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日韓外相会談にうずまく不信と不満「ボールはすべて韓国側」「薄い内容でよく会うな」の声

2022-09-21 18:03:45 | 日記

日韓外相会談にうずまく不信と不満

「ボールはすべて韓国側」

「薄い内容でよく会うな」の声

 
2022/09/20 19:00

9月19日(日本時間20日)、国連総会出席のため米ニューヨークを訪問中の林芳正外相は、現地で韓国の朴振(パクジン)外相と約55分間会談した。

両氏はいわゆる徴用工訴訟問題の早期解決に向けて両国間の協議を継続していく方針を確認、対北朝鮮での日韓連携を深めることも確認した。

林氏は尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が8月の記者会見で「過去最悪だった日本との関係も急速に回復、発展させている」などと述べたことに対し、「大統領自身が日韓関係改善に向けた強い意志を示したものと前向きに受け止め、歓迎している」と述べた。

一方、韓国側が「合意した」とすでに発表している国連総会期間中の日韓首脳会談について、林大臣は「何ら決まったことはない」としている。

「尹政権の支持率は、当初から50%ほどしかありませんでしたが、7月末には30%を割り込むなど、低下の一途をたどっています。

日韓会談がおこなわれば、2019年12月以来となります。尹政権は低迷する支持率を上げるためにも、なんとか日韓首脳会談を実現させたいのです。

9月15日には、国連総会で30分ほど日韓首脳会談をおこなうことになったと、韓国の主要メディアがいっせいに報じました。

ただ、岸田文雄首相は20日、訪米を前に『日程は何も決まっていない』と慎重な姿勢を示しています。

岸田政権としては、元徴用工問題などで日本側が受け入れ可能な解決策を示してこないかぎり、首脳会談をおこなうことは躊躇せざるを得ません。

日本の海上自衛隊機に対する韓国海軍の駆逐艦からのレーダー照射問題など、自民党の保守派が不信感を持つ問題が日韓間にはまだありますからね。

とはいえ、韓国側の要望を無下にしては、韓国政府としても国民の説得が難しくなる。

日韓外相会談で様子を見ようというところでは」
(政治部記者)

実際、日韓外相会談がおこなわれただけでも、ネット上では否定的な声が多くあがった。

《具体的な話しもなく、ただ問題解決をしていこう!と確認し合う会談なんでしょうね。

こんな薄い内容でよく会うなと思ったのが正直な感想》

《何を今更話し合うと言うのだ? 懸案事項のボールは全て韓国側》

《自衛隊の哨戒機にレーダー照射した件を決して忘れてはならない。あれは日本に対する宣戦布告と同じ行為ですよ》

《問題は,歩み寄りたい気持ちがあることはありがたいとした上で,
「ならばレーダー照射とか仏像盗難とか徴用工とか慰安婦とかのボールは『

あなた方が持っている』のだから何とかしなさい」とはっきり言えているかどうか》

岸田政権も内閣支持率が続落し、韓国に対して妥協的な姿勢は示すことができない状況だ。

支持率低下にあえぐ両首相のチキンレースは、まだ続きそうだ。






中国、「泥沼」習近平次期政権、経済官僚から改革派を一掃見込み「毛沢東主義で固める?」

2022-09-21 17:42:28 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。



中国、「泥沼」習近平次期政権、経済官僚から改革派を一掃見込み「毛沢東主義で固める?」


2022年09月20日

  • 中国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評

どこでどう間違えたのか、中国経済は救いのない暗闇の道を歩みそうだ。

10月16日からの党大会では、習近平氏の国家主席3期入りを決定すると見られている。

肝心の経済政策は、改革派を一掃して、毛沢東主義の経済政策に戻りそうだという。

不動産バブル崩壊後の後遺症は、市場経済によって整理しなければならない。

これを忌避して、どのような道があるのか。

「配給制」にでも戻す積もりなのか。中国は、唖然とする話ばかりである。狂ってしまったようである。


『ロイター』(9月19日付)は、「中国指導部、党大会で経済担当刷新の人事着手へ」と題する記事を掲載した。

中国指導部は来月16日に開幕する第20回共産党大会で、経済チームの主要メンバーを過去10年で最も大幅に刷新する人事に着手する。

経済成長見通しが悪化する中で、改革志向の政策担当者は表舞台から退くとみられている。

党大会では習近平氏の異例の最高指導者(党総書記)3期目続投が正式に決まる見通し。

形式上、現指導部は来年春の全国人民代表大会(全人代)まで存続するが、今期限りで退任する李克強首相の後継者が誰になるのかなどの主要人事について、この党大会で手掛かりが示されることになる。

(1)「首相として2期10年にわたり経済政策のかじ取りをしてきた67歳の李克強氏は、習氏の権力基盤が強化されるとともに役割が縮小してしまった。

それでも経済の国家統制主義に傾く習氏と異なる穏健派的な発言によって、投資家に安心感をもたらす存在だった。

中国の政策の内情に詳しい人物の1人は、「李克強氏の権限は限定されているが、少なくとも彼は習氏と同時に任命された。

次の首相はさらに力が弱まってもおかしくない。

もはや今の政治構造であれば、(首相として)誰が後を継いでも大差はなくなる」と述べた」

習近平政権3期目の経済政策は、習氏の独走になりそうだ。

習氏は、「共同富裕層」という得体の知れない理屈を持出して、規制強化を始めた。

多分、この延長線で経済政策を行なうのであろう。

台湾侵攻を前提にし、西側諸国からの経済制裁に備えた自給自足経済へ移行する準備するのだ。

もはや、経済成長率をより高くする。そういう市場経済目標を捨てるのかも知れない。


(2)「次期経済チームは、中国国内で教育を受け、習氏に強い忠誠心を持つ人々が中心になるかもしれない。

彼らには現チームが持つ豊かな国際感覚や洗練された教養、ある程度の独立心などが欠けている、というのが関係者の見方だ。

李克強氏の後継者争いで先頭を走っているのは全国政治協商会議主席で共産党中央政治局常務委員会委員の汪洋氏(67)と、胡春華副首相(59)の2人。

両氏とも経済規模が大きい広東省の指導者を経験し、実務的で改革に前向きな政治家とみられている。

たしかし複数の関係者は、経済の国家統制色がより色濃くなっている現状では、大胆な改革に動ける範囲は非常に狭いと指摘した」

習氏は、経済の国家統制色を強める意向のようだ。

こうなると、誰が後任首相になろうと、裁量の余地はなくなる。

毛沢東主義に戻るほかないとすれば、中国経済の前途は暗闇になろう。


(3)「2013年終盤、最高指導者の地位に就いたばかりの習氏は包括的な経済改革を打ち出したが、その後中国市場の自由化は勢いを失っている。

シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のバート・ホフマン東アジア研究所所長は、

「20回党大会では新しい経済チーム(のメンバー)が選ばれる余地は大きい」と予想する。

その上で、「習氏が提示した幅広い目標の達成を目指す実務的な集団になれば、2013年に掲げた改革方針の未達成項目のほとんどが再登場し、経済成長のエンジンがまた着火すると期待できる。

逆に新チームが統制主義傾向の強まりを反映するなら、成長低迷は続くのではないか」とみている」

習氏が、「共同富裕層」を唱えた時点で、今後の目指す政策の将来が分っている。

企業への規制である。

これによって、共産党の支配を固める狙いだ。

習氏が最も恐れるのは、企業を足がかりにした「反習近平」派の拡大である。

中国経済の成長よりも、習近平個人の安泰維持が最大の目的になろう。

昭和天皇は太平洋戦争に反対だった…

2022-09-21 16:48:40 | 日記
昭和天皇は太平洋戦争に反対だった…

それでも国家意思として開戦を決めた「御前会議」で話し合われたこと軍事的な常識は「勝てるはずがない戦争はすべきではない」

PRESIDENT Online

栗原 俊雄毎日新聞記者


なぜ日本は太平洋戦争に踏み切ったのか。

毎日新聞の栗原俊雄記者は「昭和天皇は開戦を決めた御前会議で、和歌を詠むだけで、戦争回避を求める発言はしなかった。

和歌の意図は戦争回避だったと考えられるが、作家の五味川純平も指摘しているようにそれだけでは不十分だったのではないか」という――。

※本稿は、栗原俊雄『戦争の教訓 為政者は間違え、代償は庶民が払う』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。


「自存自衛のために対米英蘭戦争を辞さない」という近衛文麿の決意

1941年9月5日、近衛首相は天皇に拝謁し、大本営政府連絡会議がまとめた「帝国国策遂行要領」(「要領」)を内奏した。

要点は、
(1)日本は自存自衛を全うするため、対米英蘭との戦争を辞さない決意のもと、おおむね10月下旬をめどに戦争準備を完整させる
(2)(1)に並行して米英との外交で要求貫徹に努める。交渉における最少限度の要求は別紙の通り
(3)(2)の外交により10月上旬ごろになっても要求貫徹のめどがつかない場合は、直ちに対米英蘭開戦を決意する
というものだ。

日本側が求める「最少限度の要求」のうち、主なものは、
(A)米英は日本の「支那事変処理」に容喙ようかいしたり、妨害したりしないこと
(B)米英は極東において、日本の国防を脅かすような行為をしないこと
(C)米英は日本が必要な物資を獲得するのに協力すること
である。さらに、譲歩できる限度も想定した。

①日本は進駐した仏印(フランス領インドシナ、現ベトナム)を基地として、中国以外の近隣地域に武力進出はしない
②公正な極東平和が確立した後、仏印から撤兵をする
③フィリピンの中立を保障する
というものであった。

「要求」は、ハル4原則

(1)他国領土保全と主権尊重
(2)内政不干渉
(3)通商上の機会均等
4)太平洋の現状維持]と真っ向から対立するものである。

その要求をのませる対価として、

「中国以外の近隣地域に武力進出はしない」などの前記の「譲歩」①~③は、あまりにも見劣りした。

筆者のみるところ、10円で100円を買おうとするようなものだ。

ともあれ、「要領」は自存自衛のために対米英蘭戦争を辞さない決意をし、10月下旬をめどに戦争準備を終える、そして10月上旬までに対米交渉で上記の要求を貫徹できるめどがつかない場合は、直ちに対米英蘭戦争を決意する、という内容である。

このときすでに、日本は非常に重要な物資である石油が入ってこなくなりつつあった。

対米交渉妥結が延びれば延びるほど日本の戦力、国力は削られる。だから交渉に期限を設けることも必要ではあっただろう。

開戦の気配を感じ取った昭和天皇

ただ外交は相手の意思や都合もある。

敗戦後の日米関係ならともかく、この段階での日米関係はどちらかが相手の要求をすべてのむ、という関係ではない。互いの譲歩が必要なのだ。

交渉期限を設定してしまうと、互いの譲歩の余地が少なくなってしまう。

しかも「開戦決意」までたった1カ月しかない。

『平和への努力 近衛文麿手記』を見ると、天皇は以下のように述べた。

「これを見ると、一に戦争準備を記し、二に外交交渉を掲げている。戦争が主で外交が従であるかの如き感じを受ける。この点について明日の会議で統帥部(陸軍参謀本部海軍軍司令部)の両総長に質問したい」

このあたり、戦争回避を願う天皇の視点は鋭い。

危機感が増したのだろう。

近衛は、

「一と二の順番は軽重を表すものではなく、政府としてはあくまでも外交交渉を行う。どうしても交渉がまとまらなければ、戦争の準備にとりかかる」、という趣旨の返事をした。

その上で、翌日の御前会議の前に杉山元陸軍参謀総長と、永野修身海軍軍令部総長を呼んで聞くことを勧めた。

御前会議には文官もいて、軍事の詳細を話し合うのは、はばかられたためだろう。

天皇は「すぐに呼べ。首相も陪席せよ」と命じた。

「どのくらいの期間で片付ける確信があるのか」

天皇は両総長に、要領の順番について近衛にしたのと同じ質問をし、両総長は近衛と同じように答えた。

天皇はさらに杉山に聞いた。

以下、前掲の近衛手記から再現してみよう。

天皇「日米戦争となったら、陸軍はどれくらいの期間で片付ける確信があるのか」

杉山「南洋方面だけは3カ月くらいにて片付けるつもりであります」

天皇「お前は支那事変[日中戦争]が勃発した時の陸相だ。

その時、

『事変は1カ月くらいにて片付きます』と申したことを覚えている。しかし4年の長きに渡ってまだ片付かないではないか」

杉山「支那[中国]は奥地が開けており、予定通りの作戦が難しいのです」

天皇「支那の奥地が広いというなら、太平洋はさらに広いではないか。いかなる確信があって3カ月と言うのか」

杉山にとって、3カ月で南方作戦を成功裏に終わらせるのは願望であり、それを実現させる確信はなく、確信の裏付けとなる客観的なデータなどなかったのだろう。

だから「3カ月」と判断する理由を説明できなかった。

永野が言葉を添えた。

永野「今日、日米の関係を病人にたとえれば、手術をするかしないかの瀬戸際に来ております。

手術をしないでこのままにしておけばだんだん衰弱してしまう恐れがあります。

手術をすれば非常に危険があるが助かる望みもないではない。

その場合、思い切って手術をするかどうかという段階であるかと考えられます。

統帥部としてはあくまで外交交渉の成立を希望しますが、不成立の場合は思い切って手術をしなければならんと存じます」

「絶対に勝てるか」と大声で問いただした昭和天皇

本当に「手術」するしかないのか。

外交などの「投薬」を尽くしたのか。

戦争だけが「手術」で、他にすべはないのか。

疑問は残る。

もっとも、アメリカ相手の戦争を始めるにあたり、説得力のある説明は永野といえどもできなかっただろう。

戦力で考えたらアメリカに勝てるはずがないし、永野たちも勝てないことは分かっていたからだ。

「一か八か」のような永野の論法を聞いた天皇は、不安をぬぐえなかった。強い言葉でさらに問いかけた(『杉山メモ』)。

御上[天皇]「絶対に勝てるか(大声にて)

天皇が翌日の会議を前にわざわざ2人を呼び出したのは、このことを聞きたかったからではないか。

居並ぶ大本営政府連絡会議のメンバーを前に「絶対勝てます」とは、米英との彼我の国力差を考えれば、軍事のプロとしては言えないだろう。

かといって「勝てません」とも言えない。

そこで本音を言いやすい環境で2人に問うた、ということではないか。

永野「絶対とは申しかねます。しかし勝てる算のあることだけは申し上げられます。

必ず勝つとは申上げかねます。なお日本としては半年や1年の平和を得ても続いて国難が来るのではいけないのであります。

20年、50年の平和を求むべきであると考えます」
御上「ああ分かった(大声にて)」

必ず勝つとまでは言えない。

しかし、勝算はある。半年や1年の平和を得たとしても、国難が続くことがあってはならない。

半世紀先までの平和を考えなければならない。

永野はそう言う。その平和は、戦争をすることで見えてくる。そうも言いたかったのだろう。

御前会議の終盤に起きた“異常な事態”

天皇の「分かった」は、どういう気持ちからの言葉だったのか。

「手術=開戦」に納得したのか。

あるいは、いいかげんな説明にうんざりして話を打ち切りたかったのか。

開戦過程の研究では、この翌日9月6日の御前会議がよく知られている。

非常に重要な会議ではあるが、筆者は上記の、前日に行われた両総長と首相による、天皇への内奏も劣らずに重要であったと考える。

天皇は、両総長が対米戦に前のめりになっていることを改めて知ったはずだ。

そして、確たる勝算がないことも。

そうであれば、文官も含めた各閣僚がいる御前会議の場ではなく、5日のこの時点で戦争回避の意志を強く示すべきであった。

永野は「半年や1年……」と述べたが、もし半年ないし1年日本が熟慮を続けていれば、1945年8月の敗戦とは相当違う未来があっただろう。

6日午前10時、御前会議が始まった。

終盤に異常な事態が起きた。

同会議では発言しないという慣例があるが天皇はそれを破り、明治天皇の和歌を読み上げたのだ。

「四方よもの海、皆同胞みなはらからと思ふ代に、などあだ波の立ち騒ぐらむ」(『杉山メモ』)

「避戦」のための、異例の発言だった。

「手術=開戦」に納得していなかったことが分かる。
しかし、要領は可決された。

つまりこの会議から1カ月余り後の10月上旬ごろを期限とし、それまでに日米交渉で日本の言い分が通らなければ、対米英蘭の戦争を決意することが、天皇の前で国家意思として決まったのだ。

大日本帝国は戦争へと大きな一歩を踏み出し、ここから破滅への坂を速度を上げて転げ落ちていく。

「避戦」の意思は軍部に伝わったが…

戦中派の作家、五味川純平は「四方の海……」の場面について言う(『御前会議』)。

「発言しない建前の天皇が発言したのは異例のことである。つまり、天皇は意思表示せずにはいられなかったと解すべきであろう。

もしそうなら、天皇は詩歌の朗読による表現などとるべきではなかった。

詩歌は感傷的感慨の表現手段でしかない。事はまさに国運が決する瞬間だったのである」

天皇の「避戦」の意思は、軍部に伝わった。

御前会議から帰った東条英機陸相は「聖慮は平和にあらせられるぞ」と述べた。

武藤章軍務局長は「オイ戦争なぞはだめだぞっ。陛下はとてもお許しになりっこない」と言った(佐藤賢了『大東亜戦争回顧録』)。

しかし、わずか3カ月後に戦争は始まる。五味川は嘆息する。

「朕は戦争を欲せず、とひとこと言ったらどうであったか。
(中略)沈黙の慣例は天皇みずからによって破られているのである。

天皇の直接的意思表示が異例のこととして行われたとしても、行われてしまえば、それを輔弼ほひつするのが列席者たちの任務なのである。

詩歌の朗読では、意思はどれほど明瞭に感取されても、手続きは忖度そんたくでしかないから決定力を持たない。

列席者は恐懼きょうくしたが、それだけである」
(前掲『御前会議』)

「輔弼」とは、明治憲法が定める規定で、各国務大臣が天皇の判断や行動が正しくなされるように務める、というものだ。

天皇が「自分は戦争を望まない」と言っていたら、この規定によって避戦へと方向が変わったのではないかと、五味川は見る。

しかし天皇はそこまで明瞭に意思は示さなかった。

だから、天皇が戦争を望んでいないことは分かっても恐懼=恐れ入っただけだった。

自分たちが作ったデータで“催眠術”にかかってしまった
天皇が戦争回避を望んでいることを知った統帥部は、開戦への説得工作を進めた。

栗原俊雄『戦争の教訓 為政者は間違え、代償は庶民が払う』(実業之日本社)


石油や船舶の確保の見通しについて具体的データを示し、対米英戦争は可能、とした。

結果的に見て大甘の見通しであった。

しかし開戦に前のめりの軍官僚たちも、安心材料が欲しかったのだろう。

自分たちが作ったデータが催眠術となり、「何とかなる」と思い込んだのではないか。

もし、彼我の国力差を知ってなおアメリカに勝てると本気で思っていたら、それは医学の問題に関わってくるだろう。

ただ、陸海軍ことに海軍には慎重論も根強かった

アメリカとの戦争となれば主戦場は太平洋であり、となれば海軍力が勝敗を大きく左右する。

当時は軍艦の保有量などで見ると米英が世界1位と2位で、帝国は3位だった。

イギリスはドイツとの戦争で相当の戦力を割かなければならず、アメリカも大西洋に艦隊を配置しなければならなかったが、それを織り込んでも帝国海軍の物量的劣位は明らかだった。

「勝てるはずがない。戦争はすべきではない」というのが、純軍事的な判断である。

山本五十六が想像した以上の悲惨な結果が待っていた
沢本頼雄海軍次官(当時)の手記によれば、連合艦隊司令長官、つまり現場の最高司令官である山本五十六は1941年9月29日、対米戦を予想して、永野にこう言っている。

「日本が有利なる戦を続け居る限り米国は戦を止めざるべきを以て戦争数年に亘り、資材は蕩尽せられ、艦船兵器は傷つき、補充は大困難を来し、遂に拮抗し得ざるに至るべし。

のみならず戦争の結果として国民生活は非常に窮乏を来し、内地人は兎も角として、朝鮮、満州、台湾は不平を生じ、反乱常なく、収拾困難を来すこと想像に難からず。

かかる成算小なる戦争は為すべきにあらず」

(『戦史叢書 大本営陸軍部 大東亜戦争開戦経緯〈5〉』)

アメリカは、日本が有利に戦っている限り戦争をやめないだろう。戦争は数年に及ぶ。

日本の資材はなくなり、補給が難しくなる。アメリカに張り合うことは困難になる。

日本内地はともかく、併合した朝鮮や植民地の満州、台湾などの統治も難しくなる。

勝ち目の小さい戦争はすべきでない。

米駐在武官を経験し、相手の国力や国民性をよく知る山本らしい卓見であった。

戦争はおおむね彼の予想の通りに進んだ。

ただ、その被害の大きさは山本の想像以上であったかもしれない。



いまの円安は「日本離れ」ではない…これから米国株が崩れて、日本円が復活すると予想できるワケ

2022-09-21 16:19:36 | 日記

いまの円安は「日本離れ」ではない…これから米国株が崩れて、日本円が復活すると予想できるワケ


真壁 昭夫 - 昨日 9:15

© PRESIDENT Online


1ドル=144円99銭まで円安が進行

8月下旬以降、外国為替相場ではドル高・円安が急速に進んだ。

9月7日には1ドル=144円99銭まで円安が進行した。


その要因として、8月25~27日に開催された“ジャクソンホール会合(米カンザスシティー連邦準備銀行主催の経済政策シンポジウム)”における日米金融当局者の講演によって、両国の金融政策の違いが鮮明化したことは大きかった。

それは、投機筋などにドル買い・円売りのオペレーションを行う安心感を与えた。

ジャクソンホール会合以降、ヘッジファンドなどの投機筋は円安の進行を狙い撃ちしてドル買い・円売りのポジションを急速に増やした。

今後の展開を予想すると、短期的に一段と円安が進む可能性はある。

それによって輸入物価はさらに上昇するなど、わが国家計の生活の厳しさは増すだろう。

やや長めの目線で考えると、徐々に円売りポジションは巻き戻されるだろう。


投機筋は買ったものは売り、売った物は買い戻す。

そのきっかけになると考えられるのは、米国株の急落や、日銀総裁人事後のわが国金融政策の調整などだ。

会合で日米の金融政策の差が浮き彫りに

8月下旬以降に急速に円安が進んだ要因として、ジャクソンホール会合のインパクトは大きかった。

最も重要なことは、一連の講演や討論会を通して、日米の金融政策の差が一段と鮮明になったことだ。

米国の金融政策は引き締められ、金利は上昇するだろう。

その一方で、当面、日銀は異次元の金融緩和を継続し、わが国の低金利環境が続く。

その結果として日米の金利差は一段と拡大すると考える投資家は急速に増えた。

ジャクソンホール会合にて、複数のFRB関係者が金融引き締めを急がなければならないとの危機感を示した。

8月25日、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、利上げは前倒しで行うべきだと述べた。

翌26日の講演にてパウエル議長は、成長率の鈍化などの痛みを伴ったとしても利上げを続けなければならないと、より強い危機感を表明した。

売りが売りを呼び、急速に下落した

米国では労働市場が逼迫(ひっぱく)している。

賃金は上昇し、企業は増加したコストを販売価格に転嫁しやすい。

その結果として米国の物価は上昇した。

消費者物価指数(CPI)でみた米国の物価上昇率の上昇ペースには鈍化の兆しが出ているが、2%の物価目標水準を大きく上回っている。

賃金インフレを退治するためにFRBは金利を引き上げて労働市場の過熱を早期に抑えなければならない。

その一方で、27日の討論会後の質疑応答において日銀の黒田総裁は、賃金と物価が安定的かつ持続的に上昇するまで金融緩和を行うとの認識を示した。


わが国では個人消費の回復が鈍い。実質ベースで賃金は伸び悩み、需要は停滞している。

その状況下、日本銀行は異次元の金融緩和を維持せざるを得ない。

ジャクソンホール会合は、日米の金融政策の方向性の違いが鮮明であることを主要投資家などが確認する重要な機会になった。

投機筋はドル買い・円売りのオペレーションを増やす安心感を強め、一部投資ファンドは大規模な円キャリートレードを仕掛けた。

それは他の投資家による追随の円売りを生み、9月7日に24年ぶりの円安水準である1ドル=144円99銭まで円が急速に下落した。

輸出にはプラス効果を与えているが…

当面の間、米国では金融がさらに引き締められ、わが国では異次元の金融緩和が続くだろう。

短期的にドル高・円安は続く可能性がある。

円安は、わが国の国内総生産=GDPにとっては全体として僅(わず)かながらプラスの影響を与える。

2022年4~6月期、わが国の実質GDP成長率は、前期比年率換算で3.5%だった。


需要項目別に寄与度を確認すると、純輸出は0.27ポイントのプラスだ。

自動車など主要企業の直近の決算内容を見ても、円安は業績にプラス効果を与えている。

ただし、円安が経済に与えるマイナスの側面が増えていることは軽視できない。

特に、輸入物価の急速な上昇は深刻だ。

日本銀行によると、8月の輸入物価指数は前年同月比で42.5%上昇し、国内企業物価指数(海外では生産者物価指数と呼ばれる)は同9.0%上昇した(いずれも速報値)。

賃金は増えず、生活必需品は値上がりが続く

その背景の一つとして、ウクライナ危機をきっかけにして世界経済全体で供給が一段と不安定化したことは大きい。

わが国が輸入する小麦などの穀物の価格は一時大きく上昇し、その後も不安定だ。

火力発電に使われる天然ガスの価格も上昇している。

輸入するモノの価格上昇と円安の掛け算によって、わが国企業は強烈なコストプッシュ圧力に直面している。

企業は業績を守るためにコストの転嫁を余儀なくされる。

その結果として、わが国ではコストプッシュインフレが進んでいる。

米国とは異なり、わが国の実質ベースの賃金は伸び悩んでいる。

毎月勤労統計調査によると、7月まで4カ月連続でわが国の1人あたり実質賃金の前年同月比変化率はマイナスだった。

賃金が増えない一方で、電気代、ガス代、および穀物、生鮮野菜や生鮮魚介といった食料など日常生活に不可欠なモノなどの価格は上昇している。

家計の生活の厳しさは一段と高まるだろう。

また、中小企業の事業運営に対する負の影響も懸念される。

東京商工リサーチによると、8月は円安関連の倒産が5件起きた。さらなる円安の進行が現実のものとなれば、家計や中小企業への逆風は一段と強まると懸念される。

徐々にドル高・円安の流れは弱まる

やや長めの目線で考えると、徐々に円売りのポジションは巻き戻され、ドル高・円安の流れは弱まるだろう。

まず、ヘッジファンドなどの投機筋は、買ったものはいずれ売り、売ったものは買い戻す。

例えば、ジャクソンホール以降の円安の進行によって、円をショート(空売り)した投資家は、円安が進行したことによってある程度の利得を手に入れただろう。

彼らは円を買い戻すことによってポジション(持ち高)を中立にし、次の利得確保のチャンスを狙う。

9月7日に144円99銭を付けた後、円はドルに対して反発した。その背景には、円キャリートレードの巻き戻しが影響している。

黒田総裁の任期満了後が注目される

その他のきっかけによって円キャリートレードの巻き戻しが進む展開も予想される。

一つのシナリオとして、米株の急落リスクがある。

FRBは大幅な利上げを続け、それと同時に量的引き締め=QTも本格化する。

米国の金利は上昇するだろう。

無リスク資産である国債流通利回りの上昇によって、リスク資産である株式を保有する魅力は低下する。

それに加えて、依然として米国の株価の水準は高い。

金融引き締めの強化によって短期ゾーンを中心に金利が上昇すれば、米国の労働市場は悪化し、個人消費の減少懸念が高まる。

リスク回避に動く投資家は増え、株を手放す投資家が増える。

売りが売りを呼んで米株が急落する展開は排除できない。

それによってリスクオフの流れが鮮明となれば、円売りポジションを手仕舞う投機筋は増えるだろう。

また、日銀の総裁人事などによって異次元金融緩和の修正が目指される展開も予想される。


2023年4月8日に、異次元金融緩和の強化と継続にコミットした日銀の黒田総裁は任期満了を迎える。

新しい総裁の下で、日銀は金融政策の正常化に慎重に取り組む可能性が高い。

その展開が現実のものとなれば、日米の金利差はこれまでのようには拡大しづらくなるはずだ。

その結果として、円売り圧力は徐々に弱まるだろう。

---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------






韓国、「深刻」ウォン急落、外国人の資金流出8月21億ドル 1400ウォンが「防衛線」

2022-09-21 15:55:59 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

韓国、「深刻」ウォン急落、外国人の資金流出8月21億ドル 1400ウォンが「防衛線」

2022年09月21日

  • 韓国経済ニュース時評米国経済ニュース時評

   
韓国の対ドル・ウォン相場が、1400ウォン割れ寸前でもみ合っている。

当局のドル売り介入によって1400ウォン割れを防いでいる結果だ。

この「防衛線」が崩れれば、ウォンは一気に「50ウォン」単位で下落するのでないかという恐怖感が漂っている。

韓国銀行は20日、今年8月末現在の外貨預金残高が882億7000万ドルとなり、前月末に比べ21億1000万ドル減少したと発表した。

この減少幅の大きさが警戒感を強めている。

現在の、ウォン相場は1ドル=1394ウォン(21日12時08分)で踏ん張っている。

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月21日付)は、「投資家の韓国離れ加速 アジア通貨危機の再来懸念」と題する記事を掲載した。

米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを受けドルが上昇を続ける中、韓国ウォンは金融危機以来の安値に沈んでいる。

一部のアナリストや投資家は、強いドルが一因となり、韓国などの国から資金が流出し市場が不安定化した1997~98年のアジア通貨危機と類似しているとして懸念を示している。

(1)「ハンファ投資証券のチーフエコノミスト、キム・イルク氏は、韓国にとって「資金流出は深刻な問題だ」と指摘。

さらに流出が続けば通貨や株式、また債券に新たな圧力がかかることになる。

そうなれば、コモディティー(商品)の輸入コストはウォンベースで上昇し、企業にとっては資金調達の負担も高まることになると述べた」

ウォンの対ドル相場は16日、取引時間中に1ドル=1399ウォンを付け、1400ウォン割れが迫り、韓国の通貨当局は対応に追われた。

外国為替市場では、心理的抵抗線とされる1400ウォンを割り込めば、不安感が一段と高まりかねないと懸念されている。

実際に1400ウォン割れとなれば、ウォン安が加速し、企業だけでなく、個人の間でも恐怖心理が広がりかねないからだ。

通貨当局は1400ウォン割れを阻止するために総力戦を展開している。

16日から通貨当局は都市銀行と国策銀行にドルの取引状況を1時間単位で報告するよう求めた。

通常外国為替取扱銀行は午前10時、午後1時、午後5時の3回、ドル取引状況を報告するが、1時間単位でリアルタイムに報告するよう要求する「実力行使」に出た。

市中銀行関係者は「顧客のドル需要を満たす程度のドル資金だけを確保し、銀行が為替差益を得ようとするドル買い入れを行ってはならないという圧力だ」と話した。『朝鮮日報』(9月19日付)が伝えている。

(2)「ドルは19日の時点でウォンに対し、年初来で17%上昇。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数の約13%上昇を上回るペースとなっている。

韓国はウォン安がさらに歓迎されない独自の問題も複数抱えている。

同国は家計や企業の債務が多いため、中央銀行がインフレ抑制や通貨を支えるため積極的に政策を引き締めることができない状況となっている。

同国はまた、特に最大の貿易相手国である中国などとの輸出に大きく依存するなど、より長期にわたる課題も抱えている」

下線のように、韓国は固有の問題点を抱えている。

家計や企業の債務が多いことだ。

家計債務の対GDP比は100%を上回り、OECD(経済協力開発機構)の中で最悪である。

韓国が、外貨流出を抑制すべく金利を急速に引き上げれば、家計の破綻リスクを誘発する。

企業も、金利を営業利益で支払えない「死に体」が増えている。

こうして、民間部門が高金利に耐えられない脆弱な構造になっている。

中国経済の不振も痛手だ。

中国は、韓国輸出の4分の1(香港を含めれば3割)を占めている。

その中国経済が不振である。

対中貿易は、これまで恒常的に黒字であったが、すでに5ヶ月赤字に落込んでいる。

この対中赤字が、韓国貿易収支構造を大きくマイナスへ引き寄せている。

以上のような固有の問題点を抱える韓国経済が、3度目の通貨危機に陥らないという保証はないのだ。

むしろ、今回は中国経済不振という、これまでになかったマイナス材料が出ている。為替投機筋の狙い目はここであろう。

対ドルで1400ウォンを割込めば即、米国からドル資金を借入れて対応せざるを得まい。

韓国では、これを「通貨スワップ」としているが、正式には「ドル借入れ」である。

韓国は体裁を付けて「通貨スワップ」と称しているだけだ。