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SDGsの起源 世界と日本 No10

2022-04-04 16:01:19 | SDGs・CSR・環境経営

SDGs17のゴールは人類の課題ですがそれぞれのゴールが出来た由来について考えてみます。出所は世界の現状については日本ユネスコ協会 日本の現状については項目ごとにネットなどで調べました。

 

この記事は環境経営士向けメルマガの記事を転用しました。環境経営のホームぺージはhttps://www.compact-eco.com  です。

ご参照いただければ幸いです。

 

SDGs10

国内および国家間の不平等を是正する

 

国際社会は、人々を貧困から脱出させるという点で、長足の進歩を遂げました。後発開発途上国や内陸開発途上国(注1)小島嶼開発途上国といった最も脆弱な国々では、貧困の削減が引き続き進んでいます。しかし、不平等が解消せず、保健・教育サービスその他の資源へのアクセスという点で、大きな格差が残っています。

 

また、国家間の経済的格差が縮小傾向にあるとしても、各国国内では不平等が拡大しています。経済成長があっても、それが包摂的でなく、経済、社会、環境という持続可能な開発の3つの側面にすべて関係するものとならない場合、貧困削減には不十分だというコンセンサスも広がっています。

 

日本では

不平等度の拡大については、OECD(経済協力開発機構38か国加盟)がいくつかの指標を提供してくれています。そのうちでも重要なのが、ジニ係数(注2)と相対的貧困率(注3)です。

 

注1内陸開発途上国:

国土が海から隔絶され、国際市場への距離や物流コスト等の経済社会発展上の制約を抱え、地勢的に開発に不利な途上国をいう。

注2「ジニ係数」:

社会における所得の不平等さを測る指標である。0から1で表され、各人の所得が均一で格差が全くない状態を0、たった一人が全ての所得を独占している状態を1とする。

注3「相対的貧困率」:

等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の貧困線(中央値の半分)に満たない世帯員の割合である。可処分所得とは、所得から所得税、住民税、社会保険料及び固定資産税を差し引いたものをいう。

 

  • 日本のジニ係数 

そこで、まずジニ係数によって日本の実情を見てみましょう。市場で得られる総収入に基づくジニ係数は、このところ緩やかに上昇しています。その意味では不平等度は拡大しているということができます。しかし、所得再分配後の可処分所得に基づくジニ係数の方は安定して推移しています。

  • 日本の相対的貧困率は

OECDでは比較的高いグループに属しており、米国に近く、英国よりはかなり高い水準となっています。

 ・相対的貧困率の高い理由は第1に、人口の高齢化です。高齢者層は、そもそも相対的貧困率は高い年齢層です。高齢化が進行すると、そうした高齢者層のシェアが拡大することになるので、全体としての相対的貧困率も拡大することになります。

相対的貧困率が最も高い年齢層は76歳以上層であり、それに次ぐのも66歳~75歳層となっています。

ここで注目すべきことは、高齢者層の相対的貧困率は、高水準ではあるものの、上昇を示しているわけではないということです。高齢者層の中でも高齢化が進んでいるとすれば、相対的貧困率が上昇しても不思議はないのですが、それが安定している背景には、移転支払による所得再分配の効果(特に年金支払による)があるものと考えられます。

なお、高齢者は、特に単身者世帯になると、生活上の困難に陥ることが多くなります。そのことは、例えば、高齢者の生活保護受給者が増加していることにも現れています。

・相対的貧困率が高い理由の第2は、非正規雇用者の増加です。非正規雇用者の賃金は、正規雇用者の賃金より低いものとなっています。その非正規雇用者の全雇用者に占める割合が上昇している(2016年度で40%程度)ため、相対的貧困率も上昇しているのです。

・理由の第3は、片親世帯(母子家庭と父子家庭)における貧困化が進展していることです。離婚率は上昇傾向にあります(2016年までの30年間に離婚件数は31%増加しました)。その結果、片親世帯が増加していますが、片親世帯においては、母子家庭を中心に非正規雇用に頼らざるを得ないこともあって、相対的貧困率は高水準にあるのです。

 

  • GDPの成長を高めるために

技術進歩の促進とグローバル化の深化のための新しい政策体系を選択するのであれば、不平等をさらに深める恐れがあるので補完的な政策体系を準備する必要があります。生涯を通じて必要な人的資本を蓄積することが可能な教育制度を提供すること、陳腐化した技能に変わる新たなスキルを身につけるための訓練機会を用意すること、労働需給のマッチング機能を高めることは、緊急に取り組まれるべき政策課題です。

出所:公益社団法人日本経済研究センター 齋藤 潤(マクロ経済学、日本経済論、経済政策論)より筆者なりに要点をまとめました。