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「社会的インパクト評価」シリーズ⑥

2021-04-20 10:30:46 | SDGs・CSR・環境経営

「社会的インパクト評価」シリーズ⑥

第4章 評価支援者のための補足

 

4.1 評価支援者に期待される役割

 

ロジック・モデルについての知識さえあれば、ロジック・モデルの作成が出来るでしょうか?

実際にロジック・モデルを作成しようとすると、さまざまな実務上の課題に直面します。

その中で最も困難なものの1つが「合意形成」です。

評価支援者には合意形成のためのファシリテーターとしての役割が期待されます。

合意形成には正解がありません。

いかに納得性と合意の質を高めていくかがファシリテーターの役割となります。

そのため、合意形成においては、結論よりもプロセスが重要となってきます。

問題解決 合意形成

 

前提 正解がある 正解がない

期待される役割 正解へ導く 納得性と

合意の質を高める

重視されるもの 結論 プロセス

 

4.2 ファシリテーションの4つのスキル

 

場を作り、つなげる 受け止め、引き出し、まとめて、分かち合う かみ合わせ、整理する。

 

4.3 合意形成のスキル –意思決定の方法(コンセンサス法)

 

合意形成の方法にはさまざまな方法がありますが、コンセンサス法についてご紹介します。

コンセンサスとは、誰かのアイデアを全員に押し付けたり、集団の力で一部の人に受け入れられないような案を

強制することではありません。

各人にとっては必ずしも最良の案でなくても、メンバー全員が支持できる案を、チーム全体でつくりだしていきます。

合理的で民主的な議論をすること

少数派の意見を尊重すること

全員が納得するまで粘り強く考えること

コンセンサスづくりを進める上での留意点

地位の力を利用したり、メンバー同士で取引をしたりすることは認められません。

多数決法では少数派の意見が切り捨てられてしまいますが、コンセンサス法では少数派の意見も尊重します。

納得性と合意の質を高めていくため、多くの時間とエネルギーをかけます。

 

 合意形成のスキル –コンフリクトマネジメント

コンフリクトとは、意見や意識のギャップから生まれる対立、葛藤、衝突、紛争などのことです

コンフリクトとは意思決定を妨げたり、組織分裂の危機に陥ることもあります。

しかし、コンフリクトが創造性を生み出すので、うまく活用することで議論を活性化できます。

コンフリクトは表面の意見ではなく、裏にある「考え方の枠組み」が対立しているので、お互いに理解を促すことが必要になります。

 

評価支援者のための補足

意見 考え方の枠組み

例えば、「AさんはBさんの意見をどう理解しましたか?」とお互いの意見の違いを理解する。

そこから、「なぜ、Aさんはそのような意見を持ったのですか?」と背景を聞いていくという流れで

意見の裏にある「考え方の枠組み」を引き出していくことが重要です。

 

 

4.4 ケーススタディ

 

 評価支援者のための補足

以下のようなケースの場合、あなたは評価支援者としてどう対応しますか?

 

現場が忙しいので社会的インパクト評価なんてやる暇ありません。

受益者は経済的困難を抱える子どもたちです。

受益者は身体的障害を抱える子どもたちです。

子どもたちの学力向上こそ最も大事です。

教師たちの指導力向上こそ最も大事です。

協力を得ることが出来ない 事業目標や受益者が定まらない 評価する成果が定まらない現場が何より大事

だと思っています。

会議室で話し合っても課題は解決しないと思います。

私自身が経済的困難を抱える家庭に育ったため、強い問題意識を持っています。

家族に身体的障害を抱える子どもがいるため、強い問題意識を持っています。

私は一生懸命勉強してきたので、今とても充実した日々を送ることが出来ています。

私は素晴らしい教師に出会えたことがきっかけで、今とても充実した日々を送っています。

今回の社会的インパクト評価シリーズは今回で終えます。

詳細はこのシリーズの①番目に書きましたURLには図、事例などが詳細に乗っていますからご参照ください。

この記事は日本経営士会 「環境経営士 ®」向けメルマガで発信している記事の転載です。

環境経営士については「環境経営士」で検索またはアドレスはhttps://www.compact-eco.com です。

 


社会的インパクト評価」シリーズ⑤

2021-04-20 10:25:42 | SDGs・CSR・環境経営

社会的インパクト評価」シリーズ⑤

第3章 成果指標

3.1 成果の優先順位づけ、評価する成果の決定

 

ロジック・モデルを作成したら、評価する成果を考えます。

成果をすべて網羅的に把握し評価することは困難です。

そのため、成果に優先順位をつけ、評価する成果を決める必要があります。

□ 成果と事業との関係性は直接的ですか。

□ 評価する成果は事業目標の達成に有効なものですか。

□ 事業の受益者、資金提供者にとって重要な成果ですか。

□ 評価する成果の測定にコストはかかりすぎませんか。

□ 評価する成果を測定した結果、信頼性のあるデータが手に入りますか。

評価する成果を考えるときのポイント

評価する成果を決める際、事業実施者、資金提供者・仲介者等の利害関係者間で協議することを推奨します。

それが難しい場合には、評価する成果の優先順位づけの根拠を示せるようにしておきましょう

初期成果 中期成果 長期成果

外部要因による影響

把握困難性

一般的に、成果は長期・広範になるほど、外部要因による影響を受け、その把握の困難度は増していきます。

例えば、小学生向けの学習支援プログラムについて考えてみましょう。

当プログラムは小学校における学力の向上には直接的な影響を及ぼしますが、大学への進学については

予備校などの他の外部要因による影響を受けている可能性が高いでしょう。

どこまでを評価の対象とするかは、評価の目的、資金提供者のニーズ、組織が有する資源等を踏まえ、

関係者の合意の上、決定されます。

 

初期成果の多くは、事業活動の結果に直結するため、少なくとも1つは評価対象として選択することを

お勧めします。

  • 学力の向上
  • 社会情動的能力の向上
  • 希望する進路の選択
  • 経済的自立
  • 生活自

 

3.2 成果指標の検討

評価する成果が決まったら、それらを具体的にどう確認していくかを検討していきます。

つまり、成果指標を考える必要があります。

例えば、「基礎的知識・技能の向上」は何で確かめれば良いでしょうか?

さまざまな指標が考えられますが、例えば「教科の知識・技能を問うペーパーテストの点数」が指標として

考えられます。

なお、指標は必ずしも定量的である必要はなく、定性的なものも考えられ、定量データと定性データの双方が活用できます。

例えば、「コミュニケーション能力の向上」は何で確かめれば良いでしょうか?

さまざまな指標が考えられますが、例えば「言語活動の状況」が指標として考えられます。

「言語活動の状況」は質問紙調査(アンケート)によって確かめることができます。

 

第3章の振り返り

成果の優先順位づけ、評価する成果の決定において、どういった点が実務上の課題となりますか。

成果指標の検討において、どういった点が実務上の課題となりますか。

成果の優先順位づけ、評価する成果の決定における実務上の課題はどのようにすれば対処できますか。

成果指標の検討における実務上の課題はどのようにすれば対処できますか。

評価する成果について、成果指標は何ですか

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