横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

ロミオとジュリエット

2010-11-07 21:58:22 | 映画・テレビ
 ロミオとジュリエット 1968年(イギリス、イタリア) 日本公開1968年3月4日 


 午前十時の映画祭で上映される作品を順番にすべて書こうと思っていたのですが、このペースだと終わるまで1年かかってしまいますので、スキップしていきます。これは、横浜第7週目の上映作品。

 このシェークスピアの名作は、何度も映画化され、1996年にはレオナルド・ディカプリオのロミオがありましたが、やはりこの1968年ゼフィレッリ版がベストと思います。イタリアのスタッフとイギリス人の主演者が、みごとにロミオとジュリエットの世界を作り上げています。

 原作にほぼ忠実な映画化で、配役も原作の年齢に近く、セットではなく当時の風景が残る場所でロケを行っているのも、雰囲気を出しています。ジュリエットのオリヴィア・ハッセーは撮影当時15歳。このジュリエットは初々しく美しく、最高でした。ロミオが一目で恋に落ちても不思議はありません。
 以前彼らの年齢に近い時に見たときと違い、今回は親が子を見るような気持で見てしまいがちでしたが、むしろ今回の方が、より心を動かされました。以前見たときには自分自身が若いので分からなかった、彼らの若いゆえの未熟さと一途さが、痛いように感じられ、この悲劇は我々皆に対する罰だ、という大公の言葉に、私自身も固定観念の中で若い心を失っているのことが多いことを、自省させられました。

 原作に忠実という意味では、この映画の良さの半分はシェークスピアのおかげなのですが、それをこのような新鮮な映画として蘇らせたのは、ゼフィレッリの力でしょう。フランコ・ゼフィレッリは、ヴィスコンティの助監督として映画界に入り、この作品がやはり代表作です。聖フランチェスコの青年期を描いた”ブラザーサン・シスタームーン”(1972)も、ロミオとジュリエットと甲乙つけがたい作品だと思います。ほかに、ジョン・ヴォイトがアカデミー主演男優賞に、デイヴ・グルーシンが作曲賞にノミネートされた”チャンプ”(1979)などがあり、後年はオペラの演出家としても好評を博したそうです。
 
 そしてニーノ・ロータによる音楽。悲しげでありながら甘美なジュリエットのテーマは、名曲中の名曲です。ニーノ・ロータはイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの一連の作品をはじめ、ルネ・クレマン/アラン・ドロンの太陽がいっぱい(1960:今回の50本にも入っています)、ヴィスコンティの山猫(1963)、ゴッド・ファーザー(1972:50本に入っています)、などなど、私も好きな曲がいっぱいあります。本人は映画音楽は趣味でクラシックが本業だと言っていたそうですが、本当でしょうか。そんなことはとても信じられないぐらいの名曲ぞろいです。
 フォロー・ミーのミア・ファローも出ている”ナイル殺人事件”(1978)は、残念ながら傑作ではないですが、音楽はニーノ・ロータです。多くの才能が集まっても、必ずしもそれだけで傑作ができるわけではないのですね。

 オリヴィア・ハッセーは、この映画が女優キャリアの始まりにしてピークとなってしまいましたが、この一本だけで忘れることはないという映画ファンも多いと思います。とくに日本では、公開当時から圧倒的な人気が出て、後に歌手の布施明さんと結婚していた時期もあります。先ほども話題にした、”ナイル殺人事件”(1978)でも脇役でしたが、最近、イタリアのテレビ映画を編集して公開されたマザー・テレサ ”(2003)で、タイトル・ロールを好演していました。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする