この記事は(一社)日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。日本経営士会 環境CSRのホームページはこちらへ。 http://www.compact-eco.com
今回のテーマ:中小企業にとって何が必要なのか シリーズ⑤
「バランス経営」
企業組織間のバランス、経営資源(人、もの、金)のバランス、現場力(営業力)開発力、技術力、生産力、販売力等)のバランス、企業が成功するためには、これらのバランスが重要で「バランス経営」が必要である。企業内でのバランスが崩れると、組織、職場が混乱し、いたるところで「ムリ」「ムダ」「ムラ」が発生する。
(1)バランス経営を展開するには
①営業、開発、設計、生産、販売など経営機能のバランスが必要。(個別最適、全体最適)
企業には強みや弱みをかかえている、例えば、バランスが悪く「弱み」をそのままにしておけば、やがて危機を発生させる可 能性をもつ。また組織間では時には取り組みに対して対立が発生することもある。このようなときの解決には、全体最適化の バランスが必要である。
②ヒト、モノ、カネ等の「経営資源」のバランスが必要である。
・ヒトのバランス(適材適所、世代のバランス、能力のバランス、人材育成等)
・モノのバランス(在庫バランス・適正在庫、設備バランス、資産保有のバランス等)
・カネのバランス(資金のバランス、財務のバランス、キャッシュフローのバランス等)
③計画(長期、中期、短期の時間軸)のバランスが必要
事業にはタイミングも重要な要素になっている。どんな有益な商品を開発しても市場がまだ
成熟していない場合などはそのビジネスは成功しない。また市場の要求に対してタイミングを逃してしまった場合も同じであ る。市場が必要としている商品を必要なとき、必要な量を提供することが出来れば、ビジネスは成功する。このように計画に 対するバランスも重要な要素である。
経営上のバランスを経営戦略に生かすツールには、バランススコアカードがある。
(2)バランススコアカードは戦略立案ツール、バランススコアカード手法を活用して経営戦略立案
バランススコアカードは、企業の戦略実行能力を総合的に評価分析するツールで企業の持つ
重要な要素が企業のビジョン・戦略にどのように影響し業績に表れているかを見えるようにするための業績評価手法でもあ
る。
生きた経営戦略を立案実行するためには、経営者のトップダウンだけでなく、第一線の社員たちも意思決定に参加する全員参
加のボトムアップ型の経営戦略づくりが有効である。
そして戦略を見える化するにはバランススコアカードが適している。
バランススコアカードの4つの視点
①「財務の視点(過去の財務数値によるマネジメント)」
②「顧客の視点(外部:現在の顧客満足度を高めるためのマネジメント。企業からみるお客様、お客様から見える企業)
③「業務プロセスの視点(内部:現在の業務プロセスを改善するためのマネジメント。製品のクオリティや業務内容に関する 視点)」
④「イノベーションと学習の視点(将来:将来の組織と人材を育てるためのマネジメント。企業のもつアイデア、ノウハウや 従業員の意識・能力)」を持ち、これらの視点から戦略に適合した個人や部門ごとの個別の実施項目/数値目標/評価指標を
設定し、PDCAサイクルを回してこれらを監視することによって、社内のプロセス改善や個人のスキルアップを促し、企業変 革をする。
4つの視点はそれぞれ独立でなく各指標間の因果関係に基づいて設定され、短期的利益と長期的利益、全社目標と部門目
標、株主・顧客・従業員(利害関係者)間のバランスを取りながら、統一的な戦略策定とその戦略の整合性のある実践をす
る。
結果として戦略実行の意思統一ツール、社員のモチベーションアップツールとしても役立つ。
バランススコアカードの戦略作成ステップ
(1)ミッション・ビジョンの明確化と確認
(2)戦略の明確化(事業ドメーン:経営活動を行う分野の確定・SWOT)
(3)戦略マップの作成
(4)アクションプランの明確化
(5)バランススコアカード戦略マップの完成
以上が故小守経営士の資料ですが、従来は財務分析により業績評価を行っていたが、バランススコアカードは財務分析に加えて「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「従業員のレベル」の視点を加えて企業を評価することです。これら4つの視点から事業計画をするべきだとハーバードビジネススクールのキャプラン教授などがとなえた説です。
以下は私の私見です。環境CSRニュースの読者の方も企業の経営者を見ておられると思います。上記のバランスの意味とは少し意味合いが違いますが、経営者には自分の得意な分野には力点を置き不得手な分野は力を注げなくて企業をダメにした経営者を時々見ませんか。
人、モノ、金、技術、財務、販売、生産をバランスよく見る必要があります。
次回は「マネジメント力の重要性」シリーズ⑥です。