韓国は、3回目の通貨危機が発生した時、もはやどこにも助けを求められない孤立無援状態にある。米韓関係は隙間風、日韓関係は最悪状態である。普段から、近隣諸国との関係をよくして置くべきだが、そういう社会常識もなかった。あるのは、「我を張ることだけ」という韓国式原理主義が、今や破綻に瀕しているのだ。
文大統領は、ひたすら南北関係に力を入れている。南北友好のためならば、米国と意見対立しても実行へ踏み切ると腹を固めたようだ。
文大統領特別補佐官が、文大統領の胸の内を語っている。
今年4月の総選挙を前に、「米韓つむじ風」が吹く可能性が出てきた。
こうなると、3回目の通貨危機が起こっても、日米が揃って韓国から顔を背けることになりそうだ。
『中央日報』(1月6日付)は、「金融危機がまた来れば」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙のコ・ヒョンゴン/論説室長である。
(1)「最近は、「金融危機がまた来れば対応できるのだろうか」という心配が頭から離れない。
景気沈滞と政策の失敗で危機の引き金となる悪材料が多い。
不動産バブルと家計の負債はいつ問題が発生してもおかしくない時限爆弾だ。
北朝鮮の挑発のようなカントリーリスクもまた高まっている。中国発の危機も繰り返し浮上する。
中国の企業の負債は10年間に5倍も増えた。新年に入って中東情勢も尋常でない」
株安とウォン安が、同時進行してくるとまた「3度目の通貨危機がくるのでないか」と身構えるほどである。
ウォン相場は、1ドル=1150~1200ウォンという危険ラインへ接近する局面である。
これまでは、成長産業を抱えてきたが、今や、サムスンだけの「一本打法」である。
文大統領は、官民合同の新年挨拶の儀式にも出席せず、経済界とは一線を引いている感じだ。
こういう政権の下で通貨危機という「国難」が起こっても、上手く処理できるだろうかと疑問に思うのだ。
(2)「我々は1997年11月に通貨危機、2008年9月にグローバル金融危機を経験した。戦争のようだった。
しかし中南米や南欧の左派ポピュリズム国家のように破局を迎えることはなかった。
我々には危機を迎えるたびに秘蔵のカードがあった。97年の話になれば「自分が通貨危機克服の功労者」と武勇談を語る人がいるが、何といっても秘蔵のカードは健全な財政だった」
過去2回のウォン相場急落時には、応急処置をとれる手立てがあった、1997年は財政支出、2008年は日米の通貨スワップである。
今や、2つの手段は消えている。財政は急速に悪化してきた。通貨スワップの有力相手国の日米とは感情的な行き違いが起こっている。
韓国が、「よろしくお願いします」という頼み事をするには敷居が高くなった。いずれも、韓国が仕掛けた争いごとである。
(3)「2008年の秘蔵のカードは外貨準備高でなく、友邦と結んだ通貨スワップだった。
良い関係を維持した米国や日本と、韓国ウォンを渡してドルや円を持ってくる契約をした。
ようやく金融市場が安定を取り戻した。2000億ドル以上の外貨準備高よりも300億ドルの韓米通貨スワップ契約書が大きな力を発揮した。
李明博(イ・ミョンバク)政権とブッシュ政権が緊密な関係だったため可能だった。友邦とは外交的、軍事的な意味だけではないという事実を実感する瞬間でもあった」
原理主議者の文在寅氏と腹を割った話などできるはずがない。
文大統領はあと2年余の任期を残しているが、日米とも、「早く任期が来ないか」と指折り数えて、その日が来るのを待っているだろう。
「人徳」のない大統領である。
(4)「今は1997年や2008年とは違う。97年のように財政が健全でない。
2008年のような友邦もない。その間、財政を誰もが次々と使った。
大統領から郡・区長まで、国民の税金を自分のお金のように投じて恩着せがましい態度を見せた。
それではいけないことを誰よりもよく知る経済官僚は自身の安泰のためにコード合わせた。
財政を守るという以前の使命感は影も形もない。
洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は「財政が十分に対応可能な水準」という言葉ばかり繰り返している。彼はその言葉に責任を負わなければいけない」
日本の民主党政権が、日米外交を根本から壊してしまった。
普天間基地の移転も地元も納得していたにもかかわらず、ぶち壊してしまい未だに紛争の種になっている。
文政権とよく似ており、問題の後先を考えない「刹那主義」に流れている。
(5)「通貨スワップは米国とは2010年に、日本とは2015年に終わった。
もう急ぎの時にお金を貸してくれる友邦はすぐには思い浮かばない。韓米同盟は以前のようではない。
危機が訪れれば米国はただでは助けないだろう。計算深いトランプ政権は我々の弱点を突いて多くものを得ようとするに違いない。
強制徴用賠償問題で関係が遠ざかった日本に手を差し出すのは自尊心が許さない。日本はこれを機に何かを仕掛けてくるかもしれない。安倍政権なら十分に考えられることだ」
日本は、できるだけ韓国と関わらない方針を建てている。仮に韓国が通貨危機に陥っても、見て見ぬふりをするだろう。援助したならば、国民世論が黙っていないからだ。韓国は、ここまで日本を怒らせてしまったのである。
(6)「通貨危機当時の「金集め運動」のように愛国心に訴えるイベントも難しいだろう。
97年は嶺南(ヨンナム)・湖南(ホナム)の対立があったが、大きな枠で見ると軍事政権を追い出した民主政権の国民という同質感と自負心があった。
今は地域、理念、貧富、ジェンダー、世代、ソウル・地方、労使、正規職・非正規職など四方八方で分裂している。
社会のあちこちに冷笑が広がっている。青年の75%が「韓国を離れたい」(韓国女性政策研究院の昨年の調査)と話している」
韓国国内もバラバラである。文政権が労組と市民団体だけに顔を向ける政治を行なっているからだ。文政権は、国内統一もできない哀れな政権になってしまった。