(2)による部分を資本投入の寄与、
(3)による部分を生産性の寄与とすると、
日韓の潜在成長率に大きく差をつけているのが資本投入の寄与である(資本投入とは、大雑把に言えば、新たに工場を建てたり機械設備を導入したりすることなどをイメージしてもらえるといい)。

具体的には、韓国は資本投入の寄与が1.4%であるが、日本はこれが0.3%に過ぎない。
韓国の潜在成長率は日本より1.8%ポイント高いが、資本投入の寄与だけでその6割以上を占める1.1%ポイントの差がついている(ちなみに、労働投入の寄与の差は0.1%ポイントに過ぎず、生産性の寄与の差は0.5%である)。

韓国の資本投入の寄与が高い理由として高齢化が進んでいないことを挙げることができるが、これには説明が必要である。

資本投入の伸びは投資に左右される。

資本蓄積は新たな投資による増加部分から資本廃棄による減少を引いた分だけ変化するが、資本が資本蓄積の一定比率で廃棄されるとすると、投資が多いほど資本蓄積の増加率、すなわち資本投入の増加率が高まる。

さらに貯蓄率と高齢化率との間には負の相関関係があることが知られている。

「ライフサイクル仮説」によれば人々は高齢期には貯蓄を取り崩すため、高齢化が進むとマクロでみた貯蓄率が低下する。

これは「高齢化が進む→貯蓄率低下→投資率低下→資本投入の伸び率低下」といった流れに整理できる。

つまり高齢化は資本投入の伸び率の低下をもたらす。

2019年における高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の比率)をみると、日本は28.4%、韓国は14.9%であり、日本のほうが高齢化が進んでいることがわかる。

もちろん資本投入の寄与の差のすべてが高齢化の進み方の差で説明できるわけではないが、重要な要因であることは間違いない。
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2030年代の成長率

韓国では今後、高齢化が日本を上回るスピードで進み2049年には韓国が日本を上回る。


これは朝鮮戦争後、長期間続いたベビーブーム世代が2020年より順次、65歳以上になるからである。

そして急速な高齢化を背景とした資本投入の寄与の縮小などにより、2030年代には韓国の潜在成長率が2%を切ると予測されている。

 
現在の韓国は潜在成長率が日本より高い。よって、日本より景気が悪くても日本より経済成長率が高いといった一見すれば謎な現象が生じている。

しかし、将来的には日韓の潜在成長率の差は大きく縮小することが見込まれ、このような現象は生じなくなってくるであろう。
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高安 雄一(大東文化大学教授)