この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。日本経営士会 環境CSRのホームページはこちらへ。 http://www.compact-eco.com
■TAMAマネジメント研究会 http://tamaken.o.oo7.jp/の「私の主張」より
今回のテーマは、「デジタル革命がもたらす企業の経営課題と対応」
〜中小企業のAI、IoTの導入と取り組み〜
経営士・環境経営士 環境カウンセラー 山本 忠様 執筆により掲載させて頂きます。
第4次産業革命が世界で広がる中で、デジタル革命と呼ばれるAI(人口知能)、ロボット、IoTが人々の暮らし・生活に溶け込み社会変革を起こし始めています。2018年以降、特にAIを活かした身近な新製品やサービスが続々登場しております。
産業界の動向として、これまで主役であった電気・自動車メーカから米国IT企業(グーグル、アマゾン、ドットコム) の存在感が増大しています。
・企業がそれぞれ独自技術を競争してきた時代とは異なり、AI企業は一気に産業や社
会・暮らしの中に溶け込みはじめました。
・AIをめぐる企業間のグローバル競争が激しくなっています。
今後の社会変革と企業の経営課題・取り組みについて以下に述べます。
1. デジタル技術と社会に密着共存するイノベーション
・2020年 生産性革命の加速
・2022年 ロボットが社会進出、人体とコンピュータが融合
・2025年 AIが人の代役、技術で言葉の壁が消滅
・2030年 人と機械が共存・協調する社会(AIやロボットが生活に溶け込む・AIが人
の知能を超える?)
2. 日本産業界のAI、IoTを活用したものづくり、サービスが加速: 日本のものづく
り、医療診断、金融、農業、
経済予測、観光などに多くの企業がビジネスチャンスと捉え、また生産革命や働き方改革に向けてAI、IoT の活用が加速的に広がっています。
3. 中小企業の経営課題とAI、IoTの導入・取り組み:
① AI、IoTを活用したビジネスチャンスの拡大と企業の進化
中小企業にもAI、IoTを活用した新たなビジネスの獲得や独自技術とものづくり・
サービスを活かした次の事業進展例も期待されます。
◇製造業: 機械の稼働状況の把握・生産・在庫管理、遠隔操作など
◇農 業: 土壌水分・栄養分の測定により野菜の収穫時期を制御・管理
◇漁 業: 潮流・水温・魚群位置のリアルタイムデータによる漁獲効率
◇建設業: ビルの電気使用量などのエネルギーデータの収集・分析による効果的な
省エネ。
高齢者の生活・健康状況を遠隔で見守り
② 中小企業のAI、IoTの導入・運用にあたっての主要ポイント
中小企業のAI、IoTの活用が1割も進まないのは、知識・投資資金や人材不足が主な
理由とされています。そのため一歩でも進めるため、次の主要事項を提言したいと
思います。
◇社長が明確な経営方針と強いコミットメントを宣言すること。
◇自社の強みと弱みを明確にし、解決すべき課題を絞りこむこと。
◇自社に合致したシステムを構築し運用すること。
◇現場での整理・整頓を進めてデータを洗い出すこと、現在の生産システムを有効に
活用すること。
◇期限限定した目標と試行錯誤によるノウハウを蓄積し運用すること。
◇ITスキルを持った人材の確保と教育による人材を育成すること。
◇投資に対する改善効果を適切に評価すること。
◇中小企業基盤整備機構などの公的機関の資金支援制度や人材育成制度を有効に活用
すること。
企業交流や協働事業により情報を得ること。
4. 経営コンサルタントしての心構え
事業環境が激変し、企業もデジタル化のめざましい進展で変革を余儀なくされています。
経営コンサルタントもこの変化に対応するセンスと力量が求められるとともに次の心構えと実践力が必要ではないでしょうか。
① AI、IoTなどのデジタル革命がもたらす新しいビジネスチャンスの獲得と
企業の進展に対応した経営指導・支援
② 広がるリスク対応(サイバー攻撃の増加、AIを活用する企業と開発企業との利
益・権限配分、知財戦略など)への配慮。