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救国の英雄の名誉回復は後代の責務  全斗煥大統領

2022-01-10 16:05:04 | 日記

全斗煥元大統領が逝去

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統一日報

救国の英雄の名誉回復は後代の責務

日付: 2021年11月25日 00時00分

 全斗煥大統領が23日に逝去した。享年90歳。

大韓民国と自由を敵対してきた勢力は、全斗煥大統領を独裁者・虐殺者と謀略した。

彼は正義感と責任感のあふれる軍人で、朴正煕大統領の死後の危機状況で大韓民国を救った愛国者だ。

彼を国家指導者としたのは、無能で腐敗した守旧勢力だった。

彼は人材を重用し国民を愛した。

東西冷戦の最前線で大韓民国を護り抜き、東欧社会主義圏の消滅を早めた。

全斗煥がいなかったら今日の大韓民国はない。

自分を火葬し、自由の地と解放される北韓が見える前方の高地に遺骨を撒くように遺言を残した。

「前方高地の白骨になって自由統一を見る」と遺言

李承晩と朴正煕大統領の偉業を継承、完成した全斗煥大統領のリーダーシップは、人材重用と率先垂範だった。

空輸特戦団長のときは訓練兵たちに危険のないことを確認するため最初に降下した。

師団長のときも毎朝の部隊の駆け足の訓練の先頭で走った

 全斗煥大統領ほど国内外的に誤解されている人物はいない。

彼が共産勢力の執拗な攻撃と迫害の中で正当な評価を受けられず永眠したのは残念だ。

彼が下剋上で権力を簒奪したと誹謗するが、国家元首を殺害した内乱犯を逮捕したのは彼の当然の責務だった。

全斗煥大統領は休戦後、最悪の権力空白期に金日成の南侵を防ぎ国家を保衛した。

反国家団体である平壌側と野合した左翼容共勢力が、大韓民国の正統性を抹殺するため攻撃する人物は、北韓が憎悪し暗殺を試みた三人の韓国大統領、つまり建国大統領の李承晩、朴正煕、そして全斗煥大統領だ。

反国家勢力は5・18の光州での暴動と蛮行を隠し、5・18を「民主化運動」に美化するため、金泳三政権以来30年間、全斗煥大統領をいわゆる「光州虐殺の発砲命令者」にするため執拗に捏造、扇動作業を繰り返してきた。

北韓で「5・18」は金日成が指導したものと、教えているにもかかわらずだ。

5・18光州事態当時の陸軍参謀総長だった李ヒソン戒厳司令官は、「5・18」と全斗煥大統領は全く関係ないと断言した。

が、大半の政治家やメディアが真実を黙殺、隠している。

彼らはむしろ、様々な口実を作り高齢で闘病中の元大統領を3カ月前まで遠くの光州の法廷に召喚し侮辱した。

全斗煥大統領は、韓国が先進国に進入する基盤を確固と築いた

専門家たちを尊重、全権を付与した。

金在益と司空壹のような人材に経済を任せ、朴正煕大統領が始めた市場経済への移行・安定化政策を成功させ、韓国経済体質を革新し、広範な開放・競争路線で韓国社会を変貌させた。

全斗煥大統領が電子・通信産業の基盤を作らなかったら、IT強国の韓国の今日はない。

最低賃金法や住宅賃貸借保護法など、国民の幸福権追求に努めた。

準戦争状況で夜間通行禁止を解除、海外旅行自由化など広範な自由化政策を推進、連座制を廃止し、国民和合のため決定的措置も取った。

成長と物価、国際収支を安定させ、年平均8・7%の高度成長で完全雇用を成し遂げた。

自家用時代が開かれ、「韓流」の土台ができた。国家を安定させ、漢江整備事業などで国土の様子を変貌させ、ソウルオリンピックを誘致した。

金正日は海外歴訪時に全斗煥大統領の暗殺を試み、ビルマで爆弾テロを恣行した。

アウン廟での暗殺テロを経験しても、全斗煥大統領は北側の水害支援物資提供提案を受入れ、金日成に決定打を与えた。北側はこの失策からついに回復できなかった。

全斗煥大統領は、東西冷戦の最前線で韓米同盟を強化し自由陣営を護り抜くのに貢献した。

盧泰愚大統領の北方外交も全斗煥が可能にしたのだ。

全斗煥大統領は57歳のまだ若い年齢で政権を譲り、平和的な政権交代を初めて実現した。 

李承晩と朴正煕大統領の偉業を継承、完成した全斗煥大統領のリーダーシップは、人材重用と率先垂範だった。

空輸特戦団長のときは訓練兵たちに危険のないことを確認するため最初に降下した。師団長のときも、毎朝行う部隊の駆け足訓練の先頭で走った。

 


脱化石で日本より遅れる韓国のEV、水素、再エネの野心的目標と原発というオプション

2022-01-10 15:21:33 | 日記

脱化石で日本より遅れる韓国のEV、水素、再エネの野心的目標と原発というオプション

 

 

 

林恩廷(イム・ウンジョン)博士(韓国国立公州大学国際学部准教授)
 
林恩廷(イム・ウンジョン)博士(韓国国立公州大学国際学部准教授)

 新型コロナウイルスの感染拡大で傷んだ経済の立て直しに向け、文在寅政権が、「韓国版グリーン・ニューディール政策」と銘打って環境に優しい経済への転換を進めようとしている。

 

 2025年までに73兆4000億ウォン(約6兆8500億円)投資し、電気自動車(EV)113万台、水素で走る燃料電池車(FCV)20万台を普及させ、年式の古いディーゼル車116万台の廃車を進める。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及の拡大も目指す。

65万9000人の雇用も生み出す野心的な計画だ。

「製造業大国」韓国は世界で8番目の排出量

 サムスン電子や現代自動車などグローバル製造業を抱える韓国では、経済全体に占める製造業の割合は19年基準で28.4%と、欧州連合(EU)16.4%や米国の11.0%を大きく上回る

 

 二酸化炭素(CO2)の排出量は米環境系非政府組織(NGO)の「憂慮する科学者同盟」によると世界で8番目に多い(2018年)。

欧州や中国をはじめとして脱炭素に気運が高まる中、もはや脱炭素という、世界的な潮流に逆らうことはできない状況になってきている。

 文政権は、2050年までにCO2の排出量を実質、ゼロにする「カーボンニュートラル(炭素中立)」を達成する目標も掲げた。

鉄鋼、化学もサイクル全体で削減

 目標の達成には、当然ながら経済構造の低炭素化が不可欠だ。

韓国では石炭火力が電源の約4割を占める。

現在、石炭火力発電所が60基稼働し、さらに7基が建設中だ。

 政府はEV向けの家庭用充電器や水素ステーションの普及にも力を入れ、ガソリン車からエコカーへの切り替えを促進するほか、石炭火力発電事業者やガソリン車メーカーなど温暖化ガスの排出量の多い企業に対して、代替・有望分野への事業転換を促している。

とくに、鉄鋼や石油化学などの業種では50年までのカーボンニュートラル達成に向けて、原材料の調達から製造工程、製品の流通や消費、使用後の回収までのサイクルを革新し、温暖化ガス排出ゼロを目指している。

 韓国環境省のコ・ドクキュ書記官は「達成時期などの具体的な計画はこれから詰める」と話す。

1. 新たに建設する建物についても、設備の稼働に必要なエネルギーを自給自足するシステムを開発するなど、温暖化ガスの排出量をゼロにするよう義務付ける考えだ。

中国江蘇省無錫市にある LG化学 のリチウムイオン電池正極材工場(LG化学提供)
中国江蘇省無錫市にある LG化学 のリチウムイオン電池正極材工場(LG化学提供)

EV電池のLG化学は再エネ100%

 企業も文政権の方向性に呼応する動きを見せる。EV向けバッテリーを手掛けるLG化学は、国内外の拠点で使用する電力を全て再生可能エネルギーに切り替える「RE100(再エネ100%)」を推進している。

中国江蘇省無錫市にある同社のリチウムイオン電池の正極材工場ではこのほど、地場の風力・太陽光発電販売会社の江蘇潤風新能源と、年間140ギガワット時(GWh)規模の再生可能エネルギーを購入する電力売買契約(PPA)を結んだ。これは、同工場に必要な全電力をカバーできる規模。中国に製造拠点を持つ韓国系企業が地場企業とPPA契約を結ぶのは初めてのケースだ。

いまだ低い再エネは日本の半分以下

 文政権は30年までに、太陽光発電や風力発電を中心に再生エネの電力比率を20%に引き上げようとしている。

 これは韓国産業資源省が17年12月に発表した計画で、韓国の再エネの電力比率は16年基準で7.0%と、ドイツ(29.3%)や英国(24.7%)、日本(15.9%)などに大きく水をあけられている。

 これを20%まで引き上げるには、17年に15.1ギガワットだった再エネの発電能力を30年までに63.8ギガワットに拡大する必要がある。

同省はこのうち57%は太陽光、28%は風力で、それぞれ達成したい考えだ。

水素ステーションは日本の半分以下

 韓国政府は安定した電力供給に向けて、水素なども発電源として積極的に活用していく。

 22年から水素燃料電池で発電した電力の購入を義務付ける制度も世界で初めて導入する。

再エネの利用割合を決めた日本のRPS法(新エネルギー利用特別措置法)にならった制度で、電力事業者に対して水素で生産した電力の一定割合以上の購入を義務付ける。

韓国の既存のRPS制度にも水素発電は含まれているが、その割合は全体の13%にとどまる。

いまあるRPSから水素を分離することによって、水素発電の比率を高めたい考えだ。

具体的な購入目標値は年内までに決定する。

 水素の安定調達に向けては、再エネを使って水を電気分解して作る「グリーン水素」技術の実用化にも乗り出している。

グリーン水素はまだ小規模の実証段階レベルにあるが、政府は低炭素やエネルギー新産業分野で高い技術力を持つベンチャー企業の発掘や支援にも力を入れるなどして50年には水素エネルギー全体に占める割合を80%にまで引き上げる計画だ。

 現代自動車や石油元売り大手のGSカルテックスは自治体らと協力して水素充てん所の設置に取り組み、燃料電池バスや燃料電池トラックの早期普及を目指す。

 ただ水素の普及を目指す民間団体の水素融合アライアンス推進団によると、2020年末時点で、韓国の水素ステーション数は全国で48カ所にとどまっており、これは日本の半分以下である。

韓国の水素経済推進計画
韓国の水素経済推進計画

鉄鋼大手のポスコは水素還元鉄を開発

 水素エネルギーを暮らし全般に活用する「水素経済」の実現を目指す文政権の呼びかけに呼応する韓国企業も現れ始めた。

 

 鉄鋼大手のポスコは「カーボンニュートラル」を実現すると宣言。

鉄鉱石を還元するのに石炭ではなく水素を用いることで、二酸化炭素を排出しない工法などの開発を急ぐ。

 ポスコの広報担当者は「鉄鉱石を溶かして銑鉄を抜くときに使用される還元剤を従来の石炭、天然ガスなどの代わりに水素で置換する技術を50年までに実用化する」と答えた。

「カーボンニュートラル(炭素中立)」をオンラインで宣言するポスコの崔正友(チェ・ジョンウ)会長(ポスコ提供)
「カーボンニュートラル(炭素中立)」をオンラインで宣言するポスコの崔正友(チェ・ジョンウ)会長(ポスコ提供)

SKグループは水素の製造・輸送インフラ

 SKグループも、水素を製造し運ぶインフラの構築に乗り出す。

持ち株会社SKが「水素事業推進団」を立ち上げて、水素事業の司令塔的な役割を果たす。液化天然ガス(LNG)企業のSKE&Sは2023年から、年3万トン規模の液化水素を製造するための設備建設を手掛ける。

 石油元売りのSKイノベーションは、石油製品や石油化学製品の製造工程で発生する副生水素をSKE&Sに供給する計画だ。

SKE&Sはさらに、天然ガスから水素を取り出す「ブルー水素」を年25万トン規模で追加生産する体制も24年までに整える。

 ガソリンスタンドを運営するSKエナジーは今後、全国のガソリンスタンドや貨物トラック向けのサービスエリアなどを、水素供給のための拠点として活用する。現在は、ソウル市近郊の平沢市(京畿道)にまだ1カ所だが、今後は全国に拡大していく。

フランスでは原子力発電が有力な電源だが Bloomberg
フランスでは原子力発電が有力な電源だが Bloomberg

脱炭素に原発は不可欠という選択

 韓国は脱炭素の観点から原子力の活用も視野に入れるとみられる。

文政権は脱炭素と同時に脱原発も進めているが、

韓国の国立公州大学国際学部准教授で、エネルギー問題に詳しい林恩廷(イム・ウンジョン)博士は「文政権が掲げる脱原発について「『政治的なスローガン』として理解した方がいい」と説明する

 実際、現在稼働中の原子炉は24基(3基は整備中)と建設中の原子炉4基の全てを閉鎖するには「60年近くかかる」(韓国のエネルギー専門家)という分析がある。

 韓国は実は原発の新たな展開も進めている。

韓国にとって初の原発輸出は、韓国電力公社を中心とする韓国の企業連合が、アラブ首長国連邦(UAE)に建設したバラカ原子力発電所の1号機が2020年8月、一般家庭や産業現場への電力供給のための送電網に接続し、初の送電に成功した。

 ただ、原発から出る使用済み核燃料のことを考えれば、国内外で追加的に大型炉の建設するのは難しい。

そこで次世代の原発として注目されているのが、発電効率は劣るが、安全性の高い「小型モジュール原発(SMR)」だ。重機大手の斗山重工業のSMRが米国で設計認証を取得した。ニュースケールと呼ばれるプロジェクトで建設もすでに始まっている。

 韓国のこうしたツートラック戦略に対して「矛盾している」との声もあるが、CO2の削減の切り札として原発を諦めていないわけだ。

 この割り切りは、東日本大震災での福島第一原発の深刻な事故以降、原発の再稼働すら進まない日本とは隔世の感がある。(坂部哲生・NNAソウル記者)


「大化け」するか? 再エネ拡大のカギを握る太陽光発電

2022-01-10 14:56:36 | 日記

「大化け」するか? 再エネ拡大のカギを握る太陽光発電

再エネのボトルネックを解消する日本発の技術

 

藤 和彦
コンサルティングフェロー

政府は10月22日、「再生可能エネルギーを最優先に最大限導入する」方針を掲げた新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。

計画では2030年度の電源に占める再生可能エネルギーの比率を2019年度実績の18%から36~38%にまで引き上げる。

これまでの計画では2030年度の再生可能エネルギーの比率は22~24%となっていた。

36~38%の内訳は、太陽光発電が14~16%、風力5%、水力11%となっており、太陽光を中心に倍増させる野心的な内容だ

2030年度の再生可能エネルギーの比率は当初、30%前後と見込まれていた。

だが7月に「2030年度に温暖化ガスの排出量を2013年度に比べて46%減少させる」目標を取りまとめたことから、その比率を上げざるを得なかった経緯がある。

一方で、実現可能性について疑問の声が早くも上がっている。

気になるのは、「世界人口の85%が既に気候変動の影響下にある」との研究結果があるなど、気候変動が世界で頻発する状況になっていることだ。

再生可能エネルギーは気候変動の影響を受けやすい。

気候変動が最近の天然ガス価格高騰の一因となったことからも、「再生可能エネルギーに偏った電源構成は安定供給の面で問題が大きい」との批判が出てきている(10月25日付日本経済新聞)。

風が吹かず欧州で風力発電量低下

欧州連合(EU)では今年(2021年)9月、電気料金の上昇が大きな話題となった。

料金上昇のそもそもの原因は、欧州で夏以降、風が減少する事態が広範囲で発生したことにある。

新型コロナウイルスのパンデミックからの回復を受け、電力消費量が拡大したにもかかわらず、北海での風量が過去20年間で最低になったことで今年夏の風力発電量がEU全体で昨年比7%減少し、火力発電への依存を余儀なくされた。

石炭火力発電所の廃止を進めているEU諸国の主要な燃料は天然ガスだ。欧州で天然ガス需要が急拡大したことにより、天然ガス価格が高騰、電力料金が急上昇してしまったのだ。

中でも「脱炭素先進国」のスペインが危機に見舞われている。

スペインの電源構成の約2割を占める風力発電は主力電源の一翼を担っていたが、9月の発電量は前年比2割減少した。

風力の発電量減少分を3割のシェアを持つ天然ガス火力で補おうとしたことが天然ガス価格の急騰を招き、エネルギー危機に拍車をかけた。

9月時点のスペインの家庭向け電気料金は前年比で35%高くなり、欧州内でも特に深刻な影響が出ている。

スペインでは、国が出資する送電会社REEが2006年に「再生可能エネルギーコントロールセンター」を設置し、ITを駆使して気象予測と需給予測データを摺り合わせ、再生可能エネルギーによる電力需給の変動に対処しようとしてきた。

日本政府が掲げる2030年度の電源構成比率の目標はスペインの現状に近い。

日本での風力発電の本格導入はこれからだが、想定外の気候変動に翻弄されるスペインの苦悩は日本にとって「他山の石」だ。

次に水力だが、今年の夏、世界各国で発電量が軒並み減少している。

米国西部やブラジルなどの水力発電所では、気候変動による干ばつにより、過去数十年で最大級の電力供給への支障が生じている。

特にブラジルでの影響は深刻だ。

水力の比率が全電力の6割を超えるブラジルでは、90年に一度の干ばつで水力発電ダムへの水の流入量が激しく落ち込んでおり、水不足は来年まで続く見込みだ。

石炭火力への依存を低下させたことで電力不足に陥っている中国では、干ばつによる水力発電量の減少が追い打ちをかける事態となっている。

太陽光発電を高効率化する日本発の技術

最後に再生可能エネルギーの主力を担う太陽光だが、太陽光も天候に大きく左右されることは言うまでもない。

「冬に発電量が減る」とされ、昨冬(昨年12月~今年1月)の電力逼迫の際、「太陽光の発電量の減少が原因の1つだ」と言われた。

実際には、経済産業省のその後の検証によって、太陽光の影響はほとんどなかったことがわかっている(渇水による水力発電量の低下は確認された)。

太陽光発電への気候変動の影響は予想外に少ないのかもしれないが、悩みはコストだ。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、日本の太陽光の発電のコストは1キロワット時13.5円(1ドル=114円で換算)。

5円の中国や6.5円の米国の2倍超、独仏に比べても8割高いと言われている。

日照条件の悪さなどがネックとなっている。

今後、発電量を大幅に増加させるためには新たな土地の確保が不可欠だ。

だが崩落事故などが相次いだことで太陽光発電設備に対する規制を強化する自治体が増加している。

幸いなことにこの2つの難問を解決する希望の光が見えてきている。

太陽光発電の高効率化を実現する画期的な技術が日本から次々に誕生しているのだ。

たとえば東大・先端科学技術研究センターの岡田至崇教授が中心となって、量子ドットを使用して光から電気に変換する「量子ドット太陽電池」の研究開発が進められている。

また愛知県一宮市のベンチャー企業「MCC QUANTA」(エムシーシークアンタ)は、既に設置された太陽光パネルにインストールするだけで発電効率が2倍になるデバイスを開発し、10月下旬から量産の準備に入った。

量子現象を活用することで、太陽光の照射でパネル内に発生した電子をより多く取り出すことに成功した。

来年のゴールデンウイーク明けにデバイスを市場投入し、月産1万台から始めて順次生産能力を拡大していくという。

このデバイスを日本中の太陽パネルに取り付ければ、「新たに土地を確保しなくても発電量は2倍になり、コストは2分の1になる」という夢のような効果が期待できる。

太陽光のコストが米国と同等になれば、立派な国産エネルギーだ。日本のエネルギー自給率は格段に向上し、安全保障の面でも大幅な改善となることは間違いない。

日本のものづくり企業はなんと頼もしいことか。

太陽光発電の導入を拡大することが「災い転じて福となす」となる可能性が見えてきた。

2021年10月29日 JBpress新規ウィンドウが開きますに掲


中国、台頭の終焉…衰退期突入で覇権国へ戦争仕掛けるリスクに世界で警戒高まる

2022-01-10 14:37:48 | 日記

中国、台頭の終焉…衰退期突入で覇権国へ戦争仕掛けるリスクに世界で警戒高まる

 

藤 和彦
コンサルティングフェロー

中国経済がここにきて急減速している。

中国の第3四半期のGDP(国内総生産)は前年比4.9%増となり、第2四半期の7.9%増から大幅に減速した。

今後の見通しもけっして明るくない。

不動産大手の恒大集団の経営問題が中国経済全体に悪影響を及ぼす懸念が高まっているからだ。

「中国の関連産業を含めた広義の不動産業のGDPへの貢献度は30%弱に達する」という推計がある。

日本や米国での不動産業のGDPへの貢献度が20%前後であることを鑑みると、中国経済の不動産依存が突出していることがよくわかる

増大する需給の不均衡の状況を見れば、住宅市場が今後大幅な長期調整を迎えるのは必至であり、中国経済のハードランディング・シナリオが現実味を帯びてきている

少子高齢化の問題も深刻であり、今後財政赤字が急拡大する可能性が高い。

10月1日付フォーリン・アフェアーズ誌は「中国崛起(くっき)の終焉」と題する記事を掲載した。

「中国の台頭」が頭打ちになったことを前提に戦略を組み立てる必要性を論じている。

急成長する経済をバックに台頭してきた中国の国力に陰りが見え始めてきたのだが、このことは日本をはじめ国際社会にとってどのような影響を与えるのだろうか。

9月24日付米外交専門誌フォーリン・ポリシーは「衰退する中国、それが問題だ」と題する論文を掲載した。

執筆したのはジョンズ・ホプキンス大学のハル・ブランズ特別教授とタフツ大学のマイケル・ベックリー教授だ。

ブランズ氏らの主張は「『浮上する中国』よりも『頂点を極めやがて衰退期を迎える中国』のほうが国際社会との間でより大きな対立を引き起こす」というものだ。

 

トゥキディデスの罠

ハーバード大学の政治学者グレアム・アリソン氏が「既存の超大国は新興大国の浮上を邪魔するために戦争に陥る危険性が高い」とする「トゥキディデスの罠」を指摘して以来、米中関係はしばしば、紀元前5世紀のギリシャの覇権国スパルタと新興大国アテネの間で繰り広げられたペロポネソス戦争に例えられてきた。

古代ギリシャの歴史家であるトゥキディデスは「アテネの力が徐々に強大となったこと

に驚いたスパルタが戦争に踏み切った」ことが戦争の原因と書いたが、ブランズ氏らの解釈は違う。

「海洋軍事力で劣勢に立たされ始めたアテネが、勝利の機会を失う前に開戦に踏み切った」ことが戦争の本当の原因だとしている

新興大国はパワーが拡張し続ける間は、できる限り目立たずに行動し、覇権国との対決を遅らせようとする。だが新興大国の成長が天井に達し、衰退期が目の前に近づくと、悠長に構えてはいられなくなる。

「トゥキディデスの罠」の真の意味は、これ以上の発展・拡大を期待できない新興大国が「挑戦の窓」を閉ざされる前に覇権国に挑むことで戦争が起きる危険性が高まるということなのだ。

「現在の中国は当時のアテネと同じ状況にある」とするブランズ氏らは「衰退期に入りつつある中国は今後10年間、自分たちの運が尽きる前に戦略的成果を得るため、より大胆かつ軽率に行動しかねない」と警告を発している。

広大な領土と多くの人口を擁する点で現在の中国は、米国に次ぐもう一つの帝国といっても過言ではない。

だが懸念すべきは帝国に必要な「多様性」が欠けていることだ。

ナショナリズムの台頭

中国では今、ナショナリズムが猛烈な勢いで台頭している。

朝鮮戦争をテーマにした中国映画「長津湖」が10月下旬の世界興行収入ランキングでトップに立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝鮮戦争に参戦した中国兵たちが厳しい寒さの中で、装備に恵まれた米軍と戦う姿を描いたこの映画は、中国で愛国心ブームをこの上なくあおっている。

意外と思われるかもしれないが、中国はもともとナショナリズムが強い国ではなかった。

ソ連崩壊により「共産主義」という統治の根拠を失った中国政府が国民の支持を取り付けるためにナショナリズムを利用したのがその始まりだ。

中国では1996年、『ノーと言える中国』という本が出版された。

米国の価値観に憧れる中国人を軽蔑し、「中国がいずれ超大国になる」と予測する内容であり、1990年代の中国のナショナリズムの台頭を示す一冊といわれた。

中国の近代史には「アヘン戦争以来一世紀にわたって外国の帝国主義勢力に蹂躙された」という「百面国恥」が刻まれている

 

埴民地化されたという苦い経験が深く刷り込まれていることから、中国は欧米社会が確立した国際秩序に不信感を抱き続けてきた。

中国のナショナリズムはこれまで防御的な色彩が強かったが、リーマンショック後に中国が世界経済を牽引するようになると攻撃的なものに変わった。

2012年に誕生した習近平政権が「中国の夢」を語るようになってから、状況はさらにエスカレートした。

中国のナショナリズムはこれまで政府主導で奨励されてきたが、最近では国民のほうが過激になっている。

特に留学経験のある若者たちにナショナリズムの傾向が強いといわれている。

新型コロナウイルスのパンデミック封じ込めに成功したこともあって、「中国文明は世界で一番優れている」と信じるようになったのだ。

だが、この偉大な国に対して国際社会からそれ相応の尊敬が与えられていない。

国民の不満は募るばかりだ。

中国政府は、自らつくり出したナショナリズムを制御できなくなっている。

このような状況で「自国が衰退していく」という不都合な事実を断じて認めるわけにはいかない。

民族の優越性を掲げて「帝国」を夢見ることがどれほど恐ろしい結果を招くかは、過去の歴史が証明している。

窮地に追い込まれた中国政府が「国民の不満をそらすために対外的な強硬手段に出る」リスクにこれまで以上に警戒すべきだ。

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2021年11月2日 Business Journal新規ウィンドウが開きますに掲載


中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避

2022-01-10 14:14:38 | 日記

中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避

藤 和彦
上席研究員

中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月29日に閉幕した。

会議に集まった約200人の最高幹部により「第14次5カ年計画」の骨格が固められたが、新たな5カ年計画の特徴は「2つの循環」である。

貿易を柱とする「外」と消費を柱とする「内」の2つの経済循環で成長を維持する考えだが、その重点は「内」にある

中国指導部は今年5月、米国をはじめとする西側諸国との経済的デカップリング(切り離し)を想定し、国内経済(内循環)を柱とする新発展モデルを提唱していた。

1978年に故トウ小平が掲げた「改革開放」の重点は「外」にあったのはいうまでもない。

米国との良好な関係の下で中国は積極的に外貨を取り込み、「世界の工場」として輸出主導による高度成長をなし遂げた。

今年の中国経済はGDPが100兆元(約1500兆円)を突破する見込みである。

今回打ち出された「2つの循環」は、米国との対立の長期化に備え、消費など内需を拡大し、自力での安定成長を目指すものであり、改革開放からの大きな路線転換を図ろうとするものである。

「一人っ子政策」による人口構成のアンバランス

だが「2つの循環」路線の成功の鍵を握る個人消費は、中国経済にとっての長年の懸案である。

中国の昨年の個人消費の対GDP比は39%である。

米国の68%、日本の55%、ドイツの52%に比べると格段に低いが、その理由は所得格差の大きさにある。

中国の所得分配が非常に不公平であることは周知の事実である。

人口の約半分にあたる7億1000万人の国民は、月収2000元(約3万2000円)以下で生活をしている。

中国の高度成長を支えてきた2億9000万人の農民工の収入も、

2015年以降、減り続けており、所得格差が改善されない限り、

個人消費が伸びることはない。

個人消費が今後さらに低迷する要因がある。

少子高齢化である。

中国民政部は10月23日、「2021~25年までの5年間に60歳以上の高齢者の人口は3億人を超える」ことを明らかにしたように、「少子高齢化」が急速なペースで進んでいるのである。

「総人口に占める65歳以上の割合が14%を超える」社会を国連は「高齢社会」と定義づけているが、中国の民間シンクタンクは10月、「2022年に総人口に占める65歳以上の割合は15%以上になる」と予測した。

日米など先進諸国が高齢社会となった時点の1人当たりのGDPは、2万ドルをはるかに上回っていたが、これに対して中国の1人当たりのGDPは1万ドル程度にとどまっている。

中国社会は「豊かになる前に老いる」という事態に直面しているのである。

中国の人口構成に極端なアンバランスをもたらしたのは、いわゆる「一人っ子政策」である。

中国政府は2016年から「二人っ子政策」の実施を決定したが、多くの国民は住宅ローンや医療費、教育費などの負担が大きく、「産めても養えない」との不安を抱えており、出生数が増える兆しが見えない

2019年の出生率は、1949年以来の過去最低を記録する有様である。

中国の生産年齢人口(15歳~64歳)は、2013年をピークに減少しているが、「中国の総人口も2018年から人口減少が始まった可能性がある」とする海外の研究がある。

中国政府系シンクタンクの社会科学院は2019年1月、「人口減少は早ければ2027年から始まる」としている。社会科学院の予測の元になっている出生率は1.6との前提だが、「実際の出生率は1.05前後ではないか」との意見が多い。

日本では、生産年齢人口が1995年、総人口も2011年から減少し、人口動態が経済成長にマイナスに働く「人口オーナス」が常態化している。

中国でも少子高齢化が政府の大きな負担となりつつある。

文革などで伝統文化が破壊されたことから、家族で高齢者を扶養する風習がなくなり、政府が主体となって介護サービスを提供する状態になっているのは日本と同様である。

中国の社会保障費(介護を含まず)は国家歳出の2割以上を占め、その伸びは国防費を上回っているが、実態に比べて財政の投入量ははるかに少ない。

このような事情から、「中国経済も2015年に人口オーナス時代に突入したのではないか」との懸念が出始めている。

「外循環」にも赤信号

実現の目途が立たない「内循環」だが、中国経済をこれまで支えてきた「外循環」にも赤信号が点滅し始めている。

人件費の高騰に加え、米国との貿易摩擦の激化により、外資企業が中国から相次いで撤退していることから、移転先であるベトナムに密入国しようとする中国の失業者が続出しているのである(10月28日付米ラジオ・フリー・アジア)。

中国政府は国境付近に、長さ数百キロメートル、高さ2メートル以上の壁を建設せざるを得ない状況に追い込まれているが、このことは中国経済の悪化が予想以上に深刻化していることの証左だろう。

5中全会では党幹部の人事が発表されなかったことから、習近平総書記が2022年以降も続投することが確定したとされている。

「中国共産党の存亡に最も危機感を持っているのは習氏だ」と言われているが、

「内外から批判が高まっている習氏が最高指導者の地位を他の人に譲らない場合、党内の権力闘争が一段と熾烈になる」との心配の声も上がっている。

ネット上では「習氏は中国の崩壊を加速させる『総加速師』」と揶揄されている。

「今後10年以内に米国を超え世界一の経済大国となる」とされている中国だが、「内外からの圧力の高まりで一瞬の内に瓦解してしまう」というリスクが高まっているように思えてならない。

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2020年11月3日 Business Journal新規ウィンドウが開きますに掲載

 

2020年11月10日掲載