この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。
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TPP発効に備えて輸出業務の基礎を習得しよう。
TPP(環太平洋経済連携協定)加盟11カ国が3月9日、チリで署名をしました。11カ国中6カ国が批准すれば発行されます。この時期が今年末にも発行されると予想されます。アメリカが脱退しても世界貿易総額の約15%(人口は約5億人)をカバーする巨大自由貿易圏となります。
保護主義の流れに対して、関税下げと交易拡大にこの11カ国に今回入ってない、韓国、タイ、インドネシア、フイリピン、台湾、コロンビア、EUから脱退した英国が感心をもっているそうです。TPP参加11カ国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムです。
これからは通関手続きが簡略化されたり、関税が撤廃されたりしますから、中小企業で一番の経営課題は売る上げの拡大ですから、経営コンサルタントとして輸出業務の知識と中小企業への提案力を高めたいものです。
筆者は海外調達は行ってきましたが、輸出は手がけたことはありませんでしたので、表面的になりますが発信します。3回シリーズでお伝えします。
①日本の中小企業の輸出の現状と国の支援策
②輸出するための情報は何処から(主にJETROについて)
③貿易実務で抑えておきたい用語
NO1.日本の中小企業の輸出の現状と国の支援策
● 日本の中小企業の輸出の現状
中小製造業の輸出割合数はわずか3.5%(6,397社)にとどまっています。
輸出品は生産用機械器具製造業20.4%、化学工業7.8%、電気機械器具製造業7.9%、金属製品製造業7.6%、業務用機械器具製造業6.6%、その他が49.7%です。
(筆者注:この日本標準産業分類のイメージは器具が組み立て品、金属製品は単体もの、化学工業品は合成樹脂、ゴム、合成繊維とイメージして頂ければよろしいかと思います。農産物輸出については追って調査し発信します。)
出典:経済産業省「平成25年工業統計表」従業員数が4人以上製造業183,000社
輸出企業が今後の方針について考えていることは、更に拡大をしたいが69.4%、現状維持したいが
25.6%、縮小撤退、今後の計画なしが5.0%です。
現在の輸出先で圧倒的に多いのは中国28.9%、次に北米12.6%、韓国9.6%、、台湾8.8%、これから重視したい国は、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどです。
出典:中小企業白書2014年版 第3部第4章第2節1項 現在の主力輸出先と今後重視する国
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/h26/index.html
輸出の成功で企業に与えた影響は売り上げ高の増加、企業の将来性、利益の増加などです。
輸出を成功させるために最も重要だと考えていることは販売先の確保、信頼できる提携先、
アドバイザーの確保、現地の市場動向・ニーズの把握、海外展開を主導する人材の確保、
採算性の維持管理などです。
逆に言えば輸出の失敗は充分な販売先、提携先、優秀なアドバイザー、現地の情報の調査不足などが考えられます。
出典:中小企業白書2014年版 第3部第4章第2節2項 輸出を成功させる要因
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/h26/index.html
●中小企業の輸出関連支援策
この支援策は添付の「TPP関連支援策」の主な項目を選択しました詳細は添付ご参照下さい。28年度と若干古いですが同様の支援が現在もあると考えます。
①海外ビジネス戦略策定支援事業で、海外事業の経験を有する 専門家が現地同行調査などを通じ事業計画の策定をアドバイ スします。 ◎費用の3分の2を中小機構が補助します。
②JAPANブランド育成支援事業で、中小企業の新たな海外販路 の開拓につなげるため、複数の中小企業が連携し、自らの持つ 素材や技術の強みを活かした戦略の策定にかかる費用を補助し ます。(上限200万円、定額補助) ◎戦略に基づく商品開発、海外展示会出展等の取組にかかる費 用の3分の2を補助します。(上限2,000万円)
③「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業」で先端技術を活用して農業生産・加工・流通・販売の各段階を 結びつけ付加価値を向上させる体制構築にかかる経費の2分 の1を補助します(上限1億円)。 ◎新たな輸送技術の実証や販路開拓の取組等における設備取 得や輸送実証が対象です。
④ふるさと名物応援事業補助金で、農商工連携や地域資源(農 林水産物)を活用した新商品・サービスの開発のための費用や、 販路開拓に向けた展示会出展費の3分の2を補助します(上限 500万円)。 ◎農林水産品と関連する事業を行う事業者が、補助対象となりま す。 ◎TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目 指す取組を優遇します。
⑤小規模事業者持続化補助金で、小規模事業者が販路開拓に 取り組む費用の3分の2を補助します(通常上限50万円)。 ◎海外展開に取り組む場合、補助上限が100万円に増額します。 ◎27年度補正予算において100億円(内数)を計上しました。 約1万2千件の支援を見込んでいます。 お問い合わせ お近くの商工会・商工会議所
⑥中小企業等が経営の中で抱える、アイデア段階から事業展開、 海外展開等の知的財産に関する悩みに、全国47都道府県の 知財総合支援窓口に常駐する専門家が無料で相談に応じます。 ◎海外企業との契約や海外展開に関する問題点について、海外 知財法務専門家が解決策を無料でアドバイスします。 ◎民間企業で豊富な知財実務と海外駐在の経験を有する専門家 「海外知的財産プロデューサー」が訪問し、海外知財ビジネス事情を踏 まえた知財戦略の策定、知財リスクの低減等に関する支援を無料で行 います。
◎INPITのウェブサイト「新興国等知財情報データバンク」では、新興国等 の知財実務情報を国・地域別、カテゴリー別に紹介しています。
⑦海外見本市・展示会にジャパンブースを設置し、出展スペースを 提供するほか、現地バイヤーとのマッチング等、海外販路開拓に 向けた商談支援を行います。 ◎展示会出展前の専門家によるアドバイスや資料の翻訳等の費 用の一部を補助します。 ◎短期間に海外の有力なバイヤー等と効率良く商談できます。
⑧新興国を中心に14の国・地域で20ヶ所に配置されたコーディネーターが日系企業の課題解決を支援します。 ◎法務・労務、税務・会計、拠点設立手続き、人材確保など専門 的な相談にも幅広く対応します。
上記以外では中小企業庁のポータルサイト ミラサポの施策マップは「都道府県別」、「研究開発/商品・サービス開発、販路・需要開拓、海外展開、経営改善・事業承継、事業再生、雇用・人材、設備投資、知的財産、エネルギー・環境、健康・医療、その他」で検索できますから有効だと考えます。https://map.mirasapo.jp/