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制空権なき戦、勝利望めず 終戦までの体験記す「パプアの亡魂」

2022-09-04 18:22:07 | 日記
制空権なき戦、勝利望めず 終戦までの体験記す「パプアの亡魂」

2020/9/16 17:01 (2020/9/16 17:01 更新)

ニューギニア戦記を追う<2>

 連合軍の反攻に伴い、日本軍はブナ地区やラエ・サラモア地区への増強を行う。

これはあくまでポートモレスビー攻略を見据えてのことだったが、現場はもはやそれどころではなかった。

輸送船は敵機に襲われ、増強兵力のひとつ第五十一師団は大きな損害を受ける。

 その第五十一師団の岡部支隊に属していた飯塚栄地氏の手にかかるのが「パプアの亡魂」である。

副題が「東部ニューギニア玉砕秘録」と打たれている。

終戦までの体験が書かれているのだが、ラエ・サラモアに関する記述だけでも全体を覆う生々しさは伝わると思う。

 岡部支隊の乗った輸送船団は、損害を受けつつも昭和十八年(一九四三)一月にラエへ到着している。

しかし三月に師団主力を運んだ輸送船団は一隻残らず沈められている。

有名な「ダンピールの悲劇」である。

非公式情報でこれを知った飯塚氏は「いったい私たちは今後どうなるんだろう」との思いを抱いている。

上陸後に行われたワウ飛行場占領にも岡部支隊は失敗しており、敵の強さと制空権のない戦いの厳しさを将兵は痛感していた。

 それでも状況認識はまだ甘かった。

少ないながらも米があり、人間らしい姿もしていた。

ゆえに遠くブナ地区から落ちのびてきた敗残兵たちを見たとき「異様な日本軍」と飯塚氏は感じている。

敗残兵は「不格好に飯盒(はんごう)を腰につけ、体はやせ衰えて一本の棒のようになり、よちよちして普通には歩けない」状態だった。

第五十一師団の将兵はその姿を笑い、侮った。「日本兵の面汚しだぞ」と怒鳴りつける下士官もいた。いずれ自分たちがそうなるとは誰も想像していなかった。

 戦いはみるみる苦しくなる。昭和十八年五月末、サラモアの南にあるムボ高地に進出したとき飯塚氏は第一線将兵を見て驚く。

「異様な顔色」をした兵隊がボロボロの軍服を着ており、その姿は「この世のものとは思えなかった」という。

さらには敵兵の肉を食ったとほのめかす兵隊にも接している。

そうした尋常ならざる戦いに勝利など望むべくもない。

敵の新上陸や空挺(くうてい)部隊の降下で、九月には上陸地のラエにも危機が迫る。

 飯塚氏は書類の後送任務を受けて潜水艦でラバウルへ向かう。

十二月にはニューギニア本島へ戻るが、一時的に戦線を離れ得たのは幸運だった。

ラエの第五十一師団等は険しい山系を越えての撤退に追い込まれたからである。その内容は他書に譲る。

 なお、飯塚氏には終戦から帰国までを書いた「タイヤ・ボンボン」という戦記もある。やはり生々しい内容なので合わせて読まれることをお勧めする。

 ダンピールの悲劇 「太平洋戦跡紀行 ニューギニア」(光人社)などによると、ニューギニア島西方に進攻する第51師団をラバウルからラエへ送り込もうとした船団が1943年3月3日早朝、戦爆連合約120機に襲われた。

船団は護衛の零戦のはるか低空から爆撃され、20分程度で輸送船全7隻などが沈没。

約3000人の将兵が戦死し、約2500トンの物資が沈んだとされる。

米軍は「ビスマルク海海戦」と呼び戦果を強調。西南太平洋方面連合軍総司令官のマッカーサー大将には米大統領などから祝電が殺到したという。

 古処誠二(こどころ・せいじ) 作家。1970年生まれ。福岡県久留米市在住。高校卒業後、自衛隊勤務などを経て、2000年にメフィスト賞を受けデビュー。
10年に「わたくし、つまりNobody賞」、17年に「いくさの底」で毎日出版文化賞、翌年日本推理作家協会賞。近著に「ビルマに見た夢」。これまでに3度の直木賞候補。




20年ぶりのドル高は長期化か…「デフォルト国家続出の恐れも」

2022-09-04 18:03:33 | 日記
20年ぶりのドル高は長期化か…「デフォルト国家続出の恐れも」

8/30(火) 10:15配信

29日にウォン相場が13年4カ月ぶりに1ドル=1350ウォンを割り込むウォン安となり、韓国総合株価指数(KOSPI)が2%以上下落するなど金融市場が動揺したのは、超ドル高の長期化に対する不安が高まったためだ。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が26日、前例のない強硬な口調で「インフレファイター」になる立場を表明し、世界の金融市場が衝撃を受けた。

韓国経済の危険要素である物価高・ドル高・高金利の「3高」現象がさらに深まり、長期化する懸念が高まった。

ウォン安ドル高で輸入物価が高騰し、金利上昇で投資と消費が萎縮すれば、成長鈍化につながりかねないからだ。

■さらに強まるドル高台風  

ドルは主要国通貨に対し、圧倒的に強含んでいる。

 ユーロ、円、ポンドなど対主要6通貨で見たドルの価値を示すドルインデックスは同日、109.3前後で推移し、2002年以来で最高を記録した。

ユーロはこれまで1ユーロ=1.20ドル前後だったが、最近は同1ドル前後まで下落した。

人民元も同日、対ドルで2年ぶりの安値を付けた。

ブルームバーグ電は「アジア金融市場の資金流出リスクが長期化する恐れがあり、6月以後の株価反発分が全て蒸発することもありうる」と指摘した。 

 超ドル高が進めば、かなりの国々が輸入物価の上昇に苦しむことになる。

ドルに対抗して自国貨幣の価値を守ろうとする利上げも相次いでおり、世界経済が低迷する方向へと作用している。 

 韓国金融研究院マクロ経済研究室のパク・ソンウク室長は「対外債務はドル建てで返済しなければならないため、ドル高が続けば国家デフォルト(債務不履行)に直面する国が世界各地で続出する恐れがある」と話した。

  FRBによる攻撃的な利上げが米経済にも負担になりかねないとの指摘もある。

エリザベス・ウォーレン米上院議員(民主党)は28日、CNNとのインタビューで「FRBの利上げが米経済を停滞に陥れ、大規模失業を発生させる恐れがある」と非難した。

同議員は「パウエル議長が利上げで解決できることは一つもない。物価高と数百万人の失業者(の組み合わせ)は物価高と堅調な経済よりも悪い」と述べた。

■1365ウォン割り込むウォン安も  同日のウォン安はでドル買い優勢が長期化するという見方が強まったためだ。

KB国民銀行のエコノミスト、ムン・ジョンヒ氏は「2001年のドットコムバブル崩壊当時、1ドル=1368ウォンまでウォン安が進んだ点を考慮すると、ウォン相場は短期的に1365ウォン前後まで下落する可能性がある」と述べた。

  米国の急激な利上げに伴う韓米間の金利差拡大で、これまで韓国に流入していた海外の資金が流出する可能性を指摘する声もある。

それについて、韓国銀行の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁は「ウォンだけでなく、他の主要通貨も全て対ドルで弱含んでいる。1

997年の通貨危機や2008年の世界的な金融危機のような時期ではない」と強調している。

実際に年初来のドルに対する通貨下落幅は26日時点でウォンが10.7%で、ユーロ(12%)、円(15.9%)、ポンド)(12.4%)、人民元(7.3%)などと比べて特に危険に直面しているとは言いにくい。

李総裁はインタビューで、「資本が海外に流出する主な原因の一つが国民年金や個人投資家の海外投資だ」とし、不安感の解消に努めた。 

 専門家は李総裁の説明に概ね同意しているが、日本や中国とは状況が異なると指摘する。

延世大の金正湜(キム・ジョンシク)名誉教授は「日本はわざと景気浮揚のために円安に誘導している面があり、円が国際通貨である強みもある」としたほか、

「中国の場合、資本を自由化せずにコントロールが可能な国なので、非常時の資本流出を防ぐ手段がない韓国とは事情が異なる」と指摘した。

 ■これといった方策がない韓国政府  問題は韓国政府がウォン安に積極的な対策を打ち出すことは容易ではない点だ。ウォン売りが強まっているというよりは、誰もがドルを買おうとしているため、ドル高を緩和できるこれといった解決策はない。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は23日、「ドル高ウォン安の状況が市場にマイナスの影響を及ぼさないよう、リスク管理を徹底する」と発言したが、ウォン安の勢いは収まらなかった。 

 これと関連し、金融監督院は今週中に「空売り調査チーム」を新設、稼働させる予定だ。空売りを厳しく取り締まることで、金融市場の不安を緩和する狙いだ。

民間の為替専門家は「大きな効果はないとしても、当局が継続的に口先介入を行い、為替投機を行う勢力を取り締まることは、ウォン安に対する心理的恐怖を軽減するのに役立つ」と話した。

 孫振碩(ソン・ジンソク)記者












韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る

2022-09-04 17:29:40 | 日記
韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る
  • 2021.08.31
大ヒットとなった韓国の映画「パラサイト 半地下の住人」では、韓国に渦巻く格差社会が描かれました。

2020年のアカデミー賞では4部門で受賞するなど、日本でも話題となった映画です。

実は、この映画が上映される以前から、韓国は超学歴社会であり、受験や就職、昇進における競争が非常に厳しい国でもあります。

そのため、所得格差が広がり、深刻な問題となっているのが実態です。

今回は、韓国の格差社会にスポットを当て、映画だけではわからない背景を解説していきます。

韓国における所得格差の実態

所得格差を測る尺度として一般的に使われるのが「ジニ係数」です。

ゼロから1までの値で計測し、0に近づくほど格差が少ないことを表します。

2016年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、韓国におけるジニ係数は、0.355となっており、世界においてワースト6位を記録しました。

とはいえ、韓国を含める6位以下の国は大差がなく、それほど深刻な数字とはいえません。

2018年には、0.295と数値を縮めています。

実際、日本のジニ係数と比べても、それほど大きな差はないものの、韓国は年金制度が成熟しておらず、高齢世帯に所得再配分がなされていないのが実態です。

参照元:第5-16表 所得のジニ係数|データブック国際労働比較2019|OECD

広まる高齢者の貧困

高齢世帯への所得再配分が日本と比べて遅れている韓国ですが、この背景にあるのが社会保障制度の整備が遅れていることが挙げられます。

韓国で国民年金制度が始まったのは1988年であり、ごく最近のことです。

すでに加速化している高齢化社会の波に対する体力が、社会自体に備わっているとはいえません。

2021年の段階では、日本の高齢化率の方が韓国より高くなっています。

しかし、韓国における少子高齢化のスピードが日本に比べて早く、2045年になると日本の高齢化率を韓国が上回ると予想されるほどです。

このまま少子高齢化が加速し続けると、2065年の段階で韓国の高齢化率は48.8となり、同年に予想される日本の高齢化率38.4%をはるかに超える結果になります。

参照元:日本の将来推計人口 平成29年推計|国立社会保障・人口問題研究所

若者にも押し寄せる格差の波

韓国の格差問題は、高齢者に限ったことではありません。
韓国は世界の中でも屈指の学歴社会であり、実際のところ、貧困層から抜け出すためには、名門大学に入ることがポイントとなります。

とはいえ、名門大学に入ったからとって将来が安定するとは限りません。

韓国は、儒教の国でもあり、職種より「格」を重んじる傾向にあります。

たとえば、結婚という側面から見ても、同等の「格」にある家柄同士で行うものであるという見方もあるほどです。

そのため、富裕層と貧困層のカップルが結婚すれば、個人の問題ではなく「家」や「家系」全体の問題になることも考えられます。

こうした格差は、就職においても影響しており、一流企業に入ることが重要視され、そのための激しい競争が生まれるのです。

韓国においては、学費を払う「親」や「家系」への想いも強く、就職は自由にならないことも多いといいます。

韓国の格差社会における背景には、急激に加速した経済発展も影響しています。

1950年代の韓国は、朝鮮戦争による大きな打撃を受けて、経済的に困窮していました。

世界の中でも最貧国と言われるほどの貧困ぶりでしたが、1960年代後半から劇的な復興を遂げます。

そのきっかけとなったのが、海外から得た多額の資金であり、そこに貢献したのは財閥企業でした。

こうした背景が、現在の韓国における格差社会の実態を作り上げているともいえます。

経済発展の裏にある格差社会の実態

韓国では、1997年の通貨危機をきっかけに、新たな自由主義思想が登場しました。

その流れを汲み、経済においても自由化が加速しています。

こうした経済発展の裏には、個人間に大きな格差を生んでいる実態があります。

もともと独裁政治が続いていた韓国は、経済発展を目指す政府と財閥企業とが密接に関わってきました。

韓国の財閥企業として代表される、サムスン・現代自動車・LGの3社が、現在の韓国経済における多くを占めていることもあり、未だ政府との関係が色濃いままです。

政策が変わるたびに格差社会対策も施されてきましたが、こうした根強い社会構造は、なかなか覆せないのが現状といえるでしょう。

韓国における男女間の格差

韓国の格差社会は、男女間においても顕著に現れています。
特にわかりやすいのが、賃金格差です。

たとえば、韓国の財閥企業は、女性をトップに置かないことで有名でしょう。

また、OECDの調査では、韓国における男女間の賃金格差は34%と、先進国のなかでワースト1という結果が出ています。

世界の平均値が約13%となっている中で、このような数字が叩き出されるのはなぜでしょうか。

ここ最近は、多少改善の兆しは見えるものの、韓国で働く女性の生活は非常に苦しいものがあります。

たとえば、財閥の多くは、女性が妊娠する可能性を「リスク」と捉えており、採用は男性の方が有利です。

韓国の女性にとっては、家庭と仕事を両立させることは非常に難しいと言われています。

こうした背景もあり、韓国において女性がキャリアアップしていくことも至難の技だといえるでしょう。

現に、韓国の大企業において幹部になっている女性を見ていくと、ほとんどが持ち株主の親族であり、コネがなければ出世もできないような実態が未だに根付いている点は否めません。

N放世代における格差の実態

韓国における若者の就職難は、各ライフイベントにも影響しています。

1997年のアジア通貨危機(IMF危機)以来、20年にもわたる若者の就職難ですが、現在も劇的な回復は見せていません。

そのため、いわゆる若者世代である20〜30代の人たちは、様々な人生におけるイベント放棄せざるを得ないのが現実です。

こうした実態を踏まえて、彼らは「N放世代」と呼ばれています。

「N」に当てはめるのはライフイベントの数で、中には、「結婚・出産・家・趣味」など非常に多くのものを諦めざるを得ない「7放」と呼ばれる人も少なくありません。

就職難による負の連鎖

就職できない人たちは、交際費すら捻出できない状態に追い込まれてしまい、人間関係も諦めざるを得ないケースも見られます。

その結果、恋愛もできず、さらには、家を借りられないことも加わって、出産や結婚は叶わぬ夢と成り果てているのです。

そのため、非婚化・少子化高齢化が加速し、韓国における格差社会にも拍車をかけているといえるでしょう。

出生率が世界初の「0人台」

N放世代に現れる、世代間の格差は、出生率にも大きく影響しています。

韓国統計庁による「2018年出生統計」では、出生率が0.9人と世界で初めて「0人台」となりました。

この数字は、韓国という国家自体の存続すら脅かすものであり、格差社会は見逃せない問題と言えます。

統計庁が2016年に発表した人口推計では、2028年頃から総人口が減少するとしていましたが、2018年の出生統計を踏まえると、はるかに超えた水準で減少していることは否めません。

そのため、2019年3月に発表された「将来人口特別推計」では、2019年下半期から、自然減少するだろうと修正しているほどです。


参照元:How does KOREA compare?|OECD



ゴルバチョフ氏の葬儀にモスクワで多くの市民が行列 プーチン氏は欠席

2022-09-04 17:17:28 | 日記
ゴルバチョフ氏の葬儀にモスクワで多くの市民が行列 プーチン氏は欠席

スティーヴ・ローゼンバーグBBCロシア編集長(モスクワ)、ポーリン・コーラBBCニュース記者(ロンドン)

ソヴィエト連邦最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領の葬儀が3日午前、モスクワであり、数千人の市民が列をなして参列した。

しかし、国葬ではなく、ウラジーミル・プーチン大統領は欠席した。

元大統領はその後、市内のノボデヴィッチ修道院の墓地に埋葬された。

8月30日に91歳で死去したゴルバチョフ氏の告別式は、モスクワの労働組合会館「円柱ホール」で行われた。

開かれた棺に横たわる元大統領の遺体に最後のお別れをするため、多くの市民が何時間も並んだ。

儀仗兵(ぎじょうへい)が護衛する会場には、ゴルバチョフ氏の遺影が掲げられていた。

娘をはじめとする遺族が見守る中、市民は次々と赤いカーネーションなどの花束を手向けた。

同じ円柱ホールは過去に、レーニンやスターリン、ブレジネフといった歴代のソ連最高指導者の遺体が、しばし安置された場所でもある。

ソ連崩壊時の大統領だったゴルバチョフ氏の葬儀は、国葬の扱いではなかった。

ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的悲劇」と呼ぶプーチン大統領は、出席しなかった。

欠席の理由についてロシア政府は、スケジュールの都合がつかないからだと説明している。

老いも若きも

多くのロシア人は、ゴルバチョフ氏によるさまざまな改革が、ソ連崩壊の前触れとなった経済の混乱を引き起こしたと非難する。

しかし、円柱ホールの周辺では、老いも若きも、多くの市民が長蛇の列をなした。

その1人のスタニスラフさんはBBCに、「ゴルバチョフは自分たちに希望をくれた。自由を夢見る手助けをしてくれた」、

「この社会が自由に別れを告げているのではないと思いたい」と話した。

「この国を時代遅れな権威主義から救い出すため、最善を尽くした人へのお別れだ」と、

年金生活者で長年のゴルバチョフ支持者だというオルガさんは話した。

リベラル政治家のベテラン、グリゴリー・ヤヴリンスキー氏も行列した1人で、「この人たちは『ゴルバチョフさん、ありがとう。あなたはチャンスをくれたけれど、私たちはそのチャンスを失ってしまった』と言いに来た」のだと話した。

予想を上回る数の市民が並んだため、告別式は時間が延長された。

参列者の中には、プーチン氏と親しいハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相の姿があった。外国首脳の参列者はほかにはいなかった様子。

ほかにもプーチン氏の盟友、ドミトリー・メドヴェージェフ前大統領が参列。

現在は安全保障会議副議長のメドヴェージェフ氏はこの後、1991年のソ連崩壊に触れた上で、アメリカをはじめとする西側諸国が今ではロシア解体を画策しているとソーシャルメディアで非難した。

外国からは、アメリカ、イギリス、ドイツの駐モスクワ大使たちが参列した。

ゴルバチョフ氏の遺体は、告別式会場の円柱ホールから、市内のノボデヴィッチ墓地まで運ばれた。

遺影を手に、葬列の先頭に立ったのは、親しい友人で同じくノーベル平和賞受賞者の、リベラル派ジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏だった。

墓所に至る通路の左右には、遺族や同僚、政府機関や外国の大使館から贈られた花輪が並んだ。

墓に棺が納められると、軍楽隊がロシア国歌を演奏し、礼砲が響いた。

ゴルバチョフ氏は、1999年に亡くなった妻ライサさんの隣に埋葬された。

国葬ではなく

市民の参列は予想を超えたものの、これが国葬でなかったことからも、現在のロシア政府がゴルバチョフ氏の業績をたたえるつもりがないことがうかがえる。

プーチン氏とゴルバチョフ氏の関係が決して良くなかったことは、広く知られている。

2人が最後に対面したのは2006年だったとされる。

最近では、ゴルバチョフ氏はロシアのウクライナ侵攻に批判的だったと言われている。

ただし、2014年のクリミア半島併合は支持していた。

ロシアの外では広く尊敬された。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「歴史の方向を変えた」と評価し、ジョー・バイデン米大統領は「たぐいまれな指導者」だったとたたえた。

西側諸国にとってゴルバチョフ氏は、「ペレストロイカ(建て直し)」や「グラスノスチ(情報公開)」といった国内改革の実施を通じて、1991年の冷戦終結に至る条件を作り上げた立役者だった。

1990年には「東西関係の抜本的な変化において指導的な役割を果たした」として、ノーベル平和賞を受賞した。

しかし、ソ連崩壊後の新しいロシアでは、政治の中枢にかかわることはなく、教育や人道関係の事業に取り組んだ。

1996年の大統領選で政界復帰を目指したものの、わずか0.5%の票しか得られずに終わった。

(英語記事 Mikhail Gorbachev: Thousands pay respects to last Soviet leader)
提供元:https://www.bbc.com/japanese/62784119


中国で「不動産バブル崩壊・失業」が深刻化、習近平政権は正念場に

2022-09-04 15:15:31 | 日記
中国で「不動産バブル崩壊・失業」が深刻化、習近平政権は正念場に

真壁昭夫
多摩大学特別招聘教授

中国で不動産バブルの後始末が深刻化している。

大手デベロッパーは資産売却を加速しているが、資産価格の下落スピードはそれを上回る。

習近平政権は銀行に不動産業界向けの融資を増やすよう規制を緩めているが、相場底打ちの兆しが見えない。

1~6月期の不動産開発投資は前年同期比5.4%減り、分譲住宅の売上高は同28.9%も減少した。

懸念されるのが失業の増加だ。

6月、中国の若年層(16~24歳)の調査失業率は19.30%に上昇、調査開始以来最高だった。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

深刻化する不動産バブル崩壊の後始末

企業業績が悪化、失業率は上昇する

 中国経済が、かなり厳しい状況を迎えている。

主因は不動産バブル崩壊だ。

共産党政権の厳格な融資規制は、人々のリスク許容度を急低下させた。債務問題は悪化している。

加えて、ゼロコロナ政策は建設活動を停滞させている。

他方、成長期待の高いIT先端企業の規制強化が先行き懸念をさらに高める。

それらの結果として、若年層を中心に失業者が急増。

ローンの返済を拒む住宅購入者も急増している。

 地方政府の財政悪化も鮮明だ。債務返済の延期を銀行に求める地方政府まで、出現しはじめた。

 中国の不動産バブルの後始末は拡大するだろう。

今後、大手不動産デベロッパーの資金繰りはさらに行き詰まる可能性が高い。

ゼロコロナ政策も続き、個人消費は減少基調で推移する。

 他方、世界のインフレも深刻だ。

中国企業のコストプッシュ圧力は一段と強まり、企業業績は悪化するだろう。

生き残りをかけて多くの企業が雇用を削減せざるを得なくなり、若年層を中心に失業率は追加的に上昇するだろう。

失業問題は、共産党政権にとって無視できない問題だ。

長きにわたる不動産バブル膨張

「三つのレッドライン」導入後の誤算

 中国で不動産バブルの後始末が深刻化している。

長い期間にわたって、中国では不動産バブルが膨張した。

根底には、共産党の経済政策があった。

 共産党指導部は地方政府に経済成長目標を課す。

達成のために地方の共産党幹部は土地の利用権を中国恒大集団(エバーグランデ)などのデベロッパーに売却する。

それは地方政府の主要財源となった。

デベロッパーはマンションを建設する。建設活動の増加が、雇用を生み出し、建材の需要も増える。インフラ投資も加速する。

 そうして地方政府はGDP成長率目標を達成し、幹部は出世を遂げた。

中国全体で「党の指示に従えば豊かになれる」という価値観が形成され、「不動産価格は上昇し続ける」という神話が出来上がった。

さらに、リーマンショック後は世界的なカネ余りが価格上昇を支えた。

上がるから買う、買うから上がる、という根拠なき熱狂が不動産バブルを膨張させた。

しかし、いつまでも価格が上昇し続けることはない。

2020年8月、共産党政権は「三つのレッドライン」を導入。

金融機関は不動産デベロッパー向けの融資を減らし、デベロッパーは資産売却による資金捻出に追い込まれた。

そうすることで共産党政権は経済全体での債務残高を削減し、資産価格の過熱を解消しようとした。

 問題は、三つのレッドラインが想定以上の負の影響を経済に与えたことだ。

急速な融資規制は神話を打ち壊し、不動産バブルは崩壊した。

それ以降、売るから下がる、下がるから売るという負の連鎖が止まらない。

 エバーグランデなどは資産売却を加速しているが、資産価格の下落スピードはそれを上回る。

習近平政権は銀行に不動産業界向けの融資を増やすよう規制を緩めているが、相場底打ちの兆しが見えない。

1~6月期の不動産開発投資は前年同期比5.4%減り、分譲住宅の売上高は同28.9%も減少した。不良債権問題が深刻化し始めている。

企業・個人・地方政府に拡大する

不良債権問題

 不良債権問題を三つに分けて考えてみる。

まず、企業に関して。エバーグランデなど大手のデフォルト(債務不履行)が相次いでいる。

銀行セクターでは、ずさんなリスク管理の実態が浮上した。

 河南省では41万人の銀行預金が凍結された。貸し倒れ、担保資産の価値急落によって、銀行の資金繰りが急激に悪化している。

同省では3000人が参加して、預金の支払いを求めるデモが起きた。

取り付け騒ぎだ。それを阻止しようとした当局との衝突も発生した。

 中国の金融システムの現況は、わが国の1990年代中頃を想起させる。

連鎖倒産が起き、不良債権は雪だるま式に増え、金融システムの不安定感が高まる一連の流れだ。

次に、個人(家計)について。住宅ローンの返済拒否が増加している。

例えば江西省では、不動産デベロッパーが経営体力を失ったせいで、1年以上建設が止まったままのマンションがある。

ゼロコロナ政策も拍車をかけて、建設現場に作業員が集まることすら難しい。

一部の購入者は、10月までに工事が再開されない場合、翌月から返済を停止すると表明した。

購入した住宅がいつ完成するのか、不安視する人が増えるのは当然だ。

支払い拒否は、他の地域でも急増している。

 最後に、地方政府の返済能力が低下している問題だ。

一例として、貴州省政府は債務返済の先送りを金融機関に求め始めた。

鉄道などインフラ事業の収益性は低く、土地利用権の売却収入も減っている。

結果、同省政府は債務返済負担に耐えられなくなったようだ。

 インフラ投資積み増しのために債権発行などを増やす地方政府が増えている。

債権者に返済期間の延長、さらには一部債務減免(ヘアカット)を求める地方政府が急増する可能性が高まっている。

 かくして、「灰色のサイ」と呼ばれる中国の債務問題は深刻化している。

失業問題の深刻化

貧富の格差拡大も避けられない

 懸念されるのが失業の増加だ。6月、中国の若年層(16~24歳)の調査失業率は19.30%に上昇、調査開始以来最高だった。

建国以来で見ても、新卒学生を取り巻く雇用環境は最悪だろう。中国人留学生の中には、帰国せず日本での就職を目指す者が多い。

 今後、中国では銀行の貸しはがしや貸し渋りが増える。

不動産をはじめ民間企業の資金繰りは切迫する。

ウクライナ危機をきっかけに、世界全体でインフレも深刻だ。

中国では生き残りをかけてリストラに踏み切る企業が増え、若年層を中心に失業率は上昇するだろう。

となると、共産党政権に不満を持つ人が増える展開が予想される。

その展開を回避するために、習政権は高速鉄道などの公共事業を積み増すだろう。

しかし、経済全体で資本効率性は低下基調にある。

高速鉄道計画では、ほとんどの路線が赤字だ。

追加のインフラ投資は、地方政府の借り入れ増を必要とする。

結果として、経済対策は不良債権の温床になる。

 強引なゼロコロナ政策の継続で、個人の消費や投資は減少せざるを得ない。

他方、成長期待の高いIT先端企業の締め付けも強まる。

8月からは改正版の独占禁止法が施行される。

連鎖反応のように、中国全体で企業の業績は悪化するだろう。

 逆に言えば、一時的な失業増を伴う構造改革の実行は容易ではない。

今のところ、共産党政権は公的資金を注入し、エバーグランデなどを救済する姿勢も示していない。

 中国では、追い込まれる企業・個人・地方政府が増える。

その結果、資金流出が加速し、人民元の先安観は強まり、ドル建てをはじめ債務のデフォルトリスクは高まるはずだ。

資産売却などリストラを強行せざるを得ない企業は、追加的に増えるだろう。

 失業問題が深刻化することで、貧富の格差拡大も避けられない。

中国は不動産バブル膨張によって、過剰な債務・雇用・生産能力が出現した。

今後は、その整理が不可避だ。