PART.3 造形のバランス(1)
■Gメモリーズのパターンとは真逆のゴジラ達
造形について細かくこだわった所は以前書いた「こだわり」を読んでいただくとして、造形作業で一番難しかったのは「カッコかわいい」ディフォルメにするためのバランスを取る事でした。
体型的には以前作った「デスゴジ」に近いわけですから、その経験があるので比較的作りやすいかなとは思っていたのです。
が、作業を始めてみるとその逆でした。
平成VSゴジラ6作の違いはしっかり出したいという気持ちがありましたから、「デスゴジ」とほとんど同じに作るわけにはいきません。
第一「ビオゴジ」「ギドゴジ」は「デスゴジ」ほど全体的にボリュームはなく、かと言って細いわけではないのです。「デスゴジ」と比較すると、全体的に太い部分と細い部分の差が「デスゴジ」「モゲゴジ」「ラドゴジ」より大きく、そのフォルムが大きな特徴でもあります。
ぶっちゃけボテっとした体型、太めの体型の方がGメモリーズのディフォルメパターンとしては作りやすいわけです。ですから「ビオゴジ」「ギドゴジ」は体型的には、ディフォルメアレンジとしては難しい方の部類に入るのです。
それは顔にしても同じです。
Gメモリーズのパターンでは、頭部造形の際は、かわいく見せるために目を大きく、キバも大きく、どうしても4~5頭身になりますので大きめに作らざるを得ない頭部を大きく見えないようにアレンジして作っています。
この「ビオゴジ」「ギドゴジ」は、目は小さめ、キバも細か目(しかも2列)、頭は小さめの造形のゴジラです。つまりGメモリーズのパターンの真逆で構成されている作りです。
ディフォルメとは言え、そのゴジラの特徴や個性は欠かせませんし、そのゴジラだと断定できる容姿にしなくてはならない事から離れるわけにはいきません。「○○ゴジ」と名乗る以上は大前提だと思うのです。ゴジラファンのお客様に商品化されたものをご覧いただいて「これビオゴジじゃないじゃん」「これってギドゴジか?」なんて言われるようでは意味がありません。
この個性や特徴をなくさず、それでいてそのゴジラの容姿と断定される事を第一としながら、Gメモリーズのパターンの「カッコかわいい」アレンジにしなくてはならないわけです。
ひとつどこかのバランスが崩れると、全体に影響が出ます。そういう意味では難しい造形でしたし、バランスの大事さを痛感しました。と、同時に改めて「ビオゴジ」「ギドゴジ」のフォルムのカッコよさも改めて実感しました。