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韓国経済にドル高と輸出減少のダブルパンチ、経常収支黒字は1年で7分の1に

2022-09-08 16:34:15 | 日記
韓国経済にドル高と輸出減少のダブルパンチ、経常収支黒字は1年で7分の1に

 
世界的なインフレで輸入負担が増大する中、韓国の輸出は鈍化の兆しが明確になり、韓国経済に危機感が高まっている。

 年初来、国際的な原材料高騰とウォン安が重なり、直近で5カ月連続の貿易赤字を記録し、8月までの貿易赤字は247億ドルに達した。

これについて、韓国政府関係者は、経常収支が黒字なので、通貨危機のような国家的危機には拡大しないと説明している。

物の輸出入だけを計算する貿易収支とは異なり、海外生産やサービス・資本の移動も含めた経常収支は依然として黒字基調が維持できているとの指摘だ。

韓国経常収支・商品収支の変化
 しかし、そうした状況にも変化が見られる。

韓国銀行が7日に発表した7月の経常収支黒字は10億9000万ドルで、昨年7月(77億1000万ドル)の7分の1に急減したのだ。

韓銀のキム・ヨンファン金融統計部長は8月の経常収支について、「赤字転落の可能性がある」と述べた。

海外への配当が集中する4月を除けば、経常収支が月次ベースで赤字となるケースは、2012年1月以降10年間なかった。

 特に経常収支を構成する4項目のうち、最も大きな割合を占める商品収支が急激に悪化したことが問題だ。

 年初来で過去最大の貿易赤字が発生したにもかかわらず、商品収支は毎月黒字だったが、7月には結局赤字(11億8000万ドル)を記録した。

 商品収支が6月まで黒字だったのは、通関ベースの貿易収支とは異なり、韓国企業の海外工場からの輸出も含めて計算するためだ。

サムスン電子のベトナム工場で生産したスマートフォンを米国に輸出すれば貿易収支には含まれないが、商品収支には含まれる。

商品収支の赤字は、海外からの輸出分を合わせても対外貿易で損失が出たことを示している。

 特に原材料価格の高騰とウォン安により、7月は原材料輸入額が前年同月比で35.5%増えた。

輸入額の増加幅は原油が99.3%、ガスが58.9%に達した。

 輸入の急増とは対照的に、韓国の最大の輸出先である中国の景気が悪いことに加え、世界経済の低迷で世界的に需要が縮小しており、輸出は減少が予想される。

ウォン安が続いているため、原材料の輸入にはますます資金がかさむ。

 以前とは異なり、ウォン安をテコに輸出増大効果を享受することも難しくなった。

韓国から輸出する製品に使われる中間財の輸入が増えたほか、海外に生産拠点を移転した企業が多いためだ。

韓国企業の海外法人数は2000年には1万2705社だったが、20年には7万8640社となり、20年間で6.2倍に増えた。

 貿易収支に続き、経常収支までもが赤字に転じると、韓国経済の基礎体力低下を意味し、国際的な信頼度も低下しかねない。

そうなれば、外国為替市場の不安感が増し、ウォン安が進む悪循環に陥りかねない。

 通年で経常収支赤字となれば、通貨危機当時の1997年以降25年ぶりとなる。

世界的な金融危機の当時も、通年での経常収支黒字は守り抜いた。

延世大の金正湜(キム・ジョンシク)名誉教授は「これまでの状況から見れば、今年は通年での経常収支黒字は守れるとみられるが、もっとしっかりした備えが必要だ」と話した。

孫振碩(ソン・ジンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


『中央日報』(9月8日付)は、「サウジに『秘密親書』送った習近平氏、釜山エキスポ誘致が非常事態に陥った」と題する記事を掲載した。

2022-09-08 15:45:08 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
   

韓国政府は7日(現地時間)、パリにある博覧会国際事務局(BIE)に「2030釜山(プサン)世界博覧会(エキスポ)」誘致計画書を公式に提出した。

すでに、日本へは支援協力を依頼しており、実現に向けて動き出している。

サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が、大統領特使の資格でそれぞれ英国と日本を訪問し、2030年の釜山(プサン)万博誘致支援に出る予定である。

 
習近平氏が、その旨の秘密親書ところが、を送ったというのだ。

中国は2030年のエキスポに立候補するサウジアラビアを支援する動きを見せている。

中国は最近、半導体を目的に韓国へ一段の接近をしている一方で、サウジアラビアへも原油確保の目的で急接近している。

中国の「二股外交」ぶりが明らかになったのだ。

これで、韓国の「中国熱」はさらに冷めるであろう。

 『中央日報』(9月8日付)は、「サウジに『秘密親書』送った習近平氏、釜山エキスポ誘致が非常事態に陥った」と題する記事を掲載した。

5日、中国の習近平国家主席がサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール=サウード国王に親書を送り、サウジアラビア・リヤドの2030年世界エキスポ開催支持を表明したとサウジ通信社(SPA)が同日、報じた。

(1)「多数決で決まるエキスポ主催争いで、中進国の投票者の心をリードできる中国がいち早くリヤド支持の意思を明らかにしたことにより、釜山(プサン)誘致戦を繰り広げている韓国にとっては厳しい競争を強いられる見通しだ。

習主席の親書はこの日、陳偉慶サウジアラビア大使がリヤド外交部庁舎でワリド・ビン・アブドルカリーム・アール=フライジ外交部次官に伝達した。

異例のことだが、今回の習主席の親書伝達の便りは中国官営メディアはもちろん、外交部やサウジ大使館ホームページにも全く公開されなかった」

中国が、秘密裏にサウジアラビアへ親書を送ったのは、韓国を刺激したくなかったもの。

韓国へは半導体で接近しているからだ。だが、中国はサウジアラビアへも原油確保で最大の投資を始めている。

サウジアラビアは近年、中国との友好関係を深めている。

16年に中国と全面的な戦略パートナーシップを結び、19年に両国は合同軍事演習を行った。

サウジは昨年、中国の最大原油供給先となった。

今年上半期における中国の対サウジ投資額は55億ドル(約7783億円)に達した。

「一帯一路」参加国の中で最も多い。

うち46億ドル(約6509億円)は原油や天然ガス開発に投じられる。

韓国は、中国の「裏の顔」を知って目が覚めるであろう。

中国は、半導体と原油の両方を離したくない結果、綱わたり外交をしているのだ。

(2)「SPAは、習主席の親書の中で両国と国民をつなぐ堅固で緊密な二国間関係が記されていたと報じた。

この日、ファイサル・ビン・ファルハーン・アル・サウード王子に代わりに出席したアール=フライジ次官は、陳大使と会談を行い、両者関係を検討して多様な関係で協力を強化する一方、相互利益問題についての見解を交換したと通信は伝えた。

中国がこのように秘密裏に2030世界エキスポ開催地でリヤド支持の意思を明らかにし、釜山の誘致戦は大きな苦戦が予想される」

中国のサウジアラビア支援姿勢は、韓国を軽く見ている証拠である。

韓国を脅せば、大丈夫と踏んでいるのであろう。韓国も、怒るべき時は怒らなければ鼎の軽重を問われる。

 (3)「2030世界エキスポ開催地は来年11月、フランス・パリで加盟170カ国の投票で決まる。

3分の2の賛成を受ける国家が出てくるまで繰り返し投票が行われる。

韓国は2020年世界貿易機関(WTO)事務局長の選挙でも、産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が米国の公開支持を受けて最終候補2人に進出したが、中国が支持したナイジェリア元財務長官出身のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ氏に押されて結局候補から辞退したことがある」

韓国は、WTO事務局長選で韓国候補が敗退した苦い経験がある。

あの選挙は、EU・日本・中国が揃ってナイジェリア候補を支援していた経緯があった。

今回の2030年エキスポは、まだそういう状況にはなっていない。



好調な企業収益が証明した「悪い円安」論調の大間違い 円安ならGDPは伸びる 法人税収増分は中小企業に使え

2022-09-08 11:38:13 | 日記
好調な企業収益が証明した「悪い円安」論調の大間違い 円安ならGDPは伸びる 法人税収増分は中小企業に使え

高橋洋一  

元内閣参事官・嘉悦大教授

2022.9/8 06:30 

財務省が発表した2021年度の法人企業統計で、全産業の経常利益が前年度比33・5%増の83兆9247億円と過去最大だった。企業の「内部留保」に当たる利益剰余金は6・6%増の516兆4750億円と初めて500兆円を超え、10年連続で最大を更新したという。
統計をさらにみると、全産業の営業利益は30・2%増の54兆2156億円、設備投資は9・3%増の45兆6613億円。なお、設備投資は、有形固定資産(土地を除く)増減額、ソフトウエア増減額、減価償却費、特別減価償却費の合計である。
利益剰余金の増加額は34兆3343億円なので、基本的には利益以上に他の金融資産を取り崩して設備投資したので、まずまずの数字である。
金融緩和効果が出てきたものと思われる。それとともに、最近の「円安是正のために利上げ」というマスコミ論調がおかしいことを示している。

国内総生産(GDP)統計を見ても、民間設備投資はまずまずだが、政府公共投資はさっぱりだ。政府が出てくれば、呼び水効果でさらに民間投資を伸ばすチャンスなのに残念で仕方ない。公共事業を評価する際に使われる社会的割引率は現在4%という法外な水準であり、その見直しなど政府がやるべきことは少なくなく、せっかくの民間投資が好調な状況を生かしていない。 

法人企業統計では、21年度のほか、22年4~6月の分も公表されている。全産業の営業利益は前年同期比13・1%増の17兆6716億円、経常利益は17・6%増の28兆3181億円。経常利益は製造業、非製造業のそれぞれでも過去最高である。
営業利益が伸びているのは、コロナ禍からの経済・社会活動の正常化で業績回復が進んだからだ。
また、経常利益が営業利益よりも伸びているのは、非営業利益の投資収益が伸びているからだ。受取利息等は7兆3573億円で過去最高だった。
その主因は円安による海外投資収益の増加である。円安効果は輸出拡大という形でも現れるが、過去の海外投資収益という形でも表れる。
一般に現地生産に移行していると輸出増にならないので、円安効果は限定的だといわれるが、現地生産なら海外投資を既に実施しているはずで、その場合には輸出増でなく海外投資収益増に替わっているはずだ。今回の法人企業統計では、その効果が強く表れている。

設備投資は4・6%増の10兆6108億円だった。5期連続で前年比プラスで、民間設備投資の基調はいい。脱炭素やデジタル化への投資意欲は相変わらず堅調だ。
円安でも企業収益は良くなったわけで、本コラムで筆者が円安ならGDPは伸びると主張していたことと整合的だ。

企業収益増は法人税増になるので、その増収分を円安で困っているところ、例えば中小企業などに使うといい。いずれにしても、円安はGDP増になるので、その果実を有効に活用すればよく、角を矯めて牛を殺すような、円安是正という間違った対応をしてはいけない。 

(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)




21年度の企業の内部留保500兆円超 10年連続で過去最高更新

2022-09-08 10:44:43 | 日記
21年度の企業の内部留保500兆円超 10年連続で過去最高更新

9/1(木) 11:00配信 

2021年度の企業の内部留保が、金融・保険業をのぞく全業種で初めて500兆円を超えた。

コロナ禍で落ち込んだ経済活動が回復し、企業の業績が好調だった。

この10年でみた内部留保の増加率は約8割にのぼる。

一方、設備投資や人件費の増加は鈍く、景気の好循環に向けた課題となっている。 

 財務省が1日発表した法人企業統計によると、企業の内部留保は前年度比6・6%増の516兆4750億円で、17年度以来の伸び率だった。

10年連続で過去最高を更新し、11年度からの増加率は約8割にのぼる。 

 業種別では、製造業が10・9%増で、非製造業は4・4%増だった。

規模別では資本金10億円以上で5・9%増だったのに対し、1千万円未満は3・6%減。

円安の恩恵を受けやすい大企業製造業を中心に、内部留保が積み上がった。

朝日新聞社


21年度の企業の内部留保500兆円超 10年連続で過去最高更新

朝日新聞デジタル9/1(木) 11:00



馬渕コメント

6日前報告

内部留保は=現金とは限りません。

有価証券や機械設備や自社ビルなどのように減価償却に時間のかかる資産に変わっていることもあります。

企業内の様々な資産、例えば、土地・建物・機械などに形を変えて存在しているのですぐに取り崩せないものも多いのです。

日本は世界の中で内部留保が多い国として有名です。 

米国では1930年代から内部留保課税が導入され、現在まで続いています。

「北風と太陽」の議論になりますが、企業も自社を守るために、必死なわけです。

企業を締め付ける課税の方向というよりは、内部留保を使えば税制優遇を受けられる制度を強化するほか、個々の企業が自主性に投資に回すような、経済環境づくりが必要です。